声明・論評

抗議声明:警備当局は国会周辺の市民の抗議行動に対する不当な干渉と妨害をやめよ

このたび、9月29日、臨時国会冒頭に開催予定の多数の市民団体による「安倍政権の暴走を止めよう!国会包囲共同行動」に対し、警視庁と麹町警察署が国会正門前歩道などにおいて異例の規制強化を企て、市民の正当な抗議行動を妨害しようとしていることに私たちは厳重に抗議し、警備当局がこの不当な規制拡大をやめるよう要求します。

解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争をさせない1000人委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、さようなら原発1000万人アクション市民の会、憲法を守り・生いかす共同センター、5・3憲法集会実行委員会、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、消費税廃止各界連絡会、ほか多数の市民団体は、この間の安倍政権による民主主義と人権、平和を破壊する政治に反対して、9月29日(月)正午から国会正門前歩道をはじめ、国会周辺の歩道上で、抗議行動を企画しております。これは従来、国会周辺では国会開会日などをはじめ、一般的に行われてきた行動です。

しかし、今回に関して警備当局は国会正門一帯の路上での抗議行動に対して、29日12時から14時ごろまで、市民の通行を禁止すると表明しています。理由は天皇の国会出席時間前後、正門周辺を「クリアにする」というのです。これは今年1月24日から開会された通常国会の開会日の措置とも決定的に異なります(警備当局は「方針は変えていない」と強弁しますが、これは明白な虚偽です)。

今回の行動の実行委員会にも参加している「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」は1月24日、国会包囲のヒューマンチェーン行動を行いました。その際、正門前(国会正門に向かって左側)歩道上でも数百名による市民の行動が整然と展開されました。このことは各メディアも写真入りで報じています。今回の警備当局の対応は明らかに従来の警備を大きく超え、市民の行動に対して不当な制限を加えるものです。この制限は国会包囲のヒューマンチェーンという企画を事実上、困難にするもので、私たちは容認することができません。

振り返ってみれば、昨年11月末、自民党の石破茂幹事長(当時)は、国会周辺のデモに対して「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質に於いてあまりかわらない手法に思います」と言い、批判を浴びて「お詫び」したが、なお「一般の人々に恐怖の念をあたえ、市民の平穏を妨げるような大音量で自己の主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相容れない」と言い放ちました。つづいて本年8月28日からの自民党のヘイトスピーチ規制策を検討するプロジェクトチームの会合で、高市早苗政調会長(当時)は、「(街宣やデモの音で)仕事にならない状況がある。批判を恐れず議論を進める」と国会周辺の市民活動への音量規制も検討課題にする意向を示し、批判を受けて方針転換しました。昨今、埼玉県の某公民館がその発行物に掲載予定の「九条俳句」を削除したり、都下のある市の市民祭りで従来継続されてきた市民団体「九条の会」の出店が拒否されるなど、地方自治体においても政権の政治的意向を忖度して市民活動に制限を加えるなど、監視社会化の動きが目立っています。

今回の警備当局の規制強化措置は、悪政を許さない世論と運動の巨大なひろがりを何より恐れる為政者の思いを示す流れの一環をなすもので、私たちは断じて受け入れることができません。

実は今年になってだけでも、国会周辺の市民活動に対する警備当局の人権を無視したさまざまな不当な規制が目立っており、私たちは繰り返し、その撤回を申し入れてきたところです。

 いくつかの事例を紹介します。これは7月15日に弁護士同行のうえ、警視庁などに抗議したところです。

  1. 国会周辺での抗議行動の際、地下鉄国会議事堂前駅の出口を過剰に封鎖し、議員会館方面への通行を阻止し、年配者や杖をついた人々まで、財務省上の交差点から国会を大回りして永田町駅方面へ誘導していること、そのため、参加者の中にはタクシーを使わざるを得ない人まで出ていること、
  2. 議員会館前での夏の抗議行動に際し、目の前にある参院議員面会所のトイレや水分補給のための売店の使用を阻止したこと、
  3. 官邸前の行動に際し、歩道の真ん中に鉄製の柵を並べ、通行を分断する危険な規制を実施したこと(これは極めて危険な措置です)、
  4. 首相官邸前から官邸裏の地下鉄(溜池山王)に抜ける通路を一方的に封鎖し、市民の通行を妨げるのが常態化していること、

等々です。これらは抗議の結果、一部「是正」も見られましたが、全体として不当な規制が続いております。従来から、私たちは行動するに際しては自主警備を行い、通行を妨げることのないよう努力しています。当局の対応は、力にまかせた極めて不当な対応と言わざるをえません。

これらの警備は、主権者である市民の表現の自由を尊重し、保障すべき警察官の責務に反する容認できない行為です。

私たちは、とりわけ今回9月29日の国会正門前の不当な警備方針の変更を撤回し、従来通り市民の自由な通行と意思表示を保障するよう強く要求します。
2014年9月24日

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