この原稿を書いている途中の10月上旬にはじまったパレスチナのガザをめぐる戦争は大暴発の寸前まで来た。イスラエルの全面攻撃は秒読み段階だ。17日にはガザの病院が爆撃され500人近い死亡者が出るなど、悲惨な戦争になっている。10月7日のハマスの大規模な攻撃をきっかけに、イスラエルはガザの壊滅とパレスチナの全面占領を企てている。バイデン米国大統領はイスラエルを訪問し、全力でイスラエルの戦争を支えると表明をした。米艦隊は地中海東部に進出し、イランをけん制するなど、中東全体の緊張を激化させている。第5次中東戦争勃発の危機だ。
ハマスによる今回の武力攻撃は容認できないが、それにしても一貫して国連決議と国際法を無視し、破ることで今回の暴発を誘引したイスラエル政府には重大な責任がある。また結果として、これらを許容してきた米国政府をはじめ、日本政府を含む国際社会にも責任がある。
包囲されたガザで大量虐殺の危機が迫っている。いまこそ即時停戦の声をあげよう。すでに全世界で反戦の行動が起き、日本でもイスラエル大使館周辺をはじめ、「パレスチナに平和を!全ての人びとを殺すな!」の行動が全国の各所で起きている。引き続き、これらの行動が継続されるよう力を尽くそう。
第3次世界大戦だなどとの言葉遊びに興じるのではなく、いまこそ、ウクライナへのロシアの侵略戦争、ミャンマーの軍部による民衆への攻撃など、世界各地で起きている戦争に反対し、平和の連帯した運動を創り出さなくてはならない。
20日から臨時国会が始まり、23日には首相の所信表明演説がある(本稿には間に合わないが)。
岸田首相は9月14日、官邸で記者団に、第2次岸田再改造内閣が発足したのに際して、「明日は今日よりも良くなると誰もが感じられるような国を目指し、経済、社会、外交・安全保障の三つの柱のもと、政策を進めていく」と述べた。おとなしいマスコミとは対照的に、ネットの世界では怒りの声が飛びかっている。「寝言は寝て言ってもらいたいものだ」と。首相があげた経済、社会、安全保障、このいずれも、において、「今日より明日がよくなる」なんて「誰もが感じられてい」ないのだ。
「良くなると感じている」ごく一部の支配層・富裕層に属する者を除けば、大多数の庶民は首相発言に違和感満載だ。首相が挙げた3つの政策、このいずれをみても、誰もが、昨日より今日が悪くなり、今日より明日がが悪くなると感じている。
新自由主義のもとでの「失われた30年」のため、日本経済は長期にわたって停滞し、物価高が庶民を襲い、鳴り物入りで謳われた賃上げも、実質賃金は低下している。それどころか、多くは名目での賃上げすらない。あの安倍とコンビで日本経済を停滞させてきた黒田日銀総裁の後継者の植田総裁は無策で、舵取り能力を喪失し、貧困と格差は拡大している。夏の高温でフル稼働させても電力は不足していないのに、老朽原発は再稼働で、福島原発汚染水は漁民の涙とともに海に垂れ流した。
首相についたあだ名が「増税メガネ」で、かつてない庶民の怒りをこめたものだ。岸田首相が「増税メガネ」のあだ名を恐れて言い出し始めた「期限付き減税」など誰も信用しない。
社会には差別が横行し、強力なインフルエンザの流行とダブルパンチでコロナは第9波といわれるほどのパンデミック状態で、人びとの生活の不満と不安は増大している。今日の食事もままならない子どもや大人が大勢、街をさまよう。世界でも指折りの「ジェンダー不平等」への対策で新内閣に世襲議員を中心に女性を5人入閣させたあと自慢したと思ったら、その直後に発表された54人の、副大臣と政務官の服装ははみんな真っ黒っけの男性ばかりだ。
戦火や独裁政治に追われて助けを求めてやってくる人々に手も差し伸べられない人権後進国ニッポンだ。
安全保障問題では戦争の危険が増大する一方で、隣国との外交は行き詰まっている。憲法で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」したはずの政府与党の麻生太郎副総裁はわざわざ台湾に行って「戦争を覚悟しろ」といい、政府は敵基地攻撃能力の保有などといって米国の中古のトマホーク・ミサイルを前倒しで大量に米国の言い値で購入する。庶民にはJアラートで地べたに伏せさせる一方、強靭化と銘打って、各地の自衛隊基地にシェルターをつくる。生産意欲がない軍需産業に国家財政をつぎ込んで支援し、「同志国」向けに防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転3原則」の要件緩和を検討、殺傷能力のある武器の輸出を解禁する。
しかし、ここまで憲法に違反した現実をつくりだし、現実と極度に乖離してしまった安保政策でも、憲法は邪魔で仕方がない。蜘蛛の糸が絡まったような憲法のくびきを取り払おうと、岸田首相らは改憲の画策をやめない。
いまこの国は戦後の日本社会を規定してきた「日米安保法」体系と「憲法」体系の2つの法体系の矛盾が極度に激化し、安保法体系の圧力で憲法の「徳俵」なみの「専守防衛」もくずされ、違憲状態の安保法制(戦争法)の具体化が安保3文書で強行されている。安倍晋三・岸田文雄政権は「改憲」によってこの違憲状態の矛盾の解決を狙っている。
戦後安保政策の大転換とアジア
首相は「戦後安保を大きく転換する」と言明し、次々と「防衛力」を強化し、憲法の破壊に走っている。政府は2022年12月16日、国会の閉会中に外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書を閣議決定した。
政府は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と、防衛力強化の必要性を強調し、敵基地攻撃能力(巡航ミサイル・トマホークの爆買いなど)の保有と防衛費倍増を目指している。
「防衛力の強化(先制攻撃能力や核共有論まで含む)で、相手が日本への攻撃を思いとどまり、抑止力が高まる」という抑止力論は、「安全保障のジレンマ」と指摘されているように逆に緊張を高めるものだ。現在の防衛費は5兆4000億円(2022年度の当初予算)で、GDP比で0.96%。GDP比2%以上まで増額しようとすれば、あと5兆円以上を増やすことになる。実現すれば、世界で9位だった国防予算が米国、中国に次ぐ世界3位になる。
外交では、中国に対抗し、日米同盟の深化や、北大西洋条約機構(NATO)などとの協力強化を推進する。そこには緊張緩和のため対話による外交努力を尽くす姿勢は全くない。
本年1月の施政方針演説で岸田首相は次のように述べた。
「近代日本にとって、大きな時代の転換点は2回ありました。明治維新と、その77年後の大戦の終戦です。そして、奇しくもそれから77年が経った今、我々は再び歴史の分岐点に立っています」と。
しかし新しい77年(今年からの77年)は「戦前の77年」とは同じではない。「戦後の77年」に形成された9条をはじめとする憲法3原則に育てられた戦争反対の民意は、かつての「戦前」の民意と決定的な違いがある。NHKの世論調査(2023.10.10)では「岸田内閣が最優先すべきこと」、物価高対策含む経済政策50%、少子化対策1%、社会保障11%、外交・安保9%、環境・エネルギー5%、憲法改正4%だ。民意は改憲と軍拡、戦争を求めていない。
米中対立が増す東アジアで、「台湾有事」が煽られるが、台湾の民意は「永遠に現状維持」がトップで28.6%。「現状維持し、将来 再判断」が28.3%、「現状維持し、独立を目指す」が25.2%で続く。「いますぐ独立」は5.1%、「いますぐ統一」は1.3%だ。
中国も日米との軍事衝突を望んではいない。日本と中国の両国には両政府が締約した外交4文書がある。日中はこれまで日中共同声明はじめ、日中平和友好条約、日中共同宣言、戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明などに基づいて、日中間の平和友好関係をつくってきた。
2002年9月の日朝平壌宣言もある。韓国の民衆も尹親米政権の打倒を目指し闘っている。またASEANなど東南アジア諸国の冷静な外交もこの地域での戦争を阻む要因だ。この国々は言う。Don’t make us choose(我々を巻き込まないでくれ)。
岸田文雄内閣の支持率は危険水域に突入している。報道機関各社の直近の世論調査でも、かつて青木幹雄元官房長官が「政権が危うくなる」と指摘した、内閣支持率と政党支持率の合計が「50%」を切る(=青木の法則)結果も出始めた。
解散・総選挙の風は少しおさまったように見えるが、その行方は分からない。22日投票の高知・徳島、長崎の補選の結果や、補正予算の成立をめぐる駆け引きも不確定要素だ。
もし解散になったら、私たちは改憲発議要件である改憲派の3分の2議席獲得を阻止する課題と合わせ、「第2自民党」を自認する維新の会の野党第1党化を阻止するために闘う必要がある。国会の運営の殆どは与党第1党と野党第1党の国対の協議で決められる。国会の翼賛国会化、国会のファシズム化を阻止するうえで重要な課題だ。
この間の国政選挙で、改憲勢力は衆参両院とも3分の2を超えている。21年の総選挙、22年の参院選と相次いだ国政選挙で、「立憲共産党」などという悪質な野党分断政策による与党や準与党、および「吉野・連合」などからの一斉攻撃で野党共闘にはひびが入っている。
市民連合は8月上旬、立憲野党各党の幹事長・書記局長と懇談し、野党共闘の再建の方向を提示し、同意をとって、さらに「政策合意」の取りまとめに動いた。もっか、その努力の最中だ。
市民と野党の共闘は勝利の保障ではないが、共闘は勝利の不可欠の前提だ。全選挙区での野党共闘の実現は無理でも、野党が協力すれば当選の可能性のある選挙区での共闘の実現と、立憲野党各党が比例区で奮闘することで3分の1以上の議席の確保を果たし、改憲を阻止することが必要だ。この点で、直接の責任のあり立憲民主党と日本共産党の決断と奮起を促したい。
少なくとも岸田首相が強調する来年秋の改憲実現を挫折に追い込み、2020年の安倍政権の崩壊の再現のように、岸田政権を打倒する必要がある。
(共同代表 高田 健)
池上 仁(会員)
集会は菱山南帆子さん(総がかり行動実行委員会)の司会で始まる。九条の会呼びかけ人の澤地久枝さんが椅子にかけて挨拶・・・・九条の会呼びかけ人の一人、大江さんが亡くなって私一人になった。最初は県庁所在地での九条の会だったが今は名も知らぬ地域にもできている。今日本は戦争への途を進んでいる。戦争に向かえば徴兵制を布くことにならざるを得ない。憲法をないがしろにする事態だが、でも日本国憲法は生きている。その精神を大事にする人々が今日もこれだけ集まっている。日本だけでなく世界中が憲法を守らなくては駄目だ。80年前のミッドウエー海戦の遺族と1981年に会ったことがあり、最近オンラインで再会した。彼女はアメリカで戦争のバカバカしさを訴えている。この声を世界各国の人々に訴えなくてはならない。毎日の新聞を見ているととんでもないことばかりだが、悪いことばかりではない、しかめっ面するより笑っていたい。
次いで公務の都合で松下玲子武蔵野市長(全国首長九条の会共同代表)が挨拶・・・・1944年11月24日武蔵野市は空襲を受けた、東洋一と言われる軍事工場があったためだ。毎年11月を平和月間としている。しかし市がどんなに頑張っても国が戦争をできる国にしてしまったら何の意味もない。軍事費の拡大では平和は作れない。戦争や核のない社会を孫子に残したい、そのために頑張る。
実行委員会を代表して小森陽一さん(九条の会事務局長)が挨拶
岸田政権は軍事大国化政策を実行するため必死だ。2004年九条の会が発足した当時世論の6割は改憲を支持していたが、各地で講演会を展開し、改憲反対の世論を形成してきて今も堅持している。この秋、岸田政権による改憲策動を許さないために田中さん、中野さんに講演していただく。草の根の運動を大きく展開していく出発点にしてほしい。
田中優子さん(前法政大学総長、九条の会世話人)
9条だけでなく現行憲法全体を守りたいと考えている。もう時代が変わったから憲法も変えなければ、こういう状況だから軍拡しなければという声を多く聞く。明治からずっと続くある流れがあり、私たちに戦争を強いてきた。ポツダム宣言には「日本国国民を欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ヅルノ過誤ヲ犯セシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ」とある。日本国民を騙して戦争に駆り立てた人々を排除しなくてはならない。戦後ドイツは戦争を起こした人々を裁判にかけた。しかし日本はそうした人物を排除せず政治家にまでさせた。日本国憲法ができたが朝鮮戦争が起きて日本に再軍備を迫るという、矛盾するアメリカの要求双方に従って生きて来た。
岸信介は日本の統一教会・勝共連合を作り憲法改正と再軍備を目指した。その流れが今に連なっている。この妖怪の孫が政権を取り、アメリカはこれを利用しつくしている。2015年集団的自衛権行使を容認した。防衛装備庁が大学に対し億単位の研究費を出すことになり、この時にデュアルユースという言葉を使った。私は総長として本学では軍事研究を行わないというメッセージを出した。同じ頃に学術会議が声明を出した。これが学術会議介入の背景だ。
ウクライナ戦争によって弾みがつき、更に台湾有事が言われる。台湾は既に独立国家であり国旗・国歌・憲法を持っている。ウクライナに岸田首相は大きなしゃもじを持って出かけ、アメリカの側につく姿勢を鮮明にした。「専制主義との対決」とアメリカは言うが、専制を潰すのならばそれこそが専制主義そのものだ。
明治初期には女性が集会を禁止され、開けば逮捕された。平塚雷鳥らの運動で集会は開けるようになったが投票権はなかった。昨年12月安保3文書が閣議決定された。女性は怒って、「平和を求め、軍拡を許さない女たちの会」をつくった。
自民党の改憲草案は撤回されていない。「個人」は「人」に、天皇を元首とし家族を国家の礎にするという価値観が流れている。24条の「家族は重要で最も大切にしなくてはならない」は統一教会と同じ文言だ。改憲項目の1つも変えさせてはならない。
こで岡大介さん(演歌師芸人九条の会)のカンカラ三線と演歌。風刺の効いた演奏で会場が盛り上がった。
中野晃一さん
(上智大学教授・市民連合運営委員)は資料をプロジェクターで映しながら講演した。
今日は2つのことについて話す。1つ目、先々週まで6日間台北に行った。岸田は今日のウクライナが明日の東南アジアかもしれないと言っている。台湾有事と言いたいのだろう。2つ目、多くの人々がパニックモードに陥り、対米従属を続けよう、9条で日本が守れるのかという声がある。
台北で見かけたレンタル自転車に、くまモンのマークが使われている。調べるとJCBが玉山銀行と提携してくまモンのカードを作った。九州エリアでの観光交流を図るためだ。日経には玉山銀行福岡支店を開設、半導体企業の九州進出を支援、とある。半導体メーカー世界最大の大手、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本に建設中の工場が完成間近、86億ドルの投資と関連施策も含めシリコンアイランドの復活を、と。1980年代に日本の半導体企業が世界を席巻したが、米国との半導体摩擦もあり衰退した。今や米中半導体戦争の焦点としての台湾だ。
いま世界的に半導体不足になっている。半導体はそれこそデュアルユース、経済的にも軍事的にも必須。バイデンは半導体の国産化に力を入れている。台湾依存への危機感がある。木原防衛大臣は日華議員懇談会事務局長、熊本1区選出だ、「台湾有事なら日本はポーランドの役割を」と言っている。ポーランドはNATOの最前線で金が流れ込んでいる。
2月・9月と台湾に行ってきた。現地の最大ニュースは台湾海峡に中国軍機が多数飛来だが、台湾政治の大問題は「卵」だ。反中政策が国民生活に影響し、ブラジルから輸入した卵が傷み大量廃棄され、農業大臣が辞任した。バイデン政権の「統合抑止」戦略では軍事分野と科学技術や経済の非軍事分野が統合される。その際日本・韓国も巻き込む。経済安全保障法はこの流れに位置づく。
いかに戦争を回避するか。世界的には軍事超大国アメリカに中国は追いつけない。1972年の政府見解は、集団的自衛権は駄目、とした。しかし2014年解釈改憲、2015年の戦争法で、この戦後レジームは破壊された。存立危機事態になれば集団的自衛権が発動する。統合抑止戦略とは立憲民主主義が無効化し、経済、科学技術、学術研究がすべて軍事(安全保障)のしもべになること。情報戦や経済戦争は既に始まっている。日本はそこに儲けの機会をうかがっている。
米中戦争になれば台湾や日本が戦場になり、国民の生命自由及び幸福追求の権利は守れない。メディアは中国民族そのものが悪いと言わんばかりに反中を煽る。「抑止」とは恐怖を与えることによって未然に戦争を防ぐこと。互いにエスカレートすることに安全保障のディレンマがある。「安心供与」の途を取るべきだ。
九条で国が守れるかと言われたら、これまで中国など近隣諸国に対する最大の「安心供与」として機能してきた。アメリカの戦争に巻き込まれるのを防いできた。13条とともに、戦争ではなく国民の生命を優先してきた。憲法を反故にする無原則な「例外」の拡大によって損なわれた「行動予見性」を回復することが戦争のリスクを下げることになる。
続いて現場からの発言。
中田順子さん(千住九条の会)は九条の碑を建立する会の活動を紹介。建立後は中国語、朝鮮語、英語、フランス語、スペイン語版を作り各国に贈呈するプロジェクトを開始した。7月にはソウルの植民地歴史博物館と韓国歴史教室の会本部を訪れ贈呈した。8月の原水爆禁止世界大会国際会議では13の国に渡すことができた。11月にはアセアン事務局、12月には中国の南京大虐殺館に贈呈する。ピースボートの協力を得て世界各国に贈りたい。
仲内節子さん(商社九条の会)
18年前にスタートした。商社こそ九条があるから世界を相手に仕事ができた。講演会54回目を迎える。講演録を必ず作っている。当初の憲法を学ぼうから憲法を守ろうへ路線転換した。数十人で国会前集会に駆け付けている。澤地さんの「安倍政治を許さない」タグを2万枚作って配った。様々な職域を横断する「職場九条の会」も結成した。
金子あそみさん(おだわら九条の会)
「変えてどうする!戦争しない9条が平和守っている 外交だゾー」のポスターを作った。9月に加藤登紀子さんのコンサートを1000人以上集めて成功させた。加藤さんからは「私たちは非力だが無力ではない」の言葉を贈られた。亡くなった宝田明さんの悲惨な戦争体験の物語を上演した。市民合唱団120名を募って。宝田さんの「私の願い」歌詞を紹介する。
総がかり行動実行委員会青年プロジェクトチーム
大軍拡と増税、生活どころか命も危ぶまれる事態が進行している。若者には将来への不安と絶望感が蔓延している。麻生は「戦う覚悟」といったが勝手に一人で行くがいい。本当の覚悟は戦争をしないことだ。中国が攻めてきたらという問いには、市民が大勢殺されることをどう思うかと問いかけると理解してくれる。ウクライナ戦争勃発に際し1週間の準備で、新宿で集会を開催した。SNSの宣伝だけだったが多くの若者含め450人が集まった。本当に心強かった。皆さんに負けず頑張る。
最後に司会の菱山南帆子さんが締めの言葉・・・・九条の会が立ち上がった2004年当時中学3年生だったが、本当に力強い運動が始まったと心強かった。憲法集会は高齢者ばかりというが、平和のために頑張るお年寄りに敬意を表する。絶望している若者に希望をもたらすために頑張ろう。
駐日イスラエル大使 ギャラット・コーヘン様
「パレスチナに平和を! 全ての人々を殺すな!」
10・16イスラエル大使館行動参加者一同 2023年10月16日
戦争の即時停止! 誰も殺すな! イスラエルはガザへの壊滅作戦を止めろ!
パレスチナの情勢が緊迫しています。今回のハマスによる大規模な攻撃をきっかけにイスラエルはガザの壊滅とパレスチナの全面占領を企て、総攻撃を準備しています。今にもこの殺戮が始まるかもしれません。あろうことか貴国のネタニヤフ首相は「怪物を根だやしにする準備ができている」と恐ろしい発言をしました。なんということでしょう。ガザに生きているのは「怪物」ではなく、230万人の人間です。すでにこの10日足らずで、多数のこどもをふくむ数千人の人びとが殺され、双方に膨大な数の死傷者が発生しています。
アメリカ艦隊が地中海東部に進出するなど、周辺では国際社会の各国はそれぞれあわただしく動きをみせています。第5次中東戦争勃発の危機といわれています。これは絶対に止めなくてはなりません。
私たちはハマスによる今回の奇襲攻撃は容認できませんが、過去の歴史を振り返れば一貫して和平をもとめる国連決議と国際法を無視して武力による占領と入植を繰り返してきたことで今回の暴発を誘引した貴国の政権には重大な責任があると考えます。また結果として、これらを許容してきたアメリカ政府や日本政府をはじめ国際社会にも大きな責任があると考えます。
すでに貴国政府による最終の退避勧告がガザ市民に発せられました。いったいどこに安全な逃げ場があるというのでしょう。退避先はありません。お年寄りや子どもたち、病人はどうやって移動するのでしょう。あたかも監獄のように包囲され、水も食糧も電気もとめられ、医療機関も崩壊したガザで、いま大量虐殺の危機が迫っています。これはジェノサイドに他なりません。
報復戦争と殺戮は解決になりません。武力で平和はつくれません。この間のパレスチナとイスラエルの75年の歴史がそれを証明しています。イスラエルはただちに空爆と地上戦の準備をやめ、即時停戦に踏み切らなくてはなりません。
私たち市民は貴国政府に殺戮をやめ、戦争を即時中止することを要求します。
以上、貴国大使館前に結集したすべての市民の心からの叫びであり、願いです。
連絡先:03‐3526-2920 03‐3221-4668、03‐5842-5611
国会での議論もないままに、2022 年 12 月に安保防衛三文書が閣議決定されました。この文書に「能動的サイバー防御」という言葉が登場しました。「可能な限り未然に攻撃者のサーバー等への侵入・無害化ができるよう、政府に対し必要な権限が付与されるようにする」「サイバー安全保障分野における新たな取り組みの実現のために法制度の整備、運用の強化を図る」(「国家安全保障戦略」)と明記されました。サイバー領域(インターネットやコンピュータネットワークおよびこれらを用いたコミュニケーション環境のこと)において軍事を最優先させる政策は、サイバー領域全体を戦争に巻き込み、私たちのコミュニケーションの権利を根底から脅かすことになります。政府は 2023 年 1 月 31 日に、一元的サイバー安全保障体制整備準備室を内閣官房に設置し、今後必要な法改正を検討するとしました。
私たちは、サイバー領域がいわゆるサイバー戦や情報戦などの舞台となり、自衛を名目とした武力行使を含む戦争にも関与するものとなる法改正に反対します。また、サイバー領域が国籍や人種、民族、宗教、ジェンダー、価値観など様々な違いを理由に、国家や支配的な集団が憎悪や偏見、差別を扇動し、結果として自国の暴力を正当化するための場となることにも反対します。
安保防衛三文書における能動的サイバー防御の考え方は、自衛隊のいわゆる敵基地への先制攻撃と関連するだけにとどまりません。サイバー領域全体を巻き込んだ情報操作や、サイバー領域全体の網羅的な監視・取り締まりの強化、いわゆる「敵」のソフトターゲット(民間人や民間の建物など警備や監視が手薄で攻撃されやすい軍事目標)を狙うなどの行動が重要な役割になります。そうした場合に、サイバー領域の戦争への加担は、自衛隊に限らず、企業、研究機関、団体、一般の市民の動員も想定されることになります。サイバー領域が戦争に巻き込まれるとき、従来の戦争で想定されている武器の他に、私たちのパソコンやスマホもまた「武器化」し、人々が容易にサイバー部隊に動員され、企業もまたサイバー領域での戦争行為に容易に加担することが可能になります。
サイバー領域を戦争に巻き込む体制が世界規模で急速に進行するなかで、私たちは、むしろサイバー領域をこれ以上戦争に加担させないための行動をとる必要を痛感しています。サイバー領域はまさに、コミュニケーションの中枢を担う領域であるからこそ、この領域を戦争のために利用したり、戦争に巻き込んだりすることは絶対に許してはなりません。むしろ私たちが希求すべきことは、サイバー領域における平和です。サイバー領域から自衛隊を含む軍隊の活動を排除するだけではなく、民間企業や私たち一人一人がサイバー戦争に加担したり、強制されたりすることを徹底して禁じる必要があります。サイバー領域が文字通りの意味で、国境を越えて、多様な民衆を相互に繋ぐコミュニケーションの場となるためにも、サイバー領域における平和が今こそ求められているのです。残念ながら日本政府の態度は、このサイバー平和とは真っ向から対立するものと言わざるをえません。岸田政権は、日本がサイバー戦争に踏み込むことを可能にするために、 障害となる憲法の保障する通信の秘密を形だけのものとしようと電気通信事業法、不正アクセス禁止法、ウイルス作成罪などを含む刑法、そして自衛隊法などの改悪を行おうとしています。 通信の秘密、表現の自由は民主主義社会の基礎です。能動的サイバー防御はこれを否定するものです。
以上、私たちは、能動的サイバー防御を合法化するための一切の法整備に反対するとともに、自衛隊、行政、民間企業によるサイバー戦争への加担に反対します。
2023 年 10 月 20 日
<呼びかけ団体>JCA-NET/盗聴法に反対する市民連絡会/ATTAC Japan(首都圏)/共謀罪 NO!実行委員会/「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/ふぇみん婦人民主クラブ/許すな!憲法改悪・市民連絡会/すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川