今、国会の終盤にさしかかり、参院安保防衛委員会でイラク派兵法の審議が大詰めに来ています。私たちはWORLD PEACE NOWをはじめとする多くの人々と共に、当面する7・20ピースパレード、7・22集会(社会文化会館)、7・23国会前路上集会などに取り組み、最後まであきらめずに派兵法案の廃案を目指して運動を続けます。
あわせて、今国会で継続審議となるであろうテロ特措法の延長法案を秋の臨時国会で廃案にする運動を強め、さらにいま政府が来年冒頭からの通常国会に提出すると言っている多国籍軍(米軍)支援の恒久法=派兵恒久法を許しません。同様に今回強行された有事3法はプログラム法であることから、次期通常国会にはその具体化のために、(1)「国民保護」法制、(2)米軍支援法、(3)自衛隊協力法、(4)国際人道法関連2法の5法制を一括法で提出するといいます。
恒久法はアフガン、イラクとその都度、特措法を審議してきたやり方ではブッシュの「帝国アメリカ」の戦争に対応しきれないとばかりに、あらかじめ政府の専権で派兵できるようにしておく大変な悪法です。
そして新たな有事一括法は、日本を、社会全体を巻き込んで本格的に戦争ができるような国にするための戦争法制です。
こうして次々と平和憲法体系と対立する法制を整備する政治を許せません。このあとには「憲法改定国民投票法案」が準備されており、集団的自衛権の合法化をねらって「国家安全基本法案」が準備されています。いよいよ、本格的な改憲策動と対決する時です。気を引き締めて頑張りましょう。
(事務局・高田健)
与党各党参議院議員の皆様
私たちはいま参議院で「イラク人道復興支援特別措置法案」という名のイラク派兵法案が採択されようとしていることを大変危惧しています。私たちの仲間であるNGOの人々はイラク現地での活動の経験から「現在のイラクにおける復興ニーズに照らし、その支援に際してはNGO及び、自衛隊以外の政府機関、国連・国際機関などによる実施が最適であると考えます」(日本国際ボランティアセンター)と指摘しています。軍事の専門家である自衛隊員に「イラクに行け」と命じる法律を作るのは誤りです。もし自衛隊員がイラク人を殺したり、イラク人に殺されたりした場合、失われた生命は取り返しがつかず、どんな「責任」も「償い」も空しいものになります。
米英のイラク攻撃を国連安保理が認めていないことは、誰にも分かることです。しかも攻撃の理由とされた大量破壊兵器について、国連査察団とIAEAが「大量破壊兵器は発見できず、疑惑解明のためには査察の継続が必要」と報告した矢先の攻撃だったのです。大量破壊兵器はブッシュ大統領の「勝利宣言」から2カ月以上経つのに発見されず、米英両政府の「証拠」も偽造や脚色されたものだったことが明らかになりました。
貴議員は、このことはよくご承知でしょう。それなら、貴議員がイラク攻撃を支持したのは、国連にも安保理決議にも関係のない理由からだと考えざるを得ません。もし、世界最強の米国の政策に従うことが得策という「計算」によるのなら、日本は「自国の利益のためには国連も国際法も無視する国だ」ということになります。子どもたちにも「自分の利益のためならウソをついても法や正義を無視してもいい」と教えることになります! そんな国や人物は誰も信用しなくなるでしょう。
国際法は「占領」が戦争の継続であると定めており、実際にイラク全土が戦争状態にあります。イラクに送られた自衛隊は米英占領当局の承認と統轄の下で活動することになり、それは占領行政の一部を構成することになります。自衛隊は米英占領軍と一体の「友軍」となり、占領やその継続に反対するイラクの人びとから見れば「敵軍」となるでしょう。もし自衛隊がイラク人を殺傷したらイスラム世界の親日感情は一変し、ますます攻撃の対象になりかねません。もし自衛隊員が殺傷されたら、本人やその家族は悲惨なことになります。
その恐れが大きいために自衛隊の武装を強化するというのは、誤りの上塗りにほかなりません。憲法は国際紛争の解決のための武力行使を禁じています。自衛隊は海外の紛争に参加・支援するためにあるのではなかったはずです。自衛隊のイラク派兵は、憲法を無視し、従来語られてきた自衛隊の存在理由をも否定するものとなります。安保理決議にも基づかない一方的な武力攻撃は「自衛権の行使」ではなく、国際法では「侵略戦争」なのです。その米英を支援するなら、日本もまた侵略と占領の加担者となります。
各種の世論調査を見ても、自衛隊のイラク派兵には疑問を持つ人が多数ですし、法案に国民は十分納得していません。貴議員が勇断をもって、この法案の廃案のために努力されるよう要請いたします。
2003年7月11日
WORLD PEACE NOW実行委員会
7月17日、WORLD PEACE NOWの呼びかけで30人を超える市民が午後1時30分から市ケ谷の防衛庁前に集まり、「自衛隊の皆さん、イラクに行かないで!殺さないで!死なないで!」という横断幕などをかかげて、イラク派兵法に反対する行動を行なった。2時からは今川正美衆議院議員(社民)とともに8名の申し入れ団が6項目にわたる「要請書」(本誌別掲)をもって防衛庁に入り、防衛政策課の安藤総括係長や防衛庁運用局衛生官付の医学博士など6名と話し合いを行なった。
「戦闘地域」の区別の問題や「劣化ウラン弾」の問題について、真剣なやりとりが行なわれたが、話し合いの中で、このイラクの人びとや自衛官の生き死ににかかわる
派兵問題で、防衛庁には事前のしっかりした調査も準備もないことが明らかにされた。劣化ウラン弾については防衛庁にはまともな資料の蓄積すらない実態が暴露された。
午後3時から門前で要請行動の報告と7・20集会の成功に向けてのアピールが行なわれた。
貴職はいま、イラクに向け1000名もの自衛隊を派遣しようとしています。これは日本が、安保理決議もなく大量破壊兵器の証拠もないままの不当なイラク攻撃を支持したのに続き、米英による軍事占領を支援するもので大きな誤りであると考えます。また派遣された自衛隊がイラクの人びとを殺傷したり殺傷されるおそれがあり、自衛官を含む人びとの生命、イラクやイスラム世界と日本との友好関係、そして国際紛争の解決に武力を用いることを禁じた日本国憲法にも重大なダメージを与えかねません。私たちはイラク特措法案に反対し、イラクには自衛隊を派遣するのでなく、国連および人道的国際機関やNGOと連携した文民による真に人道的なイラク民衆の支援を行うことを強く求めます。以上の立場から、貴職にお尋ねいたします。
(1)米英はイラク攻撃後、同国を占領下に置いています。国際法でも政府見解でも、占領は戦争の一部であり、交戦権の行使に該当することが明らかです。安保理決議1483も現状を「占領」と認め、実際にも「イラク全土は戦闘状態」(米軍司令官)にあります。このように戦争継続中の米英軍が統治するイラクに自衛隊を派遣し、その鎮圧作戦や占領行政を支援することは、国際法上も実体的にも参戦行為、占領加担行為となります。貴職は、国際法上の軍事占領と占領統治の意味、それへの支援行為をどのようにお考えですか。
(2)イラク特措法案は、自衛隊などは「非戦闘地域で活動」することになっていますが、イラクでは全土で戦闘が続き、毎日数十件の武力衡突が発生しており、米英軍でもいつ、どこで戦闘が発生するかまったく予測できていません。そんな中で貴職は具体的にどのように「非戦闘地域」を選ぶのですか。
(3)イラク各地では毎日のように米英軍と武装勢力との戦闘が行われ、双方に死傷者が続発しています。貴職は自衛隊は「武力行使は行わない」と言いながら、「戦闘行為とは国または国に準ずる者の間のもの」と限定し、自衛隊とイラクの武装勢力との戦闘は「戦闘行為」でも「武力行使」でもないとみなすかの答弁をくりかえしています。貴職は、占領軍に立ち向かう武装勢力または占領行政に抗議する市民は「国または国に準ずる者」ではないとして、白衛隊による武力行使、戦闘行為を認めるおつもりですか。
(4)もし自衛隊がイラク国民を殺せば、イラクを含むイスラム社会との歴史的な友好関係に深刻な亀裂が生じ、また自衛隊員が死傷すれば、本人はもちろん家族や日本の私たちにとっても大きな傷となります。自衛隊が米英占領軍の掃討・治安維持を支援することで生命が失なわれたら、貴職はどう責任をとられるのですか。
(5)貴職はイラク現地での自衛隊の支援活動のニーズについてはこれから調査すると述べられていますが、イラク民衆が求めているのは医薬晶や飲料水、電力、自主的で信頼できる行政組織などによる安全な社会生活の再建です。それらの支援活動は、国連や国際機関、NGOなど経験豊かな中立的な文民が最も適切です。日本はそれらシステムの確立に協力し、それを通じて支援を行うべきだと思いますが、どうお考えですか。
(6)イラクでは、湾岸戦争や今回の攻撃で米英軍が使用した大量の劣化ウラン弾や一部地域でのイエローケーキの搬出・投棄による放射能被害が多発しています。放射能障害の治療について高い経験と技術を持つ日本は、その分野の医療支援こそ求められますが、自衛隊は放射能被曝者の治療・救援の能力を持っているのですか。また自衛官が被曝する可能性も少なくないと思われますが、その対策はどうするのですか。
2003年7月17日
WORLD PEACE NOW実行委員会
今度で第7回を数える「許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会」は、12月6日(土)~12月7日(日)まで、東京で開催します。
6日は午後から公開の企画を検討中。
交流会は6日の18:30~21:00、その後、宿泊(税別で4500円)、7日の9:00~12:00です。
今回は差し迫る9条改憲阻止をいかにして実現するのか、きわめて重要な情勢の中で、私たちの市民連絡会の果たしつつある役割がいっそう大きくなりつつあります。この問題について、ぜひ各地の皆さんと一緒に検討したいと思います。重要な会議になると思います。遠方の皆さんは大変ですが、ぜひ、代表参加を検討してください。参加できる方は早めに市民連絡会の事務局までご連絡ください。
なお、この会議はセミクローズドで行います。この会議は基本的には全国の市民連絡会の会員を対象に開催します。前回もお断りしましたが、一方的な押しかけ的な参加要求はご遠慮願います。市民連絡会の会員以外であらたにお誘いしたいと思われる方については、事前に事務局までご一報ください。できるだけ広く集まりたいとおもいますので、ぜひ参加していただきたい方については積極的にご推薦ください。みなさんのご協力をお願いいたします。
許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局