5月31日(木)am9:00?衆議院憲法審査会 議題:日本国憲法の各条章のうち、第二章の論点

5月31日(木)am9:00?衆議院憲法審査会

議題:日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法の各条章のうち、第二章の論点)

「改憲を前提としない」という合意で始まった憲法の各条章の検討の2回目、本日は第2章、すなわち第9条についての審議だった。市民の関心は高く、前日、市民連の事務所には受付を閉め切ってからも申し込みが何人かあった。本日、市民連絡会は30人で傍聴、他のいくつかのグループが計10数人ほどで、約40数人、一時は傍聴席の椅子数(満席で50人くらいか)が心配になったほど。あとで途中から国会見学に人びとの傍聴が10人以上あって、結局、立ち席がでた。昔、憲法調査会の参考人に石原慎太郎が出てきたときは抗議の市民が殺到して、傍聴の「入れ替え」になったことがあったのを思い出した。

 会議の冒頭、例によって法制局の橘幸信部長の説明聴取。未定稿段階で指摘されていた、安保問題の欠如は取り入れられていた。橘氏が歴代政府の憲法解釈のポイントの説明で「時として芸術的と評される」と述べたのには苦笑せざるを得なかった。

各党代表の意見表明の最初は民主党の逢坂誠二委員。2005年の「民主党憲法提言」に沿っての意見表明だった。憲法は権力制限規範であること、見直しをするとしても、規制される対象の国会からではなく、国民からあるべきことが大事だ、などと強調したのが印象的だった。自民党は中谷元委員。9条2項を改正して国防軍を持つべきだ、自衛権は個別的、集団的をとわず行使できるようにすべきだ、などと主張した。公明党は赤松政雄委員、9条には改憲も加憲も必要なしと主張。共産党の笠井亮委員は9条が及んでいない沖縄の状態を合理化する日米安保を批判、自衛隊が米軍の補完物として肥大化してきた歴史に触れた。安保が地球的規模の日米同盟になっており、先の日米首脳会談ではグアム、テニアンに日米共同訓練基地まで設けるとしたことを批判した。新党きずなの渡辺浩一郎委員は、集団的自衛権の行使は合憲だ、軍を持つことを憲法に明記すべきだと、改憲派としての立場を鮮明に主張した。社民党の照屋寛徳委員は、先のリムパック演習を批判した「東京新聞」をひきながら、合同演習で強襲揚陸艦を撃沈したことは容認できないと主張。社民党は村山政権で自衛隊合憲・安保堅持になったといわれるが、2006年の「社民党宣言」で、自衛隊の実態は違憲、9条改憲不要、憲法理念に反する現実を改め、平和基本法で北東アジア非核武装地帯建設など、現在の立場を鮮明にしたと確認した。みんなの党の柿沢未途委員は、内閣法制局の集団的自衛権解釈を批判、かけつけ警護すら認めない9条解釈は「信じられない」と。9条は2年の議論のあと、国民投票すべきだが、改憲はまず96条改憲を先行させるべきと主張した。

自由討議では、石破茂委員(自民)が、中谷委員は9条を変えなくては集団的自衛権を行使できないというが、私はそう思わない。いまでも行使できる。米国まで飛んでいくミサイルを日本のイージス艦がおとせないというのは、日米同盟を崩壊させると持論を展開した。民主党の辻元清美委員は、現在の戦争のアフガン・イラク戦争を総括せよと主張した。公明の赤松委員が「沖縄米軍はゲスト・ネーション・サポートに欠ける」と、ホスト・ネーション・サポートに触れたら、中谷委員が「いや、韓国や豪州なども含むホスト・リージョン・サポートだ」などと発言、辻元委員が「リージョン(地域)なら安保改定が必要だ」と指摘した。

最後に中谷委員が「(PKOの20年は大人になれなかった20年だ」とシリアに派兵しない政府を批判し、派遣できないというなら改憲すべきだと強調した。

 付け加えておくが、9条を変えろとあれほど叫んできた自民党が、9条がテーマの今回の議論の前半は半分程度、後半には自民党13人の委員中、ほとんど3人しか出ていなかった。審査会全体でも最後は50人の委員中、26人の在席で終わった。兼務で忙しい委員もいるはずだ。こんなに、毎週審査会をやるという運営自体がおかしいのだ。委員の大多数が出席できるようにして、もっとまじめにやるべきではないか。(高田健)

時事通信記事:9条改正めぐり賛否=各党が見解、集団的自衛権も論議?衆院憲法審

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012053100768
9条改正めぐり賛否=各党が見解、集団的自衛権も論議?衆院憲法審

 衆院憲法審査会は31日、国会内で「戦争の放棄」を定めた憲法9条の改正などについて議論した。自民党の中谷元氏は「国家の自衛権は国連憲章で認 められている」と述べ、9条改正を通じて集団的自衛権の行使を認めるべきだと主張。これに対し、公明、共産、社民各党は「平和憲法はアジア諸国の共通財産 だ」(共産党の笠井亮氏)などと改正への慎重論を展開した。
 民主党は憲法改正に関する党内論議がまとまっておらず、逢坂誠二氏が「(9条は)平和国家日本を示すものとして今後も引き継ぐべきだ」とした2005年の憲法提言を紹介するにとどめた。 
  集団的自衛権は友好国に対する武力攻撃を実力で阻止する権利で、日本では憲法解釈により行使が禁じられている。これに関し、みんなの党の柿沢未途氏は「自 衛権を明確化するために何らかの立法措置が必要」と表明。新党きづなの渡辺浩一郎氏も「自衛のための軍を憲法に示せばいい」と改正に前向きな姿勢を示し た。
 公明党の赤松正雄氏は「改憲の必要はなく、平和憲法の理念を世界に広める責任がある」と反論。社民党の照屋寛徳氏も「条文を変更してはならない。現実を9条に近づける努力が国会議員の使命だ」として自衛隊を縮小すべきだと提言した。
 憲法審査会は各章ごとに改正の必要性を精査。9条のみで構成される第2章は憲法改正論議の最大の焦点と位置付けられる。(2012/05/31-17:44)