どうしようも内閣、アナクロ内閣、不適切にも程がある内閣、過去からきた内閣、節操ない閣・・・。
よりにもよって2025年10月21日、国際反戦デーであるこの日に高市内閣は誕生した。この新政権に、ふさわしい名はないものかと、考えあぐねた結果、思いついたのが上記のネーミングの候補たちだった。つまりは極右ファシストをかき集めた、戦前回帰内閣だ。
この10年、激動続きの政治闘争を闘い抜いてきたが、今さらに大きく政治が動こうとしている。ガザへのジェノサイドから2年になる10月7日を前後して全国各地でデモが行われた。東京では7日に渋谷に1400名以上が集まり渋谷一体を圧巻させた。
その翌日、飛び込んできたニュースは「首班指名を玉木氏に一本化か」というものだった。高市政権を誕生させないための案であるとは思うが、玉木氏とは決定的に政策、目指す方向が違う。一体どうなることかと思った矢先、相次いで国民民主党代表の玉木氏、幹事長の榛葉氏が「首班指名の玉木氏一本化」を否定するコメントを出した。あれだけ首相になりたかった玉木氏にとっては千載一遇のチャンスではないか。それがいざチャンスを目の前にして尻込みするとは、情けない限りである。「対決よりも解決」と言いながらも結局のところ、自民党という大きな権力に立ち向かうことが出来ない、口先だけの政党だということがはっきりした。
そして立て続けに政局は動いた。今度は公明党が連立離脱を示唆するものだった。そのニュースが入ってきた時、多くの仲間は「そうは言っても所詮は下駄の雪。党の存在をアピールし揺さぶりをかけているだけだろう」と思ったのではないだろうか。しかし多くの仲間たちの予想に反する形で「所詮は下駄の雪」の公明党は10月10日の午後、自民党との連立離脱に踏み切ったのだ。
岩盤保守層の離反を食い止めようと自民党が極右に舵を切った。それが総裁選での高市の勝利の決め手となった。
自民党の大軍拡に福祉切り捨て、そして骨の髄までの金権体質に手を貸しかしてきた代償としての党勢の衰退が、高市氏の登場によってダメ押しされようとしていた。公明党にとって起死回生をかけた連立離脱だった。しかし私たちはあくまでも公明党の延命のためのパフォーマンスであることを見抜いておかなければならない。
2015年安保闘争時、国会前で度々創価学会の旗を見かけた。2015年安保闘争時、国会前で度々創価学会の旗を見かけた。その頃の創価学会内では安保法制に対する賛否は拮抗しており、反対側は増える傾向だったそうだ。しかし結局のところ自民との連立の旨みを捨てられない指導部が押し切った。この時「平和の党として戦争法には賛成できない」として連立を解消し戦争法反対に回れば安保法制の成立はなかったし、今の大軍拡という状況は生まれることはなかったはずではないか。
安保法制や安保3文書を巡って公明党はブレーキをかけてきたと自己弁護しているが、結局ブレーキはかけたが減速し障害物をかわしてから自民とともにアクセルを踏み込んできたのが実態ではないのか。アベ政治のれっきとした共犯者であり続けてきたことの責任をどうするのか。
金権政治の自民と潔く手を切ったとクリーンさをアピールしようとしているのだろう。いま公明党は「政治とカネの問題は公明党の一丁目一番地」だと言っているが、それでは戦争と平和の問題は二丁目なのか?と問いたい。本気で「平和の党・福祉の党・クリーンな党」に戻ろうとするのならば「下駄の雪」とまで言われながら自民党の別働隊になってきた四半世紀をまず自己批判すべきではないか。
いくらでも連立解消のチャンスがあったと煮え湯を飲まされてきた側からすると、思うところは数えきれないほどあるが、それでも「政治とカネ」の問題で踏みとどまり連立解消に踏み切ったこと自体は評価したい。
今後の付き合い方に関しては右に行かないように「良心」に訴えて左の右でいいから繋ぎ止めることなのかもしれない。
公明党の連立離脱、石破氏の80年所感を根底で突き動かしているものは、社会が戦争と差別排外主義が渦巻く地獄に変えられようとしていることに対するマグマのような怒りに他ならない。その怒りのマグマはまだ自分の言葉を手にできず、のたうち回っている。私たちの言葉がこのマグマの言葉になる時こそ「山が動く」ような地殻変動が始まる。
反動政治、金権政治、カルトと一体政治の体現である自民党への広範な包囲網を作り出そう。
高市政権が誕生し、テレビでは「憲政史上女性初の総理大臣」が叫ばれている。
高市政権が誕生した当日の夜、秋風とは言えない寒風吹き込む東京・有楽町では怒りに持ち満ち満ちた女性たちが、「家でテレビを見てくさくさしてるわけにはいかない!」と大勢が駆けつけた。そして「こんな形の“女性初”は歓迎できない!」という声が有楽町に響き渡った。
ジェンダー平等の実現のため、市民運動も労働運動も力を尽くしてきた。それは、女性が働きやすい環境は男性や障がいがある人にとっても働きやすく生きやすい社会に直結するからだ。それを、自民党総裁になった直後の演説で「ワークライフバランスを捨てて働いて働いて働いてまいります。自民党の皆さんにも馬車馬のように働いてもらう」と高市総裁は公言した。
この言葉は自民党だけに限らず日本の市民に対して、「女が何かを得るためには、すべてを捨てて『男並みに』働かなければならない」と言われているに等しい。これでは「欲しがりません勝つまでは」ムード満載の、悲壮感漂う敗戦間際のかつての日本のようではないか。スタート時点でこのような様子では、とてもではないがジェンダー平等が前に進むどころか、一気に後退する恐れが強まっている。
三下り半を突き付けられた公明党の代わりに、下品で粗暴な維新の会が自民党の新しい相棒になった。さすが「第二自民」と名乗るだけのことがある。自民のピンチにはすぐに駆けつけ、権力の維持と延命に力を貸した。表では散々自民の批判をしていても、所詮は維新の出発点は自民党。維新の会の正体が暴かれたに等しい。
自民と維新の連立合意文章の中にもそれはしっかりと表れていた。改憲、原発推進、高齢者切り捨ての医療改革、大軍拡、選択的夫婦別姓の否定など、自民党よりも自民党らしい内容が書き連ねられていた。公明党がいなくなったことでより右にアクセルを切り、N国党や日本保守党、そして参政党などウルトラ右翼ファシストカルト政党すべてを抱き込んで、左ブレーキがない暴走車となって市民生活と未来をぶち壊しにやってこようとしている。
私たちは今こそ、真っ当な野党と広範な市民と労働運動家たちと手をつなぎ、この暴走車を止めに立ちはだからなければならない。アベ政権との闘いで築き上げてきた信頼と実績と継続的な市民運動の草の根の広がりは、まさに今日の政治情勢に打ち勝つために作ってきたと言っても過言ではない。
高市政権誕生の夜、東京・有楽町に「ジッとしているわけにはいかない」と言って駆けつけた仲間たちの情熱と闘争心をさらにさらに広め、誰一人切り捨てない、差別しない、安心して未来を想像できる社会の実現のために憲法を思いっきり実践していこう。
今こそ立ちあがるときだ。軍拡が進む、沖縄・西日本をはじめとする全国の仲間と繋がり合い、ファシズム連合政権を短命に終わらせるために頑張ろう。 闘いはここからだ。 (事務局長 菱山南帆子)
高田 健・共同代表
24年の衆院選、25年の参院選で自公与党は両院で少数派に転落した。この総括の過程で、とりわけ裏金政治の責任の取り方を巡って、公明党が自民党に不満を抱き、同党は連立政権から離脱した。実に26年ぶりの事態だ。自民党の党首選挙では高市早苗氏が小泉進次郎氏らを破って総裁になった。立憲民主党は政権交代、野党連立政権樹立を目指して動いたが、国民民主党の玉木雄一郎代表が同調せず、政権交代構想は潰えた。
11月21日、臨時国会で女性初の首相を謳い文句にして高市早苗政権が発足した。維新の会の閣外協力による少数与党の連立政権で、国会の首班指名選挙では衆議院では無所属の6名が高市氏に投票し、かろうじて過半数を獲得したが、参議院では高市氏は過半数に至らず、立憲民主党の野田氏との決戦投票で勝利した。新総裁のもとで裏金議員の萩生田晃一氏が復活しただけでなく、内閣の副大臣や政務次官に続々と裏金議員が復活した。まさに第3次安倍政権の様相を示している。
これに先立って20日、自民党と維新の会は12項目(①経済財政関連施策 、②社会保障政策 ?、皇室・憲法改正・家族制度など ④外交・安全保障 ⑤インテリジェンス政策 ⑥エネルギー政策 ⑦食料安全保障・国土政策 ⑧経済安全保障政策 ⑨人口政策および外国人政策 ⑩教育政策 ⑪統治機構改革 ⑫政治改革)の連立内閣の政策合意に調印した。これらは従来の自公政権による政治を一層悪化させ、憲法を破壊し、戦争する国にむけて、大軍拡の前倒し、スパイ防止法の制定など、悪政の企てが山積で、戦後歴代政権と比べても最悪の危険極まりない内閣になろうとしている。そしてこの連立合意の内容に、国民民主党、参政党、日本保守党、N国党など極右勢力がほとんど同調している実態は危険極まりない。
この原稿を書いている23日時点ではまだ高市首相の所信表明演説は行われていないが、以下、連立合意の主な問題点を合意書に沿って列挙し、検討する。
【経済財政】ガソリン税の暫定税率廃止法案は既に前政権下で約束されており当然だが一方で、円安・物価高が庶民の生活を襲い、防衛増税のために所得税、たばこ税などの引き上げがくわだてられていることは見逃せない。
【社会保障】保険適用の除外の薬剤自己負担の見直し、高齢者も含めた全世代一律3割負担を導入し、なうての片山さつき財務相のもとで社会保障を切り捨てる方向を進めようとしている。
【皇室】安定的な皇位継承のためと称し、「養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする」案を第一優先に、皇室典範改正を目指すとしていることは、時代の流れに逆行して天皇制の復活・強化をめざすものだ。
【改憲】自民党の安倍派などがくわだててきた「戦争する国づくり」のための憲法改悪は、国会内外の平和・民主主義勢力の粘り強いたたかいで、阻止されてきた。これに不満を持つ改憲派は「戦争できる国づくり」を実質的にすすめることで壊憲を進めながら、一方で明文改憲をあきらめず、明文改憲策動を進めてきた。高市政権は憲法9条改正と緊急事態条項導入について、両党の条文起草協議会を設置し、26年度中に条文案の国会提出を目指し、憲法審査会に条文起草委員会を常設すると、これまでの国会と憲法審査会での議論の経過を無視して明文改憲を強行しようとしている。
【ジェンダー】同一戸籍・同一氏の原則を維持し、来年の通常国会で旧姓の通称使用法制化法案の成立を目指すとしているのは、選択的夫婦別姓制度の導入という国際・国内の世論の本流に逆らうものだ。
【国旗】あらたに「日本国国章損壊罪」を制定するとしているのは、軍国主義の復活に道を開くものであり、これは表現の自由という人権問題になる可能性が濃厚だ。
【外交・安保】予想される米国のトランプ政権の厳しい対日要求に対応すべく、政府・防衛省は22年に岸田文雄政権の下で決定した安保障関連3文書を早々と2年前倒して改定し、軍備増強の速度を早めようとしている。反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つ長射程ミサイルの整備および陸上展開の着実な進展など軍事力を飛躍的に増強すると同時に、「次世代動力を活用した潜水艦の保有」を推進するとしているが、これは本年9月に「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」(座長・榊原定征元経団連会長)が提唱している原子力潜水艦の保有に道を開くものだ。これは西太平洋の軍事的緊張を極度に高めるに違いない。くわえて防衛装備移転三原則の運用指針の制限を緩和し、より自由に武器の輸出を可能にするよう進めようとしている。この流れで、軍事費の対GDP比3.5%~NATOなみの5%まで引き上げる企ても現実のものとなりつつある。【インテリジェンス】27年度末までに対外情報庁(仮称)と情報要員養成機関を創設するとし、戦争準備の諜報活動の強化のためのインテリジェンス・スパイ防止関連法制に関し、法案の年内検討開始しも視野に入れ、早期に成立させる、という。そのうえ内閣情報調査室を格上げし、関係各機関を統合的に運用するための「国家情報局」(日本版CIA)を創設する計画だ。
【エネルギー】「安全性確保を大前提に」という弁明付きだが、原発の再稼働を進める方向だ。自然エネルギーの太陽光の適正な利用ではなく、原発依存を促進するために大規模太陽光発電所(メガソーラー)を法的に規制する施策を実行するという。メガソーラーの弊害と、自然エネルギーの活用は区別されるべきものだ。
【人口、外国人政策】先行き不可避の問題となっている人口減少問題について、政府に人口減少対策本部(仮称)を立ち上げる。ルールや法律を守れない外国人に厳しく対応するとして、おどろくべき差別・排外主義の横行を容認し、国家レベルで対策を推進する。外国人への敵意をあおるために、外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を盛り込んだ「人口戦略」を26年度中に策定。内閣に司令塔としての担当大臣を置く。いたずらに外国人への敵愾心をあおり、排外主義を正当化するために来年の通常国会で海外からの投資を厳格に審査する「対日外国投資委員会」創設を目指す。こうした差別・排外主義の進行と戦争国家化は深く結びついている。
【統治機構改革】維新の要求を受け入れ、地元の民意を無視したまま、首都および副首都の機能を整理し、来年の通常国会で法案を成立させる。
【政治改革】従来、「企業・団体献金の禁止」を政治改革の1丁目1番地としてきた維新が、連立政権実現のために突然「衆議院定数削減」にすりかえたことは党利党略の方針転換で許されない。日本は諸外国から見ても議員定数が多いわけではないのに、「身を切る改革の実施」などと偽装した議員定数の削減にとりくみ、1割を目標に衆院議員定数を削減するため、臨時国会に議員立法で法案を提出するとした。これによって、有権者の声が国会により届きにくくなり、議会による行政府(政府)の監視機能が弱まり、内閣独裁が強化される。政党法について検討を進めるとしたのは危険で、すでに共産党の機関紙「赤旗」まで「財政制限」の対象にするというトンでもない声が聞こえてきている。
高市政権はこれらの極めて危険な政策を、国民民主、参政党、日本保守党、N国党などのオール極右政党の支持を得ながら当面の臨時国会と次期通常国会で強行していく構えだ。まさに極右政権だ。この政策が実現すれば、この国はとんでもない国になる。
それにしても1諸外国の報道では常識の「極右」という言葉を日本のメディアは使用せず、「保守派」などと表現していることは度し難いことだ。
国会は自民党など特定政治勢力が勝手に私物化していいものではない。「戦争と平和の問題」でも、人びとの暮らしの問題でも、党利党略で動かそうとする、この高市極右政権に対して、憲法と立憲主義の立場に立つすべての政党と民衆運が共同・連携して対抗し、一刻も早く打倒することこそ、私たちの当面の緊急の任務になった。
松岡幹雄 @とめよう改憲!おおさかネットワーク
10月19日、京1都府精華町けいはんな公園芝生広場で、長距離ミサイル弾薬庫の増設に反対する祝園全国集会とパレードが開催されました。7月に実行委員会を結成し、準備の会合を重ねこの日を迎えました。遠方からは、バスもチャーターされ午後の集会には2700名を超える参加者で会場は一杯になりました。
集会前日18日には「全国交流集会」が開催され全国各地から140名が参加し交流を深めました。冒頭歓迎のあいさつで、呉羽真弓さん(10.19祝園全国集会実行委員長)は「それぞれの地で生活し、抗い続ける人たちの声を直接聞き、ともに考え、行動することが今何より必要。2度と戦争しない思いを共有し、新たなスタートとしたい。」と述べました。主催者挨拶を具志堅隆松さんが行い、「私たちはこの国の主権者。この国が進む方向を決めることができるはずだ。頑張り抜こう」と力強く決意が述べられました。木本茂夫さん(すべての基地にNOを!ファイト神奈川)が「拡大する日米、豪の軍事行動」と題して基調報告を行ない、各地からは軍事拠点化が進む実態報告が相次ぎました。
「人こそが国だと思う」「守るべき国は日常そのものです」
前日からの雨もやみ「祝園全国集会」が午前11時から開催されました。集会は、2部構成。第1部ではPeace フェスと題して~声高に「平和」を語るより、いろんな人が小さな平和の思い(カケラ)を持ち寄って、パズルのように平和を創りあげたい~との思いからの音楽フェスです。オープニングは月桃の花歌舞団、出演は太田悠晴・Kinoko Beats(ラップ)、島唄ユイ、ゆい(牧至徳さん)、ジミケン(ピアノ弾き語り)、Pub(ロック)、裏猫キャバレー(ロック)、川口真由美(歌とギター)と多彩なメンバーの熱演に会場が一体になりました。
午後1時からの第2部は、祝園・全国リレートークです。まず主催者を代表して実行委員会長の呉羽真弓さんが挨拶。呉羽さんは、「このけいはんな公園の隣が自衛隊の分屯地。日常的な憩いの場所で訴えたいと思い準備してきた。平和を求める活動をせねばと思う人たちが繋がった。そして今日、石垣島から大分、熊本、広島、関西、愛知、神奈川からこの会場に集まった。いま、新たなスタートです。」と開会宣言を行いました。
各地アピールのトップは、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会の藤井幸子さん。藤井さんは、「今年12回米軍が入ってきた。明日から自衛隊の統合軍事演習が始まる。米国の対中覇権戦争のためです。私たちは主権者です。この国を戦争する国にするわけにはいかない。私たちは戦争をしないと宣言したのです。戦争をさせないことは主権者の役割です。声をあげよう!ミサイルよりも外交を!」と訴えました。
大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会の池田年宏さんは、「大分と祝園はまるで双子。80年前の戦争で2000万以上の人びとを殺してきた。南京大虐殺もそう。そこには大分から京都からも行った軍隊が大虐殺を行っている。戦争がそういうものならば、私たちは戦争を止めさせねば。ミサイルはいらない!」と訴えました。
平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本の海北由希子さんは「もっと女性が頑張れば世の中は変えることができる。保守王国の熊本でそれを感じる。8月、健軍基地へのミサイルが配備が発表された。その日に県庁に行き抗議の申し入れを行った。しかし、県庁には入れず一階で要請書を渡すことになった。自治体って何のためにあるのか?国の暴走を止めるのが自治体ではないのか。市民運動を出番だ。」と訴えました。
ピースリンク広島・呉・岩国の新田秀樹さんは、「1989年ピースリンクを結成し核トマホーク配備に反対してきた。いま、自衛隊がトマホークを持とうとしている。大変な事態が進行している。岩国基地に米陸軍中距離ミサイルシステム・タイフォンが展開している。呉基地が自衛隊の輸送拠点となろうとしている。自衛隊は、このけいはんな公園の5倍の面積がある新日鉄の跡地を手に入れ軍事拠点にしようとしている。全国が繋がり軍拡とめよう!基地も弾薬庫もいらない!声を上げよう」と訴えました。
神戸港の軍事使用を許さない9.28市民集会実行委員会の中村伸夫さんは、「非核平和方式がつくられた節目の50年。しかし、米軍艦船ウオーリアが証明書内に入港した。祝園、全国と連帯し闘いつづける。」 と訴えました。
不戦へのネットワーク山本みはぎさんは、「三菱重工小牧北工場でミサイルを作っている。F35戦闘機の最終組み立てもやっている。日・英・伊は次期戦闘機を共同開発し輸出しようとしている。軍事産業育成法で三菱は膨大な利益を得、死の商人になりつつある。ミサイルは憲法違反!ミサイル作るな!配備するな!の運動を強めよう」と訴えました。
すべての基地にNO!ファイト神奈川の木元茂夫さんは「1995年少女暴行事件を機に結成した。横須賀の艦船が3回目の台湾海峡通過をした。230発の機雷を敷設できる軍艦がアメリカの戦略に従って訓練している。挑発行為は止めるべきだ。」と訴えました。次に京都総評の梶川憲議長は、「祝園基地へむけミサイルが街を通過する。京都が軍事要塞化しようとしている今声上げる時だ。二度と戦争しない決意で労働組合運動が始まった。立場の違いこえて闘おう」と訴えました。つづいて地元関西各地の報告に移り、京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークの真崎一伸さんは、「まだまだ住民の多くにミサイル貯蔵の全貌が知られていない。住宅地での署名も集まらない。無関心より実態が知らされていない。しかし、中国に届く大型ミサイルが配備されることを知らせると反応が変わる。署名運動を一気に広げていこう」と訴えました。同じく祝園・奈良の会の佐川愛子さんは、「はじめて話を聞いた時、驚いた。4キロ先に弾薬庫があるなんて。文化財を守らないと、とすぐに思った。奈良市や生駒市も守る立場に立ってもらわないと。国宝級の文化財が残っているが、先の戦争で大きな影響があったことが分かっている。平和でこそ文化は香り立つ!がんばろう!」と訴えました。
>p> 憲法を生かす・平和のための舞鶴ネットワークの名取哲夫さんは、「本日は20名で参加した。2026年30億円かけて自衛隊基地が立て替え大工事に入る。日本が戦場になっても自衛隊は生き残ろうというのだ。2隻のイージス艦にトマホークを配備する。12億円がかかる。私たちは、海上自衛隊基地強化を許さない。」と訴えました。あいば野に平和を!近畿ネットワークの稲村守さんは、「40年も闘ってきた。日米合同軍事演習反対運動、何度やっても何度やっても反対運動集会とデモの積み重ねだった。あいば野では、この10年で5回もの『場外乱射事件』を実弾でやらかしている。明日から自衛隊史上最大規模とも言われる統合演習がはじまる。あいば野での演習を止めることができた。かつてない快挙だ。闘い続ければ展望は開ける。あきらめずに平和を求めて闘い続けよう!」と訴えました。
精華町民の島本真梨子さんは「一住民として言いたい。有事の際、真っ先に攻撃対象になる。不慮の事故も心配だ。農業・文化事業、知的環境もすばらしい精華町。守るべき国とは日常そのものではないのか。人こそが国ではないのか」と訴えました。アピール最後は、交野・憲法とくらしを考える会の志水博子さん。志水さんは「集会参加は、京都や奈良の人が多いと思う。大阪ではまだまだ知られていない。もっと多くに人々に知らせて行こう。」と決意が述べられました。
具志堅隆松さんが「日本は本当に戦争になるかもしれない。これに抗う人々に中谷防衛大臣は妨害者と言った。とんでもない。戦争をとめたいだけだ。今日、私たちは絶対に戦争させない決意を固めよう」と最終トークを行い、集会を締めくくりました。最後に「政治的立場の有無、支持政党のある無し、思想信条の違いを超えて、戦争の加害にも被害にもなりたくない!長射程ミサイル反対!と声をあげたい」「大軍拡・戦争準備に反対する全国の皆さんと繋がり、手を取り合い、戦争準備への道を押しとどめましょう。」という集会宣言が提案され拍手で採択されました。
終了後、「ミサイル弾薬庫増設反対!」「命を守ろう」「暮らしを守ろう」「平和を守ろう」とコールし公園の外周、住宅地をパレードしました。翌20日には「祝園ネット」「沖・西ネット」の連名で自衛隊の統合軍事演習の中止を求める要望書を防衛省近畿中部防衛局に提出し18日からの連続行動を終えました。
海渡雄一さん(弁護士)
(編集部註)9月27日の講座で海渡雄一さんが講演した内容を編集部の責任で要約したものです。要約の責任はすべて本誌編集部にあります。
「スパイ防止法案は世界を敵と味方に分け、戦争への道を開く法律だ!いまを新しい戦前にしないために」と最初のタイトルに書きました。そのためには、こういう法律を絶対作らせてはいけないというお話をしたいと思います。
この写真は、僕が『戦争する国の作り方』という本を2017年に出版した時に表紙のために毎日フォトサービスから売ってもらった、1941年(5)月の銀座通りの写真です。1941年は、暮れに太平洋戦争が始まった年です。もう大陸では日中戦争が始まっているけれども、日本国民全体は、中国で戦争をやっているという意識だったと思うのです。この半年後には大きな戦争が始まる状況の中で、この写真を見てもらえばわかりますが、「スパイに警戒せよ」「人に漏らすな」「謀略にかかるな」「宣伝に乗るな」とか、みんな口にマスクをし、何も喋るな、という雰囲気です。
こういうことが言われ始めると、半年後には大戦争が始まります。今、世界中で戦争が始まっているので日本がそれに巻き込まれていく前兆ではないか。
正義のための戦いなんてどこにもないのだ。
正義はとても不安定なもので、ある日、突然逆転する。
逆転しない正義とは献身と愛だ。
それも決して大げさなことではなく、
眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、
その人に一片のパンを与えること。
(やなせたかし『 アンパンマンの遺書』より)
これは、今のガザの悲惨な状況を見ていても、ガザに一生懸命食料を届けようとしている人たち、それに対してドローンを撃ってきたりしている。あれこそが正義を貫こうとしている人とそれを妨害している人の姿じゃないかという感じがします。
「日本をスパイしている人間をなんであなたは野放しにするのか」などと言って、僕のTwitterとかFacebookに絡みついてくる人がいます。それに対して、どう打ち返していくのかを考えた方がいいと思います。
スパイ防止法は、世界を味方と敵に2分する考え方です。A国のB国に対するスパイ行為がうまくいった場合には、この行為はA国においては、銅像が立つような英雄的な行為です。一方で、対象とされた国で検挙されたら、死刑になるわけです。
例えばゾルゲという方がいました。この方はドイツ人でナチス党員の資格があって、日本にジャーナリストとして来ていましたが、ソビエト共産党員だった。その身分を隠して日本に来て、近衛さんの側近にまで入っていって、相当機微な情報まで掴んで、それをソビエトに無線で送っていた。それは、ほぼ間違いなさそうです。彼は捕まって、日本で死刑になります。尾崎秀実さんと一緒に処刑された。
戦争中や戦争が終わった直後ぐらいは、ゾルゲさんは、ソビエト・ロシアからは「全然そんな人、知りません」と言われていた。けれども歴史が経ると、彼は今、英雄です。ソビエトからロシアになっているけれども、英雄になっているようです。
このように、各国の情報機関が行う行為は、自国の安全保障戦略のためですが、それは敵から見ると、スパイ行為ということになります。
今回出てきている法案の中に、自国の情報機関メンバーの保護が出ています。自国のスパイは保護するという、露骨ですけれどもそういうことも入れた法案が出てくる可能性があります。
スパイ防止法が罪に問うている行為は、人間社会において普遍的に罪とされているような、例えば殺人とか窃盗とか、どの社会においてもやってはいけないものではなく、時と立場によって簡単に逆転してしまうような性質の行為で、しかも逆転してしまいかねない正義を厳罰で守ろうとするもの、それが、スパイ防止法案だと考えてもらうと、分かりやすいと思います。
しばらくは「あんぱんロス」の世の中が続くと思いますので、「逆転してしまう正義だ」というと、なるほどと思ってくれる人が少し増えるかもしれません。
スパイ防止法制定は、70年代頃からやっていたという証拠があります。その頃から統一協会・勝共連合がやってきた悲願と言える法律制定運動です。
最初に各政党が、この参議院選挙において、どんな公約を掲げたかを見ていきたいと思います。
まず、参政党の神谷代表は、7月22日の記者会見で、秋の臨時国会にスパイ防止法案の提出を目指すと言っています。法制局とも相談しながらと言っていますが、議員法制局は違憲審査があまり厳密に行われていないように見えます。そこは非常に危惧される点です。国民民主党は、9月11日にワーキングチームを開いて、既に案がまとまりました。
<自民党>
自民党の選挙パンフレットには何も書いていなかったので、スパイ防止法について「自民党は記載なし」と書きました。そうしたら、すごくよく調べてくださる方が「政策インデックスという中にはちゃんとスパイ防止法が書いてあります」と言うのです。確かに書いてありました。全然目立たない「全ての不安と脅威に立ち向かって、安全安心な社会を築きます」というところに、闇バイト、国際ロマンス投資詐欺、オンラインカジノに並んでスパイ防止法が出ています。ちょっと変で、無理やり高市さんたちが押し込んだのじゃないか、という感じがします。
<国民民主党>
実は国民民主党の動きが一番で、国民民主党は「うちこそ本家だ」と言っていて、やると思います。参院選の公約パンフレットにはこう書いてあります。
G7諸国と同等レベルの「スパイ防止法」を制定します。今の日本には、スパイ行為を包括的に処罰できる法律が整っていません。また、近年ではサイバー空間を含む新たな諜報活動が国際的に活発化しており、従来の法制度では対応困難な状況です。こうした現状を踏まえ、国家機密保護や安全保障体制の強化という観点から、サイバー空間を含めたスパイ行為全般を処罰対象とする、実効性の高い包括的な法整備を進めます。 G7と同等のスパイ防止法があるかないかというのは大問題です。我々が大反対した特定秘密保護法は、統一協会が中曽根政権時代の自民党に頼んで出そうとした法律の大半を実現してしまった法律です。今時何でスパイ防止法と言うのかと思っていたのですが、公約を見ていくと、198(5)年の法案には含まれていなかったようなことが、たくさん出てくる可能性があると思います。
国民民主党のスパイ防止法案は、3法案が出てくるらしいです。9月2(6)日付けの朝日新聞にワーキングチームの中間報告書案が載っていました。外国勢力の日本国内での活動の登録、公開、インテリジェンスに特化した独立機関の創設などを盛り込んでいます。複数の法案をパッケージにすることで、玉木さんは臨時国会への法案提出を目指すとはっきり言っています。
朝日新聞の報告案で説明しましょう。
(1)外国勢力の活動透明化法案 外国勢力というのは何かよくわかりませんが、これの国内活動を登録して、公開していく。そして、この登録について審査監督する機関を設ける。外国勢力の日本国内でのロビー活動、資金源、保有資産を登録し一部公開する、なんていうことが書いてあります。
中国や北朝鮮やロシアと関連しているような企業や団体、そういうものがみんなリストアップされて、そこの活動内容を定期的にアウティングしていくということで、排外主義を煽るようなことをやるための法律という感じがします。
(2)国家戦略立案能力強化・コミュニティ改革法案
「政府にインテリジェンス戦略の策定・公表を義務付ける。独立したインテリジェンス機関を設ける」とあります。インテリジェンスと言いますが、情報機関です。日本に中央情報局、CIAのようなものを作る。CIAはどんなに恐ろしいものかは、最後にお話しします。
(3)インテリジェンス関係者安全保護法案
これがスパイ防止法案だなと思います。日本国がスパイ行為をやるために、スパイをやっている人を守ると言っています。
「関係者の安全を確保するため、仮想身分による活動を保障する」。その人の名前とか、確かにアメリカの映画などで、ソーシャルセキュリティナンバーまで別の番号が振られていることをやっている。あれと同じことをやろうとしている。まさに謀略機関としての情報機関を日本が持つ提案で、相当恐ろしい法律案だと思います。
これらの国民民主党案が必ず出てくると見なければいけません。
<日本維新の会>
他党の案と一部重なっていますが、安全保障についてです。
「・米国のCIAのような『インテリジェンス』機関を創設するとともに、諸外国並のスパイ防止法を制定し情報安全保障を強化します。」としてCIAのような、とはっきり書いてあります。
「・海外からの投資を呼び込みやすい環境を整備し、自由で開かれた貿易投資を実現すると同時に、経済安保・技術流出防止の観点から、我が国の安全を脅かす投資については、実効的かつ機動的な対応を行える立法措置を検討します。」
「・現行の経済安全保障法制の実効性を担保するため、わが党が提出した経済安保実行化法案に盛り込んだ罰則の適用や実施能力の強化等、具体的な措置の拡充を行います。」
経済安全保障法ができているが、これは生ぬるいというわけです。もっとどんどん罰則が適用できるような形にしなきゃいけないということです。
防衛施設周辺や国境離島の土地等が外国人・外国企業に購入され、我が国の安全保障を脅かす事態が生じていることに鑑み、国家安全保障上重要な土地等の取引等については厳格に規制を強化します」
制法はできましたけれども、取引の規制はしていません。取引の規制をしないで、その地域の周辺に住んでいる人やそこに定期的に訪れてくる人を監視する法律です。僕らは、おかしいなとは思っていたけれども、ついに本丸というか、外国人は土地を買えなくする。でも、おそらく、アメリカ人は買えるけれど、中国人は買えないようにすると思います。外国人をはっきりと二色に分けるのではないかと思います。まさに、ここでも敵国と味方を分けるような発想があると思われます。
新の会の党内議論をリードされている、前原誠二さんが、9月1(6)日、日本維新の会の党会合で、「ウクライナの状況を見るとハイブリッド戦が定着してきている。軍事と非軍事を全部組み合わせたハイブリッド戦が定着してきている。認知戦、情報戦に対応していかなければならない」と挨拶しました。言葉づかいが、「謀略をやるぞ」と言っているように僕には聞こえます。維新幹部は、早期に見解をまとめたい意向を示した上で、他党との共同提出を否定するものでもないと言っています。
<参政党>
ここは、スパイ防止法案が政策の根本を成しているというか、一番前のめりになっている政党です。
「・日本版『スパイ防止法』等の制定で、経済安全保障などの観点から外国勢による日本に対する侵略的な行為や機微情報の盗取などを機動的に防止・制圧する仕組みを構築。」
言葉遣いが、「制圧する」です。「外国勢による日本に対する侵略的な行為」というのは、土地を買うことも入っているのかもしれません。
「・繰り返される情報戦(事実に基づかない日本批判)、歴史戦(誤った歴史情報)に対して、オールジャパンで先手をとって正しい情報を発信する(カウンター・プロパガンダ)。」
お前に言われたくないよなと思います。一番ひどい嘘を撒き散らしている政党がこういうことを言っております。
「・国民が偽情報やプロパガンダを識別できるよう、教育機関や公共キャンペーンを通じて情報リテラシー教育を推進。」
これもまた頭がクラクラしてきます。参政党流の歴史認識を子どもたちにすり込んでいくということをはっきり宣言しているわけです。
さらに参政党の神谷代表は、今年の7月14日に松山市であった参議院選挙の街頭演説でこう言っています。「公務員を対象に、極端な思想の人たちはやめてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です。極左の考え方を持った人たちが浸透工作で社会の中枢にがっぷり入っていると思う」と述べました。「極左」、すごいですね。これは、おそらく治安維持法みたいなものを考えている。適正評価で思想・信条まで審査する、そういう恐ろしいことを考えているとしか思えません。
これがどんな形になって姿形を表してくるか、まだ予断を許さないという感じです。
<立憲民主党>
我々が頼みの綱の立憲民主党ですが、どういう安全保障政策をこの選挙で言っていたのか。
「・専守防衛に徹しつつ、日米同盟を深化させます。また、日米韓で連携し、東アジアの平和と安定を維持し、わが国の領土・領海・領空を守り抜きます。
・QUAD(日米豪印)など、同志国との連携を強化し、法の支配に基づいた「自由で開かれた国際秩序」に貢献します。
・防衛力を抜本的に強化します。
・非伝統的脅威(宇宙、サイバー、電磁波、認知戦)の全領域を統合した作戦能力を向上させます。
・省庁横断的なインテリジェンス体制を強化します。」
ここにちゃんと情報機関が入っています。
「・自衛官、海上保安官の処遇改善、人員配置の最適化、専門人材の確保などを行います。
・防衛産業の基盤強化を推進しつつ、防衛調達の適正化を徹底します。防衛増税は行いません」
これだけ防衛予算を増やして、どうやるのだろうな、という感じですけれども、よほど福祉予算とかを削らないと無理な政策です。
「・ドローンなど最新技術を活用した装備の研究開発を進めるとともに国際ルール作りに貢献します。
・経済安全保障の観点から、基幹インフラの防御強化、重要物資の安定的な供給確保、先端技術開発支援を推進します。」
なんか読んでいると不安でたまらなくなってきます。基本的に国民民主、維新の会、自民党とほとんど変わらないようなことが書かれています。
以前、民主党時代と言っていいのでしょうか、「特定秘密保護法は廃止します」と書いてありました。僕らが一生懸命盛り込んでくれと言った。そういうものが、いつの間にか消えてしまっています。
今のところ、スパイ防止法を制定することは、民主党の政策の中には書かれておりません。そこが頼みの綱だと思います。
ここで話をぐっと巻き戻して、198(5)年の自民党提案のスパイ防止法案のことを話したいと思います。谷垣禎一さんは、自民党がスパイ防止法案を出した時に敢然と抵抗しました。「我ら自民党議員スパイ防止法案に反対する」。これが中央公論に載りました。中央公論にもいい時代があったのです。
中曽根政権が法案を出したわけではなく、自民党の国会議員が議員提案で出してきました。この制定運動は、当時の統一協会・勝共連合が強力に推進したことを忘れてはいけません。この頃に、いわゆる壺商法、霊感商法が大きな問題になった時期でした。勝共連合の思想新聞は、いまだ発行されていて、最近は「今こそ、スパイ防止法を作らねばならない」と、すごい記事を載せています。87年にも、「この法律は戦後初めて全国民に国家に対する忠誠心を問う法律である」と言っていました。
この法案は、全14条と附則からなっていて、外交防衛上の国家機密事項に対して公務員の守秘義務を定めて、これを第三者に漏洩する行為の防止を目的としたものでした。既遂行為ではなくて、未遂や探知収集といった予備行為、過失、こういうものも処罰することで、内容は、特定秘密保護法とほとんど同じです。特定秘密保護法の場合は、秘密は指定していなければいけませんが、そういう指定行為の規定はありませんでした。この中には、第4条に外国通報目的の探知収集、漏洩行為は、死刑または無期規定がありました。
特定秘密保護法の場合、最高期は10年です。刑期10年だったら生きて出てこられるけれど、死刑だったら殺されてしまいます。無期でも今は大体30年以上かかるわけで、ほとんど生きては出てこられない。
この提案について、当時、日本社会党、公明党、民社党、公明党は特定秘密法に賛成したわけですが、この当時は反対でした。日本共産党、社会民主連合などが反対しました。自民党の12人の議員が反対した。この反対意見がいいんですよ
「我が国が自由と民主主義に基づく国家体制を前提とする限り、国政に関する情報は主権である国民に対し、基本的に開かれていなければならない。この国政に関する情報に防衛情報が含まれることも論を待たない。」こんないいことを言っていた。この中で今もただ一人生き残って、この意思を貫いてくださっているのが村上誠一郎さんです。
この方が総務大臣をされている。だからNHKがあんなに頑張って面白い番組を作れた。安倍派の息のかかったような総務大臣だったら、あんな面白い番組は絶対に作れなかった。総務大臣が高市さんだった時期も、ひどかった。人気キャスターが次々に辞めさせられた。村上さんは、特定秘密保護法制定の時も、自民党の中でただ一人反対した。それで総務大臣にまでなったのですから、大変な偉人です。なんか勲章をあげたいぐらいです。
この法案は1985年に出て、8(5)年に一旦廃案になります。
自民党は翌年の2月に「スパイ防止法制定に関する特別委員会」を党内に作って法案の見直しを進めて、「国家秘密」を「防衛秘密」に改め、最高刑を死刑から無期に改めるなどの修正案を作って、これをなんとか出そうとしました。
野党、日弁連、総評系の労働組合運動などが広範な反対運動を作りました。この時、僕は弁護士になって(5)年目ぐらいでしたけれども、一生懸命反対運動をやったのを覚えています。この写真は、名古屋弁護士会の弁護士200人のデモ行進。弁護士が200人集まってデモ行進する。こんなことが可能でした。
86年の12月18日に自民党の政調会長の伊藤正義さん、この方もリベラリストでした。この方が、法案提出を見送ると表明して、スパイ防止法の制定運動、統一協会の野望は朽ちかれたわけでした。それから今まで、もちろん特定秘密保護法を作ること自身がスパイ防止法の一部実現を図るという面があったとは思います。
これを見てください。「参政党が10人当選すれば、スパイ防止法をはじめ、外国人問題など法案提出ができます」、こういうことを言っていたから絶対出してきます。
はじめに外国通報目的の情報漏洩を死刑とか無期にするというのが出てくるのではないかと思います。ただ、これには、すごく大きな問題があります。外国通報目的をそのまま法律にすると、非常にややこしいことになります。だって、アメリカに漏らしても絶対死刑にはならないわけで、この外国という概念をきっと「外部」に言い換えると思います。
外部というのは仮想的国のことです。「外部」という概念は、経済安保法の時に初めて法律の世界に登場しました。国会で「外部ってなんだ」と質問しても、「それは詳らかにお答えできません」と答弁していました。仮想的国が中国、ロシア、北朝鮮であるということは、今や日本政府が公言してはばからないところになっています。
秘密を強化するということは、秘密を漏らした人や機微技術を海外に輸出した人の冤罪事件を弁護する、まさに大川原化工機事件のような事件で、冤罪であることが証明できなくなってしまいます。「これは問題だ」としてやろうとしても、それなかなか認められなくなってしまうのではないかと思います。
セキュリティ・クリアランスによって公務員、大企業からレッド・パージするのではないか。神谷宗幣さんが言っていた、「忠誠度が足りないものは組織から排除する」ということです。
もともと今、セキュリティ・クリアランスをやっているわけです。セキュリティ・クリアランスにおいては、政治的な思想・信条や労働組合活動をやっていたかどうか、などということは調査してはならないと、一応国の決めた基本的な方針の中に書かれています。
けれども、この間、嫌なことが起こっています。国民民主党がこの適正評価において「ハニートラップにかかるか、かからないか、その点の調査をちゃんとやれ」とガンガン言っています。ハニートラップにかかったら確かに困るかもしれないけれども、ハニートラップにかかるかどうか調べることは、夫婦関係がうまくいっているかどうかや、その人が夜の街でどこに行っているのか、そういうことまで全部調べることになるわけです。そうしたら、当時担当の高市さんが、「それを調べます」と言ったのです。
いずれにしても、この部分を調べることになると、思想・信条の自由を真正面から侵害するような法律制度になる可能性があります。あなたは日本国に忠誠を誓いますか、天皇制に賛成ですか、神社にお参りしていますかとか、そういうことを言い出しかねないわけです。恐ろしいことが起こり得ます。
これについては、維新の会や保守党も言っているし、立憲民主党も同じようなことを言い始めているので、「中央情報機関を設立する」という案が出てくる可能性が高いと思います。まさしくJCIAです。日本版CIAを作ることになって、これがスパイ防止の司令塔になる。そんなことを言い出すのではないかと思います。すでに神谷さんや国民民主や維新の会の人たちも、みんな、スパイ防止法と情報機関がないのは日本だけだみたいなことを言っています。
しかし、スパイ防止法として、あなたたちが作るといって「特定秘密保護法」を作った、と言いたいところです。「特定秘密保護法」がい良いというのではありません。「スパイ防止法がまだない」ということ自体が、事実に反していると、僕は思います。
この機関に統合される可能性のある情報機関としては、国家安全保障担当首相補佐官、内閣情報官、内閣情報調査室、国家安全保障会議、国家安全保障局、自衛隊の情報保全隊、警察庁のサイバー警察局、公安警察などがありあます。内閣府の土地規制法事務局、経済省の経済安全保障局、こういうものが全部統合されていくのではないだろうか。公安調査庁も統合すると言っている政党もありました。
今日の朝日新聞を見るまで、こんなものは考えつきもしなかったのですが、国民民主党が言い出している「外国勢力の活動透明化法」です。
「外国勢力」とは何が外国勢力なのか、全然わからない。日本国内でのロビー活動の内容、資金源保有資産を登録してそれを公開していく。中国、ロシア、北朝鮮関連の外交官の活動や民間団体までが徹底的にマークされて排外主義を煽るようなことになるのではないかと思います。普通の市民団体でも、海外の市民団体と協力していると外国勢力だと言われかねません。
少し前に、地球温暖化の問題を一生懸命やっている日本のある団体の中心メンバーの人が、政府の委員会の委員もやっていました。彼女の作ったパワーポイントの中に中国の再生可能エネルギー企業の作ったものが1枚だけ入っていた。それを見つけて、こいつは中国の回し者だと言って、その委員会から放逐されました。そういう恐ろしいことがすでに起き始めています。それがもっとひどくなり、まともな国際活動そのものができなくなる可能性があると思います。
これも、こんなものが出てくることは、予測がつかなかったのですが、国民民主党が言い始めました。
「関係者の安全を確保するため、仮想身分による活動を保障する」。つまり、スパイを公認する制度を作ろうということです。その人間が、誰なのかわからなくなるということです。市民団体の中にスパイが忍び込んでいて、何かをやって「ひどい」といっても、その人が名乗っていた名前が、実は仮想身分による活動だった。すると、もう追っかける術がない。そういうことが起こり得るということです。
あと、大川原化工機事件のような事件で、捜査官が「保護するためには公開の法廷には立たせない」「証人調べ自体に応じない」ということを言い出すかもしれません。CIAやFBIが、そういうことを言っているようですから、同じようなことを言い始める可能性があります。
さっき、日本維新の会の説明で述べましたけれども、「土地規制法を厳格化する」。
実際に外国勢力が日本の土地を買うことを禁止するようなことを言い始める可能性があります。これを本当にやりかねないけれども、日本の不動産業界に大変な打撃を与える可能性があります。だって、都心のマンションなどを、中国の方々が政治的迫害から逃れてくるための亡命用資産として買っているのではないかと思うけれども、買えなくする。一体、何の意味があるのかよくわかりませんが、こういうことをやる可能性があると思います。
関連する法律制度のところに入っていきます。
2022年に安保3文書ができました。安保3文書の一番のポイントは、中国を仮想敵国にしたということです。思い出してほしいのですが、中国と平和友好条約を結びました。その時に日本では空前の中国ブームが起こり、「日中非戦の碑」が日本中に立ちました。それから、日中で姉妹都市の協定を結んだところもいっぱいありました。日本と中国はお隣の国として、これから末永く仲良くやっていきましょう、ということだった。
僕は、今の中国の政治体制は民主主義が本当に保障されてはいないと思うし、人権上も大きな問題があると思います。だけど、それ自体は中国の国内問題です。そういうひどい政治体制だからと言って、そこと戦って何とかしなければいけないという話ではないと思います。
この安保3文書では、中国は次のように定義されています。
「対外的な姿勢や軍事動向は我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的な挑戦である」。
このところ新聞などを見ても、国際社会の深刻な懸念事項になっているのはアメリカです。中国の代表は、割とまともなことを言っています。むしろグローバルサウスの国々は、中国の方にどんどんなびいています。地球温暖化の問題でも、中国がターゲットを出して、これからやると言っていて、アメリカは一切やらないと言っているわけです。だから、はっきり言って、こういう日本の基本的な戦略が正しいのか、大いに疑問だと僕は思います
「敵基地攻撃能力を持つ」とも書いてあります。敵基地というのは中国の軍事基地のことです。そして、「力による現状変更があれば、日本は同盟国、同志国とともに抑止する」と言っています。
力による現状変更というのは、台湾へ侵攻することを意味していると言われています。僕も、中国が台湾に侵攻するのはやってはいけないことだと思います。台湾の人たちの自決権を保障するべきだと思うけれども、少なくとも、日本は、「台湾は中国の一部である」と、台湾の問題は中国の内政問題だと位置づけて対応してきたのです。
だから、台湾侵攻は起きないように、いろんな外交的な努力をすることは賛成です。けれども、今のこの日本の政策は、もしも中国が台湾の侵攻を準備した段階で、沖縄の米軍がまだ動く前に日本の自衛隊が、ミサイルを飛ばして、敵対していくことを意味している。本当にそれでいいのでしょうか、ということを言いたいと思います。
しげしげと眺めると、日本は恐ろしいことになっています。
だいたい3兆円以下の防衛費だったものが、上がっていって、もう2倍、3倍の世界になっている。そして、ミサイル基地が、南西諸島に展開している。このミサイルは中国を向いている。こういうことを現実にやり始めているということです。僕は、去年の4月に宮古島に行きました。宮古島は本当に軍事基地化されていて、間もなく戦争というような感じでした。射撃訓練をしていたところのすぐ隣に、巨大な第3弾薬庫を建設中でした。
日本の防衛予算は、現在、世界第 9位ですが、GDPの2%まで軍事費を伸ばすと、世界第3位になります。日本の国力がどんどん落ちている。悔しいことだけれども、明らかに経済的な規模が縮小化しています。その中で世界第3位の軍事予算を出したら、教育、福祉、そういう予算は、めちゃくちゃになっていくことは目に見えています。世界第3位の軍事大国を目指すことが、日本の経済、福祉、教育に破滅的な影響を与えることになるのではと恐れています。日本は1976年から、軍事費はGNP費1%と決めて、これを愚直に守ってきました。それが旧来の自民党政権だったはずです。
経済安保法は、2022年、安保3文書の直前にできました。この中で言われていることは、4点ありますが、重要なのは2点です。
ひとつは、「特定重要物資の外部に依存しない安定供給」。
これ、意味がわからないでしょう。中国からしか輸入できないような貴重な物質、抗生物質、肥料の原料、レアメタル、そういうものを中国以外の国からも買えるように輸入元を開拓する。そのために特定の企業に莫大なお金を与えて、買い付けをやってこいということです。
これも、外部というのは中国のことです。
中国のファーウェイ社製の製品が入ったものは、日本の政府はもちろんのこと、主要企業のインフラからも一掃する。でも、中国のファーウェイ社製のものを、相当みんな持っていると思いますが、とにかく一掃する。
4>何のためにやるのか。政府の触れ込みでは、中国のファーウェイ社製IT機器の中には、全ての情報を中国政府に送る謎の仕掛けがされている。それを防ぐためだというわけです。でも、それを立証した人はいません。日本の国内を流れるほとんど全ての情報は、アメリカ政府によって吸い上げられている。これは間違いありません。これはスノーデイさんが言っている。海底ケーブルから、房総半島のところで、全部吸い上げていると言われています。それと同じようなことを、今度は、能動的サイバー防御で日本政府もやると言い始めています。
ここでの、「特定重要物質の外部に依存しない」「外部からの攻撃に備えた」の「外部」については、法案審議のとき「外部って何ですか?」と聞いても答えなかった。「中国は外部で、アメリカは外部ではないのですか?」と質問しても、「予断を持ってお答えすることは困難でございます」と答弁していた。これ、2022年の春です。でも2022年の12月になったら、「外部」というのは、中国とロシアと北朝鮮のことでしたという。こういうのは、法律案の詐欺商法みたいな感じがします。
この「外部」の概念ですが、おそらく、スパイ防止法における「外国通報目的」の「外国」を「外部」と書いて出してくるのではないかと思います。アメリカは外部ではない、中国は外部だ、と言うのではないでしょうか。
大川原化工機事件は、経済安保法の法制度を作るために、北村滋さんを喜ばせるために、公安警察が頑張ったことで生まれた事件だと僕は思います。起訴して1年4ヶ月後、第1回公判直前に検察官が控訴を取り消しました。裁判が始まる前に白旗を上げて、「もう、やーめた」と言った事件です。
どんな事件だったかというと、噴霧乾燥機メーカーの大川原化工機が中国に輸出したものが、軍事転用が可能で生物兵器を作ることのできる機器だと言われたのです。しかしこれは、全くの嘘でした。
公安警察による捜査の過程で、警視庁公安部が経産省の省令の解釈をねじ曲げていたのです。それに、経産省を説得するために専門家の供述聴取として本人が話していない内容が作成されていた。まさに証拠の捏造がされていた。「捏造です」と、捜査に当たった警視庁の現役警部補が証言しました。公安刑事の中にもなかなか見上げた人がいるもので、本当にこういうことを言ってくれたわけです。
しかし、この事件で逮捕、拘留された相嶋静夫さんが、8回も保釈が却下され、癌の発症が判明した後も拘留が継続して、拘留の執行が停止された直後に亡くなってしまった。本当に命まで奪われてしまう恐ろしい悲劇を生んだわけです。
この東京地裁の判決は、高裁でもいい判決が出て確定しました。公安と検察の捜査では、必要な捜査を尽くすことなく起訴したことが確定しています。相嶋さんについても、家族は夫であり、父である相嶋さんとの最後を平穏に過ごすという機会を捜査機関の違法行為によって奪われたとはっきり認定されています。
2014年に秘密保護法反対闘争をやりました。反対行動では日比谷の野外音楽堂が何度も満員になりました。この時は、野党は一丸となって反対しました。今度も立憲民主党が反対してくれるかどうかということがとても心配なわけです。日弁連も一丸となって反対しました。
日弁連については、僕も秘密保護法・共謀罪対策本部の副本部長なわけで、早く意見書を作って公表しなければいけないけれども、できないのです。それは、日弁連は法律家の団体だから、まだ姿形の見えないものに賛成とか反対とか言えるわけがない、と言われてしまいます。確かにそう言われればそうでしょう。でも、姿形のないものを予測しながら、ここに問題があるという喋り方は本来してはいけないことではないと僕は思います。許されることだと思ってやっています。一面でそういうことはしてはいけないと言われて、そんな、ちょっと悲しいことが起こっています。
この間の動きを簡単に振り返ってみます。
軍事産業強化法は、日本国内の軍事産業が立ち行かなくなってきたら国有化するという法律です。何でもかんでも、分割民営化でやったくせに軍事産業だけは国有化していくそうです。民間で成り立たなくなった、経済の論理では立ち行かなくなったら国有化してでも持たせる、ということのようです。
私は、2017年に書いた『戦争をする国の作り方』で、戦前の治安維持法、軍機保護法、国防法案法、要塞地対法、国家総動員法、これらの立法の経緯とその運用。そして、すごく猛威を振るった戦前の内閣情報局、さらに同盟通信社、隣組制度、こういったものの全体像を明らかにしました。
同盟通信社というのは、今の共同通信と時事通信を足したものです。もともとあった広告会社と通信会社を合わせたものを、同盟通信にするときに分割させて半分が電通に、半分が同盟通信社になった。だから同盟通信社は、日本にAFP通信やロイター通信のようなものを作って世界に日本の情報を拡散するという目的でできたものです。一時期は、(5)000人ぐらいの人が働いていたと言われる凄まじい通信社だった。
戦争が起きる時に政府はどういうことをするのか、ということを2つの例をもとにしてお話したいと思います。
ひとつは、ペンタゴン・ペーパーズ事件です。
ペンタゴン・ペーパーズというのは、アメリカの国防総省がベトナム戦争の実態をまとめた極秘レポートのことです。
マクナマラが国防長官になって、この戦争の始めから全部をちゃんと歴史でまとめてみろと言って作らせたらしい。このまま続けると大変な犠牲が出るとの結論になっているけれども、このレポートが公表されたことによって、ベトナム戦争はアメリカの敗北のうちに終わったと言われています。それくらい重要なレポートです。これを明らかにしたのはダニエル・エルズバーグさん。軍の情報分析官、まさに情報機関のメンバーだった人が、こんな不正義なものがこのままになっているのはおかしいと言って、これをニューヨークタイムズのニール・シーハン記者に手渡した。
そして、ニューヨークタイムズは特別チームを作って、1971年6月から連載を始めた。
そうしたら、ニクソン大 統領はカンカンになって怒って、国家秘密を漏らしたと、直ちに仮処分で記事の差し止め裁判を起こすわけです。しかし、アメリカの連邦最高裁は、被告になっていたニューヨークタイムズ、そしてワシントンポストも、報道機関の方を勝訴させた。
この時にわかったことは、ベトナム戦争が一気に拡大したのはトンキン湾事件があって、そこから北爆が拡大する。ベトナム軍がアメリカの駆逐艦・マドックスを魚雷攻撃したことが、実はアメリカ側の自作自演だったということです。このレポートで、北爆決議文や攻撃目標リストが、なんと2ヶ月も前からホワイトハウスの中で準備されていたこともわかりました。謀略だったことが明らかになったわけです。
この事件について、アメリカの連邦最高裁のブラック判事は、「自由で拘束されない新聞のみが、政府の欺瞞を効果的に暴くことができる。そして、自由な新聞の負う責任のうち至高の義務は、政府が国民を欺き、国民を遠い国々に送り込んで異郷の悪疫、異国の銃弾に倒れるのを防ぐことだ」と言ったのです。この事件を見てわかるのは、国の秘密保護制度は、政府にとって決定的な重大な情報を隠して、国民を誤った方向に導く可能性があるということだと思います。
もう一つは、日本のケースで満州事変です。
これは、東京朝日新聞の1931年9月19日付けです。9月18日に満州事変が始まります。この日に関東軍が自作自演で満鉄の線路を爆破する。そして、それが中国軍がやった仕業だと言って、中国の満州全体を占領してしまいます。
見出しの「奉天軍満鉄線を爆破、日支両軍戦端を開く、我鉄道守備隊応戦す」は、大嘘です。これは、関東軍高級参謀・板垣征四郎と関東軍作戦主任の参謀・石原莞爾らが仕組んだ謀略事件だった。これが謀略であるということは、ほんの一握りの国民は知っていたけれども、ほとんどの国民は戦争が終わるまで知らなかったわけです。
これはおかしいと書いたメディアもありました。一番頑張ったのは、大阪朝日新聞です。高原操さんという編集局長の下で、この柳条湖事件はおかしい、謀略の匂い、侵略の匂いがすると報道していました。そうしたらどうなったか。在郷軍人会の組織的な不買運動で、どんどん新聞が売れなくなっていく。戦後にもそういうことがありました。吉田調書事件というのがあって、朝日新聞はひどい目にあう。ちょっとそれと似ていると思います。
それで、12日の役員会議で、今後は軍部を支持するということが決められた。それが憲兵調書に載っています。ということは、大阪朝日新聞社の中に憲兵のスパイがいたということです。これは、半藤一利さんが教えてくださったものです。
もう一つ、NHKが201(5)年に素晴らしい番組を放映しています。『日本人はなぜ戦争へ向かったか~メディアと民衆指導者編~』。本にもなっていますが、東京の朝日新聞も事変当初は慎重な報道を行っていました。ところが、緒方竹虎(その後、朝日新聞社の社長になった)編集局長が、陸軍参謀本部作戦課長の今村均と接触して、料理屋で食事をした。そして、事変が関東軍による謀略であることを打ち明けた。しかし、現地の在留邦人の悲惨な状況を見れば、謀略を企てることもやむを得ないんだ、と説得しました。緒方竹虎は、「そうですか。初めてよくわかりました」と応じて、戦争が終わるまでこの謀略を一緒になって隠したわけです。
もう一人、石橋恒喜さんの証言です。
「後に報道部長になる谷萩大尉というのがおりまして、記者クラブで我々に話してくれたんですよ。実は、あれは関東軍がやったんだよ、ということをこっそり耳打ちしてくれました」。石橋恒喜さんという東京日日新聞(現在の毎日新聞社)の記者がこのように言っています。国の最高のマスメディアの幹部は知っていた。しかし、彼らは一切それを報じなかったわけで、今とちょっと似てきてるような感じがします。結局、戦争が始まる状況になると、マスメディアは完全に軍と一体になる。いけ!いけ!という進軍ラッパを鳴らすような機関になることがよくわかります。
今年の夏に「シミュレーション」というNHKのテレビ番組をご覧になった人は、いますか?いろいろ批判も浴びたけれど結構面白かった。研究所の所長さんが、実はすごい政府と抵抗した人で、そこが正確に描かれていませんでしたけれども、結論的に、この戦争は日本は必ず負けると、みんながまとまってレポートを作ったことは間違いないのです。
それに対して、日本には大和魂がある、神風が吹くと言って、東条英機は戦争に突き進む。最近の研究では、東条英機も、この戦争は負けると分かってやったという説もあるようですが。大和魂、神風が吹くと言っている段階から、山本五十六さんは、絶対無理だと言っていたようです。多くの当時を生きていた年配の人に聞くと、山本さんが飛行機で墜落した時に、日本が負けると思ったという人が多いです。でも、それも言えないわけです。そういうことが起きていたことがわかります。
何が言いたいかというと、「スパイがいるんだ」「お前の隣にスパイがいるんだ」というようなことを言い始めたら、もう止まらなくなる。そういうことを始めたら、転がり落ちるように戦争になっていく。もう止めようがなくなるということがわかると思います。
実際にスパイにされて悲惨な目にあった方を一人ご紹介します。
北大生だった宮澤弘幸さんという方です。彼は、本当にボロボロにされて、戦争が終わった直後に亡くなってしまいました。彼は、北大生で、英語やドイツ語やフランス語、イタリア語などを学びながら、向学心にあふれた学生たちで、「心の会(ソシエテ・ドュ・クール)」というものを作って、国籍や立場の違いを乗り越えて、深い友情、人間的な信頼で結ばれた学問、真理追求の精神を育んでいました。
宮澤さんは、大学の実習旅行で見聞きしたことをアメリカ人英語講師のレーン夫妻に話したことが、スパイ行為にされた。それは誰でも知っていること、その現場に行けば見られることを話しただけなのです。雑談の中で樺太に行ったときのことを話したことが、スパイ行為、軍機の漏洩だとされた。
1941年の12月8日、太平洋戦争が始まった。まさに、その日に捕まります。この日には、日本全国で、ものすごい数の人がスパイとして捕まっています。待ち構えていたようにスパイを捕まえて、こんなに日本の社会にはスパイがいると大宣伝をする。
宮澤さんは、警察署で「逆さ吊り」の拷問を受け、懲役15年の判決を宣告される。レ-ン夫妻の方は、同じように逮捕されて懲役10数年ですけれども、捕虜交換によって帰国できました。
彼は極寒の網走刑務所で服役して、1945年の10月にようやく釈放される。しかし、拷問によって体を痛め、さらに寒さのために健康を害されて1947年の2月に病死をしました。
彼のところに訪ねてきてくれたマライーニさんに戦後に語った言葉が残っています。
「たしかに裁判はあったけど、全部お膳立てができているんだ。見たこともない証人が出てきてぼくの言葉を否定する。大東亜戦争に破壊工作をした罪で20年の刑を言い渡された。」これは20年の刑を求刑されて15年の判決が出たので、混同していると思います。いずれにしても、宮沢さんは、戦争遂行のための秘密保護制度によって若い命を奪われたと言えるのではないかと思います。
今のところ、特定秘密保護法で検挙され起訴された事件は一件もないです。だから、全然秘密が漏れていない。秘密が漏れたと政府が言い張っている事件は、何件かあるのですが、その大半は、防衛省のOBが、ちょっと最近の情勢を聞かせてくれと言って、現職の職員からレクを受けた。そうしたら、その中に特定秘密が入っていた。別にその人はスパイでなくても、そこに立ち会っていた第三者が、あの中に特定秘密が含まれていたと、上部につげ口したために、現職の人はクビになって終わった事件です。
何の実害も生じていない。聞いた方は昔の上司です。昔の上司に今こういうふうにやっていますと話したことが、秘密漏洩だとされてしまっています。でも、何が秘密だったかは、結局わからないままになっています。起訴もされていないから、裁判もなかった。
現在の特定秘密保護法の大きな問題点は、何が秘密に指定されるかが限定されていないことです。政府の違法な行為を秘密指定してはならないことも、法律そのものには規定されていません。運用基準の中には書かれているけれども。僕らが一生懸命運動して書かせたのです。
公務員だけではなく、ジャーナリストや市民についても、教唆や共謀の段階から処罰できることになっています。非常に反対の声が強かったので、マスメディアに所属しているジャーナリストが、違法不当な方法を用いないで取得した特定秘密を報じた場合は保護されることになっています。
現実に、最近も共同通信の石井暁さんは、数々の特定秘密を報じていますが、彼は逮捕されていません。けれども、彼に特定秘密を漏らした人が特定されたら彼は厳罰に処せられるのです。ジャーナリストの方は守られている。彼は秘密を守るために必死になってやらなければいけないのです。
これを作ったことは、とても良かったのだけれども、これによって守られるのは、職業ジャーナリストだけです。市民活動家も、フリージャーナリストもダメなのです。だから、そこに大きな問題があります。内部告発者やフリージャーナリスト、市民活動家は守られない。ガーディアンの記者は守られるが、スノーデンのような人は守られない、ということです。
この制度については、国連の自由権規約委員会から2014年と2022年の2回にわたって、特定秘密の対象となる情報カテゴリーをもっと明確にしなさい。国家の安全という概念で表現の自由を制約するのではなくて、自由権規約の19条3項に則ってもっと明確な概念にしなければいけない。公共の利益に関する情報を流布したことによって、個人が処罰されないように、内部告発した人が処罰されるようなことのないような制度を作らなければいけない、ということも言われています。
こういう勧告を取るために、僕らはジュネーブまで行っています。ジュネーブで命頑張ってこういう勧告を出してもらっています。自動的に出たわけではないのです。
アメリカの悪口をたくさん言いましたが、今のアメリカは、とことんひどくなっています。でも、ちょっと前までのオバマ政権の時、僕は、民主主義を拡大していく方向で頑張っていたと思います。
その時期にできた法律制度ですが、アメリカでは、政府の違法行為というものを秘密指定することをはっきり禁じています。法令の違反、政府の過誤の秘匿、競争を制限するなどの目的で秘密指定することはできないということを書いています。
また、アメリカには、秘密の指定が解除されていく仕組みがたくさんあります。情報保全監察局、省庁間機密指定審査委員会などです。そして、ここが、秘密にしたのは間違いだったと言うと、その情報は開示されます。情報公開できるようになるのではなくて、ネット上に公開されます。日本では、そういう情報があると分かっても、情報公開請求しないと何も出てきません。
もう一つ、重要なことは、アメリカは秘密のジャングルのようですけれども、年月が経てば、秘密は自動的に明らかになってくることです。一旦秘密指定したものは必ず明らかになる。これは、素晴らしい制度だと僕は思います。秘密が明らかになるまでは、10年かかったり2(5)年かかったり、本当に極秘なものは50年かかる。でも、ケネディ暗殺の一番極秘な資料だって(5)0年経って出てきた。それに基づいて特別番組ができて、この間もNHKでアメリカのテレビ局が作った番組をやっていました。
秘密指定する以上は、秘密指定したものは、最後は必ず明らかになる制度は、ものすごく大事です。僕らは、そう思ったから、そういう制度を絶対に作れと強く言いましたが、日本は全然できていません。
2021年にできた土地規制法は、今どうなっているのか。
この地図のように、これだけ土地規制法の注視区域と特別注視区域が広がっています。日本全国、自衛隊の組織があるところは、軒並み赤い印(特別注視区域)になっています。青いところは注視区域です。沖縄は真っ赤になっています。沖縄で特にひどいと思っているのは、久高島です。
久高島は、神様が降りてくる島、本土でいうと伊勢神宮みたいなところです。そこが、注視区域になっている。この島は売ることができない。入り合い権みたいになっていて、全員の同意がないと家一軒も勝手に建てられません。そういうところが、海外の人が入ってきてなんていうことはありえないと思うのです。
経済秘密保護法は、まさに経済安保法がさらに秘密保護の分野に広がったものです。この法律の時は、さっきも立憲民主党の政策をみたら分かるように、立憲民主党は賛成してしまいました。共産党、れいわ新選組、有志の会、社民党、沖縄の風が反対しました。立憲民主党の僕らの仲間みたいな議員たちは、すごくいい質問をしてくれたのですけれども、結局、賛成してしまいました。
経済安保に関連した広範な情報について秘密指定ができるようになりました。重要度が高いものは、10年の刑。重要度が高くない情報についても最高刑(5)年。一般の秘密だったら国家公務員法で1年でしたが、それを(5)年にしています。
それから、民間にセキュリティ・クリアランス適正評価を大きく拡大して、おそらく数10万人単位の日本の軍事に関連している大企業、主要企業のIT担当者たちがセキュリティ・クリアランスを受けることになりました。さっきも言った性的な行動まで調べるというのは、この「重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項」で、国民民主党が、ハニートラップ、ハニートラップと言っています。ハニートラップに一番かかりそうな人が代表されていたような気がします。
高市大臣は、法には明記されていないけれども、ハニートラップは、重要経済基盤毀損活動と関係していて、それは調べることができますと答えています。だとすると、思想・信条であっても調べられそうです。そういうことが始まっているような嫌な予感がします。それから、政府から独立した監督措置がないということも問題です。
原発事故・津波で人が住めなくなった地域に、大変な大きな研究機関ができています。そして、大半が軍事研究と関連しているのではないかと思います。アメリカの核開発の研究所と連携する協定書を結んでやっています。核戦争、生物化学兵器戦争を想定した訓練が行われています。
ロボットテストフィールドだから、原発内部の放射能の高いところでやるのだろうとみんな思ったわけです。しかし、「インフラや災害現場など実際の使用環境を再現することで、陸海空ロボットの性能評価をやる」となっています。陸海空ロボット、これは軍事用語のような感じがします。防衛省の技術研究本部陸上装備研究所がやっている。このロボットテストフィールドで何をやるのか。この資料をたまたま仲間の研究者が確保しておいてくれたのですが、今はもうネット上では見ることができません。
「CBRN(化学、生物、放射性物質、核)汚染環境下での作業」のイメージ図に、遠隔操縦、中継ユニット、指揮統制装置があります。簡単に言うと、汚染地域、核戦争でも生物兵器でもいいのですが、汚染している地域の中に戦車みたいなロボットを入れて、離隔距離最大20キロを目指して遠隔操縦してコントロールするとのことです。
これは、原発事故とは関係なさそうです。原発事故では、20キロもいりませんから。
最後に中央情報機関の話です。
中央情報機関を作ることは、内閣情報官、国家安全保障局長をやった北村滋さんの悲願中の悲願でした。北村さんが、著書の中でも言っていますが、内閣に情報局を設置する構想は、日本で何度も出てきています。でも、その都度、自民党の中の議論で、やらない方が良いということになって、やらなくなっていた。必ずそれを止めてくれていたのは、後藤田正晴さんです。
後藤田さんは、情報局というのは戦争のための道具だと。日本は戦争やらないことに決めたのだから、情報を集めることはしなくちゃいけないけれども、インテリジェンスとか言って、謀略みたいなことはやってはいけない。それはやらないようにしましょうと言って、止めてきてくれたわけです。まさに憲法9条によって、国際紛争は戦争という形では解決しないとしているのだから、情報局はいらないというわけです。
諸外国には情報機関があるのに日本だけないと言っているけれど、日本にも内閣情報調査室はあるわけです。情報調査することまでは良いけれども、謀略をするような機関をやめた方がいいということです。
米CIAがやった謀略の話をいくつかして終わりにしたいと思います。
(1)1973年にチリのアジェンデ政権を、ピノチェト将軍が軍事クーデターによって転覆させた。チリのアジェンデ政権は、選挙によって社会主義政権を作ったわけですが、このクーデター工作の背後ではCIAが大きな役割を果たした。
アジェンデさんは、軍が攻めてくるという状況の中で自殺するのですが、最後に大統領府で、「チリの未来への希望と、国民が意思を強く持ち、暗黒の時代を乗り越えてほしい」と言って死ぬのです。
CIAは複数のアジェンデ排除計画に関与したことが分かっていて、議会への贈賄、世論操作、ストライキへの資金の提供、こういうことをやっていた。なんとなく日本も今、参政党なんかが出てくるというのは、何らかのオペレーションじゃないのかなという気もちょっとします。
(2)イラン・コントラ事件がありました。イスラム教シ-ア派系の組織ヒズボラによってアメリカの兵士が拘束され、人質とされた。アメリカ政府はヒズボラの後ろ盾であるイランと非公式ルートで接触して、イランに武器を輸出することを約束する。本来、イランのメリカ大使館人質事件でイランとアメリカは国交断絶していたのに、イランに武器輸出することを、議会の同意も全く得ないでやった。
武器代金がいっぱい入ってくる。大統領の承認を受けているわけで、オリバー・ノースさんという人が、イランに売却したことで得た収益を、当時のニカラグアの政府と戦っていた反共ゲリラ・コントラに与えていたという事件です。このオリバー・ノースさんは、その後、全米ライフル協会か何かの会長にもなっているようです。
いずれにしてもCIAは、こういう違法行為を平気でやる組織だということがわかると思います。
(3)ソビエトがアフガン侵攻した時に、CIAは「サイクロン作戦」という名のもとにパキスタン軍の情報局を通じてムジャーヒディーン勢力に資金援助をおこなっていた。ビン・ラーディンらの組織(MAK)はアメリカから資金提供を受けたとする報告があります。
ソ連がアフガニスタンから撤退した後に、ビン・ラーディンたちはアルカイダを結成する。なんで、ビン・ラーディン、アルカイダがアメリカに対して、あんなにタワーに突っ込むくらいの憎しみを持ったかといえば、彼らは対ソ戦でCIAと共に戦って、共に血を流しながらやったのに、最後に見捨てられたという近親憎悪だと言われています。
(4)イラクが大量破壊兵器を保有しているという嘘。
これはCIAが出所だったということが分かっています。アメリカのパウエル国務長官は、いかにも人の良さそうな国務長官です。彼は本当に嫌だったみたいだったけれども、これを言わされた。
サダム・フセインとアルカイダが関係があるというのは、パウエルさんは、これだけはやめさせてくれと言う。それに対して、証拠があるんだ、アルカイダとイラク秘密警察の間で生物化学兵器の使用に関する訓練・接触があったと、これ大嘘なのだけれども、そう言われる。
当時、CIAに対して、DIAという国防情報局が、これは信用ができない情報だと言っていたのに、それをパウエルさんに国連の議場で言わせたわけです。それによってイラク戦争が始まってしまった。
僕はスパイ防止法に反対しようと、細々とSNSでやっています。Facebookでやる分にはまだひどいことはあまり起きないけれども、Twitterでやると、もう恐ろしいことになります。お前こそスパイだとか言うくらいだったらまだマシな方で、「スパイの断末魔だな」とか言われてしまいます。そういうことを覚悟しないと、SNS上の発信一つできないような世の中になっています。だからやめた方がいいですよと言っているのではなくて、だから、たくさんの人で一緒にやっていきましょうということを言いたいわけです。やっぱり、ごく少数の人がやっていると潰されてしまう。そういう状況になっていると思います。
自民党総裁選で安倍派の勢力の力がかかった人がなれば。自民党政権と参政党、国民民主、維新の会、これが政策連携になるのか連立になるのか分かりませんが、そういうことになって最初にやるのがスパイ防止法だと思います。
スパイ防止法に、ありとあらゆる戦争政策が入ってくるのではないかという気がします。すでにそういうことが次々に出ている。それに反対する人間は「お前はスパイだ」と言われるようになる。それが、次の臨時国会で紛れもなく起きようとしていると思います。
だから、反対運動の体制をきちんと作っていく必要があります。まずは共産党、れいわ新選組、社民党で反対の旗幟を鮮明にする。それを各政党に頑張ってもらいたい。
問題は、立憲民主党です。立憲民主党がこれに反対できるかどうかです。本当に危ういと僕は思います。この部分は賛成、この部分は反対だ、と変なことを言い出しそうな気もします。とにかく僕らに近い立場の人に党内でどんどん議論をして、我々のような人間も会議に呼んでもらって説明させてくれというようなことをやる必要があるのではないかと思います。
そして、地域です。各地域で、自治体で、こういうものは本当に戦争を生み出しかねないと訴える必要があります。とにかく反対の世論をきちんと国会に示して、頑張っていきましょう。