自民議員、遅刻者が相次ぐ 野党側「やる気ないのか」

https://www.asahi.com/articles/ASNCV6WBMNCVUTFK00F.html
国民投票法改正案、初の実質審議 自民と立憲の思惑一致

大久保貴裕、山下龍一、石井潤一郎
2020年11月26日 21時11分

 衆院憲法審査会は26日、憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案について初めて実質審議した。与野党の対立で2年あまり審議できていなかった。自民党にとって一歩前進をアピールできた格好だが、立憲民主党などは慎重姿勢を崩しておらず、改正案の成立は見通せていない。

 改正案は、大型商業施設への共通投票所の設置など7項目からなる。いずれも一般の選挙では導入されている内容で、与野党の対立点は少ない。しかし、改正案の成立は改憲への環境が整うことを意味する。成立後に、自民党が改憲論議を一方的に進めることを警戒する野党側が抵抗し、2018年7月から継続審議となってきた。

 この日の審議では、自民の中谷元氏が「民主主義の基盤にかかわる事項で速やかに成立を図るべきだ」と強調。これに対し、立憲の奥野総一郎氏は「7項目の先行採決ではなく、CM規制の改正があわせて必要」と述べ、ほかにも議論すべき課題は多いと指摘し、議論は平行線をたどった。

 2年以上も動かなかった実質審議に入ったのは、自民と立憲にそれぞれの事情があったからだ。

 臨時国会の会期が残り約1週間に迫るなか、自民党は今国会で採決することを見送り、立憲から審議入りという譲歩を引き出した。菅政権になり、少しでも改憲論議が進んでいることをアピールしたい自民は、「匍匐(ほふく)前進」(同党国対幹部)であっても審議を進め、来年の通常国会での成立につなげたい考えだ。

 一方、立憲には野党内で足並みがそろっていないという弱みがあった。改憲論議に前向きな日本維新の会に加え、合流新党に加わらなかった国民民主党も早期採決を容認した。

 野党内で改憲論議に前向きな勢力が増え、立憲や共産党を置き去りに議論が進んでしまう恐れがあった。とはいえ、立憲幹部は「野党の主張を踏まえた改正案の修正が必要だ」と話し、簡単には採決に応じない構えを崩していない。

 26日の審議では、維新の馬場伸幸氏がこうした経緯を念頭に「ポーズだけを示す茶番はもう結構」と批判。「直ちに採決を望む」とする動議を出したが、与党側は応じなかった。(大久保貴裕、山下龍一、石井潤一郎)
自民、年内の改憲原案策定を断念

 自民党が年内に策定するとしていた党の憲法改正原案が、先送りされる見通しとなった。今国会でようやく国民投票法改正案の審議に入れたことから、改正案の成立に慎重な立憲民主党などを刺激する動きは避けるべきだと判断した。

 自民は10月、改憲への機運醸成をはかるためには改憲項目の成案の提示が必要として起草委員会を設置。衛藤征士郎党憲法改正推進本部長が委員長に就き、憲法9条への自衛隊明記を含む「改憲4項目」について、具体的に条文化した成案をつくる方針を掲げた。

 野党からは「自民の独走」と批判があがり、自民内からも「素案を直す必要はない」などと異論が噴出した。こうした状況を踏まえ、起草委のメンバーから「同改正案の成立を優先すべきだ」との声が上がっていた。(石井潤一郎)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/70784?rct=politics

国民投票法改正案が初の実質審議入り 与党など今国会成立を断念<衆院憲法審査会>
2020年11月26日 21時00分
国会議事堂

国会議事堂
 改憲手続きを定める国民投票法改正案は26日の衆院憲法審査会で質疑が行われた。2018年6月の提出以来、実質審議は初めて。与党などは投票の利便性を高める内容として早期成立を主張し、日本維新の会は質疑打ち切りと採決を求める動議を提出。一方、立憲民主党は採決に慎重姿勢を示し、与党は会期末が12月5日に迫っていることも踏まえ、今国会での成立を断念した。
【関連記事】衆院憲法審査会、国民投票法改正案など議論 菅政権発足後初の自由討議
 改正案では駅や商業施設でも投票できる「共通投票所」の導入など7項目を見直す。公職選挙法の規定にそろえる内容で、共同提出した与党や維新などは「速やかに成立させるのは国会の責務だ」と訴えた。
 立憲民主党の奥野総一郎氏は、国民投票の運動期間中に放映されるテレビCMの規制なども並行して議論した上で、7項目と合わせて抜本的な改正を目指すべきだと強調。共産党の赤嶺政賢氏も、改憲案承認の条件として最低投票率が設けられていないことなどに触れて「根本的な問題が残されたままの欠陥法だ」と指摘した。
 各党の質疑が一巡した後、維新が出した動議について、細田博之憲法審査会長は「幹事会で協議したい」と引き取って散会を宣言した。与野党は12月3日にも審査会を開く方向で調整しているが、与党は今国会での採決を見送り、来年の通常国会で成立を目指す構え。
 改正案は18年7月に提案理由説明が行われたが、当時の安倍晋三首相が期限を区切って改憲を推進する姿勢を示して野党が反発。これまで実質審議は一度も行われず、継続審議となっていた。(川田篤志)
◆自民議員、遅刻者が相次ぐ 野党側「やる気ないのか」
 26日の衆院憲法審査会は、自民党議員の遅刻者が相次いで開会が遅れた。野党側から「やる気がないのか」「与党の姿勢が問われる」などと批判の声が上がった。
 憲法審は50人で構成され、自民会派への割り当ては30人。開会時間の午前10時を過ぎても自民の10人ほどが姿を見せなかった。半数以上が出席し、審査会を開くのに必要な「定足数」は満たしていたが、細田博之会長はしばらく開始を見合わせ、予定より6分遅れで審議を始めた。
 遅刻は5~10分ほどだったが、与党筆頭幹事で自民党の新藤義孝氏は記者団に「緊張感を持って臨むのは当然で、改善しなければいけない」と反省。国民投票法改正案の採決を巡る与野党対立で、開会時刻の確定が前日夕方にずれ込んだこともあり、自民党関係者は「先に他の予定を入れてしまっていたのでは」と推察した。(川田篤志)