3月11日、東日本―帯を襲った大地震、大津波、そして最大規模の原発事故という大震災の3重苦のさなかにあって、私たちは今年で11回目になる「5・3憲法集会」を開きました。東日本においては、今回の大震災で3万近い人びとがいのちを失い、あるいは行方がわからず、10数万の人びとが避難生活を送っており、加えて原発事故の放射能が人びとの
いのちと暮らしを脅かしつづけています。
私たちはこの「5・3憲法集会」の名において、全ての被災者の皆さんに心からの連帯を表明します。
すでに明らかなように、今回の福島第一原発の事故は重大な「人災」にぼかなりません。いまこそ政府は、「安全神話」をふりまいてきた原発推進政策を根本から転換し、エネルギー政策の転換を実現しなければなりません。また政府は憲法25条の精神に基づき、すべての被災者の救済と、原発事故による放射能被害の拡大をくい止め、生命、健康、地域社会の保全を最優先させるために力を尽くすべきです。私たちは日本国憲法の示す平和に生きる権利
と基本的人権の尊重が実現されるよう、強く求めます。
3月11日を経て、私たちはいまあらためて平和と国際協力・連帯の重要性を痛感していまず。国内外のさまざまな人びとの努力と大きな支援のなかで、憲法9条の精神はいっそう輝きを増しています。
東日本大震災のなかで、この状況に使乗して「大連立政権」の動きが見られます。これは党利党略の極めて不謹慎な動きであり、政府の責任をあいまいにし、議論と批判を封殺することに通じる恐れがあり、民主主義とあいいれないものです。いま、この大連立を先取りするかのように、国会では民主党、自民党などの合意により参議院憲法審査会の規程制定を強
行ずる動きや、国家財政の危機を□実に国会議員の比例区定数削減の正当化や消費税増税に利用する動きもありますが、本末転倒と言わなくてはなりま甘ん。
今年は日米安保条約が調印されてからちょうど60年の年です。沖縄では普天開基地撤去の県民あげての切実な声がいまだに実現されず、日米政府の合意によって名護市辺野古に新基地が作られようとしていることは容認できません。私たちは軍事同盟や軍事力による「抑止」で東アジアの平和は実現されないと考えます。普天間基地は直ちに撤去されるべきです。
「5・3憲法集会」は10年以上にわたって、「憲法改悪は許さない、憲法を生かし、実現しよう」という共通の立場で、思想や政治的立場の違いを超えて広範な共同の運動を連めてきました。こうした努力は今日、ますます重要な意味を持ってきていると確信し、いっそうの共同のひろがりを呼びかけます。
2011年5月3日
2011年5・3憲法集会参加者一同