第6章司法のレビューで、先頃話題の砂川事件裁判について触れない党派の憲法感覚の悪さ、維新・自民は軍事裁判所設置も

衆議院憲法審査会、4月11日は第6章「司法」のレビュー。市民連絡会は午前9時から12名の仲間と一緒に傍聴した。毎回の傍聴は大変で、いつもよりは少なかった。

新年度のこの時期にはよく感じることだが、衛視の態度や傍聴者への指示がこまごまとうるさい。みな、文句たらたらだ。マニュアル通りなのか、どうか知らないが、やたらと衛視が傍聴人を仕切りたがる。エレベーターに、記者が乗り終わってから傍聴人を乗せようとしたり、入室も国会議員の秘書が同行している人を優先したり、とにかくうるさい。主権者さまが傍聴に来ているのであって、傍聴させて頂いているのではないんだ、と言ってやりたくなるほど、新人の衛視は頭が固い。

本日は「司法」、先頃問題になった砂川事件の田中最高裁長官が米国の意を汲んで訴訟指揮をした件を発言の冒頭に「遺憾なこと」と指摘したのは公明党の濱地委員と、共産党の笠井委員。民主党の武正委員も討論の中で「きわめて遺憾」と表明したが、後は誰も触れなかった。憲法審査会に出てくる委員の政治的な感度が疑われるところだ。下段に貼り付けた橋下維新代表の嘆きを見ると、議員の質が非常に悪いということでもあるようだが、それには橋下代表の責任もありますよ。笠井委員は司法の独立の放棄と対米従属の具体的現れと指摘した。

憲法裁判所の設置問題はこの記事の下段に新聞の記事を掲載したので、参照してほしい。自民党の大塚委員は国防軍の設置に伴い、軍事機密の保持、専門性の保障、裁判の迅速性の確保などから、軍事裁判所が必要と述べた。維新の会の新原委員も軍事裁判所の設置の必要について述べた。

本日も議論になった「1票の格差」問題で、自民党の委員たちから一斉に判決への不満が噴き出したのには驚き、あきれた。中谷幹事は「司法が国会に口を出すな」とばかりの主張。土屋委員は「自分の周りでは1票の格差への不満など聞いたこともない」と主観主義丸出し。高鳥委員に至っては「裁判所には間違いがないのか」と見当違いの攻撃までした。下段貼り付けの新聞記事参照。

名指しの批判になるが許してほしい。上杉光弘委員のことだ。彼は本日の審査会のほとんどの時間を口を開け、頭を後ろにのけぞらせて、ぐっすりとお眠りになっていた。たまに目をさますが、すぐに眠りに戻る。傍聴席のほぼ正面にいるから目立って仕方がない。なぜ上杉氏のことを言うかというと、彼は初期の参議院憲法調査会の会長だった(たしか議員辞職した村上会長のあとがま)のだ。その後、2008年頃に参院で落選して、昨年、しばらくぶりに衆院に復活して、審査会の委員になった。こんな経歴だからか、保利会長は注意もできなかった。

なお、前回、問題になった自由討議での委員間の議論については、今回の自由討議の冒頭、保利会長が以下のような議事指揮の発言をして処理した。「先日の審査会でも御発言がありましたように、議員間の質問につきましては、現行憲法についての各党の意見表明をする場でございますので、各党の立場を尊重して、発言の確認のための質問は結構だと思いますが、攻撃的な質問にならないように御留意を賜りたいと思います。会長において要請をいたしたいと思います」。要するに、論争はしないということだ。

本日はテーマがテーマだからか、議論も不活発で、予定時間を45分も残して、11時15分に散会となった。本日も中山太郎元会長が「陪席(?)」。(高田健)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130411/plc13041117340014-n1.htm

憲法裁判所めぐり議論 各党意見分かれる
2013.4.11 17:33

 衆院憲法審査会が11日開かれ、憲法第6章「司法」に関し、各党の委員が見解を表明した。憲法判断を専門に行う憲法裁判所新設の是非をめぐり、各党の主張が分かれた。民主党や日本維新の会は「法の支配を貫徹させ、最高裁に憲法の番人としての積極的な役割を持たせるべきだ」(民主党)などと積極論を展開したが、公明党は「司法の政治化を招く」と慎重姿勢を示した。

 自民党は憲法改正草案に憲法裁判所新設を盛り込んでいない。同党の委員は「党として必ずしも明確な方針を持っていない」とした。

 最高裁裁判官の国民審査の形骸化を指摘したみんなの党は、内閣が任命する際に国会同意人事とするよう提案。公明党は司法の独立の観点から「行き過ぎだ」と反対した。次回は18日に第7章「財政」について議論する。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20130411505.html

「本質的な憲法論議がない」橋下氏、維新国会議員団に苦言 深まる"東西対立"
産経新聞2013年4月11日(木)08:50

 日本維新の会国会議員団が進めている憲法改正に関する議論について、維新共同代表の橋下徹大阪市長は10日、「憲法学者のサポート役を置かずに、全然本質的な憲法論議になっていない」と不満を口にした。

 維新国会議員団は憲法調査会を立ち上げ、夏の参院選までに憲法についての「基本的見解」をとりまとめることを決めているが、橋下氏は「政治家は大きな方向性を決め、専門家に中身を議論してもらうべきなのに、憲法学者を置いていない。これでは憲法改正案ができない」と述べた。

 9日に上京した際に同調査会で「憲法の教科書ぐらい読んでいるのか」と苦言を呈したことも明らかにし、「国会議員が憲法のイロハのイのことを知らずに憲法論議をやること自体が本来間違っている」と批判した。

 また橋下氏は憲法改正の発議要件を緩和する96条改正が実現した際には「衆院の3分の2以上」の賛成を要件とする衆院再可決を定めた59条の改正に取り組む考えを表明。「(参院で与野党が逆転する)ねじれ国会が完全に解消するわけではないが、円滑な国会運営になる。誰も反対しないと思う」と強調した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013041202000132.html

「一票の格差けしからん」聞いたことない! 自民から異論続々

2013年4月12日 朝刊
?
 衆院の憲法審査会は十一日、第六章「司法」を議論した。この中で、自民党議員が、先の衆院選での「一票の格差」をめぐり、全国の高裁で相次いだ違憲・無効判決に対し、相次いで異論を唱えた。

 自民党の中谷元氏は、選挙に関する事項は法律で定めると規定した憲法四七条を挙げ「選挙制度は憲法が直接法律に委ねている。適合するかの判断は第一義的に国会に委ねられる」と指摘し、司法が選挙制度に異論を唱えることに反発。「選挙区は人口比のみでなく、地勢や交通事情を総合的に考慮して定められるべきだ」と一票の価値だけで制度を評価すべきではないとの考えを示した。

 同党の土屋正忠氏も「『鳥取と東京に一票の格差があるからけしからん』という声を、聞いたことがない。国民感覚を代弁しているのか」と高裁判決を批判。憲法の解釈についての判断を下す憲法裁判所の設置を提唱した。

 同じく同党の高鳥修一氏は「判決は重く受け止めなければならないが、裁判所の判断には誤りがないことが前提になってしまっている」と、司法に対するチェック機能強化を求めた。

 最高裁は二〇一一年三月に衆院の選挙制度が違憲状態と判断。国会はその状態を二年近く放置したまま昨年末の衆院選を行った。そのことが今年に入ってからの一連の高裁判決につながっているが、そのことに対する反省の弁は、同党議員からは、ほとんど出なかった。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-12/2013041204_01_1.html
名実ともに司法独立を/衆院憲法審査会で笠井氏

 衆院憲法審査会が11日に開かれ、憲法第6章「司法」について検証を行いました。

 日本共産党の笠井亮議員は、憲法が司法の独立、国民による司法の民主的統制、違憲審査制を定めていながら、それが米国への従属的関係のもとで侵害されてきたと指摘。先日開示された米政府解禁文書は、「米軍駐留は憲法9条違反」とした砂川事件伊達判決の破棄に向けて最高裁長官が駐日米公使と密談していた事実を明らかにしたと強調し、最高裁も日米安保最優先の姿勢をとってきたと批判しました。

 また、笠井氏は公務員の労働基本権や生存権、法令に対する判断にも司法の独立を放棄した姿勢が貫かれていると批判し、憲法規定に即した司法の確立こそ求められると主張しました。

 公明党や民主党の議員から米解禁文書について「事実とすれば司法権の役割を逸脱するもので、国民の裁判所に対する信頼を失墜させる行為だ」「きわめて遺憾」との発言がありました。

 一方、自民党の中谷元、船田元氏らは、改憲によって最高裁とは別に違憲審査を専門に行う憲法裁判所を設置することを主張。民主党も同裁判所の設置を主張しましたが、公明党は「慎重」との立場を示しました。

 笠井氏は、最高裁が違憲審査を避けるおおもとには、最高裁裁判官の任命が政治によってゆがめられ、最高裁による裁判官統制がしかれていることがあると指摘。この解決を抜きにした憲法裁判所の設置は、政府の違憲行為に合憲判決を重ねるだけであるとして、憲法が定める司法権の独立を名実ともに実行させ、裁判官人事を国民の目の届くものにする必要があると強調しました。