声明・論評

WPN声明・自衛隊はインド洋へ行くな イラクからただちに撤退を!

新テロ特措法=「洋上給油新法」の成立に抗議します

自衛隊はインド洋へ行くな イラクからただちに撤退を!

WORLD PEACE NOW
2008年1月12日

1月11日、政府・与党が提出した新テロ特措法案(洋上給油法案)は、2度にわたって会期が延長された臨時国会の参院本会議で否決された後、衆院本会議での再議決で可決・成立しました。参議院でいったん否決された法案が、衆院での三分の二以上の多数による「再議決」という方法で成立したのは実に57年ぶりのことです。いくら憲法の規定が二院制における下院優位の原則に基づくものだとはいえ、直近の民意は昨年の参院選で示されていることや、衆院の議席数も他の争点を隠して郵政解散でもたらされたものであることを考えると、民意を無視した横暴というほかありません。

私たちWORLD PEACE NOWはこうした強硬手段に強く抗議します。

とりわけ世論が日増しに、自衛隊による洋上給油の再開に反対している中で、このような非常手段によってアフガン戦争支援のための自衛隊派兵再開法案を成立させたことは暴挙というほかありません。

 2001年「9・11事件」の後、米国が始めたアフガニスタンへの武力攻撃は、国際法や国連憲章にも違反した侵略戦争でした。「テロとの戦い」という「大義」を振りかざした米国と同盟国の戦争は、「テロ攻撃」とは何の関係もない多くのアフガニスタン民衆の生命を奪い、飢餓を拡大しました。多くの住民は生活基盤を破壊されて難民化しました。6年以上経過した今日、治安状況はいっそう悪化し、戦争と占領に対する民衆の怒りは深まっています。

この戦争に対して、当時の小泉政権はただちに無条件の支持を表明し、テロ特措法を制定して海上自衛隊をインド洋に派遣しました。この洋上給油によるアフガン戦争の後方支援活動では、700億円を超える予算が使われたとされています。ところが、海上自衛隊がイラク戦争に参加する米軍のために給油をしていたことが明らかになりました。政府は給油量をごまかして、この事実を隠蔽していたのです。これはテロ特措法にさえ明白に違反したものです。

昨年11月1日には、2度にわたって延長されたテロ特措法が期限切れとなり、自衛隊の艦船は洋上給油活動を中止して、インド洋から撤退しました。本来ならば、この時点で、アフガニスタンの人びとにとっては災いでしかない「対テロ」戦争支援をきっぱりと中止し、アフガニスタンの平和と復興のための民生支援に全力を上げるべきだったのです。しかし、安倍政権の後を継いだ福田政権は、海上自衛隊の戦争支援活動を「国際貢献」と強弁し、イラク戦争への給油転用問題や、守屋・防衛省疑獄の究明に蓋をして、米国の強い圧力の下に洋上給油再開のための法案を成立させるため、臨時国会の会期を2度も延長したのです。

さらに私たちが注意しなければならないのは、今回の「インド洋派兵・給油新法」の成立後、自衛隊の海外派兵恒久化法案の準備が進められようとしていることです。この点では参議院で可決された民主党の対案(アフガニスタン復興支援特措法案)もまた「テロとの戦い」への寄与を口実に派兵恒久法制の整備をうたっており、私たちはそれを認めることはできません。この派兵恒久法案は、「集団的自衛権」行使の「合憲化」をふくめて憲法9条改悪への動きを加速させてしまうことになります。

私たちはこうした動きに強く反対します。

アフガニスタン戦争の開始から6年以上が経過し、イラク戦争の開始からまもなく5年が経過します。戦争は泥沼化し、まったく解決のメドがたっていません。すでにアフガニスタン、イラクでは数十万人の人命が奪われ、民衆の生活基盤は完全に破壊されました。ブッシュの米国とともに戦争に参加した諸国では、オーストラリア、ポーランドなどさらに撤兵の流れが広がり、米国でも世論の大多数がイラクからの撤兵を求めています。

私たちがこの間、確認してきたことは「武力で平和はつくれない」、「武力でテロはなくせない」ということでした。私たちは、日本政府が今すぐ、間違った政策を転換し、戦争と占領への加担をやめ、自衛隊をインド洋やイラクから撤退させることを訴えます。

私たちは、全世界の人びととともに3月22日、
「武力で平和はつくれない WORLD PEACE NOW 3・22」 (午後1時、芝公園23号地)を行います。

皆さん、ともに私たち自身の手で平和をつくりだす行動に参加しましょう。

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