資料・衆議院憲法調査会中間報告採択に際しての反対討論

社民党・金子哲夫

憲法調査会中間報告提出に対し、次のとおり意見を述べます。

これまでの調査会は、「憲法の制定経緯」「戦後の主な違憲審査」さらに「21世紀の日本のあるべき姿」に関する調査が行なわれました。残念ながら私達がかねてから要望してまいりました「憲法の持つ理念、原則が現実の政治の中でどのように活かされ、実践されているのか。また守られてきたのか。そして、憲法の現実の政治との乖離はないのか。またあるとしたらその原因は何か」という、最初に調査会が取り上げるべき課題が、いまだに調査されていません。そのような重要な調査活動すら行なわれていない現状で、ただ調査会の調査期間の折り返し点にきたからというだけで、中間報告を行なうことには、反対であることをまず表明します。

さらにその編集内容についても、大きな問題があると考えています。ご承知のとおり、これまでの調査会の調査方法は、その大半が、各分野の参考人を招致し、意見を聴取・質疑応答という形で行なわれました。本年1月の第154回国会から行なっている小委員会でも、若干の委員間での自由討議も行なわれていますが、その多くの時間は、全体での調査会とほぼ同様に参考人の意見を聴取し、質疑応答という方式で行なわれてきました。つまりは、これまでの調査会は、そのほとんどが、参考人の意見に対し、質問するということであり、あるテーマに則して委員自身の意見を開陳するということはほとんどなかったといっても過言ではありません。

重ねて申し上げれば、あくまでも参考人の意見開陳を中心に論議され、その参考人に対し、各委員の意見が述べられたということであります。

それにも関わらず、本中間報告書(案)における、第3篇、第3章の「憲法調査会における委員及び参考人などの発言に関する論点整理」では、今述べました調査会の論議状況であったにも関わらず、その時々の発言のある一部が・きわめて短い文章で、各項目に沿いながら、切り張り的に寄せ集められるという編集になっており、とうてい発言者の全体的な意図を正確に集約しているとは言いがたいといわざるをえません。すでに私は、こうした編集方法については、地方公聴会での配布資料「衆議院憲法調査会」の内容をめぐる論議の際にも指摘してきたところです。地方公聴会の配布資料では、その部分は削除することとなったことを付言しておきたいと思います。その意味でも、本中間報告(案)では、とても容認できるものではありません。

仮に、どうしても各委員の発言を載せるとすれば、調査会の開催日ごとに、しかも発言順に沿いながら、時系列的に編集することが、発言の内容をより正確に報告することになるといえます。そうした編集にすることが、前書きにも言われている「本調査会は、これまでの調査の経過及びその内容をとりまとめた中間報告を作成し、議長に提出することとした」という、本中間報告書の趣旨に沿うものといえます。したがって、本中間報告(案)の第3篇、第3章は、時系列的に再編集するか、それができない場合は削除されるべきであることを強く主張いたします。また、本中間報告書(案)では、5回にわたる地方公聴会についての記載が、あまりにも簡略すぎることについても付け加えておきたいと思います。

以上述べました観点から、本中間報告書(案)が、原案のまま議長に提出されることは、反対であることを改めて申し上げ、私の意見を終わります。

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