私と憲法240号(2021年4月25日号)


日米軍事同盟の新段階~米国の中国包囲に積極的に加担した日米首脳会談

4月16日午後(日本時間17日未明)、ワシントンで菅義偉首相とジョー・バイデン米国大統領による対面での初めての首脳会談が行われ、成果文書として共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」が発表された。

バイデン大統領誕生後の初めての外国首脳との対面会談であることや、両首脳が互いに「ジョー」「ヨッシー」と呼び合ったこと、会食なしの短時間のハンバーガー会談だったこと、滞米中にファイザー社に電話でワクチンの配分を依頼をしたことなどなど、政府側は話題作りに苦心したが、肝心なことは日米両政府から発表された共同声明が、その表題通り「新たな時代」(新冷戦時代)の「グローバル・パーッとナーシップ」(地球的規模での同盟)の宣言の内容だった。

今回の「日米共同声明」は、米国が「最も重大な競争相手」(バイデン、外交演説、2月4日)と位置づける中国に対して世界的規模で封じ込め戦略を進める中で、日本が米国の要求に沿って「日米軍事同盟」と「日本の軍事力」の強化を約束し、積極的にその世界戦略に加担する立場を明らかにしたものだ。これは世界的規模での米中両大国の覇権争奪戦に日本を巻き込み、軍事的・政治的・経済的対立を激化させるという、かつてなく危険なものとなった。

日本の「防衛力強化」と米国の核の傘など「拡大抑止」

「共同声明」の平和と安全保障にかかわる「自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟」という項目は、日米軍事同盟をより強化し、新たな段階に引き上げた。

共同声明はあらためて先の2021年3月に行われた日米外交・防衛担当閣僚会議(2+2)の共同文書を「全面的に支持」することを確認した。

「2+2」の文書は中国を名指しして、核の傘を含む日米軍事同盟強化を積極的に強化することを明確にし、「日米同盟が、インド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎であり続けることを再確認した。日本は国家の防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力を向上させることを決意した。米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力による日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを強調した」などと述べ、新たな「冷戦期」という危機を日米両国みずから積極的に作りだす、異例なものとなった。これを日米両国家の最高指導者が追認したことは、この地域の安全保障に重大な影響を与えるものであり、東アジアをはじめ世界の平和と共生を願う私たち市民にとって容認しがたいものだ。「共同声明」はそのなかで「日米同盟を一層強化する」ことを表明、「(日本が)自らの防衛力を強化する」ことを書き込み、沖縄県民をはじめ多くの世論が反対する辺野古新基地建設を「唯一の解決策」と断じ、また馬毛島への米空母艦載機離着陸訓練基地建設の推進にも言及した。そして「米国による核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日本の防衛に対する揺るぎない支持」を表明し、米国の「核の傘」など「拡大抑止」を表明した。

米国の中国包囲戦略

「アメリカ・ファースト」といいながら、単独行動主義によって既成の国際関係をガタガタに壊し続けたトランプ前大統領が去って、バイデン新大統領は就任するやいなや前政権の裏返しよろしく「オセロゲーム」のようにぱたぱたと米国の外交政策を同盟強化による覇権の方向に逆転させた。

バイデン政権は対中政策ではトランプ前政権が取った中国に対する強硬姿勢をおおむね維持することを前提に、そのうえで同盟国と協調して中国に対応しようとしている。バイデン政権は先の外交演説で「中国は米国と競う野心を抱き、(ロシアは我が国の民主主義に打撃を与えようとする強い意志を有する。)権威主義の高まりに立ち向かわなければならない」とのべ、「自由で開かれたインド太平洋」構想による同盟強化によって中国と対決しようとしている。このため共同声明は「かつてなく強固な日米豪印(クアッド)を通じた豪州及びインドを含め、同盟国やパートナーと引きつづき協働していく」とのべ、合わせてASEANや韓国との連携を強調した。

バイデン政権は中国の覇権主義的政策を口実にして、地球的規模で中国と覇権を争う包囲戦略を打ち出し、なかでも地政学的にも、軍事戦略からも、対中国の正面に位置する日本をこの戦略の柱に位置付けている。その結果、この対中戦略のもとで日本が果たす役割への米国の期待と要求はいっそう増大し、今回の日米首脳会談で菅首相は極めて重い荷物を背負わされたことになった。

「台湾有事」と日本の参戦の危機

「共同声明」は両首脳が「(中国の一帯一路構想など)インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対する中国の行動」が「経済的なもの及び他の方法による威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩序に合致しない」と露骨に「懸念」を表明した。そして、東シナ海、南シナ海での中国による「一方的な現状変更の試み」に反対することを強く表明した。

各種の報道が指摘するように、日米首脳会での成果文書での「台湾」への言及は、日中国交が回復されていなかった1969年11月の佐藤栄作首相とニクソン大統領の共同声明以来、実に52年ぶりのことだ。前回は最悪の日中関係ともいえる佐藤政権の下での日米共同声明であることと比べ、今回は2015年に安倍政権の下で強行した「安全保障関連法」(戦争法)の下で行われたものであり、日本政府の安保防衛政策と対中国政策の新たな段階だ。台湾問題は中国にとって「核心的利益」にかかわるものであり、こうした日米の政策はいたずらに東アジアの緊張を激化させることになる。

これは1972年の日中国交回復以来、その「共同宣言」と1978年の「日中平和友好条約」の精神に沿って歴代日本政府が曲がりなりにも慎重に日中関係を進めてきた対中政策を、米国バイデン政権の要求に沿って一気に飛び越えようとするものだ。菅首相が日米共同声明に台湾を名指ししてここまで書き込むという事態の深刻さをどこまで自覚していたかは知る限りではないが、この地域で自国の主権と利益を主張する中国との軍事的・政治的緊張を一段と高めるものだ。

この「共同声明」の先に、もしも「台湾有事」が発生し、それを口実に米軍が介入すれば、日本は「戦争法」における「重要影響事態法」の適用に至ることは明白で、自衛隊が燃料や弾薬などの軍事支援で参戦し、また沖縄の米軍基地は米軍発進の基地となり、自衛隊基地は攻撃の対象とされることは明白だ。沖縄は米国の対中国戦争の最前線にされることになる。

あわせてこれらが日本の「存立危機事態」として認定されれば集団的自衛権の行使による自衛隊の参戦という事態にもなりうる。このところ、米国から流される「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」(米インド太平洋軍デービッドソン司令官の3月9日、米上院軍事委員会の公聴会証言)という情報に見られるように、これらはもはや全くあり得ないことではなくなった。

対中戦略で、米国のインド太平洋軍は中国のミサイルに的を絞らせないために、沖縄からフィリピンに至る「第1列島線」の島々にミサイルや航空機の小規模部隊を分散配備する方針であり、これと自衛隊の南西諸島配備とそれらへの敵基地攻撃能力を保有するスタンドオフミサイルなどの配備との連携がめざされている。

米国の反中国世界戦略に積極的に加担

「共同声明」では米国と日本が中国に対して対抗意識をあらわにし、日中の係争地となっている尖閣諸島に対して「日米安全保障条約第5条が適用されることを再確認」した。そのうえで、「共同声明」は米中間で緊張が激化している渦中の安保問題に踏み鋳込んで「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決をうながす」とのべ、「香港および新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念」を表明した。「(中国による)東シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する」ことを表明した。

菅首相は首脳会談後の記者会見で「(今回の日米)共同声明は日米同盟の羅針盤であり、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた結束を示すものだ」と高く評価し、「(日米同盟の抑止力を高めるため)日本の防衛力強化の決意」を表明した。こうした中国を対象とした軍事力の増強合戦は東アジアにおける軍事的緊張を拡大するものに他ならない。

今回の「日米共同声明」は日米軍事同盟強化の新段階を示すものであり、日本が地球的規模で米国の中国包囲戦略に積極的に参加・加担することを表明したもので、米国の対中国戦略の最前線となった日本が米国に押し付けられ、引き受けた役割分担は極めて大きいものとなった。今回の日米首脳会談は中国にとってはあからさまな挑発となり、日米がいう「インド太平洋」をはじめ世界的規模での米中の軍事的・政治的緊張を拡大するものとなった。

菅自公政権を倒し、アジアの平和を

 今回の「日米共同声明」が示すように、菅政権は米国の世界戦略に付き従って、アジア太平洋において戦争の危険を招く極めて危険な役割を果たす政権となった。
衆議院議員の任期切れとなる今年の10月21日までの間には、遅かれ早かれ衆議院総選挙が実施される。戦争に反対し、アジア太平洋の軍事的緊張を緩和するためには今回のような「日米共同声明」路線を突き進む菅首相らの政治を転換する以外にない。

あわせて、菅政権は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、ワクチン供給戦略など新型コロナ対策で失敗と無策を重ね、医療体制崩壊など社会的危機を招いており、それを党利党略によってオリンピックの強行開催で糊塗しようと企てている。私たちはもはやこの政権の継続を容認できない。

4月25日の北海道2区、長野・広島両選挙区での衆参国政補欠・再選挙(本稿執筆時には選挙結果は不明)で、市民と立憲野党の共同をつくり出し、候補者1本化を実現して闘ったように、来る総選挙では全国の主要な選挙区で、必ず野党候補の1本化を成し遂げ、自公政権に代わる新たな政権を誕生させなくてはならない。(事務局 高田 健)

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チラシポスティング訴訟v 全面勝利判決

野村羊子さん(野村羊子といっしょにつくる三鷹の会 東京都三鷹市議会議員)

「チラシお断り」でも不法侵入ではない。チラシ1枚の投函は受忍限度内

2021年1月22日、三鷹市議会議員の政治団体「野村羊子といっしょにつくる三鷹の会」のニュースが、自宅ポストに投函されたことにより精神的苦痛を被ったとして、住民に訴えられた民事訴訟において最高裁判所は住民の特別抗告を棄却し、政治団体の全面勝利が確定しました。

「犯罪者氏名開示要求」

2018年11月、三鷹市在住のX氏から、私が代表である「野村羊子といっしょにつくる三鷹の会」(以後、いっしょの会)、2018年11月29日付の「犯罪者の氏名開示要求」とする内容証明が届きました。これは「侵入者の刑事告訴並びに損害賠償請求するため」であるとも期されていました。

私は2007年に市民運動の中から推されて市議会議員になり当時3期目。選挙前には、三鷹市内全域に8万枚のニュースを2回配布してきました。50人前後のボラティアが動いてくださってのポスティングです。今回対象となったチラシは、その全戸配布のニュースno.115です。

ポスティング自体は不法行為ではない

2008年に立川テント村事件、2009年には葛飾マンション事件で、ポスティングのための集合住宅立入りを「住居侵入」とする有罪判決が確定しました。これらの判決はエントランスより奥の住居部分への立入行為を「住居侵入」としたもので、ポスティングそのものを違法としたわけではありません。

しかし、報道では単に「住居侵入」だけを取り上げて報道し、ネット上でも集合住宅内のポスティングは違法とする解説が掲載されました。そのため、2012年には三鷹市内でも集合住宅のドアポストにビラを投函していたボランティアが、住民によって警察に突き出されるという事件も起こりました。不起訴にはなりましたが、ボランティアの中にはポスティング自体をためらう人も出てきました。

真っ当な判決を求めて

2019年1月、X氏がいっしょの会を相手取り、少額提訴したという通知が武蔵野簡易裁判所から届きました。

X氏の集合住宅のエントランス出入り口のガラス戸には、市販の小さな「関係者以外立入禁止」のプラスチックボードが張り付けてあります。X氏のポストには「チラシお断り!」「チラシを入れた企業の製品等は絶対購入しません! チラシを入れた政党・候補者には絶対投票しません! チラシ投入、即、不法侵入で刑事告発!&精神的被害に対する賠償請求!」「チラシ投入業者との裁判結果 謝罪及び解決金10,000円受領で和解」と3種類の張り紙がしてあります。X氏は、これを撮した写真を証拠として裁判所に提出しました。

私は、X氏のようなポスティングを罪悪視する風潮が日々強くなっていることに対して、歯がゆさを感じていました。ですから、ちゃんと受けて立とう。ポスティングは犯罪ではないことを明らかにしたいと思いました。いっしょの会の仲間たちも同様に考えていたので、正式に弁護士を依頼し、少額提訴から通常訴訟移行手続きを申し立てました。2回の口頭弁論の後、2019年7月17日に判決がでました。

エントランス立入は不法ではなく、投函も受忍限度内。

武蔵野簡易裁判所の一審判決は、「関係者立ち入り禁止」の表示があったとしても、チラシを配布する目的で集合住宅のエントランスホールに立ち入ることは不法行為にあたらず、「チラシお断り」の意思表示がされていても、ポストにチラシを1枚投函することは慰謝料請求に当たらないと、原告の訴えを棄却する判決でした。

X氏は、東京地方裁判所に控訴。2020年2月27日の控訴審判決は、改めて理由を書いての控訴棄却。X氏は東京高等裁判所へ上告。9月22日上告棄却。さらに最高裁判所への特別上告も、2021年1月22日「特別上告の事由に該当しない」として棄却されました。いっしょの会の全面勝訴が確定しました。

広く活用できる判決

担当した武内更一弁護士は以下のように解説しています。

「共同住宅のエントランスに立ち入り集合郵便受けにチラシ等を投函した行為について、『管理組合』や郵便受けの使用者が明示的に禁止・拒否していても、自治体議員の活動のニュースを投函する目的で、住居部分でなく扉が施錠されていないエントランスに入ることは建造物侵入罪にあたらず、郵便受けに紙1枚程度を投函することは、相手に対する民事上の「不法行為」とならない」と明確に判断しました。

本判決は「(立川・葛飾の)最高裁の判例の事案とは建造物への立入の態様が異なる」とも述べています。また、本判決は、違法性判断について「社会通念上一般に許容される受忍限度を超える侵害をもたらすものであるか否か」を基準にしていますので、自治体議員の活動に限らず、広く市民のポスティング行為にあてはまると言うことができます。

選挙運動は、インターネットの活用や、期間中のチラシ配布が可能となるなど、市民にアクセスする方法が増えてはいます。しかし、政治活動の一環としてニュースをポスティングすることが、多くの市民の皆さんへ直接お伝えする一番の方法である事に変わりはありません。今回の判決が確定し、当たり前の活動ができるという確認ができたことは良かったと思っています。

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憲法審査会に関する法律家6団体声明

「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」の採決に反対し、改憲手続法抜本改正の慎重審議を求める声明

2021年4月20日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 共同代表理事 宮里 邦雄
自由法曹団 団長 吉田 健一
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 上野 格
日本国際法律家協会 会長 大熊 政一
日本反核法律家協会 会長 大久保賢一
日本民主法律家協会 理事長 新倉 修

はじめに
4月15日、衆議院憲法審査会において、「日本国憲法の改正手続きに関する法律の一部を改正する法律案」(いわゆる公選法並びの7項目改正案)(以下「7項目改正案」という。)の審議が行われた。7項目改正案は、2016年に累次にわたり改正された公職選挙法(名簿の閲覧、在外名簿の登録、共通投票所、期日前投票、洋上投票、繰延投票、投票所への同伴)の7項目にそろえて改憲手続法を改正するという法案である。

与党議員らは、審議は尽くされたなどとして、速やかな採決を求めている。これに対し、立憲民主党、共産党の委員からは、7項目改正案は、期日前投票時間の短縮や、繰延投票期日の告示期限が5日前から2日前までに短縮されているなど投票環境を後退させるものが含まれていること、憲法改正国民投票は、国民が国の根本規範を決める憲法制定権力の行使であり、本当に公選法並びでいいのかという基本的な問題があること、7項目改正案は、たとえば、洋上投票、在外投票、共通投票所、郵便投票の問題など、国民に投票の機会を十分に保障するという点で問題があり、また、CM規制、資金の上限規制、最低投票率の問題など、憲法改正国民投票の公正を保障する議論がなされていないのであるから、審議は不十分であり、採決には程遠いという意見が相次いだ。
改憲問題対策法律家6団体連絡会は、以下の理由により、7項目改正案の採決には強く反対する。

1  憲法改正国民投票(憲法96条)は、国民の憲法改正権の具体的行使であり、最高法 規としての憲法の正当性を確保する重要な手段である。参政権(憲法15条 1 項)の行使である選挙の投票と同列に扱えば済む、公選法「並び」でよいとするような乱暴な議論は 憲法上許されない。
2016年の公職選挙法の改正は、選挙を専門とする委員会で審議され、「憲法改正国民投票の投票環境はどうあるべきか」との観点での議論は全くなされていない。

そもそも、憲法96条の憲法改正国民投票は、国民の憲法改正権の具体的行使であり、最高法規としての憲法の正当性を確保する重要な手段である。狭義の参政権である選挙の投票(憲法15条1項)とすべて同列に扱えば足りるとする議論は性質上許されない。ことは国の根本規範である憲法改正にかかわる問題であり、「公選法並び」などという本質2を見誤った議論で法案採決を急ぐことは、国民から付託された憲法審査会の任務を懈怠し、その権威を自ら汚すものというべきである。

2  7項目改正案は、国民投票環境の後退を招き、また、そのままでは国民投票ができない国民が出るなどの欠陥があること
法案提出者によれば、7項目改正案の目的は、2016年の公選法の改正法と並べることで「投票環境向上のための法整備」を行うこととされる。しかし、7項目改正案の審議は、始まったばかりであり、7項目の内容には以下に例をあげるとおり、投票環境の後退を招き、あるいは国民投票の機会が保障されない国民がでてくるなどの重大な問題がある。
憲法改正国民投票は、上記の性質上、できる限り多くの国民に投票の機会が保障されなければならないし、投票環境の後退を招くことは許されない。

(1) 法案自体が、投票環境を後退させるもの
繰延投票の告示期日の短縮や、期日前投票の弾力的運用は、それ自体、投票環境を後退させるものである。「投票環境向上のための法整備」という立法目的にも明確に違反する。

(2) 投票できない国民が出てくるもの
洋上投票制度や在外投票制度は、並びの改正によって投票機会の一部については向上が図られるものの、結局、このままでは国民投票ができない国民が出てくるため、国民投票は実施できない。一定の国民について国民投票の機会を保障しないままの法案は、憲法違反の疑いすらある。この不備を修正しないままで7項目改正案を急ぎ成立させる 必要性も合理性もないことは明らかである。

(3) 公選法の改正時には、予期できなかった事情や、公選法改選時の附則や附帯決議で必要な措置の検討などが課されている事項で投票環境の後退のおそれがあるもの

例えば「共通投票所」の設置は、「投票所の集約合理化」=削減をもたらしているという実体がある。「共通投票所」を設けたことによって本当に「投票環境が向上」したのか、「利便性が向上」したのか、総括が必要である。また、在外投票についても、在外投票人名簿の登録率は減少している(2009 年は 9.54%に対して2019 年は 7.14%)ことを踏まえれば、その原因を解明した上で、その対策を施した改正が必要である。
また、2016年改正後、「投票環境研究会」は郵便投票の対象者を現行の要介護5から要介護3の者に拡大することを提起している。「利便性の向上」というのであれば、主権者である国民の意思が広く適切に国民投票に反映されることが必要であり、とりわけ新型コロナの感染が拡大する中「郵便投票制度」の拡充は投票機会を保障するうえで喫緊の課題の一つである。
以上の事項については、事情変更により新たな改正や見直しの検討が必要であり、2 016年の公選法改正並びの改正を行うだけでは、「投票環境の向上」にはならないか、むしろ後退させる危険性がある。これらの問題を無視して7項目改正案を成立させることは、国会議員としての怠慢以外の何ものでもない。

3 憲法改正国民投票の結果の公正を担保する議論がなされていないこと

日本弁護士連合会は、2009年11月18日付け「憲法改正手続法の見直しを求める意見書」において、①投票方式及び発議方式、②公務員・教育者に対する運動規制、③組織的多数人買収・利害誘導罪の設置、④国民に対する情報提供(広報協議会・公費によるテレビ、ラジオ、新聞の利用・有料意見広告放送のあり方)、⑤発議後国民投票までの期間、⑥最低投票率と「過半数」、⑦国民投票無効訴訟、⑧国会法の改正部分という8項目の見直しを求めている。とりわけ、(ⅰ)ラジオ・テレビと並びインターネットの有料広告の問題は、国民投票の公正を担保するうえで議論を避けては通れない本質的な問題である。また、(ⅱ)運動の主体についても、企業(外国企業を含む)や外国政府などが、費用の規制もなく完全に自由に国民投票運動ができるとする法制に問題がないか、金で改憲を買う問題がないかについての議論が必須である。

7項目改正案は、以上のような国民投票の公正を担保し、投票結果に正しく国民の意思が反映されるための措置については全く考慮されていない欠陥改正法案である。結果の公正が保障されない国民投票法のもとで、国民投票は実施できない以上、7項目改正案を急いで成立させる必要性も合理性も全くないことは明らかである。

4 憲法審査会における審査の在り方
憲法審査会(前身の調査会も含めて)の審議は、政局を離れ、与野党の立場を越えて合意(コンセンサス)に基づき進めるというのがこれまでの慣例である。憲法審査会では、多数派による強行採決は許されない。また、国民の意思とかけ離れて議論することも、もとより許されないはずである。
2017年5月に、当時の安倍首相が2020年までに改憲を成し遂げると宣言し、2018年3月に、自民党4項目の改憲案(素案)を取りまとめ、その後2018年6月に、公選法並びの7項目改正案与党らが提出している。同法案が、安倍改憲のために急ぎ間に合わせで作られたものであることは、経過から明らかである。7項目改正案を成立させることは、自民党改憲案が憲法審査会に提示される道を開く環境を整えるだけである。

今、国民は憲法改正議論を必要と考えていない。7項目改正案を急ぎ成立させることは、国民の意思ではない。
以上

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市民団体共同声明

基地訴訟原告団の個人情報の民間への提供策動許さない!
市民のプライバシー、個人情報を侵害するデジタル監視6法案の制定に反対します

呼びかけ団体
共謀罪 NO! 実行委員会/
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/
NO! デジタル庁/
許すな!憲法改悪・市民連絡会/
デジタル改革関連法案反対連絡会

訴訟すれば、個人情報が民間への提供の対象に!?

4月14日の参議院本会議におけるデジタル監視5法案(1法案は衆議院で審議中)をめぐる審議でおよそ考えられない事態が田村智子議員(共産党)により明らかにされました。なんと防衛省が保有する横田基地訴訟原告団の個人情報が個人が特定できないよう加工して民間が利用できるように提供する対象とされていたのです。確かに行政を対象とする行政機関個人情報保護法には「行政機関非識別加工情報」(ビックデータのこと)の規定が設けられ、民間への提供ができるとされています。しかし、一体誰が基地訴訟原告団の個人情報がこの対象にされるということを想像していたでしょうか。こうした現実は、原発や環境問題など様々な訴訟の原告の個人情報も民間に提供される対象にされているのではないかという疑いを持たせます。これは市民の自由な生き生きとした活動を萎縮させるものであり、断じて容認できません。菅政権は、様々な訴訟の原告の個人情報が民間の利活用のために提供されていないか、直ちに調査するべきです。その調査が終了するまで、デジタル監視6法案の審議を中止すべきです。

民間による個人情報の利活用の促進

デジタル監視6法案の狙いは、大きく言えば三つです。第1の狙いは、首相をトップとする強力な権限を持つデジタル庁をつくり、省庁の壁をこわし、情報システムを統合する。これに自治体のシステムを連動させる、ことです。第2の狙いは、現在、民間を対象とする個人情報保護法、行政を対象とする行政機関個人情報保護法、独立行政法人を対象とする独立行政法人等個人情報保護法の三つに分かれている個人情報保護法制を、民間を対象とする個人情報保護法のもとに統合するとともに、自治体の個人情報保護条例もそれにとりこみ、国による個人情報の一元的管理への道を開こうとしていることです。

この個人情報保護法制の統合の大きな目的は、民間への行政、自治体のもつ個人情報のビッグデータとしての提供です。

ビックデータの本格的活用へ

そもそも、日本の個人情報保護法制は個人情報の民間による利活用を優先しています。

今回の個人情報保護法制の統合で、民間による個人情報の利活用はさらに強められます。民間にとって、行政や自治体のもつ市民の個人情報の利用は莫大な利益をうみます。すぐ、民間が市民の個人情報を行政や自治体から取得することはできません。まずは、個人が特定できないように氏名や生年月日などを削除して、ビックデータとして民間に提供しようとしています。

防衛省の基地訴訟原告団の個人情報の提供問題の重大性は、この個人情報保護法制の統合による民間へのビックデータ提供の先取りとしてあるからです。ビックデータは氏名などの個人を特定する情報を削除するため、本人を特定する元の情報に戻すことはできないとされていますが、そのようなことはありません。

番号による市民の管理、国民総背番号制をねらう

デジタル監視6法案の第3の狙いは、国民総背番号制への道をひらこうとしていることです。国民総背番号制とは市民一人一人に番号をつけ、それに様々な個人情報を紐づけ、市民を管理する方法です。マイナンバー制度は国民総背番号制を意図してつくられましたが、対象が税、社会保障、災害などに限定されてきたため、その機能を発揮できませんでした。ところが、菅政権は、一挙にその対象を銀行口座、保険証、運転免許証などへ拡大するとともに、2022 年末までに全市民にマイナンバーカードを持たせようとしています。

文字通り、市民の個人情報をマイナンバーを軸に管理するシステムをつくりあげようとしているのです。マイナンバー制度を軸にしつつ個人情報が紐づけられ、そのもとで官民の個人情報が一元的に管理されるシステムがつくられるならば、市民監視・管理社会化が一挙にすすむことは疑いありません。

本人同意なき個人情報の利活用に反対を!

日本の個人情報保護法は、民間が個人情報を取得し、利活用する際に本人から同意をとることを前提としていません。本人からの同意を必要とするのは、民間企業が第三者に譲渡するときなどに限定されています。この点、世界の個人情報保護法制に大きな影響力をもつ GDPR(EU 一般データ保護規則)は、企業などによる個人情報の取得の段階から本人からの同意を取ることを求め、自己情報コントロール権を原則としています。日本でも本人同意原則・自己情報コントロール権の確立が求められています。

デジタル監視6法案は国民総背番号制と国による個人情報の一元的管理をねらう悪法です。私たちのプライバシー、個人情報を守るため、同法案に反対します。

市民団体共同声明にご賛同ください
共同声明にご賛同をいただける団体は、メールアドレスの件名欄に「声明に賛同します」とご記入のうえ、内容欄に団体名を記載の上、下記メールアドレスにお送り下さい。
■送付先  kyobozai@protonmail.com
■締切 5月4日までにお送りください
■利用目的  〇呼びかけ団体、賛同団体名を一覧として、市民団体共同声明を発表します。
〇各団体のHPなどで公表するとともに、国会議員に配布します。
〇メディアに送ります

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福島原発事故10年2021年3月27日 さようなら原発首都圏集会

福島原発事故から10年、いまも原子力緊急事態宣言は解除されておらず、廃炉への目処もたっていない。原発事故で平穏な暮らしを突然奪われた福島の住民は、今も4万人ほどが県内、県外で避難生活を余儀なくされている。原発事故は地域を変貌させ、帰るべきふるさとそのものが失われている地域さえでてきている。また、溜まる一方の第1原発敷地内の「汚染水」を、菅政権は4月13日、「処理水」と呼び方を変えて2022年に海洋投棄を始めることを決定した。汚染水の投棄について「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」という福島県民・漁民と政府・東電との約束は反故にされた。一方、3月を前後して各地で脱原発を求める集会やデモ、展示会やオンライン会議など多くの取り組みが行われた。「さようなら原発1000万人署名市民の会」は、3月27日に東京の日比谷公園野外音楽堂で「さようなら原発首都圏集会」を行った。集会では会場内外に1500人が集まった。以下に集会の概要を報告する。

午後1時からオープニングライブを開始した。福島出身のシンガーソング・ライター、片平里奈さんが自身の思いを語りながら美しい声を響かせた。集会は古今亭菊千代の司会で進められた。

主催者を代表して鎌田慧さんが挨拶した。鎌田さんは、コロナ禍ではあるが集会でお互いの反対の意志を脳に刻み街に出て訴えようと、この集会を実現できた。福島の事故から10年、福島の人たちはふるさとを捨て、畑を捨て、ちりぢりになり、途中で亡くなった方や自殺した方も出た。しかし政府はまだ原発をあきらめずに再稼動しようとしている。私たちは10年前に出発して運動をひろめ、署名は881万筆を国会に提出した。皆さんの努力に感謝したい。3月18日には水戸地裁で東海第2原発の運転禁止という判決が出た。英断だ。核兵器禁止条約の運動とも連帯し、地球環境を救う運動としても、ますます脱原発をすすめていこう、と話した。

呼びかけ人の澤地久枝さんは昨年家の中で骨折したということで、杖をつきながら登壇した。澤地さんは、昨年90歳になったが、命ある限り脱原発の志を一人でも多くの人に伝えたい。政府はいつ事故が起こすかわからない老朽原発を維持しようとしている。この国の姿勢に憤りを感じる。福島の事故を思えば、日本が世界に先駆けて脱原発をしなければいけない。集会に集まった皆さんも回りのひとりに語りかけていきましょう、と話した。

報告のはじめは福島原発刑事告訴団事務局長の地脇美和さん。地脇さんは、福島の状況と刑事告訴裁判について次のように話した。
おととい福島のJビレッジからオリンピックの聖火リレーが強行された。福島第1原発の事故は未だ収束しておらず、放射性汚染物はいまも環境に放出されている。福島はオリンピックどころではなく、世界中もオリンピックどころではない。先日の地震で原発への注水を増やした。大きな地震や台風がある度に全国各地で原発事故の心配をしなければならないことが何時まで続くのか。原発が再稼動したところでも安全管理の状況は最悪になっている。

いま、福島原発事故の汚染水を薄めて海に流そうとしている。県内の自治体で反対の決議が上がっている。全漁連も反対している。海外からも反対の声もある。反対署名は42万筆になっているが、その声は無視されている。原発事故後さまざまな規制値や基準値が恣意的に変更された。汚染土を再生資源と呼び、全国に拡散されている。避難者は自身の力で必至に生活の再建をめざしてきた。公営住宅の提供期限が終了しても転居先が見つけられない人に、県は2倍の家賃を請求するなどということも出てきている。子どもの甲状腺がんの発生にも過剰診断論などという論法がでてきている。原発事故の被害のうえに次々と人権侵害が起きている。加害者の国と東電が一方的に決めていき、被害が見えなくされ、重要な情報ほど報道がなくなっている。

福島原発刑事訴訟は、2019年9月に東京地裁で元経営陣に全員無罪の不当判決が出た。裁判では東電社員から津波の危険性が指摘されていたのに、元経営陣は多額の費用を理由に何の対策もしないまま事故に至った過程などが次々と明らかになった。控訴審は夏ごろになると思うが引きつづき応援してほしい。
未来を語れるように力を合わせていこう。

つづいて原自連で城南信用金庫顧問の吉原毅さんが発言した。
吉原さんは、事故から10年、政府、官僚、電力会社がまた原発を動かそうとしている。原発は無尽蔵で低コストのエネルギー源だと言われていたが、全部ウウソだと分かったのが原発事故だった。原発事故を許してきたのは自分自身であり、安全という話を人任せにしてきた。事故当時、福島の信用金庫からも助けて欲しいという声があった。すべての人が「原発をなくすことだ」と考えられるようにするには主義主張は関係ないと思い、小泉元首相はじめ保守的な人たちも一緒の国民的な運動として「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)をつくった。原発ゼロ基本法などをつくり自民党にも働きかけてきた。

事故から10年目の今年は、「原発ゼロ 自然エネルギー100世界会議」に取り組んだ。75のセッションが立ちあがり、オンラインで5万人以上が視聴した。その場には小泉、鳩山、村山、細川、管の5人の元首相が同席して、自然エネルギーの発展を目指そうというメッセージを出した。

いま、国民の8割以上が原発を止めるべきだと思っている。もし、九州の原発で事故が起これば日本全体が汚染され日本が消滅する恐れもある。まだ核のゴミ処理の方法も決まらず、経費はすべて将来の世代にのしかかる。一方で、自然エネルギーなら日本の経済発展につながる。農地の上に太陽光発電設備を作ると地方経済が発展するし、若者が地方に戻ることにもつながる。事故をよく知らない若い人たちや、原発が安全だと思っている人たちに、原発をすぐ止めよう!と伝えよう。自然エネルギーで日本は大発展する。

 飛び入りで菅直人元首相がごく短く発言した。10年前の事故のときは、今日があることが言えなかったほど危機的な状態だった。幸運な偶然が重なりそこまでは拡大しなかったが、まだ事故は継続している。人間が作ったものは、人間が止めることができる。国会議員の半分が原発ゼロ法を賛成と言えば原発は止まる。今年中のある総選挙で、原発ゼロの議員を選んでこう。

最後のスピーカーは東海第2原発運転差し止め訴訟原告共同代表の大石光伸さんが発言した。「東海第2原発を廃炉に! 再稼働は認めない!」という横断幕や幟を手にした仲間とともに登壇した。

大石さんは、水戸地方裁判所の前田英子裁判長が、東海第2原発は運転してはいけないと命じた。住民側の勝訴だ。判決の前提事実として、原発の過酷事故は住民の生命・生活に重大な被害を与えるものである。事故は高度な科学的技術力をもって複数の対策を行わなければ成らず、1つでも失敗すれば被害が拡大し、破滅的な事故につながりかねない。“実際の福島第一原発の事故は”として被害の実体的な数をあげて、「周辺の居住する者が危険にさらされ、生活の根拠を失う甚大な被害をもたらした」と福島事故の甚大な被害が判決の前提になっている。裁判のなかでも原告の陳述を認め、原告は福島の被害を訴えつづけた。

判決は福島事故からの教訓を生かして、原発は安全と言えず、被害の危険性があると判断している。住民の“原発を止めて欲しい”というメッセージを受け止めたと思う。今後も世論を喚起し、周辺自治体でも稼働を同意しないように運動を強めていく。首都圏の老朽原発を廃止に追い込む実績をつくることが全国の原発を止める一歩になり、福島のみなさんの思いに報いることになる。

閉会のあいさつは、作家の落合恵子さんがおこなった。落合さんは、現実の会場に人々が集った手応えを喜びつつ、「私たちのゴールは原発ゼロの社会であり、世界から核をなくすこと」と、核兵器廃止条約も視野に入れながら集会を結んだ。最後に司会からの提案で、プラカードをかかげ「さようなら原発」の声で会場が一体となった。終了後は銀座~東京駅方面へデモをおこなった。デモの参加者は音楽を流しながら、天候に恵まれにぎわう通りの人々に脱原発を訴えた。

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インタビュー 在日ビルマ市民労働組合 ミン・スイ会長

ビルマ(ミャンマー)の軍事クーデターと市民に対する虐殺に抗議し、人権と民主主義を求めてたたかう市民に連帯する。

ビルマ(ミャンマー)では2021年2月1日、同国国軍が違法な軍事クーデターを起こし、非常事態宣言が発出され、ミン・アウン・フライン国軍総司令官が権力を掌握した。アウンサンスー・チー国家顧問はじめ多くの政府関係者などが逮捕され、政府を追われた。これに対して市民たちはいっせいに大規模な抗議行動に立ち上がり、ビルマ全土でデモやストライキが展開されている。軍はこれを銃と爆弾で弾圧し、虐殺が行われ、多くの犠牲者が続出している。これにたいして全世界の市民やビルマ人などから抗議の声があがっている。日本でも、このクーデターに対する在日ビルマ人をはじめとする市民の行動が連日のように展開されている。

4月5日、「私と憲法」編集部(菱山・高田)は東京・芝公園の近くの「友愛会館」に在日ビルマ人の抗議行動の軸になって活動している「在日ビルマ市民労働組合」のミン・スイ会長を訪ねてインタビューした。インタビューはJAM(ものづくり産業労働組合)の会議室で行った。以下はその際にミン・スイ会長が語ってくれたお話を編集部の責任でまとめたもの。

軍事クーデターに反対する

クーデターはほんとうにやっちゃいけないことです。2008年5月29日に作られた新憲法でも「クーデターはしません」という項目が書いてあるにもかかわらず、そういうふうにしたのはけしてよくないことです。テイン・セイン前大統領のときも、「国民のために」ということをいっていたのに、なぜ今国民を殺しているのかということが大きな問題です。このことが日本人を含めて国際社会からも(中国とロシアは別として)多くの批判がでていることです。

ロシアや中国の国民の一部もミャンマーでのクーデターと弾圧に反対しているという事は、私たちは聞いています。特に香港の若者たちも「弾圧やクーデターはだめだ」っていっている。

なぜ武器を持たない国民に対して、武器のある軍人たちがそこまでひどく殺戮しているのか。実は、長年軍事政権の下で国民たちが規制されて、ミャンマーの軍人たちは教育もあまり受けられていない。軍は国の経済の8割は握っているんです。それは例えば資源であるルビーとか翡翠(ひすい)とか、銅山とか金山とか、あとは石油とか、それに関わる貿易みたいなものの8割を彼らは持っています。

2008年新憲法で長年、時間をかけて、絶対彼らが勝つような新憲法を作っていたんです。そこで2010年に民主化を目指すということになりましたが、国会では軍は議員の25パーセントを握っている。

2011年ごろにアウン・サン・スー・チー氏が自宅軟禁から釈放されて、2012年には国会に入って、2015年は総選挙に勝った歴史があります。しかし、軍はこの5年間で、例えば日本でも自民党から政権交代して民主党に政権を渡したとしても、4年間ぐらいでまた負けたじゃないですか。そういう状況が来ることを軍は望んでいたんです。この5年間ぐらいは軍が、国民は政権の経験もないし、自分たちが長年作っていたものを国民は生かせないんじゃないかなというふうに見ていたと思います。

それでもスー・チー政権によって欧米諸国(日本は一番多い)はODAを出して、国はちょっと発展しました。道路とかよくなっているし、この2月くらいまでには村にまで75パーセントは電気が通っているという状況になりました。

軍の経済支配も危うくなっていた

こうして経済的にも結構発展したところもあった。軍がなぜクーデターまで行ったのか。スー・チー政権のもとで、中国が前にテイン・セイン政権の時に結んでいた「資源に関する契約を延長しない」ということを言った。延長しないということであれば、軍の貿易がマイナスになる。軍が今握っている貿易が全部パーになる。それを彼らは一番恐れてクーデターに進んでいったんじゃないか、ということを私は感じています。国際社会もそういうふうに見ていると思うんです。

中国はもともと軍事政権を以前からも支援していましたから、ミャンマー軍事政権のときから結んでいた貿易などが、もし契約は延長しないことになった場合は、中国の会社もマイナスになる。インド湾のところから石油とか天然ガスがパイプで中国につながっていますが、その利益も中国には59パーセントぐらい上がっています。それはあと30年間保障されている。国軍のやっている貿易会社の利益は32パーセントぐらいです。政府に入る利益の分は、激減してしまいます。

ミャンマーは資源が豊富に産出する国ですが、その資源は自分で使えない。それを全部中国に売って、中国からまた電気を買うということになっているのです。安く売って、高いものを買うということになってしまって、逆に赤字になる。だからスー・チー政権は、ちゃんとそれを計算して、その契約が終わった場合は更新しませんといった。そういうところを彼らが怯えたのだと思います。国際社会からも軍に関する圧力が強まり、軍人の子どもたちがやっている会社などを、経済制裁まではいかないのですが、貿易制限をするということがあったりしました。だからこの5年間では軍人はどうしても貿易でも損をするということを感じていたのではないかと私たちは思っています。

ただ、クーデターは私が予想していたより早かった。私の予想では、今年の5月ぐらいに起きるのではないかと思っていました。何故かというと、2月1日に国会が始まって、国会の中で答弁などやりとりをしながら、それでもだめだったらその時やるんじゃないかなと思ったんです。実際はちょっと早かった。でも、このクーデターが起きたことについては、私もあまりびっくりはしていないんです。

軍の陰に日本の動きがある

このクーデターは日本の誰かが、裏側についてるんじゃないかなと、という気がしています。

何故かというと、日本財団の笹川陽平さんが、ミャンマーの総選挙の当時の監視委員会委員長をしています。選挙に使っているインクも、日本からの寄付で無償援助として送っています。選挙が終わって一週間のうちに笹川さんが自分のホームページに書いて、いまだに載ってるんです。「この選挙はきれいな選挙で、何も不正なものはない」と。その時、日本政府の官房長官もうそういうふうに言っているんです。

不正選挙で選ばれたのではないなら、なぜクーデターがやられたときに、何も抗議をしないのかということが、私たちは疑問です。また、この選挙の後の11月頃、日本財団の笹川さんとミャンマーの丸山大使が、ラカイン州にあるアラカン軍(AA)のところに行って、国軍との和解の話をしたり、ラカイン州でも選挙をまたやろうということを言い始めているんです。それは、私たちも悪いことではないのですが、ただし、この笹川さんと丸山さんがラカイン州に行っていることは、軍だけに知らせて行っている。スー・チー政権に一切何も言ってないらしいのです。

だから、笹川さんがそこから戻ってきて、スー・チーさんと会おうとしたところ、却下されたということです。3回ぐらい「会ってくれ、会ってくれ」と言ったのですけど、スー・チーさんは却下した。行ったとき何もお知らせもしないのに、帰ってきてから話があるということになっちゃうと、そういうふうになるかもしれないです。それで笹川さんがちょっと怒ったみたいです。

私たちに日本の誰かの関与という話の証拠を出せと言われれば、証拠ははまだありません。たたし、今見ると、軍がクーデターを実行しても、国民が殺されても、笹川さんは何のコメントもだしていないのです。いいとも悪いとも言っていない。黙ってるんです。黙っているということは、賛成しているという意味ですよね。日本語でもあるように、ミャンマーでも同じくあります。黙っていることは、やっていることに賛成しているという意味になります。

私たちは日本財団に関して、先週の金曜日の院内集会でも、そういう話を国会議員の前でも話をしました。しかし外務省に行って話をしても、「今、日本政府はODAの新規を、とりあえず出さないように検討している」というだけです。絶対ODAを出さないということは言っていない。そしたらこのお金は、資金は軍が武器を買うのに使われる。軍は武器を買って国民を殺す。これでは日本の国民の税金のODAで、ミャンマー軍が国民を殺すようになっているじゃないかということもできるでしょう。

いまだに日本政府の茂木外務大臣が言っているのは、「この問題は難しい問題だ。今のところ欧米のように経済制裁をやる必要はない」と言います。それは裏でどんなパイプが付いているのかは、はっきりは言っていません。もちろん官僚たちが裏で何かやっているということもありえるので、私たちもそれを国会議員の先生たちを通して陳情を続けるしかありません。

スー・チー氏逮捕は理不尽

ミャンマーの市民は、何を目指しているのか、については明確です。

国民たちは、デモの時に三本の指を示します。「法」と「自由」と「民主主義」です、私たちはそれを目指しています。
ミャンマーでは、民主主義がまだ若いうちに弾圧されて潰されています。アウン・サン・スー・チー氏には訳が分からない罪がかぶせられ、書類送検される容疑がひとつずつ増やされます。今罪状が5つになっているんです。

だって、国家顧問の家に無線機があったとしても、罪になりますか。そんなことは12歳の子供でも考えられるんですよね。ですから、私たちには言葉もありません。

「沈黙」は支持ではないか

日本政府からは、今、何も回答がありません。

例えば、茂木外務大臣は欧米諸国とミャンマーに関して電話で会談しているわけです。さっき言ったことですが、外相は難しい、何をやるべきかわからないといいながら、なぜ欧米諸国に電話しているのでしょうか。日本どういうふうに歩むべきかについて内閣で話をしたり、ミャンマーに詳しい専門家に相談したり、あるいはそのミャンマー人の国民の声を聞いたりするべきではないんじゃないですか。それを何もやらないうちに、「ミャンマーの問題は難しいし、何をするべきか」などといっているのは、どちらが勝つのかと様子を見ているんじゃないでしょうか。万が一、国軍が勝ったとしたら国軍を政府と認める。国軍が負けたら、ミャンマー国民の側を支持するということではないのでしょうか。

88年クーデターがあり、1989年1月ごろ、政府としてミャンマー軍事政権を世界一はやく、一番早く認めたのは日本政府ですよ。

前回は、市民がデモを展開してからクーデターが行われた。

今回は、デモが先ではなくて、クーデターされてからデモが起こった。日本政府は、今、作られた「連邦議会代表委員会」(CRPH)を政府として認めるべきじゃないですか。

先日、ちょっとこの質問をしたら、外務省関係は何も言わずに、その場を帰っちゃったんですよね。

でもそれも官僚の下の人はそういうふうになるのはあたりまえだと思うけども、外務大臣としてこの発言はちょっと日本政府らしくはないんじゃないかなと思います。

●日本企業も沈黙

ミャンマーには日本の企業も400社ぐらい行っている。この400社来ている日本の企業の人たちからも、このクーデターに対して、いまだに何の声明も出てない。それはおかしいですね。そうしたら、日本の企業って何が目的でミャンマーに行っているんですか。

クーデターによって自分たちが損をして何にも利益がないにもかかわらず、何にも意見もないということは、裏側に何があったんじゃないかと思うんです。今の段階では、例えば1億、2億ぐらいの規模の損じゃないんです。中国も何千社も何百社も行って、その利益がパーになっているにもかかわらず、いまだに黙っていることは、彼らにとってはお金のことは心配ないということですかね。

じゃ、何故心配はないのでしょう。どういう形かで利益があるから、まあいいや。こっちは損している、こっちからは入ってくるから、まあ、そのままでいいや、ということになっているのではないかと私たちは考えます。

日本政府にプレッシャーを

日本の政府の側がやるべきことはたくさんあります。日本財団のところにいついくのか、日本企業のトップである人びとに、少し調査をしていくという事も考えられます。一番いいのは日本政府からの発表で、「自分たちはミャンマーの国民の側にいますよ」と言ってくれれば、それが一番いいですね。

だからいまのところ、私たちは日本政府に対する働きかけの活動を中心にやっています。また今週の金曜日には、日本の報道が取材しているところで院内集会を開きます。もう一つは、先週、私たちは連邦議会代表委員会(CRPH)の日本支部みたいなサポートグループを作りました。代表の7人の中に私も入っているんですけれども。そのもとで在日ミャンマー国民も、意見交換のための第1回会議をやろうとしています。それもJAM(ものづくり産業別労働組合)の会長さんとか、あと「連合」の方とか、今日の夕方に話しあってやろうというところです。それらの方々はアドバイザーとして、顧問として入って、いろんな相談を乗ってもらったりしようかと考えています。そういうものができれば、日本政府に対するプレッシャーとして大きな力になるんじゃないかなと思います。

在日ビルマ市民労働組合

私の日本での活動についてお話ししましょう。

最初に私たちが、労働組合、在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)をつくったのは2002年の4月だったかと思います。

その時、私は、まだ日本に着いてはいませんでした。連合のNさんというオルグの方が、前の会長のティンウィンさんをILOが支持しているITUC(国際労働組合総連合)の会議に連れていって、それでJAMの当時副書記長であるKさんと会って紹介してくれました。日本でも活動をやりたい。中心的には政治活動やりたいと言っているけれども、JAM(ものづくり産業労働組合)の方針としては政治活動はやらないから、 俺たちができることは労働組合を作ることだ。そういうことで合意して、労働組合を作りはじめましたそれは「在日ビルマ市民労働組合」という、東京都の法務局でちゃんと正式な登録をしてできた日本で唯一の外国人だけでの労働組合でした。今は、外国人労働組合はブータンができて2つになっているけど、当時そういうことになっていました。

私が日本に来たのは、2002年12月21日です。私がどういうふうに日本に入ったのかというと密入国でした。パスポートも何もない状態で船から下りました。

私は2003年2月ごろに神奈川に住んで、東京に来たのは2005年2月ごろです。その時、ティンウィンさんたちが作った労働組合の話を聞きました。ティンウィンさんと会って話をしたら、どうしても組合に入って欲しい、役員になってほしいといわれました。4月に第1回の総会があるから、そこで入ってくれという、皆さんの要請はめちゃくちゃ強くて、「それならやってみようかな」ということで活動をはじめ、未だにやっています。以来、18年です。4月が過ぎたら、もう19年になります。

日本の市民ができる支援活動

日本の市民は闘いに対して何ができるかということですが、 一応、私たちの活動にいろんなサポートをする、それしかないんじゃないでしょうか。

はっきり言えば、例えば私たちがやっている署名活動に参加したり、デモ行進に参加したり、日本政府に対して抗議活動をやるときにみんなでいっしょにできる限り行動したり、あとはミャンマー国内の困っている人たちに寄付を出したりとかですね。私たち日本にいる人には寄付はもう要らないけれど。私たちは自分たちの仕事を持っているから大丈夫です。

日本の皆さんが私たちのデモに参加してくれても、私たちの運動にとっては迷惑にはなりません。組合を作ってから、私たちはずっとデモ行進はやっているんです。その時、たまたま日本の宗教団体の人も入ったり、他の人びともきたり、いろんな形でやってるんです。私の知り合いの日本人の方も、毎回、毎回大使館前の行動に来ています。

私たちは今も大使館前で毎日のようにデモをやっています。私は毎日いっちゃうと他の仕事できなくなっちゃうので、若者たちに任せて「やって下さい」といっています。

毎日のようにデモなどを行っている

今日もベトナム大使館前で抗議デモをやる予定です。何故ベトナムかというと、ベトナムが国連の安保理の中で1カ月間の議長国になるんです。先月(3月)27日は軍の記念日で、ベトナム軍のだれか偉い人が来て参加している。それはどうみても、ミャンマー軍を支援している、ミャンマー軍を認めているという意味になりますから、私たちミャンマーの国民としては、軍事政権を認めないようにしてくださいという活動を続けてやります。

また、先週は、若者たちが中心になってロシア大使館でも抗議デモをやりました。今週中には中国大使館にもやるつもりです。でも、日にちとは何もまだ決めていません。なかなか許可が出なく、厳しいんです。その厳しさをどういうふうに乗り越えていくか、いま会議をして考えています。

あとは4月9日に院内集会が参議院議員会館であります。その中で、ミャンマー人はわたしを含めて3人ぐらい、5分ずつ話をすることになっています。

先週も、外務省の中に入って、外務省の皆さんといっしょに話をしたり、質問を出したりしました。外務省の担当者たちの回答は何もはっきりしません。だから、あなた達(応対した外務省の担当者たち)が回答できないのであれば、私たちは菅総理か茂木外務大臣に会って話すしかない。これでは時間の無駄ですよといいました。私たちはミャンマー国内にいる人たちに、応援するために、そういう活動やっているよと伝えたいのです。ミャンマー国内で命をかけてデモやっている人びとに対して、私たちは命の問題はないけれども、こういう行動を続けてやっているということを伝えたいのです。ミャンマー国民が勇気が出るような活動を続けてやるしかないんです。

だから日本の市民は、そういうところに対しては、できることを私たちといっしょに声を出したり、デモに参加したり、院内集会でも行ったりということができればと思います。

あとは、日本政府に対してミャンマーにたいするODAを出さないように要請したり、軍の政権を認めないでCRPH(連邦議会代表委員会)の人びとを認めるよう要請する活動があります。日本人のみなさんの中に広める活動も必要でしょう。例えば外務省のホームページの下にコメントを書いたりですね。

私たちは署名活動ではJAMを通して30万人の署名を集めるつもりです。それもまだ日にちは決まっていませんが、今月中に総理官邸前でデモをやりながら渡す予定でいます。

また、デモとしては、来週の4月11日の日曜日、五反田南公園という五反田駅の近くにある公園、多分ご存じだと思うんですよね、私たち大使館前デモするとき、いつもあそこからスタートしてるんです。ちょっとちっちゃい公園ですけれど、取りあえずここしかないから、1時ごろに集会をして1時半ごろに出発する予定です。前々回、代々木公園で集会をやったときにも結構多くの人々が参加していました。前回の27日の時もJAMを含めて日本人は多分100人ぐらい来てると思いますよ。今回も、場所はちっちゃいけども日本人がもうもうちょっとたくさん来るんじゃないかなということも予想しています。

日本の市民団体の集会なんかやる時に、アピールとかをすることは他の仕事と重なってなければ大丈夫です。心配はないですよ、ミャンマー国内みたいに軍に弾圧されて命が危ないわけではありませんから、そのぐらいは大丈夫です。

ただ日本政府に対して抗議を続けると、いつか潰されるかもしれないという恐れはありますが、いまのところ、そこまではないと思います。私たちが行動しいてるところにはいつも公安がいます。でも私たちはこれは嫌ではありません。それは、彼らも日本の国民のことを守るという意味で来ているのだからしかたないでしょう。彼らは彼らの仕事をして、私は私の仕事をするしかない。

これが問題になったのは、緊急事態宣言の中で国連大学のところでデモをやる時に、国連大学の方々や渋谷警察と話をしたんです。私たちは、できるだけマナーを守りたい。だけど、クーデターで国内で人が殺されている、日本にすむミャンマー人たちの気持ちがそういうふうに爆発するときコントロールができないんですよといいました。ただ、私たちは、コロナ禍での緊急事態宣言はわかるけども、できる限りソーシャルディスタンスみたいなものを確保してやりたいんですけど、必ずしもできないです、とも言いました。できないというのは、私のためではない、ミャンマー国内の人たちのためにやっているので、あなたたち警察側が指導で強く言っても、国連大学の方々が何を言っても、私たちは、受け入れられないと言いました。

代々木公園の時は、日本の国民から批判があまり出ないようにサイレントデモをしますと、私たちからいいました。その結果、結構評判がよかったと思います。日本人たちも、ニュースを見てわかっている。そのぐらいはまぁ仕方ないかなということになったと思うんです。当時、テレビのインタビュー中でも私はそういうふうに言ったんです。「日本の国民の皆さんの心配にならないように、私達は今回サイレントデモをやってますよ」と。そういうことをひとこと言ったので、テレ朝の写り方も、一番最後にゴミ拾ってる人まで映したので、そういう伝え方もちょっと上手くなっている。テレビを見ていた日本人のみなさんは、そこまでやってくれるんだということを理解してくれたと思いますね。他のテレビ局は、デモだけ映していて、そういうごみ拾う場とか消毒やっていることとかが映ってないんです。放送の中に入ってない。そうすると、それで自分たちのことだけやっているのかと思われる。サイレントデモをやってゴミ拾いまで映っているから、「そこまでやってるんだね」とみてくれるのと全然違うんですよね。私たちは出来れば日本人の国民に負担を、あるいは迷惑にならないようにとか、いつも気をつけてやっています。たまにできないこともあるかもしれませんが。

軍事政権を承認するな

今のミャンマーの国内での映像をいろいろやってまいすが、ものすごいひどい映像はまだまだあるんです。もうほんとに銃で撃たれて頭が半分しかない。それで頭の中の脳は出ちゃっていて、これをビニール袋に入れて家族に渡すという映像もあります。たぶん、日本では映像禁止だと思いますが。NHKはミャンマーの仲間たちの助け合いみたいなものを中心に放送していたと思います。実際には本当にひどい場面がたくさんあります。

国内のひどい映像は数だけではないんです。それを知らせることを努力してやっています。これを私たちは協力して集めて伝えます。国際社会、あるいは日本政府から軍事政権を認めないようにすること、それは一番大事です。とりあえず認めちゃったら、もう他の国へもバンバン広がって、どうしようもできなくなっちゃいます。89年の時にも経験があるんです。日本政府は、軍事政権を最初に認めてしまい、後にすぐ中国、ロシアがつづきました。中国、ロシアは誰かが認めることを待っています。今回は、いまのところ中国、ロシアが国連安保理でも拒否権を使ってダメと言っているけど、軍人政権としてまだ認めていない。でも、それも今の軍人政権のミャンマー内の作戦だと思います。軍人たちは今のところ軍人政権とは言ってはいないのです。軍の「実行委員会」だと言っているんですよ。軍の主張では、一年後に新しい総選挙をまたやって、そのとき誰が勝ったのかで政権をつくろうということです。国民は、彼らの言うことを信用しません。 あんたたちはいつも嘘をついている。今でも、ミャンマー国営テレビからはクーデターのことは一切何もないのです。国民が暴力行為をしているから、自分たちはやむをえずやっているということだけです。逆になっています。それを若者たちみんなわかるから、いまだにデモ行進が続くのです。国民がデモを2カ月以上経ってもいまだに続けいてることは、国民はあなたたち軍人を支持しないよ、ということです。誰でも見ればわかるんです。

★ミャンマー軍事クーデターに反対する抗議声明

JAM会長 安河内 賢弘
JAM FWUBCC 執行委員長 ミン・スイ

ミャンマー国軍は2月1日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相、ウィン・ミン大統領ら民主勢力の政府与党、国民民主連盟(NLD)の幹部らを拘束し、一年間の非常事態を宣言。国軍系テレビで「国家権限を掌握した」と表明するなど、事実上の軍事クーデターを実行した。ミャンマーでは、テイン・セイン政権発足により、軍政から民政移管し、およそ10年が経過していた。
私たちJAMは1999年の産別発足時、「人間尊重を基本にすること」、「働く者の諸権利・自由と民主主義が保障されること」、「社会的な不公平のない平等な社会の建設」を結成理念のなかに謳った。このことからもJAMは、人間尊重と民主主義を踏みにじるミャンマー国軍の暴挙に対して強く反対するとともに国軍が拘束した人々の早期の解放と民主的政権への回復を強く求める。
2021年2月4日

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