声明・論評

市民連絡会声明:いまこそ戦争ではなく平和の声を~麻生太郎副総裁は危険な火遊びをやめよ

28月8日、自民党の麻生太郎副総裁が訪問先の台湾で講演し、「(台湾有事の際には)いざとなったら台湾防衛のために防衛力を使う。その明確な意思を相手に伝えることが抑止力になる」と語り、「強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」(8月9日、産経新聞)と発言した。 同日夜、麻生訪台に同行した自民党の鈴木馨祐政調副会長は、BSTVで麻生発言に関し「個人の発言ではなく、政府内部を含め、調整をした結果だ」と述べた。ともすると「暴言居士の麻生氏がまた言っている」という受け止め方もまま見受けられるが、そんな生易しいものではない。鈴木氏は麻生発言が岸田政権内での「調整」の上のものだと証言した。これはとんでもないことだ。

 1972年の日中国交回復以来、副総理級の訪台による挑発は初めてだ。当時者である日本、台湾、米国、中国の民衆の大多数は「戦争」など望んでいない。麻生氏は台湾の総統選挙をまじかに控えたこの時期、岸田政権のお墨付きをもらったうえで、わざわざ台湾に乗り込み、日本と台湾民衆に対して「戦争する覚悟」を主張し、緊張をあおりたてた。これは言うまでもなく、日本国憲法違反であり、そのもとで日本の歴代政権が掲げてきた「専守防衛」政策にも反することだ。

 岸田内閣は昨年末、「安保3文書」を閣議決定し、軍備拡張政策と改憲を推し進めている。「新しい戦前」といわれるように、米国をはじめ、各国との中国包囲の軍事同盟を強化し、自衛隊は「敵基地攻撃能力」を保有し、軍事費を倍増させ、沖縄など南西諸島をはじめとした基地の強靭化をすすめ、軍需産業の育成と各国への武器の輸出など、憲法とは相いれない政策を推進している。麻生氏の「戦う覚悟」の要求はこれを裏打ちするものだ。

 私たちは「戦争する覚悟」ではなく、いまこそ「軍拡と改憲に反対し、平和を守り抜く覚悟」をしなくてはならない。平和を願う全国の市民、およびアジアの民衆とともに、麻生氏をはじめ岸田政権の戦争挑発に反対の声を上げるときだ。この秋、「総がかり行動実行委員会」は11・3の憲法記念日の大行動を軸に、さまざまな運動を呼びかけている。「九条の会」は10・5大集会をはじめ、改憲反対の闘いの秋にすることをよびかけている。全国で市民が街頭に立ち、あるいは地域で、職場でさまざまな行動をしている。
いまこそ反戦と平和の闘いの秋へ。この運動こそ力だ。

この力で麻生氏の暴言を徹底的にうち破り、岸田政権の改憲と軍拡の企てをうち破ろう。

2023.8.12(日中平和友好条約締結45周年の日に)
許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局(事務局長・菱山南帆子)

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