7月4日に参議院選挙が公示されました。市民連合は有権者の皆さんに、日本の立憲主義、民主主義を守るとともに、社会保障や雇用など私たちの生活を立て直すために、立憲野党に投票するよう呼びかけます。
このまま安倍晋三政権が続けば、今年11月には憲政史上最長の首相在位を記録することになります。しかし、安倍首相の政権運営は国民に対する説明責任を果たしたまっとうなものとは言えません。憲法53条に基づく臨時国会召集要求や参議院規則に基づく予算委員会開会要求をことごとく無視したことに現れているように、安倍政権と自民党は自分たちにとって不都合なルールは平然と破っています。森友加計疑惑や統計偽装など、安倍政権は国民に対して嘘をつき、事実を隠蔽して恥じるところがありません。このように順法精神を欠いた政権が憲法改正に手をつければ、史上最長政権によって立憲政治は破壊されることになるでしょう。
6年間のアベノミクスは、円安による輸出企業の収益増をもたらしただけで、富は企業に抱え込まれ、社会では格差、貧困の拡大が進行しています。金融審議会の専門家委員会が出した報告書で、95歳まで生きる人には2千万円の資産が必要と指摘されたことで、国民の社会保障に対する不安は高まっています。企業優先の安倍政権に代わって、国民生活優先の政権によって社会保障を立て直すことが急務です。
安倍政権は2015年に安保法制を成立させ、日本は集団的自衛権を行使できる国になりました。また、2017年9月には、北朝鮮によるミサイル発射を奇貨として国難打開を叫んで衆議院を解散し、政権を維持しました。しかし、緊張を煽り、恐怖や憎悪をテコにして支持を集めるという手法が、真の外交や平和創出に逆行していることは、G20直後の朝鮮半島における平和創出の動きを見れば明らかです。
各種の世論調査では、安倍政権は依然として安定した支持率を保っています。支持の理由は、他に適当な人材がいないというものが最多です。そうした諦めが、日本政治の劣化をさらに推し進めています。この参議院選挙に当たって、市民連合と5野党会派は共通政策をまとめ、社会保障と雇用の立て直し、アジアにおける平和の創出と沖縄の基地負担の軽減、憲法と法の支配の回復など、当面の最重要課題について、別の選択肢を打ち出しました。そして、32の1人区で候補者の一本化を実現しました。安倍政権に代わる政権を作ることは可能ですし、安倍政権を退陣に追い込まなければ日本社会の持続可能性が危うくなるのです。
この歴史的選挙において、自分自身の生活と日本の将来を救うために良識の1票を立憲野党に投じるよう有権者の皆さんに訴えます。
2019年7月4日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合