時代が大きく揺れ動いていることを痛感しています。
早いもので、もうこの間何があったのか忘れそうになりますから、時系列でこの1年、市民連絡会などの運動側で大きな動きだけを列記してみます。
1月11日 アクション111 戦争を回避せよ イラク派兵は認めない(日比谷公会堂)/1月19日 イラク派兵、有事法制に反対する市民と国会議員の院内集会/1月23日 憲法改正国民投票法案反対の院内集会/1月25日 WORLD PEACE NOW1.25(日比谷野音)6000人/守ろう!平和といのち2.13大集会(明治公園)12000人/3.20WORLD PEACE NOWイラク反戦集会(日比谷野音など)30000人/4月9日 守ろう!平和といのち4.9集会(日比谷野音)4000人/4月9日~18日 人質になった3人を救え!連続緊急行動(官邸前など延べ10000人)/5月3日 2004年5.3憲法集会(日比谷野音)5000人/5月21日 守ろう!平和といのち5.21集会(明治公園)10000人/6月10日 九条の会発足/VOTE FOR PEACE7.4渋谷(宮下公園)1400人、3人不当逮捕/7月24日 九条の会発足記念講演会(ホテルオークラ)1000人/9月11日 BE―inn &WORLD PEACE NOWスペシャル(明治公園)5000人/9月18日 九条の会大阪講演会 3700人/9月20日 九条の会京都講演会 2000人/10月13日 撤退なくして復興なしイラク復興会議抗議行動(赤坂プリンスホテル)150人/11月3日 憲法集会(星陵会館)400人/11月6日教育基本法の改悪を止めよう全国集会(日比谷野音)5500人/11月10日 ファルージャの虐殺をやめよ 緊急米国大使館行動(350人)/11月15日 自衛隊の撤退を求める緊急院内集会 300人/11月21日 九条の会宮城集会 4500人/11月25日 九条の会札幌講演会 3000人/11月29日 自衛隊の撤退を求める緊急院内集会 200人/12月1日 九条の会沖縄講演会 2000人/12月6日 現職自衛官の改憲案作りに抗議する緊急防衛庁行動(100人)/12月14日 撤退させよう自衛隊終わらせようイラク占領 WORLD PEACE PAREDE(日比谷野音)3000人/
自画自賛と叱られそうですが、やはりすごい行動だと思います。市民運動もさまざまな人びとと協力して数千から数万の規模の集会がつぎつぎと出来るようになったことと、緊急行動が展開できていること、4月の人質救出のような緊急かつ活国際的な行動が出来たこと、九条の会講演会が全国で成功しつつあること等々、今年の運動には大きな特徴がいくつもあります。私たちの市民連絡会はこの中で重要な役割を果たしてきました。年末の運営委員会での感想で、そうした前進を確認しましたが、同時に寄せられる期待と責任を考えると少々荷が重いとも発言しました。しかし、そうはいっておられれません。2005年はもっと働かなくてはならないでしょう。
この時代を生きている者の責務としても、私たちは互いに力を出し合い、この改憲をめぐる歴史的な時期に精いっぱい運動し、勝利をめざしたいと思います。(高田健)
仙台 小針英子
11月21日、「憲法9条を守る宮城集会」が仙台国際センターで開かれた。同集会「呼びかけ人会議」(後藤東陽代表)と「九条の会」が主催した集会には、1時間も前から、長い行列が出来、予想をはるかに超える4500人以上もの参加者が詰め掛けた。
主会場と予備に用意した第2、第3会場もたちまち満杯になり、溢れ出た人たちは、戸外でスピーカーの音に耳を傾けた。
始めに、後藤東陽氏の開会の挨拶があり、「戦争体験から、イラク戦争に反対する。平和憲法は、日本の誇りだ。一緒に守ろう」と呼びかけ、井上ひさし、澤地久枝、三木睦子、加藤周一各氏の講演に移った。
先ず、仙台ゆかりの井上氏は「日本国憲法は明文で、国民が確定して決めたもの。他の法令に優越するものだから、そう簡単に変えられるものではない。ましてや、アメリカの戦争のために、日本の憲法を変えるべきではない」と改憲の動きを牽制した。
澤地氏は「イラクで自衛隊に何かあったら、一気に戦争論が復活する。憲法論議などしようものなら、『非国民』と言われかねない。それでも、未来の子供たちのために、9条という『かすがい』で結ばれた人間のサークルを日本中、否国境を越えて広げて行こう」と訴えた。
続いて、先の大戦で兄を亡くしたという三木氏は「自衛隊は、武装してイラクに行くよりも、新潟県中越地震の被災地にこそもっと応援に行くべきだ。日本が9条を捨てたら、戦争になる。改憲を阻止するために全国を廻っている」と声を振り絞った。加藤氏は「緊急の国際貢献とは、環境や南北格差、公衆衛生、教育などの分野で、武力とは全く関係のないものだ。9条が日本に戦争をさせないし、また、アジアの平和にも貢献する」と力説した。
4氏の講演後、「イラク派遣違憲訴訟」の弁護団から特別報告があり、次いで、「9条を守る心は一つ」というアピールを採択して閉会となった。その後、参加者たちは会場から勾当台公園まで行進し、市民に訴えた。
この集会の模様をNHK仙台は、異例なまでに夜の各時間帯のニュースで繰り返し報道した。しかし、「自衛隊の撤退を求める集会」という表題を付け、肝心の憲法9条には、あまり触れず仕舞い。大いに不満は残るものの、井上氏と特に三木氏を放映したのには、保守層への影響力を考慮しても、一定程度、評価はできよう。
さて、翌日の新聞各紙の報道だが、先ず地元の河北新報は、『「憲法九条守れ」市民4000人が集会』の見出しを付け、井上氏と加藤氏の言葉を掲載。朝日新聞は、「憲法9条の必要性訴え宮城で集会」というタイトルで、参加者数は約4500人としている。こちらは、講師4名の話を漏れなく掲載。内容も概ね要領を得ている。
毎日新聞となると、「憲法9条を守る宮城集会、5000人が参加─作家・井上ひさしさんら講演」というタイトルで、喜ぶべきか(?)参加者数が一段と膨れ上がっている。但し、掲載した講師名は、井上ひさし、三木睦子の両氏のみ。
何れの新聞にも共通するのだが、紙面があまりに小さくて、充分に書き切れていないのが難点だ。それでも、取り上げただけまだ良い。産経は論外にしても、日本で最多の読者数を誇る読売新聞が、これを無視しているのには残念と言う他ない。
しかしながら、宮城に引き続き、岩手でも「9条をまもる会」が結成されるとのこと。ここ東北においても、着実に「改憲阻止」の運動は広がりを見せている。
小泉章夫(「札幌郷土を掘る会」会員)
札幌で11月25日に「九条の会」講演会が開催されるとの知らせを受け、その日は仕事を早々に切り上げ、講演開始1時間前の17時30分に会場の札幌市民会館に駆け付けた。そのとき既に多くの市民が列をなして並んでいる状況。私の後にも聴衆が続々……。北国の寒い夜空に待つこと30分、ようやく開演となり、何とか席にたどりつくことが出来た。
会場は通路もロビーも埋め尽くされ、約3000人。入りきれずに帰られた方も500人以上、と主催者から発表された。
今日の講演は奥平康弘さん、小田実さん、鶴見俊輔さんの3氏。いつもは一人で1時間も2時間も話す方々が20分程度ずつ。はたして話したいことを話すことが出来、私たちに伝わるのかな?
最初に「護憲派の憲法学者」といえば真っ先に名前が出てくる奥平康弘さん。
迫力ある大学の講義という印象。簡潔に憲法学者らしく現状分析に基づいてお話しになられた。
「政府は今まで条文を変えずに解釈を変えることでやってきたが、今はこれも限界となり、明文を変えなければ対応出来ない状況になってしまっている。」という状況を踏まえ、ズルズルと変えてきた「現実」に「憲法」を屈服させてはならないこと、憲法を「守る」ことから「生かす」視点への発展の必要性を論理的に説得力をもって話された。現在の憲法を巡る状況と今後の運動の方向性に強い示唆が与えられた。
次に小田実さんの登場。
「作家」というよりも私にとっては青春期の反戦平和運動の指導者であり、ヒーロー。
私の隣の席の同年代の女性が「この前、小田さんが出ている集会に参加して、握手してきましたよ!」と話し掛けてきた。ウーン、「小田教」の信者?
小田さんの講演、いつもと同じように強い理念と意志に心打たれる。今回は40年前の米国滞在時の経験を基にして米国における「自由」と「民主主義」の概念の変遷のお話。「抵抗」としての意味合いから、開拓=原住民虐殺の過程で押し付ける「自由」「民主主義」への変化~この流れに沿ったブッシュ政権の考え方……。これに対し、我々の「民主主義」「自由」とは何か?~それは平和主義に結びつき、アジアへと結びつく。そして日本国憲法こそ世界平和宣言としての価値があり、9条はあくまでも「前文」とセットで読むことによって世界に広がる普遍的価値がある……。その論理の崇高さに引き込まれた。
最後に鶴見俊輔さん。
私にとって鶴見さんから連想するのは「思想の科学」。自由な感性で書かれるちょっと薄目の月刊誌。若い頃の私には魅力的なもので、よく手にして読んでいた。
太平洋戦争前に米国の大学でプラグマティズムの哲学を学んでいたこと、戦争が始まって収容所に収容されたこと、戦争中に日本に帰ることを選択し、帰国後応召され、海軍に入隊したこと・・・・などが淡々と語られた。海軍にいたとき、とにかく「人を殺す」ことが嫌でその命令が出されたら死ぬことを考えていたが、幸いにもその前に終戦になった。
米国は今、全体主義化しているが、移民の増大など米国社会は大きく動いており、意外に早く目覚めるのではないか? これに対し、日本はいつ目覚めるのか、楽観は出来ないが、「殺したくない。殺されたくない。」という思想を起点に「最後の一人になっても9条を守っていきたい!」という鶴見さん。人間としての当たり前の感情を基にこう締めくくる鶴見さんのお話はジンと胸に染み入る。
冷徹な現状分析から護憲を強く訴える奥平さん。強い理念と意志に基づき平和主義を訴える小田さん。人間としての当然の感情を基に9条の大切さを訴える鶴見さん。異なった視座からなされた3人の講演の組み合せは見事であり、会場内は皆、一言も聞き逃すまいと真剣に耳を傾け、静かな熱気を感じた。
各々の視座の違い、考え方、解釈の違いはあっても憲法9条そして前文を守っていく、そしてこれを生かしていく、という一致点での行動の必要性を強く感じる。
また、ともすればここまで進んでしまった現実に悲観的になることが多いが、このような場に主体的に考え、集まってくる市民がこれだけいる!ということの意味を認識し、仮に国民投票になっても絶対に9条改憲を阻止する、更に一歩進んで政府が国民投票に持ち込もうとすることを断念させる展望を持っていきたい、と強く感じた。
さきの11月15日の院内集会につづいて、11月29日午後から参議院議員会館で、この臨時国会2度目の緊急集会が行われた。主催は市民緊急行動、キリスト者ネット、宗教者ネットの3団体。民主党の今野東議員、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首、無所属の糸数慶子議員ら国会議員と、150名の市民が参加した。日本国際ボランティアセンターの熊岡路矢代表などが発言し、自衛隊のイラクからの撤退を要求した。
12月1日夜、九条の会は地元「講演会を成功させる会」のご協力で沖縄講演会を開催し、高校生や大学生などによる憲法前文と9条の朗読の後、小田実、奥平康弘、大江健三郎の皆さんが講演した。会場の那覇市民会館は石垣島などから宿泊しながら参加した人びとなど、県内各地から来た参加者2000人で通路まであふれ、主催者は急遽、音声だけの第二会場を用意した。憲法9条の改悪を許さないという熱気の中、以下の「決意」が満場の拍手で採択された。この「決意」のなかに集会の雰囲気があらわれている。
「私たちの決意」
私たちは、今日の講演会を機に、平和憲法のすばらしさをあらためて認識し、次のような行動に立ち上がる決意を明らかにします。
2004年12月1日
「九条の会」沖縄講演会参加者一同
市民連絡会の5日午後の緊急の呼びかけで、12月6日(月)午後6時、防衛庁前(市ヶ谷)に約100名の市民が集まり、集会のあと、防衛庁当局に抗議要請文を手渡した。集会では市民連絡会の高田健さんと、憲法を生かす会の筑紫建彦さんが発言、シュプレヒコールのあと、日本消費者連盟の冨山洋子さんが全国四百数十の団体・個人が連名した抗議文を読み上げた。
12月14日のWPNが主催した自衛隊撤退要求の集会とキャンドル・パレードは日比谷野外音楽堂に3000人以上の参加者がありました。冬の平日の夜、寒い中、老若男女、多くの市民や労働組合の皆さんが集まってくれました。若者たちの中には高校生や中学生たちの姿もありました。震災の新潟県から車と新幹線を乗り継いで駆けつけてくださった元防衛庁幹部の小池清彦・加茂市長のお話は時宜にかなっていてとても貴重なお話でした。翻訳家の池田香代子さん、JVCの熊岡路矢さん、原文治郎さん、いずれのお話も熱がこもっていて、参加者のみなさんは底冷えのするコンクリートの椅子席でしっかりと聞いておられました。
主催者はキャンドルを2000本用意しました。みなさん、手にキャンドルやプラカード、バナーやのぼり旗などを持って沿道にアピールしました。初の試みだった「お持ち帰り用」の1万数千枚のきれいなチラシは解散地点であっという間になくなりました。「3枚ください」「7枚ください」と渡したい人を考えながら手を出す方がおられて、印象的でした。この日、小泉内閣は派兵期限延長を強行しましたが、引きつづき自衛隊撤退を要求して行動を続けましょう。