6月5日、参議院予算委員会で共産党の山添拓議員が「自民党安全保障調査会の提言は軍拡をあおっている」と指摘すると、高市早苗首相は色をなして「軍拡と言うが、防衛力の整備だ」と反論(笑)した。
髙市政権の下で、戦争する国のための軍備強化が急速に進んでいる。自民党は6月9日、党本部で総務会を開き、安保3文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」)の年内改定にむけた政府への提言をまとめた。これは6月中に髙市首相に提出される予定で、今年4月に発足した「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」(座長=佐々江賢一郎・元駐米大使)の提言を秋に受け、12月には新たな安保3文書を閣議決定する予定だ。国会での本格的議論を回避し、仲間の「有識者」を集めてよいしょさせる手口は安倍晋三元首相と同じだ。2022年末に岸田文雄内閣が策定した3文書は5年間の想定だったが、高市内閣による1年前倒しでの改定だ。
自民党の提言は(1)5年以内の防衛力の変革に向けた予算の積み上げを要求し、米国のトランプ政権の要求に沿って国内総生産(GDP)比3.5%を目標にしている北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国や韓国を例示し、「自国を守る覚悟のない国を助ける国はない」と述べた。(2)提言は高市首相の持論だった「非核3原則」の見直しには直接触れていないが米国の核抑止力に依存した「拡大抑止」を一層確保することを主張、原子力潜水艦の導入には触れずに「長射程ミサイルを運用する潜水艦の次世代動力の活用の検討」を明記した、(4)人工知能(IT)や大量の無人機を活用した「新しい戦い方」を提起し、(5)敵基地攻撃能力(反撃能力)のさらなる強化、(6)すでに4年を超えたウクライナ戦争を教訓に「継戦能力」の確保、軍事工場の国有化、などをあげた。
つづいて、連立与党の日本維新の会は17日、「核抑止力の強化に向けた核政策」に重点を置いた「安保3文書改定に向けた提言」を発表した。「非核3原則」のうち「持ち込ませず」は「現実的検討を行うべき」として、核兵器搭載の原子力潜水艦の寄港を円滑にする狙いをしめす一方、長射程ミサイルの発射可能なVLS(垂直発射装置)搭載原潜の導入が不可欠とした。防衛費に関しては「同志国の標準の3%以上」への増額を目ざすとしたなど、自称・連立政権のエンジン役そのものの内容だ。
2002年から始まった英国シンクタンク・英国際戦略研究所主催してシンガポールのホテル、シャングリアで毎年開かれる「アジア安全保障会議」はアジア・太平洋地域を中心に各国の防衛・国防相らが集まり、安全保障をめぐる課題を話し合われる世界でも最大級の安全保障会議だ。参加者はアジアだけでなく、米欧からも国防相や各国軍の幹部らが集うもので、政治家だけでなく官僚や軍人、研究者、市民団体、ビジネス関係者、ジャーナリストなどで、今年は5月29日~31日にわたって開催された。
この会議で、米国トランプ政権を代表して演説したヘグセス国防(戦争)長官の演説と、小泉進次郎防衛相の演説、および中国代表団のトップ・国防大学の孟祥青教授(中国は2年に亘って国防相を派遣しなかった)の演説は見逃すことができないものだった。トランプ政権は国防省を「戦争省」と呼ぶようになったが、そのトップのヘグセス長官は「太平洋地域で急速に軍備増強を進める中国に対処するため、アジアでも全ての同盟国・パートナー国に対して欧州(NATO)につづき軍事費を国内総生産(GDP)比3・5%に引き上げることを要求」し、「役割分担の責任に応じない国とは協力関係を見直す」と演説した。そして、米国自身は国防費に1兆5000億ドル(240兆円)をつぎ込む計画を示し、アジアの諸国は「この地域の安全保障を過度に米国に依存してきた」と苦言、米国への「ただ乗りの時代」は終わったと述べた。これは米国による同盟国へのあからさまな脅迫だ。NATOは昨年、国防費をGDP比で3・5%%まで引き上げ、防衛関連費を含めれば5%まで引き上げると約束した。
防衛関連費とは、日本でいえば自衛隊や防衛省の人件・糧食費、装備品の取得・維持、基地対策、研究開発など日本の防衛力維持・強化に必要な国の歳出全体を指す予算区分であり、2025年度当初予算では約8.5兆円が計上されている。日本は昨年度防衛費では補正予算を含めて隊GDP比2%を達成している。ヘグセスはこの日本の動きを「大きな期待を寄せている。正しい方向に向かっている」と評価した。
小泉防衛相はヘグセス長官との会談で、日本の防衛力強化の方針を説明、日本政府が4月に「防衛装備移転3原則」と運用を見直したことや、年内に安保3文書を改訂することを説明、ヘグセスの支持を得た。両者はミサイルの共同開発、生産の加速、日米豪3か国でのミサイル防衛の情報共有などを確認した。これによって、小泉防衛相は国会での議論がないまま、トランプ、ヘグセスの脅迫的要求を受け入れることを公約したことになる。
一方、中国の孟代表は「(日本の)一部の勢力が戦争の犯罪行為を公然と美化している」「軍国主義の復活に警戒し、第二次大戦の成果と戦後の国際秩序を適切に守らなければならない」と主張、「日本が『平和憲法』や非核三原則の見直しを推進している」「核拡散のリスクが高まっている」と批判した。孟氏は、ヘグセス米国防長官がシャングリラ対話で行った演説についても言及し、5月に北京で行われた米中首脳会談での「両首脳の共通認識を実行し、両軍関係を健全で安定、持続可能な方向へ発展させる」ことへの期待を示した。そのうえで米国を名指しすることは避けつつも、「覇権主義が地域の安全に衝撃を与えている」とし、一部の国が「地域の衝突を度々起こしている」と批判した。これは中国の指導部がシャングリラ対話にあえて防衛相を派遣しないことで、米国との対立・緊張の急激な激化を嫌い、正面からの衝突をさけ、妥協の道を探りながら西太平洋での覇権争奪を継続しようとする姿勢を示したものだ。
髙市政権はこの安保3文書の改定の自民党による提言を6月中にまとめ、秋以降の連立与党の日本維新の会の提言との調整の与党協議を行い、11月ごろに前出の「有識者会議」の報告書のとりまとめを経て、年内に「安保3文書」を改定しようとしている。この安保3文書は「閣議決定」で改定されうるもので、防衛戦略から、防衛予算増額など予算措置まで策定される。
岸田政権が2022年12月に閣議決定した「安保関連3文書」は、外交や防衛などの指針である「国家安全保障戦略」のほか、防衛の目標や達成する方法を示した「国家防衛戦略」(現・防衛計画の大綱)と、自衛隊の体制や5年間の経費の総額などをまとめた「防衛力整備計画」(現・中期防衛力整備計画)の3つからなっている。
岸田内閣が策定した「国家安全保障戦略」では「安全保障に関する基本的な原則」として、積極的平和主義を維持。わが国を守る一義的な責任はわが国にあり、安全保障上の能力と役割を強化する。平和国家としての専守防衛、非核三原則の堅持などの基本方針は不変」という基本姿勢を確認した。そのうえで、「日米同盟はわが国の安全保障政策の基軸であり続ける。他国との共存共栄、同志国との連携、多国間の協力を重視する。『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンの下、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現、地域の平和と安定の確保は、わが国の安全保障にとって死活的に重要と強調した。
安全保障上の目標としては「優先する戦略的なアプローチとして、「日米同盟の強化」「自由で開かれた国際秩序の維持・発展と同盟国・同志国との連携の強化」「わが国周辺国・地域との外交、領土問題を含む諸懸案の解決に向けた取り組みの強化などをあげた。「防衛体制の強化」では、「国家安全保障の最終的な担保である防衛力の抜本的強化(①領域横断作戦能力、スタンドオフ・防衛能力、無人アセット防衛能力を強化②反撃能力の保有③2027年度に防衛関連予算水準が現在のGDPの2%に達するよう所要の措置④自衛隊と海上保安庁との連携強化)」「総合的な防衛体制の強化との連携(研究開発、公共インフラ、サイバー安全保障、同志国との国際協力)」「防衛生産・技術基盤の強化」「防衛装備移転の推進(防衛装備移転三原則・運用指針をはじめとする制度の見直し)」などをあげ、これらを「おおむね10年の期間を念頭に、安全保障環境に重要な変化が見込まれる場合、必要な修正を行う」とした。これによって、1976年に三木武夫内閣が決定した軍事費GNP比1%枠は87年の中曽根内閣によって撤廃されたとはいえ、おおむねその枠にとどまってきていたものが、この岸田安保3文書で一挙に倍増された。
「国家防衛戦略」では「わが国の防衛の基本方針」として、従来からの「専守防衛」戦略を突破した「敵基地攻撃能力」の保有などをうたった。「力による一方的な現状変更とその試みは決して許さないとの意思を明確にしていく必要がある」として「わが国自体への侵略をわが国が主たる責任をもって阻止・排除し得るよう防衛力を抜本的に強化する」。「侵略を抑止する上で鍵となるのはスタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力である。我が国周辺では質・量ともにミサイル戦力が著しく増強され、ミサイル攻撃が現実の脅威となっている」「有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止する。その上で、万一、相手からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、反撃能力により相手からの更なる武力攻撃を防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守っていく」。
「米国との同盟関係は我が国の安全保障の基軸である」「侵攻が起きた場合には、日米共同対処により阻止する」とした。「防衛力の抜本的強化に当たって重視する能力」では①スタンド・オフ防衛能力②統合防空ミサイル防衛能力③無人アセット防衛能力④領域横断作戦能力⑤指揮統制・情報関連機能 ⑥機動展開能力・国民保護⑦持続性・強靱性」などをあげた。
「防衛力整備計画」では「平時から有事まで、活動の常時継続的な実施を可能とする多次元統合防衛力を抜本的に強化し、5年後の2027年度までにわが国への侵攻が生起する場合には、わが国が主たる責任をもって、同盟国等の支援を受けつつ、阻止・排除できるように防衛力を強化する。おおむね10年後までに、より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように防衛力を強化する」とした。
「所要経費等」については23年度から27年度の5年間に必要な防衛力整備の水準に係る金額は43兆円程度とした。防衛力を安定的に維持するための財源、及び、27年度までの本計画を賄う財源の確保については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、税制措置等、歳出・歳入両面において所要の措置を講ずることとした。しかし、この軍拡増税の道を世論は許さないだろう。
従来からの政府解釈の「専守防衛」の枠を突き破って、いま行われている高市政権がめざすとなる「安全保障関連3文書」の改定に向けた議論は、「新しい戦い方」「総合的な国力」など、国をあげて有事(戦時)への備えを加速させる方針だ。おりしも米国・トランプ米政権は同盟国に対し、GDP比3.5%への増額を求めている。現時点で政府は「金額ありきではない」「わが国の主体的な判断のもとで具体的かつ現実的な議論を積み上げていく」(木原稔官房長官)という見解だが、北大西洋条約機構(NATO)や韓国は国防費を3.5%、豪州は3%に引き上げることを目標にすると表明しており、これらの多くはさきに指摘した「防衛関連費」も含めて、実質5%になっており、日本も増額は必至とみられている。
しかし財源の問題が大きな課題だ。仮に対GDP比3.5%となれば、防衛費は年20兆円超となる。現行計画では、防衛費の増額のために5年間で計14.6兆円の財源が新たに必要になった。政府は所得税、法人税、たばこ税の増税などで確保する方針だったが、難航し、法人税とたばこ税は24年末、所得税は25年末に増税がようやく決まった経緯がある。軍事費の積み上げは容易ではない。高市内閣は軍拡増税が満たされない範囲を国債で賄うつもりではないか。これはまさに戦後憲法体制が固く拒否してきた禁じ手の戦時・軍事国債の発行の道だ。
今回の自民党提言では言及しなかった「非核三原則」については、髙市首相は従来から(「国力研究」)「『持ち込ませず』については、(中略)現実的ではない」という立場だ。日本は1967年の佐藤栄作首相の国会答弁が原点で核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の3原則を国是としており、現行の国家安全保障戦略(NSS)にも「非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」と明記しているが、首相は就任以降、世論を恐れて非核三原則の見直しについて明確には触れていない。
また首相、26年4月の「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」でだされたAI(人工知能)や大量の無人機を攻撃に使う「新しい戦い方」への対応も大きな問題だ。政府はこれを「新しい守り方」と表現してうち出そうとしている。高市首相は有識者会議で「ロシアのウクライナ侵略や中東情勢を教訓に、新しい戦い方への対応を進めなければならない」と述べた。ウクライナ侵攻では、安価なドローンや無人機が大量投入され、有人戦闘機やミサイルなど高価な武器を破壊するという「非対称戦」が展開された。政府は今後、ドローンや無人機の取得を拡大する方針で、長距離攻撃ができる無人機の導入も検討している。有事の際に大量の無人機が使われることを想定し、国内で生産し続けられる安定したサプライチェーン(供給網)を築くことも目指している。
従来から日本の防衛政策の弱点と言われてきた「継戦能力」については、「有事にも耐え得る防衛産業基盤の刷新も課題だ」として、とりわけ力をいれている。26年4月の有識者会議で「高市政権は、投資を集中的に行う分野の一つに防衛産業を掲げ、経済成長の柱に位置づけている。官民投資で「防衛と経済の好循環」を図る。日本が長く戦い続ける「継戦能力」の強化のためだ。政府は、ロシアのウクライナ侵攻を教訓に、武器・弾薬の安定的な供給について「平素からの備蓄や開戦後の増産体制の整備が重要だ」と分析している。政府・与党は弾薬などの軍需工場を国有化して、国営工廠化し、民間企業に運営を委託することを検討している。将来的には防衛関連企業の再編も見据える。
2026年4月に防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁した。髙市政権は「死の商人国家」の道、同盟国や同志国との連携強化や、防衛産業の販路拡大につなげようとしている。半世紀前、当時外務相だった宮沢喜一・元首相は国会で「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない」と答弁したことが思い出される必要がある。
今回の自民党の提言には明言されていないが、長射程ミサイルを運用する潜水艦の「次世代動力の活用の検討」と記されているように原子力潜水艦の導入も図られている。25年9月、防衛省が設置した有識者会議も、原潜を念頭に「次世代の動力」を活用した敵基地攻撃能力をもつミサイル垂直発射装置(VLS)搭載の潜水艦の検討を提言した。維新の提言はこの導入だ。首相は25年12月の読売新聞のインタビューで「あらゆる選択肢は排除しない。特定の結論ありきで議論を進めることはない」。原潜は長時間の潜航が可能で、大型のミサイルを載せた状態でも高速で移動できる利点がある。だが、開発や運用に膨大なコストがかかり、人材の確保や育成が難しく、原子力の平和利用を定めた「原子力基本法」との整合性も問われる。
高市早苗首相が安保3文書の前倒し改定を表明したのは、2025年10月、トランプ米大統領の訪日を目前に控える所信表明演説だ。米国の安保に「ただ乗り」しているとして負担増を求め、米大陸のある西半球への関与を最優先させる「ドンロー主義」を掲げるトランプ氏に対し、日本が主体的に防衛力強化に取り組む姿勢を打ち出そうとしている。しかし、ベネズエラやイラン攻撃など国際法を無視するトランプ政権の姿勢は、高市首相が重視するという「ルールに基づく国際秩序」とは相いれない。
安保3文書改定に向けた有識者会議の初会合で、政府は「国際社会における諸課題に対する米国の優先順位が変化するなか、米国の同盟国・同志国が一層主体的に取り組まなければならない課題が生じ、果たすべき役割が変化することは不可避」との認識を示した。小泉防衛相は「米国と同盟国・同志国の間に隙間が生まれれば、それを好機と見る勢力が必ず現れる」と危機感を示した。
髙市、小泉ら日本政府がめざすこの安保3文書改定の道は、昨年の「台湾有事=存立危機事態」発言以来の日本の軍事力強化、戦争する国への道だ。先の日米首脳会談での自衛隊ホルムズ派兵断念は憲法第9条をはじめとする平和憲法が、戦争勢力の軛(くびき)となって、生命力を持っていることを示したが、それだからこそ、高市首相らは軍事力の強化に努め、それを合憲・合法化するための安保3文書の改定と、憲法改悪(明文改憲)に注力してきている。
いま、国会でこれに正面から反撃できる力を持った勢力は見当たらない。15年安保以来、市民運動が追求してきた「市民と野党の共同」は先の怪さ案・総選挙を経て、一とん挫した。市民と野党の共同の再構築が望まれている。総選挙以降、全国で危機感をもった大規模な市民運動が盛り上がっている。ここに希望がある。
(共同代表 高田 健)
私は7年前の7月の参院選で当選をして、初登院したが、その15年ほど前にゼミ生を連れて国会ツアーをした。その時に議事堂に初めて入ったのだが、明治憲法の空気を肌で感じたことに自分でも驚いた。確かに何なのかはわからなかったが。考えてみれば、帝国議会の議事堂だからであった。1945年の東京大空襲、5月の永田町周辺への大空襲でも議事堂はほぼ完全に戦災を免れた。実は、この存在が帝国議会として平和憲法の制定へと大きく舵を切る役割も果たしていたと思う。
国会に身を置いていた間、私が常に思い出していたのは、戦後、議事堂が戦災を免れ、実質的憲法審議の開始の際にあった芦田均衆議院帝国憲法改正案委員会委員長の質問演説であった。1946年6月末に政府案が衆議院に付託され、7月1日から本格審議が始まった。そして7月9日に、芦田均の「憲法改正不可避の事情」を政府に問いただした一節が語られた。その内容とともに国会前の映像光景(もちろん私は戦後生まれで、戦災の光景も見たことはない)が脳裏に浮かび、大きな衝撃を受けた。一部を紹介しておこう。
「…降伏条件の受諾というごとき、我が国にとって受け身の、そうして外交的記録によってのみこの憲法改正の動機は説明し得られるものではないと思います。動機はもっともっと深い所にあると思う。この議事堂の窓から眺めて見ましても我々の眼に映るものは何であるか。満目箒条(まんもくそうじょう:見渡すかぎりもの寂しい)たる焼野原であります。ここに横たわって居った数十万の死体、灰爐の中のバラックに朝晩乾く暇なき孤児と寡婦の涙、その中から新しき日本の憲章は生まれ出ずべき必然の運命にあったと、内閣はお考えにならないか。独り日本ばかりではありませぬ。戦争に勝ったイギリスでも、ウクライナの平野にも、揚子江の柳の蔭にも、同じような悲鳴の叫びが聞かれて居るのであります。この人類の悲嘆と社会の荒廃とを見詰めて、我々はそこに人類共通の根本問題が横たわって居ることを知り得ると思います。この人類共通の熱望たる戦争の抛棄と、より高き文化を求める欲求と、より良き生活への願望とが、敗戦を契機として一大変革への途へと余儀なくさせたものであることは疑いを容れないと思う。」
80年前、国会前は瓦礫の中で女性と子どもが涙をこらえて懸命に生きていた光景を現政権の閣僚や国会議員は思い浮かべたことがあるだろうか?「人類共通の熱望たる戦争の抛棄」をどのように考えているのだろうか?大政翼賛へ向かっているのではないか?そんな疑問さえ出てくるのは、あの瓦礫の世界へ逆行する道を歩んでいるようにしか見えないからである。
国旗に対する扱いに罰則を設け、愛国心を強制・強化する。国家機密の漏洩と称しスパイ行為として取り締まる。平和教育について中立でないとして介入してくる。苦しい中で国民から集めた税金で武器を製造し売却しようとする。戦争被爆国が、核兵器に頼る政策を採ろうとする。80年前の「人類共通の根本問題」の解決に取り組むための議論をしていた帝国議会の姿から見るとなんとも情けない。特に憲法審査会の議論を見れば、その存在意義さえ疑われる。「孤児と寡婦の涙、その中から新しき日本の憲章は生まれ出ずべき必然の運命にあった」ことを今一度想起すべきである。状況の差があるとはいえ、「孤児と寡婦の涙」は「国民の涙」として変わらないのが現実だ。
7月9日の芦田質問に戻すと、「「政府は、いかなる事情によって憲法改正を不可避と判断したのか」のほかに、「国体との関係をどう整理するのか」 「明治憲法のどこが根本的に問題なのか」という質問もしている。それに対し、金森徳次郎(憲法担当国務大臣)は、①国際情勢が激変し、戦争放棄の国際的要請がある、②国民主権への転換が不可避である、③天皇の地位を“象徴”として再定義する必要がある、④明治憲法は時代に適合しない、旨を答えている。
芦田の質問は、明治憲法改正の「不可避性」を政府に明言させた点や明治憲法が時代に合わないことをまで答えさせた点において大きな意味がある。国民に、天皇が統治権の総覧者であった明治憲法と全く違う形で主権者となることを意識させる政府の答弁になったからである。それ以上に意味を持ったのは、戦争の放棄の問題を人類の根本問題として政府に投げかけたことによって国民にも「新しき日本の憲章としての日本国憲法」という強い感覚を持たせたことであろう。
芦田修正は「前項の目的を達成するため」という一文を入れたことで、自衛の戦力を認める余地が出たとも批判される。しかし「人類共通の根本問題」としてイギリスやウクライナ、中国の戦争苦難を挙げた、演説の意義深さを見る限り、「人類共通の熱望たる戦争の抛棄」を簡単に否定するとは考えられない。少なくとも、前述の理念から生まれ出た平和憲法の国は、「イランを自衛のためとして攻撃した米国に対し、「人類共通の根本問題」を訴えるべきである。
(琉球大学名誉教授・前参議院議員・共同代表 高良鉄美)
私は普段、労働組合の役員として活動していますが、大切にしている言葉・好きな言葉のひとつが「連帯」です。
今回は、その言葉が登場する映画「オールド・オーク」を紹介します。ケン・ローチ監督はご存知の方も多いかもしれませんが、イギリスの巨匠と呼ばれ、引退宣言を撤回してからの、「わたしはダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」に続く本作品は、「イングランド北東部3部作」の最終章とも言われています。「わたしはダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」は、図書館でDVDを借りて、自宅で視聴しましたが、今回は、ケン・ローチ監督の最後の作品と言われていることもあり、映画館に足を運びました。
本作品の舞台は、イングランド北東部にある炭鉱があった町で、炭鉱夫が集まり活気に溢れた時代から30年の時を経て、炭鉱も閉鎖した今は、町は寂れていく一方でした。町で唯一のパブ「オールド・オーク」は、人々の憩いの場として親しまれていましたが、町がシリアからの難民を受け入れ始めたことから、常連客はパブに来ては難民への不満を口にするようになっていきます。店主のTJ・バランタインは、なんとか経営を続けている状況であり、古くからの友人でもある常連客たちに酒を出すしかありませんでした。
店主のTJ・バランタインは、町に来たシリア出身のヤラのカメラを直したことから、ヤラの家族とも親しくなります。また、TJは積極的ではないものの、難民支援の活動家の手助けもしています。そのような人物です。
そして、TJの親世代の炭鉱夫たちが、当時は「連帯」して支え合っていた歴史を知ったヤラは、「オールド・オーク」を難民も地元の人々も、ともに食事が出来る場に出来ないかと提案することになります。TJは、常連客と難民の間で揺れるのですが、再び連帯に向けて動き始める、という物語です。
これは、イングランド北東部を舞台にした映画ですが、描かれている問題は決して、どこか遠い世界の話ではなく、今まさに日本で起ころうとしていること、あるいは、日本で起こっていることではないかと感じました。分断と排斥、弱いものがさらに弱いものを攻撃する。そこに希望や光はあるのかと絶望的な気持ちにもなりますが、日本社会においても、連帯の輪を拡げることが重要ではないかと強く思います。また、労働組合役員としての自省の意味も込めて、どうしても同じ立場の人たち、わかりやすく言うと、労働組合内部での「団結」「連帯」となりがちですが、社会を変える大きな力にするためには、共感の輪を拡げ、「異なる他者との連帯」の輪を拡げることが必要だと感じます。
TJは、母親の口癖でもあった、「ともに食べて、団結を」というスローガンを掲げ、「慈善でなく、連帯だ」と力強く語りますが、ともに食事をして、ともに生きていくということをあたりまえにできれば社会は少しずつ変わるのかなと、映画のさいごにはわずかな希望も感じました。
さいごに、映画のパンフレットから得た情報ですが、TJを演じた俳優は労働組合の役員として働いていたことがあり、その時にケン・ローチ監督と出会ったそうです。今後、日本映画にも期待します。なお、決して、私が映画に出演したいということではありません。
それでは、みなさん、ともに連帯しましょう。
以上
小出真理
池田五律さん(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
(編集部註)5月23日の講座で池田五律さんが講演した内容を編集部の責任で要約したものです。要約の責任はすべて本誌編集部にあります。
練馬で、「戦争に協力しない、させない練馬アクション」というのを主にやっています。練馬は、朝霞駐屯地と練馬駐屯地という2つの陸上自衛隊の駐屯地を抱えております。それがあるために、重要土地等調査規制法の注視区域も指定されていて、我が家から100メートル位の所でギリギリ家はセーフという感じです。練馬駐屯地は政経中枢師団と名乗ったことがあって、大震災とか大規模デモが都心であったら、治安出動をする部隊が練馬駐屯地にいます。石原慎太郎都知事時代の、いわゆる三国人発言、あれも練馬駐屯地の記念行事で隊員を鼓舞する文脈で出たものです。
防災を名目にして都心に対する部隊進出訓練というのを積み重ねています。大規模なものが何回かあったのですが、最近は毎年3月11日、東日本大震災の日には小規模なものでも部隊進出訓練――迷彩服を着て街を歩くようなことをやっています。去年は、朝、新聞をマンションから1階に取りに行ったら、目の前を、ザッザッザッと迷彩服が歩いているので、びっくり仰転したんです。今年も、やっぱり同じように部隊進出訓練をやっています。
そして練馬、板橋の学校に、様々な形で自衛隊はアクセスをしています。銃剣道というのがあります。鉄砲の先に剣を付けて、最後一突きにするというものですが、銃剣道のクラブ活動が、都立の光が丘高校と、私立だと大東文化板橋にあります。剣道部で、いまいちの実績の生徒さんに、銃剣道をやればいい成績が簡単に取れて、大学進学の時の推薦入試のネタになるよ、なんていう風に高校の先生に声をかけられます。国体で銃剣道なんかをやるやつは少なくて、全国で自衛隊の駐屯地周辺しか銃剣道はやっていません。数年前に多摩国体と言われる国民体育大会が東京であって、銃剣道に関しては練馬の体育館で行われました。
朝霞の方は、陸上自衛隊全体を動かす陸上総隊の司令部になっています。勝手に、南西諸島を戦場とした地域的な限定戦争を想定して、いろいろ軍拡をやっています。イラン戦争とかウクライナ戦争を見ても分かるように、そんな限定的地域紛争、戦争で終わるわけがありません。何かことがあって私が敵側だったら、朝霞を狙えば、陸上自衛隊は動かないよ、ということです。
今日も昼間に、練馬、板橋、北区、豊島区の市民運動が集まって、池袋アクションをしました。2022年の国家安全保障戦略に反対する行動からずっとやっていて、高市もトランプも嫌だと、歌とアピールで2、3ヶ月に1回やっています。そういうのが成立する一つの理由は、残念ながら東京北部には、朝霞駐屯地、練馬駐屯地、さらには北区十条には補給統制本部があり、陸海空全ての自衛隊の補給の中心です。補給統制本部をやってしまえば、もう弾切れになってしまいます。というような風に軍事施設が本当に集中しています。重要土地等調査規制法の注視区域の地図を見ると、東武東上線沿いは、まるで団子のように並んでいる。そういうことで、他の地域よりは、反基地の運動が細々ですが、続いている地域で運動をしています。
後ろに、「入隊したらさあ大変!自衛隊 練馬パネル展2026」というビラが置いてあります。練馬区役所のアトリウムで、自衛隊が勧誘のパネル展を毎年やります。これに対抗して、パネル展をやっています。今、自衛隊は女性をすごく狙っています。今年の練馬駐屯地の駐屯地祭でも、女性隊員がメインに出てきています。僕なんか、中に入ろうとすると、「君はダメダメ」とか言われるので、中に入った人の報告だと、女性隊員が目立っていたということです。「自衛隊の男女共同参画とは」ということで、この分野について詳しい、日体大の助教授の久保田茉莉さんという方を呼んで、自衛隊側のパネル展にぶつける形で講演会をやりますので、ぜひ聞きに来てください。
早速、話に入りたいと思います。レジュメの大きな流れとして、まずⅠとして、「日米安保強化は自衛隊の増強と役割拡大の歴史」だったことを踏まえたいと思います。
それからⅡ番目、「自衛隊増強の軌跡(2022年版「安保三文書」の以前)」の動きをさっと整理します。次にⅢで、「2022年版の安保三文書」がどういうもので、それの主要事業とされたスタンドオフ・ミサイルとか、7つの項目が、これまで、どこまで増強されてきたかということをお話します。最後にⅣで、「高市軍拡と、その一番の焦点、安保三文書の再改定と改憲への道」という順で話します。
まず、いわゆる沖縄返還協定で、日米安保は範囲的には、それまで本土だけに限られていたものが、沖縄にも拡大されました。安保というのは変化があるたびに、自衛隊の役割が拡大したことが分かるかと思います。60年安保のところでは、締約国は、相互に協力して、武力攻撃に抵抗する能力――抵抗だった。ところが78年のガイドラインだと、「日本は原則として限定小規模侵略を独力で排除する」になります。
1995年の日米安保共同宣言では、冷戦が終わってどうなるかと思っていたら、グローバル安保です。この時のグローバルは、PKOとかで海外派兵をしていくことです。そういう形で安保が維持拡大され、97年版のガイドラインでは、「日本が主体となって日本防衛は行う。アメリカ軍は有事に来援するだけ」だという話になります。
2001年の同時多発テロ以前に、すでに米軍も自衛隊もゲリラコマンドウ攻撃、不正規型攻撃、テロも含みます。同時多発テロ以前から、こういうことを言い出していて、そういうことにも関わって、日米で協力するということになりました。だから97年版のガイドラインで、周辺事態でも相互協力計画をやるとなった。60年安保の時には、実施に関して随時協議、だったんですね。
それが78年のガイドラインで、日米共同作戦計画を作るという話になって、97年には、さらに周辺事態での相互協力計画も作るとなった。実施に関しては随時協議だったのが、97年のガイドラインでは、平素から日常的に包括的な調整メカニズムで、共同作戦や相互協力計画が、いつ起こっても動かせるようにしましょうね、という風になりました。
2015年のガイドラインでは、さらに「あらゆる状況に切れ目のない形で実効的に対処する同盟調整メカニズム」とか言い出しました。これは2013年の武力攻撃事態法制定を受けて改定されたものなので、常にアメリカの世界戦略とか日米ガイドラインが先行するのではなく、時には自衛隊や日本の政策の変化が後になって反映されるところもあります。そういう意味では2015年の安保法制整備、これは2013年の防衛大綱に基づいていたところがあります。それで平素から重要影響事態、武力攻撃事態ということが、ガイドラインにも反映されるようになりました。
この2015年のガイドラインで、新たに加わったのが、「宇宙及びサイバー空間に関する協力」。陸海空だけではなくて、宇宙とかサイバーに自衛隊の役割が広がります。
そして、三か国及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進し及び強化する、というのが登場します。多国間安保です。もう日米安保だけではなく、多国間安保です。
多国間安保では、日本とイギリスの安保宣言が2019年に結ばれています。2007年には、日本とオーストラリアの安保宣言が結ばれ、2022年に新バージョンになり、今年さらに経済安保宣言が付け加わりました。
日本と相手国との外務・防衛の2プラス2と言われる大臣が会う会議です。それが初めて行われた年を挙げました。オーストラリアとは2007年、フランスとは2014年、インドとは2019年、ドイツとは2021年、イギリスとは2024年です。今年の5月7日に韓国とも、まだ2プラス2の大臣同士ではないけれど、次官級を始めました。トランプ版の国家安全保障戦略でクワッド(QUAD)、中国に対する抑止はクワッドに任せたい、みたいなのが出たわけですけれど、そのクワッドの初の対面首脳会議は2021年に行われています。
この間、フィリピンとの軍事協力はすごく進められています。2010年代半ばに自衛隊とか防衛研究所あたりが出しているものだと、日米越比四国同盟というのが一時期盛んに言われました。2014年にアキノが訪日した時には、サンデー毎日だけかな、ちょっとすっぱ抜いていました。フィリピンに自衛隊の基地を作るという話が一時期浮上しました、これからまた出てくるかもしれません。今、ジプチには基地を持っている。それと同じようにフィリピンにも持つかもしれない。
物品役務融通協定は、装備品と言い方をしますけれど、兵器をお互いに融通し合う協定です。これもアメリカとは1996年、オーストラリアと2010年、イギリスと2017年、フランスやカナダと2018年、インドと2020年、ドイツイタリアと2020年、オランダ、ニュージーランドと2025年、フィリピンとは今年締結しました。この物品役務融通協定を結んでいるからOKだという形で、武器輸出が行われます。韓国との間では、物品役務融通協定を日本は結びたいのですが、韓国が避けよう避けようとしているという状態です。
これだけ多国間安保化が進んで、多国間の演習は、もう上げたらキリがないぐらいあります。今年の4月には、日本とアメリカ、フィリピン、オーストラリアの合同演習、「サラクニブ」というのがあります。アメリカ、フィリピン、オーストラリアの合同演習に、陸上自衛隊が初の本格参加をしました。
サイバー領域ではNATOですね。フランス、イギリスはもちろんで、イギリスとの間では新日英同盟なんていう風に、自画自賛していますけれど、フランスとも、NATO諸国との連携もすごく強化しています。
中国軍が西太平洋に進出して、有事来援する米軍を阻止する可能性があるというようなシナリオを描いています。フランス軍が来て多国間演習を日本でやった時に、その司令官だった人間が、「フランスは太平洋国家だ」と言った。そういえば核実験をやっていますね。そういう意味では脱植民地化が、太平洋地域になされていないという眼差しで見ていただくと、この協力関係も、むべなるかな、というところです。
とくにサイバー分野での協力は、もっといろんな国々とやっています。NATOサイバー防衛協力センターが主催するサイバー防衛演習「ロックド・シールズ」というのに、2021年から参加しています。これは防衛省だけではない、いろんな省庁や民間企業も入っています。エストニアかな、バルト三国が、対ロシアのサイバー戦で一生懸命やっている。そこが中心になって、別にそこに自衛隊員が行くわけではなくて、ネットでつながって、みんなでサイバー防衛をやる。こういうような演習もしています。
ですから、もう日米安保だけでは捉えられないくらいになっている。自衛隊の役割がどんどん広がり、自衛隊と共に行動する国の数もどんどん増えていることを、頭に入れておいて頂ければと思います。
次に、Ⅱの「自衛隊増強の軌跡」を、安保の方からではなくて、自衛隊自身の話でいきます。
1957年に、国防の基本方針というのが出て、その時には、「国力国情に応じ、自衛のために必要な限度において、防衛力を徐々に整備」しますとしました。必要な防衛力、「所要防衛力構想」というのに立っていた。それが1972年からの4次防が、オイルショックもあって実現できないという中で、「基盤的防衛力」というものに変わります。
1976年から「防衛計画の大綱」が策定されるようになり、その基本概念として「基盤的防衛力」という概念が出てきます。今は、基盤的なものがあればいいという話を壊して、大軍拡が行われています。
では、基盤的防衛力という考え方が良かったかというと、それも疑問なところがあります。所要防衛力構想では予算確保が困難になってきたので、どんな経済状態であっても、これだけは必要だ、という理屈も当初はありました。とにかく状況が変わっても、防衛費を減らしたくない、増やしたいという願望が、ものすごく強いということを頭に入れてもらえればと思います。
1970年代後半に超法規的発言というのを当時の統幕議長だった栗栖弘臣という人間がやって、普通そいつが怒られて処分されるべきです。なのにそれを逆手にとって、じゃあ正式に有事研究をしましょう、となって有事法制研究がスタートします。81年とか84年に概要が発表されます。これが後の武力攻撃事態法につながります。武力攻撃事態法でやりたかったことは、ほとんどこの時点でリストができている。
この時に、とんとんとんからりんと隣組、相互監視や、強制疎開、建物疎開で家をぶっ壊すとかいうことを思い起こさせるから、研究の中間段階も、ちょっと発表するのやばいなと言われた部分の民間防衛が、国民保護法になります。国民保護という言葉にごまかされて、国民保護をなぜ自衛隊はしないのかというような人がいますが、もともと国民保護というのは民間防衛のためのものであって、自衛隊が戦闘しやすいためのものです。この研究を下敷きにして、それが徐々に徐々に実現されていくことになります。
1995年、ここで防衛大綱が作られて約20年で初めて改定されます。冷戦が終わったということで、これは自衛隊に限りませんけれど、米軍も、中国やロシアの軍隊もそうでしょう。軍人さんたちというのは、脅威がないと、おまんまが食えないわけです。冷戦が終わって脅威が無くなったと言われたら、いやいやいや脅威あります、こんな脅威もあります、と一生懸命言うわけです。
その時に、テロとかいう話が出てきます。同時多発テロ以前から、そういう脅威があるから、冷戦が終わっても防衛力増強必要だという屁理屈です。95年の防衛大綱で各種事態という言葉が、ゲリラコマンドウ部隊が上陸してきて原発を破壊するかもしれません、とかいうようなことを言い出します。
これを受けて2000年に、自衛隊と警察の治安維持に関する新協定、これも同時多発テロの前後です。同時多発テロがあってというよりも、その前から大規模テロ対処で、警察と自衛隊が一緒に動く仕組みを作らなければいけない。2000年、ビッグレスキューという東京都総合防災訓練で、自衛隊の高機動車を銀座に出したのを覚えてらっしゃる方も多いと思います。その頃までは、まだ警察は自衛隊に対してアレルギーがありました、
ビッグレスキューで、大江戸線の、この会館のある「春日」を通っている部分は当時未開通でした。にも関わらず自衛隊を乗せて光ヶ丘の操車場に練馬駐屯地から移動した部隊を、地下鉄の操車場から乗せて、未開通のここら辺を通って新木場の方に展開するというのもやりました。僕らは光が丘の操車場に押しかけて、ビッグレスキュー反対、都心への部隊進出をするなと、大江戸線の駅駅に、みんなプラカード持って立って、部隊進出訓練反対というようなこともやった。それを終わって、頑張ろうねということで銀座デモ・ビッグレスキュー反対のデモをしました。
その時、デモの指揮者をやっていたんですが、上をヘリコプターがバンバン飛びます。機動隊の隊長が、兄ちゃん兄ちゃん、上行くヘリコプターは自衛隊か、自衛隊ですね。「けっ」とか言うわけです。戦前に大阪でゴーストップ事件というのがありまして、サイドカーで信号無視を旧陸軍がやるわけです。それを警察官が止めると、陸軍がそれに対して抗議に来る。軍隊に警察ごときが何を言うかと。そういう事件があったので、警察の中にも自衛隊に対するアレルギーはあったんですが、この頃から防災を名目にして、様々な共同訓練が行われるようになります。
国民保護法が成立して、武力攻撃災害という概念が入ります。武力攻撃、戦災ですね。戦災と言わないで、武力攻撃災害なんです。防災の一つの項目の中に、武力攻撃災害が入るわけです。脱線しますけど、国民保護訓練、練馬で大江戸線のホームへ向かう途中に、みんな避難して頭を抱えて下さいと、住民を動員してそういう訓練が行われました。その後は中野で、去年が太田、今年が葛飾・江戸川、毎年やられています。
東京都の安全教育プログラムというのには、震災とか水害と並んで、Jアラート避難訓練というのが入っています。だから小学校・中学校で、Jアラートが鳴ったら机の下に隠れましょう。というようなことがやられています。
警察に戻りますけど、2008年の洞爺湖サミットの警備がある種の完成形態です。その頃は反グローバリゼーションの運動が各国で盛んで、WTO反対とかになると世界中からいろいろ当時の若者が集まって、偉いことでした。そういうことが洞爺湖で起こるのではないかと警備が行われる。自衛隊の駐屯地で警察が寝泊まりして訓練して、警備に行く。その辺から、自衛隊なんてそんな怖いもんじゃないですよ、いい人たちですよ、というような警察官になっていくわけです。そうすると一緒に対テロ警備をやるのが当たり前という風になり、それがサイバー分野で去年できた能動的サイバー防衛に、防御法に基づいて、サイバー分野での協定も警察と自衛隊の間でできています。
1999年というのは、周辺事態法ができて、組対法、盗聴法ができて、住基カードができて国旗・国歌法が通るという、とんでもない国会でした。周辺事態での相互協力計画に対応する法整備が、ここで自衛隊に戻すとなされるわけです。
2003年に武力攻撃事態法ができて、2004年に国民保護法ができます。国民保護任務というのが自衛隊にもありますが、それは余裕があったらやるという話です。国民保護は自治体に責務が課されています。自衛隊の本務は戦闘と治安出動です。要請があっても、今忙しいですから出られませんというのが当たり前です。都道府県が主になって、住民の避難誘導をやると国民保護法では決まっています。ここで武力攻撃災害対処というものが入ってきます。
2004年の防衛大綱では、新たな脅威・多様な事態、弾道ミサイルや特殊部隊・工作船による攻撃や島嶼部侵攻への対処、もうここで島嶼部、南西諸島の話が出てきます。即応性、機動性、多目的性を備え、統合運用能力、情報機能を強化するという話が出てきます。重要影響事態の時には、米軍などへ補給、後方支援をやる。(「米軍などへ」と書いてあるとこはミソですね。さっきの多国間の方ですから)存立危機事態の時には、米軍などへの攻撃に対する反撃もする。こんな風に自衛隊の役割が増えました。日本への攻撃に対する反撃は、自衛隊が主ですよ、ということです。
ただし、これらの重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態でない、有事か有事じゃないか分からない、グレーゾーン事態というのを挙げています。
これが、いわゆる不正規戦、ゲリラコマンドウ部隊による破壊工作とか、大規模テロとかを指す。あるいは戦時において、工作員が裏にいて偽情報を流すとか、それに煽られて起こる反戦デモとか。2年前でしたか、赤旗がすっぱ抜きました。グレーゾーン事態で、言論規制とか、反戦デモに対する治安出動を、自衛隊はするということになっていますよと。
それをメディア関係者に対する説明会で自衛官がやった。その時に赤旗の記者がいた。だけど赤旗の記者以外はみんな大したことだと思わないで、ハアハアハアと聞いていた。赤旗の記者だけがちゃんと書いて、それが国会での問題になりました。こういう想定も、この頃から徐々に出てきていますし、これからこれらが進められることになります。
仕組みが変わるということは、すごく重要なことなんですね。みんな、トマホークを買うとか、長射程ミサイルを配備するとか、そういう話だとみんな食いつきがいいけれど、防衛庁から防衛省に昇格すると、名前変わるだけでしょみたいになるわけです。でも、こういう仕組みの変化はすごく大きいんですよ。今でいうと国家情報局の設置、これもなかなかピンと来ない。せいぜいスパイ防止法が本丸で、その前段みたいに受け止めている人が多い。そういう国の仕組みが変わることはすごく大きくて、防衛庁が省に変わったことで、独自に予算要求が出せるようになります。ここから、自衛隊の大軍拡が一気に始まってきます。これすごい画期です。
2010年に新しい防衛大綱になります。これは民主党の時代です。この時に基盤的防衛力という構想が放棄されます。それまでは所要防衛力でも、とくに基盤的防衛力で強調されたのは、これだけ自衛隊が存在しますよということが抑止力になるという説明だった。床の間に飾っておけば、それで抑止になる、お札をつけているようなものですと。ところが、ここで動的防衛力、本当に動かすんですよとなった。こんな風に動き回るというのを見せつけることによって、抑止するんだ。これは大きな変化です。ここから、実は南西シフトが始まります。安倍になってというけれど、その前から始まっているわけです。
最近、学生時代から統一協会でした、私たち夫婦は合同結婚式で結婚しました、と明かした長島昭久とか、民主党の国会議員だったわけですね。2011年にオバマが、リバランスを言います。それより先行している。
2013年版の防衛大綱で、統合機動防衛力という概念が出ます。さっきも統合とか機動とかいう言葉が出てきました。その統合機動という話が、いよいよ本格的に動的に動かす。その動的の中身は統合機動だ。陸海空とかいう区別が無い。自衛隊全体が統合して、機動的に動く防衛力がある。ここから琉球弧の自衛隊の増強は本格化します。
2013年に与那国の陸上自衛隊の駐屯地が着工されて、2023年にミサイル部隊が配備されます。ここからどんどん始まっていく。2022年の防衛大綱から南西諸島の自衛隊増強が始まったのではなく、もう10年前だということです。2023年、石垣に部隊が整備され駐屯地が整備されて、本島を除くところは、2013年の計画が10年がかりでほぼ出来上がりました、ということになります。いよいよ本島だというのが、勝連に来たという順番になります。
この時は長射程ミサイルの射程が中国大陸本土に届かないものだった。ですがこれから、例えば奄美に配備して上海に届く、くらいの長射程ミサイルがどんどん配備されていくことになります。
でも、これはなかなか反対が難しい。よく“パチンコ店開店反対”と光が丘団地でもありました。でも、出来ちゃって、その後パチンコ屋さんが新しい台に変えることに反対するのは、なかなかありませんね。そういう意味では、駐屯地が整備されてミサイル部隊を配備しました。持っているミサイルを変えます。更新します。もう1回配備されると、なかなか抵抗が難しくなります。
僕は三重県出身ですけれど、三重だって東京に比べれば自衛隊に就職するのが少なくありません。とくに三重と奈良の県境とか山間部とかでは、僕が高校3年生の時にも、一時期、液晶の亀山で有名だった。ろうそくの亀山ってありますね。亀山の友達のところには、近所のおじいちゃんが自衛隊を連れて自衛隊に入隊しないかと、成績のいい人だと防衛大を受けないかという勧誘が来ています。
地方だと、うちの母親が高校生だった1950年代半ばでも、山間部の農家の嫁になるよりは、公務員の嫁さんになった方がいい。母親は教師でしたけれど、友達は警察官の嫁になった人、自衛官の嫁になった人、田舎の高校出てちょっと働いて結婚して、老後もお友達でいましょうねというのがそういう人たちだったりします。隊友会、地方だとものすごく強かったりします。
奄美とかは隊友会がすごく強いです。仕事を得るには比較的安定した給料をもらえるのは何だろうって言った時に、警察官、自衛隊というのは、好んでか好んでじゃないか別にして、就職先です。それが辞めて帰ってくると隊友会になる。そういう空気の中で反対運動をすごくしづらいんです。
宮古や石垣では、かなり反対運動がありましたし、与那国でもありました。だけど与那国なんかでも、むしろ移住者の人たちが割と中心になったりして、地元の人が声を上げにくい。奄美に関しては、他の宮古や石垣や与那国に比べても、本当に少数の運動でしかないです。
分かっているけれど、目先のお金って大きいんですよ。比較的関西の端くれだから、三重なんか豊かな方だと思うけれど、それでも、やっぱり土建工事がないと食っていけない。こうすると、基地が作られるとか、要塞化シェルター作り、これはもう地元の建設会社にとっては、ものすごく嬉しい話なんですね。そこの経営者だったり、そこの従業員に元自衛官の人たちがいたりする。そういう構造があって、そこら辺も見ておいてもらわないといけない。琉球弧の人々の反対の声に応えて連帯しましょうと言うのではなくて、そこでは声が出せなくても、私たちはちゃんと反対するんだという論理と運動を作っていかないといけないかと思います。
こんな風に2013年から進められた防衛大綱で、オスプレイもこの時に盛り込まれました。佐賀空港のことが一時期ペンディングになりましたね。沖縄には押し付けて、佐賀では住民が反対したら、無くなったじゃないかみたいなことを沖縄の方でも言われる方が多かった。僕は、そういう知り合いの人に、そんなことない。行政は一回決めたことを諦めません。一回決めたことはどんなことがあっても続けます、と言います。
小池都知事は、首都防衛というのを掲げています。未だに防衛大臣気取りです。都道の整備です。皆さんの住んでいらっしゃる所でも、都道の整備に反対する、道路建設反対の運動があるかもしれません。練馬だと、それが川越街道から環七に斜めに行く。これは自衛隊の部隊進出と見事に重なっている。道路建設に反対している人が、若い頃に家を買った時に反対して、止まっていたと思っていた。何でまた老後になって、道路工事の話が出てくるんだ。一緒に運動やっている人で元練馬区役所の人が、いやいや、行政というのはね、一回立てた計画は寝かせているだけで、ずーっと温めていて、予算つけようと思っているんだよ。絶対佐賀空港あると思っていました。佐賀空港なくなりはしませんよ。時間かけてもやります。
佐賀空港のオスプレイを使って、機動展開の花形が自衛隊版海兵隊と呼ばれる水陸機動団です。2013年の防衛大綱。馬毛島、これも2018年。イージスアショアはコロナ禍で中止になったけれど、搭載の艦船に変わりました。
一回立てた計画は、形を変えても絶対予算をつける。それは、権益なんですよ。防衛省や自衛隊の人は、そんなに非合理的なんですかという質問をよく受けます。旧日本軍は非合理的だったっていうことは、皆さんよく言いますね。なんで、防衛省、自衛隊は合理的だという仮説が成り立つのでしょうか。あの人たち非合理的ですよ。全然ある意味で変わっていません。脅威が無ければ飯が食えないので、脅威が無くても、あれが脅威だ、これが脅威だと予算をつけて、権限を増やす。天下り先を増やすことしか考えていません。まさか戦争なんて起こると思っていなかったとか、後で平気で言うような人たちだと思います。そうやって、満州事変とかだって引き起こされていったわけで、その体質は変わっていません。
ちなみに、防衛庁が防衛省になって変わったことの一つが、偕行社(かいこうしゃ)、旧陸軍の将校たちの親睦会です。水交会(すいこうかい)、旧海軍の、将校たちの親睦会です。これは、戦後の引き上げがあったので、厚生労働省所管の法人だった。ところが防衛庁が防衛省になったので、防衛省の所管でもあるようになりました。「りっくんランド」というのが朝霞駐屯地にあって、体感できる3Dシアターがあります。ただで遊べるゲームセンターという感覚で、近所の子連れの人が来たり、修学旅行のコースになったりしています。そういう所に、偕行社の機関紙を平気で置いてある。それは防衛省所管の法人のものだからということですよ。うるさく抗議したら、ちょっと隅っこに寄せるとかをします。とにかく一回計画が立てたら、ずっと続きます。
統合運用で実現されたもので一番大きいのが、陸上自衛隊総隊司令部の設置です。陸上総隊司令部が、各方面隊を全部取り仕切ると同時にですね、陸上自衛隊総隊司令部直轄部隊というのがあります。自衛隊版の海兵隊である水陸機動団が、オスプレイを運用する第一ヘリコプター団、習志野の第一空艇団、中央特殊武器防護隊。みんな防護とついているけれど、NBC(核化学生物部隊)です。特殊武器衛生隊、これもNBC関係です。
この特殊作戦軍も習志野にいますが、これが破壊工作だったりそういう部隊です。自衛隊員にとっても何をしている奴らからかわからない部隊です。黒覆面で観閲式みたいなところにも出てくる謎の部隊。これが、陸上自衛隊の総隊直轄部隊です。中央即応連隊というのは宇都宮にいて、これが海外派兵の専門部隊です。こんな形で陸上自衛隊が再編されています。
2013年、特定秘密保護法ができた時で、この時に国家安全保障会議と国家安全保障局が設置されました。さっきも仕組みが変わるというのは大きいと言いました。国家安全保障会議は、首相、官房長官、外相、防衛相の4人位で、緊急事態対処の基本方針を決めるというとんでもないものです。いわば緊急事態条項追加改憲の先取りです。それだけでなく、平素からの安全保障政策を策定するというのが、この国家安全保障会議です。でも、その首相連中には、その知識も能力も無いわけで、実質的に動かすのは国家安全保障局と言われる官僚組織です。
国家安全保障局には外務省も、ちょこっと入っていますけれど、多いのは、防衛省の自衛隊高級幹部上がりと、警察畑です。北村滋が局長で、そいつらは官邸官僚でもある。よく官邸官僚というと経産省と言われますけど、北村がずっとキーパーソンです。軍事と治安中心に官邸官僚が牛耳っている構造、その集まりが国家安全保障局です。この国家安全保障局と、もうすぐ作られそうになっている国家情報局が、両輪となって安全保障政策を全部決めていくという体制が、今作られようとしています。
この国家安全保障会議と安全保障局が作られた2013年末に、初の国家安全保障戦略が出されます。そこに集団的自衛権一部行使が盛り込まれました。翌年閣議決定がされ、2015年に安保法制が整備されます。
2022年の国家安全保障戦略の時によく聞かれたのは、この国家安全保障戦略は、いつ国会で議論されるのか、ということです。いいえ、閣議決定で決める。閣議決定で決める仕組みが、2013年に作られた。
それに基づいて法が整備されていく。怖いのは組織改革で、2015年に防衛省改革が行われて、ここで日本型のシビリアンコントロールが、ほぼ解体されました。警察は、自衛隊に対してすごくアレルギーを持っていた。もう一つ、臨時軍事費を膨大に増大させたということで、大蔵官僚が財務省になったことで力を失いました。いまだにマスコミは、ショーの中のショーみたいな言い方しますけれど。
僕ら練馬とか立川とか、習志野とかの反基地団体で、「大軍拡と基地強化にNOアクション」というのを年度更新で10年ぐらいやっています。防衛予算の分析をやって、防衛省交渉をやって、パンフにまとめてきました。財務省交渉をやっても、若い官僚の泣きごとしか聞かないんですよ。聞いてくださいよ、という世界になってくる。もう骨太の方針で決まっていて、その枠の中に僕らは当てはめているだけです。そんな世界です。
むしろ防衛省の方が威張っている。防衛省が概算要求したものを、どれだけ捻出するかを財務省はやらされているような状態です。防衛省、自衛隊の中でも、背広を着た人間、国家公務員試験を受けて官僚としてなった背広組。自衛隊、防衛大学校を出たりして、自衛隊で幹部になっていった、これは制服組です。官僚コースのやつは背広組、背広が上に立って制服を抑えるという構造だった。他の省庁から出向してきた背広は、警察畑だったり大蔵畑だったり財務畑だったりして、膨張していかないようにする。ところが、それが徐々に撤廃されて、ここで一気に自衛隊をこれからどうしていくか、どういうように動かしていくかの企画とか運用を、制服組が直接、防衛大臣に意見が言えるようになった。背広を着た官僚ではなくて、昔の言葉で言えば、軍服を着た連中の方が、防衛大臣にいろいろ吹き込んでいく。
こういうことをやっていかなければいけないので、こういう企画です。こんな予算が必要ですよ。こんな風に動かさなきゃいけないんですよ。ああそうか、ということになってきます。そういう仕組みが2015年に作られてしまいました。
この時に防衛装備庁が新設され、安全保障技術研究推進制度というのができて、ここから軍学共同体です。大学とか民間の研究所で軍事研究をすると、お金がおります。このグラフ見てもらえば分かると思いますけど、どんどん増えています。兵器とか装備だけを見てたいら分からなくて、こういうところが、自衛隊幹部の天下り先にもなっていくわけです。
2018年の防衛大綱です。2017年に、安倍が「開かれたインド太平洋」という話をして、ここで統合機動だけではなく、「宇宙・サイバー・電磁波領域を含む多次元統合防衛力」という話になります。実質的な敵地先制攻撃力保有を、この段階で始めます。この時は公明党が抵抗して、敵基地攻撃力というのを明記しなかっただけで、実質的に2018年から敵基地攻撃ミサイルの配備は始まっていきます。
いよいよ2022年の安保三文書です。防衛力の抜本的強化ということが言われた。総合的国力(外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力)を用いて戦略的なアプローチをやる。この年の暮れの安保三文書では、これがメインに出てきます。抜本的な防衛力の強化を超えて、総合的な国力の強化という話になります。トランプの去年の国家安全保障戦略は、まさにこれなんです。
技術力を一番下にして、技術力が民間の経済力を生み、それが外交力、防衛力、国家全体の経済力、情報力につながるというのが、トランプの国家安全保障戦略の組み立てです。技術力によって比類なき、誰も太刀打ちができない軍事力を作る。それが、ベネズエラで、イラン攻撃で発揮されたということになります。この概念をこの時から出しています。
ここに書かれていたことが、どんどん実現されていくことになります。例えば、防衛装備品移転三原則・運用指針を始めとする制度の見直しを検討というのが防衛大綱にあって、それが今年解禁される。有事の際の防衛大臣による、海上保安庁に対する統制とかが、22年に出されて、それが23年に実現していきました。
国家安全保障戦略では、サイバー安全保障が去年の能動的サイバー防御関連法につながりました。海洋安全保障・海上保安能力が、2023年の海上保安庁に対する防衛大臣の統制につながってきます。
5項目に「情報の向上と積極的な活用に関する能力の向上」が掲げられていて、人的情報収集、情報戦への対応能力強化、偽情報対策の新体制整備、これが今国会に出ている国家情報局の設置、続くスパイ防止法、対外情報庁になっていきます。
6項目にあった、「有事も念頭に置いた我が国国内での対応能力の強化」というのが、自衛隊・海保のニーズに基づいた公共インフラの整備とか、機能強化の創設ということで、今の特定利用空港・港湾につながっていきます。
原子力発電所等の重要施設の安全確保対策、重要土地等調査規制法。重要土地等調査規制法は、反基地運動をやっている人間は、もっと反原発運動の人も一緒に戦ってくれると思いました。だけど反原発運動をやっている人が殆ど興味を示してくれません。米軍基地が集中して、自衛隊も増強されている沖縄を見れば、沖縄全部が重要土地等調査規制法の注視区域とか特別注視区域じゃないかと思います。青森を見て下さい。米軍基地と原発施設で、ほとんど青森県は、特別注視区域と注視区域です。
そんな風に、向こうは分野別じゃないです。総合的で、省庁横断的です。こっちは個別課題で蛸壺化しているので、全体で動かされていることに太刀打ちができていません。国民保護法の体制強化が、今国会に出ている防災庁の設置です。防災庁の所掌事務の一つに国民保護がちゃんと入っている。
だから、どんどん、こんな風に、入れられていたことが実現している。経済安全保障政策の推進、もうこの頃からレアアースとか言っている。それが経済安保法につながっていくわけですね。
Ⅲ総合的な防衛体制強化のため府省横断的な仕組み、政府・地方自治体・民間団体の協力推進
「総合的な防衛体制強化のための府省横断的な仕組み」というので、防衛基盤・技術基盤強化、これが防衛生産基盤強化法につながり、軍産複合体を形成してきます。
「新しい戦い方に対応するために必要な機能・能力」ですね。より早期遠方で、侵攻を阻止・排除する。敵基地反撃力というと、基地だけのイメージですけれど、指揮統制システムもやるとはっきり言っている。指揮統制システムとか、ミサイル基地とは限らないわけです。しかも、より早期に遠方で、ミサイル発射の兆候があるので、防衛だから、これは予防攻撃ではない。防衛のためだから国際法違反ではない、という屁理屈を立てている。トランプも、差し迫ったイランの脅威が(かつてはイラクの脅威でしたけど)ある。だからこれは防衛なんだという屁理屈です。より早期と言った時に、宇宙衛星から見たら怪しげだったから、チュドンとやってしまうのは防衛です。だから専守防衛の範囲を逸脱していません。
それどころかサイバー戦なんかでは、サイバー戦は平素からの戦いである。専守防衛なんて言っていられない。サイバー戦は先制攻撃したやつが圧倒的に優位だと、平気で言っています。
総合的な防衛体制の強化で打ち出されているのは、政府と地方自治体、民間団体との協力の推進です。これ2024年の、政府に指示権を付与する地方自治法の改悪。これも、自治労が頑張ってくれるかと思いきや、全然という感じだった。自治総研の人で、すごく熱心に問題にしてくれてる人なんかと、読んだりしました。
安保三文書の主要なものが、どんなに進められてきたか。トマホーク、米製ミサイルを買うなという言い方があります。じゃあ、和製だったらいいの?という話です。で、防衛省と交渉していて、今後、米製ミサイルを買うのかと言ったら、え?という顔をして、「買いません、これから三菱さんですよ。」という話です。
これが、今後の研究開発から配備の計画です。もう12式(ひとにしき)の向上型とか、滑空弾とかが並んでいます。これが新台入れ替えで、どんどん配備されていく。この前、横須賀の新倉さんが言っていた、中古の役立たないものじゃない。このイラン戦争を見たって、トマホークはバンバン使われているだろう、という話しです。長距離先制攻撃のミサイルを買うなと、それに米製も和製もない、というところは、きちっと反対しないといけないと思います。三菱重工は一人儲けなんですね。
今月の東洋経済が宇宙ビジネスです。これだけ経済雑誌が軍事産業特集をやっています。これから値上がる5銘柄、というような話で、結局これが経済安保なんですね。
東洋経済の宇宙ビジネス、結局、民間需要はなくて、官需ばっかりです。これからも民間需要を、といった時に、地形の変化とか、気象とかしか出てこない。地震予知に役立つとかいう話ですが、よく読んでいくと、かつてアメリカは軍産複合体で、軍事技術のバロック化と言われました。バロック技術のように無駄なものを、いっぱい作り出して、軍事技術で生み出したものが全然民間に転用できない。それに対して、戦後日本は民需中心でやってきたからアメリカに経済で勝った、とかいうのが80年代には言われていました。ところが90年代になって、インターネットでアメリカが先行して、やっぱり軍需で湯水のごとく費やしたお金が、民需に転用されると儲かるという話に、ゴロリと話が変えられた話になっている。サイバーは分からないですけれど、宇宙の方は殆ど実際には民需が無い。それが、どんどん税金で増強されていく。
宇宙から監視して、飛び上がりそうな段階で、チュドンとやる。飛んできたものを捕捉する。こっちから撃ったものを誘導する、全部宇宙衛星なわけです。これを比較的低空の、衛星コンステレーション、で、ボンボン小型の衛星を打ち上げて、それを共同させてやりましょうというようなことで、宇宙軍拡が進められています。
今度の防衛大綱の見直しで、装備の方で花形になってくるのが、AIの軍事利用と、AIで自律的に動く無人機系です。無人機は、ドローンはもちろんのこと、地上、それから水中、というような話をしています。
宇宙の今後の計画かな。こんなにどんどん打ち上げていくという話をしています。これはJAXAの予算も見ないといけない。防衛費だけでなく、多用途とか、軍民共用っていうのは、別の省庁の予算についていたりするんです。隠れ防衛予算も多い。
能動的サイバー防御で、四六時中私たちのSNSも監視するようなこともするわけです。サイバー攻撃で、とくに、敵側の指揮統制システムを麻痺させる。麻痺させたら勝ちなんですね。湾岸戦争の時から、そういうことがやられ始めているけれども、イラクの指揮統制システムを麻痺させる。そのやり方としてミサイル撃ち込むのもあれば、ウイルスを忍び込ませて機能させない。イランの核開発を一回止めたのは、そういうサイバー攻撃だと言われています。
自衛隊の高等工科学校、防衛大学のそういう学科もそうですし、自衛隊の高等工科学校は、中学から行くところです。中学3年生にハガキが届きます。その名簿が、何故、うちの子に届いたんだとか、なんで僕のところに届いたんだとか、問題になっています。その高等工科学校も、サイバー関係の教科をすごく充実させています。そういう学科があります。卒業して自衛官になった後、IT分野で一生食いっぱぐれありません。むしろ、儲けられますよ、というのを売りにして集めようとしています。だけどそういう自衛隊内で育てていったって、限界があります。
5年で今の900人を4000人にしようとしているけれど、足らない。この三角形の裾野の部分を考えてもらうと、これ民間のIT技術者とかです。派遣かもしれません。あるいは民間委託でサイバー関係の企業かもしれません。自分は軍事産業に勤めた気はなかったのに、そういうことに従事するということになるかもしれません。
次が、宇宙・サイバー・電磁波領域の電磁波の部分です。「高効率なビーム集光技術」というのが入っていて、レーザービーム、ウルトラマンの見過ぎか、この人たちは、っていう世界ですけれど。これもずーっと出たり消えたり、出たり消えたりしながら、研究予算がつきます。研究予算がつくと、出来上がろうが出来上がるまいが、大学とかも応募することになります。
今考えているのは、電子・サイバー戦。ウクライナ戦争の教訓化とか言っている。強力な電磁波を出して、ウクライナ軍の指揮統制システムを麻痺させる。今の兵隊さんは、みんな携帯端末を持っていて動くので、ウクライナ兵の携帯端末に、○○時に、××地点集合というニセ情報を流して、集めたところにミサイルを落とす。そういうことはロシアがやっている。アメリカ軍もやっている、ウクライナもやっているかもしれない。そういうことを自衛隊もやりたい。
さらに怖いのは、AIが軍事活用されると言った時に、私たちのスマホの情報が全部軍事活用されたりするわけです。例えばロシア軍をウクライナが止めた。圧倒的に民間の人たちからの、ロシア軍の戦車、今行きましたとか、そういう情報なんですね。中には愛国心に燃えて送った人もいるかもしれませんけれど、ただ珍しいものが家の前を通ったと映した人もいるかもしれません。でもそれは義勇兵なんです。ロシア軍から見たら、義勇兵です。民間人とは見なせません。だから、サイバー義勇兵がどんどん調達されていくことにもなりかねません。
ついでにドローンです。おとといの毎日新聞かな、ウクライナ戦争で女性活躍、ウクライナのドローンを操る女性兵士たち。そんな平素からのサイバー戦になった時には、ほふく前進をする自衛隊ではないイメージになってきます。
領域横断作戦で機動展開では色々ありますよという話です。
指揮統制・情報関連では、総合司令部というのを発足しました。これが、在日米軍司令部の機能強化とリンクすると言われています。
主要事業の一つに、機動展開能力・国民保護というのがあります。この海機動展開力では、自衛隊の海上輸送軍というのを作りました。自衛隊が国民保護にも使えるということで、与那国や宮古にどんどん巨大なシェルターを作っています。ちなみに小池都知事は麻布に作るという構想を持っています。
機動展開するためには、インフラを使えるようにしないといけないというので、特定利用空港とか特定利用港湾が、どんどん指定されました。
防災庁設置の話の裏の顔は、戦災・復興庁です。防災庁は事前から復旧・復興までの司令塔になると言われています。
なんとこれは国家行政組織法の適用外です。デジタル庁なんかもそうですが、省庁横断型で迅速な対応が必要なので、内閣総理大臣を長としているから、国家行政組織法の適用外だ。庁令(ちょうれい)も発することができる。所掌事務に国民保護というのが入っているということは、武力攻撃災害の対処をやると同時に、その際に避難所の提供などに関する強制力を利かせる庁令を出すのではないかとか、いろいろ考えられます。
本当は国会で質問する人がいて欲しいんです。さっきの防空壕、シェルター建設とか、軍事インフラの整備とか。国民保護計画って現代版の疎開計画ですよね。
事後でも国策優先の復興。これ、反原発でも問題になっていると思いますが、福島のイノベーションコースト構想。ロボットとか無人機ですよ。ある意味で現代の軍需産業なんですよ。
見事に石炭から原子力になって、次の軍需産業になる。復興は、元いた人のためじゃない。元の人は戻れなかったりする。硫黄島の住民は強制疎開されても、帰れていません。福島の避難民の人だって、殆ど帰ってない。イノベーションコースト構想の、新住民、新移民の方が多いような自治体もあると言われています。そういうことが、防災庁の名前で進められている。
22年版安保三文書の持続性・強靭性、これは弾薬庫の増強と、自衛隊の要塞化です。
人的基盤の強化、戦傷医療体制の強化。自衛隊員が戦場で傷つくことを前提にした、医療体制の強化が始まっています。血液製剤の話は報道されているからご存知かと思いますが、後方から、いろんな病院に輸送する。入間病院は大きな役割を果たします。入間病院には衛生兵を育てるものも強化されています。
よく戦争映画で傷つくと、「衛生兵!」と呼びますね。ヘルメットに従事した人が走ってきます。ああいう人も増強しようとしている。防衛医大に看護学科があるのはご存知でしょうか。僕、予備校勤務でした。最後の2年ぐらい、よりによって僕の授業を防衛医大の看護学科を受ける子が受講していました。合格しました。防衛医大が普通に受ける大学になってきている。人的基盤の強化といった時に、やっぱり子どもを狙っています。
奨学金で釣る。それから、職業体験で釣る。防災訓練のときに、いろいろやる。ここには職業訓練で来てくれたら、こんなことをやりますと言います。ロープはこんな風にに結ぶんですよ、とか。でも、ちゃんと体力測定があるんですね。
あの手この手をしても、ものすごく自衛隊員は足りません、自衛隊の一番下の兵隊さんが足りません。士と言われるのは、充足率が67.8%です。中途退職者も、2019年度から2023年度にかけて、38%も増えています。
何とか、自衛隊を辞めた後いい就職先がありますよ、ということにしたい。民間企業とか、自治体に入れようとします。危機管理のエキスパートを、あなたの自治体に、あなたの企業にと。23区でも板橋区は、自衛隊員が危機管理課の課長をやっています。練馬は、まだ入れていません。かなりの区で入れています。こうすると、全て平素からのことが自衛隊主導でやられる構造になります。
高市が、どんな軍拡をやっているか。今の国会で国家情報会議の設置法が通りました。今の国家安全保障局が、国家安全保障局と今度できる国家情報局で、首相と官邸官僚として両輪になってやっていく体制が作られているのが一番大きいことです。昔の中曽根風の言い方をすると、大統領的首相という言葉を言いました。そういう体制で両輪になってやっていく体制が作られているのが一番大きいことです。
次に国家情報局は、情報組織の親分であるだけではなくて、情報操作をする。内閣情報調査局はマスコミを集めて、こんな方向の報道で行ってくださいとか、いうことをやってきたわけです。
60年安保の反省で、マスコミに対するいろんな工作や、若手の学者とかを集めて情報提供をする。ちなみに今、テレビは防衛研究所と慶応の法学部に、完全に占領されていると思いませんか?ニュース番組見るとウクライナであれ何であれ、慶応の法学部の教員が、防衛大学の教員に行って、戻ってきてとか、ルートが作られています。予備校の教え子で、慶応の法学部に行ったけれど、入りたいと思っていたゼミの先生が防衛大学に行っちゃった、とか。国際政治マターで普段、僕らが調べられないようなものも提供されるから、学者としては嬉しかったりする訳です。だけどそれが紐づくんですね。
そういうことを、内閣情報局は、ずっとやってきた。そういうのが、調査室から局になるわけです。しかも、サイバー戦で偽情報対策ということは、逆に、自分たちに都合がいい情報を流すということです。安保三文書改定見直しの有識者会議に、AIとか半導体とかの理系の学者もいます。有識者会議に、フジ産経が入るのは当たり前ですけれど、なんとその人は、アニメをやってきた人です。コンテンツ、いかに普段から、政府の言うことを支持するような、情報を刷り込ませるようなところを本気で考えている。その中心です。
あのロシアには対外諜報庁という名前のものがあります。本当にプーチンの真似かという、「諜報国家ロシア」という中公新書があるけれど、諜報国家日本にしようとしている、その親分が国家情報局ですよ、というのが一つです。
危機管理投資という言葉とか、成長戦略とか、これは全部、軍需・軍民共用技術関連の産業育成です。軍需産業を育成したら市場拡大をしないといけないですから、武器輸出です。
高市は、存立危機事態発言で日中新冷戦状況を作り出しました、これはかなり長く続くと思います。100円ショップに置かれているようなものについては、別に、日中だって、米中だって、グローバル経済なんですよ。軍需とか軍民共用技術のところのサプライチェーンは、絶対中国排除の線も、僕は変わらないと思います。そういう経済安保が、かなり今度の国家安全保障戦略では強調されます。
防衛力の抜本的強化から、総合的国力強化が前に出ます。ウクライナ戦争の教訓化という形で、国家安全保障局が、第1回有識者会議に資料を出しています。イラン戦争の教訓も入れると思います。
新しい戦いはAIの軍事利用です。これは指揮統制と自立型AIです。自分で敵を見つけて攻撃する。でもAIがその場で判断するわけではありません、それ以前の膨大なデータがあってやる話です。それでも、イランの女子小学校を爆撃してしまう。ピンポイント爆撃なんて、実は重慶爆撃の時に非難された日本が、「いいえ、蒋介石だけを狙っています」と答えた。ずっと同じです。軍隊の言っていることって変わらないです。
膨大な情報が必要で、それこそイランの最高指導者の日常生活を全部、宇宙から監視する。あるいはスパイを入れたり、エージェント作ったりする。それは本人たちだけではなく、その家族や運転手さん。運転手さんの日常を追いかけていくと、どこを何時頃にその車が移動するとか、そういうのが全部あって、あのジュドンがあるわけです。そういう戦争を考えている。
子力潜水艦は明記されませんでした、とかいう風に、そっちが大きく報じられます。でも、2018年から敵基地攻撃力でしたよ、というのと同じで「次世代の動力」の導入を検討、という言葉が入る。いいものに関しては、検討はしないということです。こと防衛に関して言うと、「検討」というのは「やる」ことを、すでに決めている、ということです。「次世代の動力」という名前で今回入ったということは、原潜を持つということです。非核三原則の「持ち込ませず」も、維新はアクセルを踏むと言っています。
怖いのは、有識者会議の議論の項目に、財政が入っています。戦時になった時に、どんな財政を作るのか。教え子にロシアの財政の専門家がいます。平井さんといって、今年から専修大学に移りました。彼の話だと、ロシアより今の日本の財政状態が悪いということです。ロシアは、あれだけ戦争し続けている。今の日本の財政だったら戦争を続けられません。高市は継戦能力の向上――戦争を続ける能力の向上と言っている。それは、ロシアみたいに4年も戦争をすることを考えている訳です。弾切れにしないように、財政を持つように、ということです。
緊急事態条項追加改憲のイメージ案というのを、この前自民党が出しました。その中にも、ちゃんと財政が入っています。戦時の財政まで考えています。そんなことが次の国家安全保障戦略ではバンと出て、軍事的には新しい戦いでAIと無人機だと思います。
もっと大きな変化は、対中国版の、アジア版NATOを作る気です。アメリカが引く。はいはいアメリカさんに引いてもらっていいですよ。日本とオーストラリアとフィリピンで、そのうちベトナムも入れて、任せておいてください。大リーグで活躍する大谷翔平型ナショナリズム、と言った練馬の仲間がいます。アメリカと一緒にやると。その中でむしろ主役として活躍する。ガザとかパレスチナのことやってきた人は、よく東のイスラエルか、と言います。
まるでプーチンのような国と言いました。衆議院の比例議員削減の動きがありますが、プーチンはよくやってきたんですよ。選挙制度をころころころころいじるんです。この衆議院議員の議員削減で、護憲政党が完全に消滅することに多分なると思います。こういう状況に対して、自衛隊がどうなるかというだけではなく、装備がどうこうではなくて、戦争をやる国家にする。あんまり戦前回帰みたいな言い方はしたくないですけれど、現代版の総力戦体制作りに本格的に突入すると思います。それとの対決を、共に戦い抜いていければと思います。