声明・論評

輝け9条生かそう憲法 平和とくらしに 被災地に

2012年5・3憲法集会アピール

東日本大震災から、はや1年余がすぎました。しかしながら、原発震災の被災地・福島では、多くの子どもたちを含む住民は高い放射能の中での生活を強いられ、放射能は東北や関東などにも拡散したままです。大震災の被災地では死者・行方不明者が2万人近くにまで達し、肉親や友人を失った多くの人びとの心の傷はいまなお癒えず、また避難生活を余儀なくされている被災者は30数万人、仕事も生活もままならず、苦しんでいる人びとは数えきれないほどです。憲法25条が保障しているはずの生存権は、いまだに実現にほど遠い状況です。そして、あろうことか、早々と原発事故の「収束」が宣言され、まもなく54基すべてが停止することになる原発をなんとしても再稼働させる企てがすすめられています。私たちはこうした状況に強い怒りを覚えます。

憲法審査会の始動を機に、特にこの憲法記念日を前後して、改憲派は一部のマスメディアと一体となり、「非常事態条項」の導入や自民党第2次改憲草案作成などをはじめ、改憲を声高に論じています。

私たちは、憲法9条をはじめとする日本国憲法の先駆的な価値と、その精神に誇りをもち、それを社会とくらしに生かすことをめざして、この12年間、さまざまな政治的立場の違いを超え、毎年5月3目の憲法記念日に共同郷集会を積み上げてきました。この運動は全国的に広がっています。

私たちはいま、必要なことは改憲論議などではなく、すべての被災者と国民の生活のすみずみに憲法が保障する25条など、平和的生存権と基本的人権の実現をはかることであると確信します。

今年は旧日米安保条約発効60年目にあたります。復帰40周年を迎える沖縄では「日米同盟」とよばれる安保体制によって、普天間基地をはじめとする基地撤去の願いは、いまだに実現されておらず、沖縄の人びとは基地の重圧に苦しめられつづけています。憲法9条の下で、事実上の「国是」となってきた武器輸出3原則が緩和され、PK05原則や非核3原則も緩和されようとしています。南スーダンヘの自衛隊の派兵に続いて、ホルムズ海峡への派兵も探られています。北朝鮮の「ロケット」発射に乗じてPAC3やイージス艦の沖縄への配備も強行され、武力行使寸前の場面が演出されました。

私たちは、軍事同盟や軍事的抑止力による平和はありえないと確信します。いたずらに東アジアの軍事的緊張を強めるのではなく、憲法9条を生かし、実現するための努力こそ必要です。

本日の憲法集会に参加した私たちは、この信念をもって、今年も銀座パレードに出発します。

2012年5月3日
5・3憲法集会参加者一同

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