声明・論評

グリーンピースに対する公安警察の強制捜査は過剰・不当です

WORLD PEACE NOW実行委員会の声明

警視庁公安部と青森県警は6月20日、環境保護団体の「グリーンピース・ジャパン」のメンバー2人を「窃盗」と「不法侵入」の容疑で逮捕、同事務所などをいっせいに捜査しました。私たちは、この強制捜査が過剰なものであり、良心に基づくNGO活動を抑圧することになる不当なものであると考えます。

グリーンピースのメンバーたちは、たしかに宅配業者の施設に立ち入り、配送途中の鯨肉を持ち出しました。しかしそれは、「調査捕鯨」の名目で日本が行っている捕鯨の実態を明るみに出そうと、その証拠を隠滅させないために押収し、公表するために行ったものです。実際にグリーンピースのメンバーは、その鯨肉を示して記者会見を開き、東京地検に提供しています。したがって、捜査当局が言うような「証拠隠滅」のおそれなど存在していません。

 グリーンピースの行動は、税金を投入した「調査捕鯨」によって取得した公的な性格を持つ鯨肉が公式に管理・処理されず、関係者の私用に「横領」および「横流し」されていたという違法行為を証明するために、動かせない証拠として当の鯨肉を入手するためにとられたものです。だから問題の核心は、外形的な「不法行為」と、「横領」および「横流し」という実質犯罪とのどちらが社会的に重視されるべきかということです。グリーンピースの行動の目的も、その後の態度も、そのことを如実に示しています。したがって私たちは、強制捜査はまったく必要ではなかったと考えます。逆に、東京地検が横流しの当事者たちを「不起訴」にしたというのも、あまりに事の軽重と公平さを無視したものです。

警視庁公安部が主導的に動いたことも、この捜査の政治的な意図を物語っています。「日本鯨類研究所」は水産庁職員の天下り先であり、その組織を温存するために、「横領行為」を告発したグリーンピース・ジャパンを犯罪者に仕立て上げた疑いが濃厚です。さらに、国が関与した事業に市民側からの異議申し立ては許さない、という官・権力側の意志を表しているのでしょう。

逮捕されたグリーンピースのメンバーは、拘留が延長されました。拘留の延長は、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがある場合に行われることになっていますが、そんな恐れは両方ともはじめから存在していません。私たちは、強制捜査はもちろん、拘留延長も、政府の政策に異議を唱える良心的なNGOの活動に対するみせしめとして作用することを深く憂慮し、グリーンピースのメンバーの速やかな釈放を求めます。

 グリーンピース・ジャパンの人びとは、私たちとともにイラク戦争に反対する行動に参加しました。戦争が人びとの生命だけでなく、自然環境をも破壊するからです。WORLD PEACE NOW の参加者たちも、その思いを共通にしています。それだけに、今回の事件が冷静かつバランスが取れた道にもどることを切望しています。

捜査当局は良心的なNGO活動に対する過剰で不当なやり方をやめてください。不必要な拘留をやめ、2人をすぐに釈放してください。

2008年7月6日
WORLD PEACE NOW実行委員会

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