野田政権は12月27日、あたふたと国会の審議や社会的議論もないままに、一方的に「武器輸出3原則の見直し」と称して、ほぼ45年間にわたってわが国の「国是」とされてきた平和原則を放棄するに等しい決定をした。私たちは心からの憤りをもってこれに強く抗議する。
この原則はかつての侵略戦争によって外国の人びとを傷つけ、殺傷してきた歴史の反省の上に立ち、日本製の武器で他国の人びとの命を奪わないと決意したものであり、大多数の市民の支持を受けてきたものだ。今回の政府の決定は、米国をはじめとする列強や、日本の財界の要求にそって、憲法第9条のもとで我が国が一定の国際的信頼を得る根拠となってきた原則を踏みにじり、日本を「死の商人」的国家に変質させる憲法違反の措置だ。これは多くの平和を愛する市民の願いに真っ向から反するものであり、断じて許されないものだ。
武器輸出3原則は国際的及び国内の世論を反映して、1967年の佐藤内閣時代を契機にして、1976年の三木内閣時代に確立された「憲法の原則にのっとり、武器の輸出を慎む」という原則であり、中曽根内閣時代に一部例外措置が設けられたとはいえ、憲法第9条を体現する国家的原則だった。
今般、野田内閣が「武器と関連技術の輸出禁止」を「包括的に」緩和する決定をした。また自衛隊が国際平和活動などの海外派遣で使用した装備品を、『人道目的』や『平和構築目的』で供与することも決めた。建設用重機などは、本来はODAなどに含まれるべきものだ。これまで『武器』として扱われてきたヘルメットや防弾チョッキなどの提供は、派遣先の国での市民の弾圧や、武力紛争に用いられる恐れがあり、『装備品』の分類には鉄砲なども含まれているため、今後その範囲が広げられていく恐れもある。
これらのことは、制限のない武器輸出国家への解禁であり、「国是」の重大な転換だ。このことによって、東アジアと世界において、日本は軍事的な国際的緊張をいっそう激化させる側に立つことになる。日本製の武器が再び世界の人びとの命を奪う時代に道を開くことになるのだ。
私たちはこの間、多くの市民や平和を願う全世界の人びととともに、政府、民主党や自民党などの中でのこうした動きに対し、集会やデモ、声明などによって、くり返し抗議し、行動してきた。今回の措置はこの願いに真っ向から反するものだ。
私たちは日本が歴史の教訓を忘れ、ふたたび戦争国家への道を歩むことを断じて許さない。原発震災の最中で行われた先の「原発輸出」の決定や、辺野古新基地建設のための環境影響評価書の持ち込み強行などと共に、米国に追従する無責任な政治家や金儲けだけを願う財界が、憲法第9条をはじめとする平和憲法を踏みにじることを許さない。
野田内閣に今回の武器輸出3原則の破壊の措置をただちに撤回することを要請する。
2011年12月28日
許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局
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