私と憲法126号(2011年10月25日号)


声明:憲法審査会の委員選出強行に抗議し、あらためて改憲を許さない決意を固めます!

第179臨時国会が10月20日から始まった。冒頭の両院の本会議で憲法審査会の委員の選出が行われ、その後、衆議院は大畠章宏(民主)を会長に50名で、参院は小坂憲次(自民)を会長に45名で審査会を構成した。これで改憲原案が審議できる場が整ったことになる。永田町は改憲の階段をまた一歩、登った。

この選出過程は極めて異常であった。もともと改憲手続法の制定過程で民主党は憲法審査会の設置に消極的であり、先の第178臨時国会においても、野田佳彦首相は、「(憲法改正について)政治家個人としての持論はあるが、首相の立場として憲法を遵守し、現行憲法下で最善を尽くす」とのべ、「震災復興など喫緊の課題が山積し、憲法改正が優先課題とは考えていない」と答えていた。従来の党の方針を覆し、直近の首相発言の舌の根も乾かないうちに、国会での野党(自民・公明)対策と称して、共産党、社民党の反対を押し切って、憲法審査会の委員の選出を強行した。国会で、直接憲法問題にかかわる委員会の設置を自公民による多数決で決めるということは異常なことであり、許し難い暴挙である。私たちは心からの怒りを込めて抗議する。

選出された委員の顔ぶれをみると改憲派が圧倒的に多い。会派別には、衆議院の幹事は民主7名(会長含)、自民2名、公明1名、委員は民主25名、自民10名、公明、共産、社民、みんなの党、国民新各1名。参議院の幹事は民主4名、自民4名(会長含)、公明、みんな各1名、委員は民主15名、自民12名、公明3名、みんな、共産、日改、社民、国民各1名である。もしも民自公が何らかの改憲で合意すれば、憲法審査会は改憲原案を決定できることになる。野田首相が「大連立」志向を持った政治家であることや、衆参の与野党議席のねじれから民主党が議会対策でたえず改憲政党の自民党の要求に引きずられる立場にあることを考慮すれば、その危険性は油断ならないものがある。

野田佳彦首相は就任直後のオバマ米国大統領との首脳会談で「辺野古新基地の促進」と「TPP(環太平洋経済連携協定)の早期結論」を要求されると、11月のハワイAPECの場での再度の日米首脳会談に宿題を間に合わせようとするかのように、閣僚級の要人の沖縄訪問がひんぱんに行われ、民主党内ではTPPへの参加の検討が強引に進められている。懸案の「原発」対処も、菅前首相の「脱原発依存」からの転換に踏み出した。放射能被害が首都圏にまで拡大していることが明らかにされているなか、首相の感覚は何万、何十万、何百万もの被災者・住民の意識からまったく離れている。さらに米国の要求に応えて、前原政審会長は武器輸出3原則の緩和を言い、首相も見直しは必要だと呼応した。南スーダンへのPKO派兵も準備されている。財務相は来年の通常国会での消費税増税を公言している。

これらのいずれもが憲法の理念に反する悪政である。東日本大震災と原発震災によって、幾多の人びとが生命と生活を脅かされている下で、いま緊急に必要な課題は改憲どころか、憲法の遵守であり、25条や13条などの実現である。私たちは民自公など各党による改憲のための憲法審査会の始動という暴挙を糾弾し、今後の審査会の動向をしっかり監視し、憲法改悪に反対する闘いを、共同できる全ての人びとと協力し、全力で強化する決意を表明する。

2011年10月21日
許すな!憲法改悪・市民連絡会

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原発住民投票の思想を問う

高田 健

「みんなで決めよう『原発』国民投票」(今井一事務局長)の会が「原発国民投票」運動を呼びかけてから3ヶ月余りが経った。この間、私たちは脱原発運動の前進を願う立場から、いくつかの文章をサイトに公表するなどして、この運動や類似する他の「原発国民投票運動」への疑問を提起し、一定の批判を行ってきた。

今井氏たちは、今年6月末、この原発国民投票運動の構想として、「私たちが要請している『原発』国民投票法の制定を立法府に受け入れさせるべく、2011年11月11日までに『原発』国民投票の実施を求める『請求人』を111万人、本会の活動に賛同しサポートしてくれる『賛同人』を11万人獲得するという目標」(同会サイトより)を掲げ、運動を始めた。この力で国会に圧力をかけ、「原発国民投票法」を作らせるという計画だった。

しかし、呼びかけ以来3ヶ月を経た10月7日現在、サイトに発表されているのは、署名が8117人、賛同人が2141人だ。「健闘」しているにもかかわらず、「目標」への到達ははるか遠く、容易ではないようだ。

そうしたなかで、同会の今井事務局長は、今度は「原発『住民』投票」を東京都、静岡県、大阪市の3自治体で行うことを呼びかけた。これは今井氏らの国民投票運動の当初の構想にはなかったものだ。朝日新聞や東京新聞など一部メディアも、これを新しい民主主義の運動という視点などから注目し、大きく報じた。東京新聞は「原発住民投票 大都市で問うワケ」「電力大消費地にも責任」「国民一人一人が決める」「東京・大阪・静岡/署名集め10日で可能」「議会が壁 条例案ほとんど否決」などの見だしで特集記事を載せた。

10月1日付けの今井氏の説明(同会サイト)によれば、その狙いはこうだ。多少長いが引用する。

原発は、立地先だけの問題ではなく、消費地の問題であるということを多くの国民に理解してもらう。直接請求運動を通して会の存在、活動を広く知ってもらう。会の発足以来続けている「原発」国民投票の実施を求める署名収集は活動の一つの手段であって、私たちが討論クラブやただの署名収集グループではなく、実際にありとあらゆる合法的な手段を使って、主権者が、消費地の人間が、自身で決定して責任を取ることを実現させようとしているグループだということを、賛同人のみなさんに理解してもらう。そして、そのことによって同志、仲間の輪を飛躍的に広げていく可能性を見出せると考えています。

当該地域以外の賛同人にもさまざまな形で、この活動に実際に関わってもらうことができます。署名以上のことをやりたいと考えている人は大勢います。前述の通り、本会の存在、活動を全国の人々に知ってもらう効果は絶大で、署名・賛同人の拡大に弾みがつくのはまちがいないし、すでに賛同人になってくださっている方々に対しても、「原発」国民投票という私たちが目指しているものの具体的なイメージをつかんでもらえます。

条例が制定され、実施されれば申し分ないですが、もし条例制定を拒まれても、「原発」の将来は、刈羽村や上関町といった一握りの小さな自治体に住む人たちだけで決めるのではなく、東京や大阪などに暮らす、夥しい数の消費地の人々が「原発」の是非を決めて責任を取るべしという考えは、これまでの常識の大転換です。この正当な主張を、運動を報じるメディアやネットユーザーを通して全国の人々に広めることができます。

まして、東京・静岡・大阪が同時に運動を起こすことの相乗効果は絶大で、この機会を逃すと、私たちの会は、近々、尻すぼみになって運動が滞り、結果として、署名やカンパを頂戴した大勢の方を裏切ることになると私は危惧しています。

ここに今井氏の問題意識が率直にあらわされている。3・11原発震災の勃発からまる1年の「2012年3月25日を投票日」とする「原発国民投票」構想を打ち上げ、前記のような「署名数」と賛同人数の目標を立てたが、運動はあまり進まず、目標が達成できそうもない。今井氏は、このままでは「私たちの会は、近々、尻すぼみになって運動が滞り、結果として、署名やカンパを頂戴した大勢の方を裏切ることになる」という危機感を抱いた。そこで「窮余の一策」として浮かび上がったのがこの「原発住民投票」構想だということではないのか。私にはそう見える。

しかし、この「構想」には極めてまずいものがある(3・11原発震災に絡めて、投票日を1年後、締め切りは2011年11月11日で、請求人111万人、賛同人11万人目標などという語呂合わせへの批判はさておくとしても……)。

今井氏は国民投票や住民投票の提起に際して、「みんなで決めよう」「国民一人一人が決める」「私たちの未来は、政治家に委ねず、自分で決めよう」ということを強調し、直接民主制の重要性を強調する。

しかし、私たちはこの今井氏の「国民投票」や民主主義に対する立場、その理解に、かつてナチスの台頭を許したドイツの「ワイマールの悲劇」の例を挙げるまでもなく、重大な落とし穴があることを指摘せざるをえない。「国民投票」は無前提的に「善」ではないという経験を民主主義の歴史は持っていることを思い起こす必要がある。

問題点をいくつかあげよう。
第一に、すでに東京電力福島第一原子力発電所が未曾有の事故を起こし、立地地元の福島県民をはじめ、近隣住民に多大な被害を与えているのに、電力「大消費地」の東京都民・大阪市民にニュートラルな立場から「原発稼働か、廃止か」を提起し、選ばせるという運動は、運動の思想性が極めて悪い。

今井氏は原発立地の「一握りの小さな自治体に住む人」(今井氏)だけに決めさせない点でも、民主主義思想の「常識の大転換」だとまでいう。これは今井氏が原発の問題をまったく理解していないと考えざるをえない発言だ。まさに原発とは都市に象徴される政財界がこうした「一握りの」過疎地に立地を押しつけて、そこが原発を受け入れざるを得ないような構造の下で、存在してきたのではないのか。いま、この構造が問われているのではないのか。

東京都民に福島県民を犠牲にする「原発稼働」を選択する「権利」などない。「辺境」を犠牲にした「都市」の電力の浪費はやめなくてはならないのだ。このことを明らかにすることこそ、現下の市民運動の責任であり、課題だ。「辺境」にあぐらをかいて、繁栄を謳歌する「民主主義」は、かつて奴隷制のうえに特権市民の「民主主義」を展開したギリシャの民主主義のレベルにすぎない。

「私たちは脱原発や原発推進を呼びかけているわけではない。国民にとって極めて重要な案件は、行政や議会が勝手に決めるのではなく、国民一人一人が自分たちの責任で決めるべきだ」と今井氏はいうが、原発震災の渦中に語られるこのような客観主義は本当の「民主主義」ではない。提唱者の民主主義の「思想」性が問われざるをえない。

第二に、地方自治法の規定に基づく住民投票条例制定の直接請求に必要な「有権者数の50分の1」の署名を、東京都と静岡県では12月から2ヶ月以内、大阪市では12月1ヶ月で集めたとして(これは今井氏の話では生活協同組合などが協力することになっているそうだから、あるいは彼が言うように「10日もあれば可能」であるのかもしれない)、条例制定がその議会で否決されたら、それは元の黙阿弥だ。

原発維持論者の石原慎太郎都知事のもとで、都議会では民主、自民、公明各党が圧倒的な議席数を占めている。これらの人びとが、いまのままで原発住民投票条例制定賛成にまわる可能性はほとんどない。今井氏は議会で否決されても、宣伝になるのだから、効果は抜群で、彼らの「原発国民投票運動を広める」効果があるという。莫大なエネルギーをつぎこむであろう「条例制定請求受任者」や「署名者」の努力は雲散霧消してしまうのだ。後に残るのは大きな失望だ。「結果はどうあれ」というような、この原発住民投票の提唱は無責任きわまりないものだ。最初から主要な目標(条例の成立)を度外視し、副次的効果(宣伝、仲間を増やす、など)を目的にした運動は無責任のそしりを免れない。

第三に、いかなる住民投票条例が議会で作られるのかの問題だ。今回、今井氏たちが最近発表した「条例案」は、この間の「憲法国民投票」や「原発国民投票」での論争を経て、他の重要な問題が残る(市民にとって住民投票運動期間は90日では短かすぎること、若ものの将来を左右する原発問題で意思表示する権利の年齢は16歳でいいのか、13歳を検討すべきではないかということ、テレビ・ラジオ・新聞の有料広告などマスメディアでの宣伝の公平性をいかに保障するか、などなど)とはいえ、最低投票率が設定されたことや、投票権者の「国籍」問題、「年齢」などでは従来の今井氏らの主張より、一定の「前進」が見られる。しかし、現在の東京都議会、静岡県議会、大阪市議会がこうした市民の要求する条例案を支持し、その条例制定が実現可能だと考えるのか。例えば投票権者の「国籍」の問題で、世論が盛り上がっていないもとでは、民主党の大半の議員や自民党の議員の条例の拒否の理由になるのは明らかだ。

第四に、このような「実現不可能」な運動に多くの市民活動家のエネルギーを投入し、浪費することは、脱原発運動に亀裂を持ち込むことになる恐れがあり、問題が大きい。脱原発の実現は、こういう「バクチ」のようなやり方ではありえない。いま、緊急に必要なことは、被災地の子どもたちをはじめ住民の救援を優先させつつ、脱原発の世論を盛り上げながら、ひとつひ(次頁下段へ)(前頁より)とつ、原発立地や周辺自治体に確実に脱原発の橋頭堡を作っていく運動こそ大事ではないのか。浜岡での牧ノ原市議会や焼津市長の永久停止要求や、東海での村長の脱原発宣言、上関での建設計画の中止の運動などなど、ひとつひとつ民衆の運動で脱原発を実現するための橋頭堡を作っていくことだ。今井氏が「ただの署名収集グループ」と揶揄する脱原発の1000万人アクションが取り組んでいる署名運動や9・19さようなら原発集会・デモなどもそうした方向にとって大きく有益な運動だ。いま、全国各地で無数に取り組まれている大小の集会やデモ・パレードなど、これらが世論を作っていくのだ。これらが脱原発の実現と民主主義をたたかいとっていくことに連なると思う。

私は、いま直接請求の署名運動を始めるという今井氏たちの運動の前に手を広げて立ちはだかるつもりはないが、脱原発運動の今後のために、あらかじめ警鐘をならしておきたいと思う。
2011年10月10日

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第63回市民憲法講座(要旨)
野田政権における憲法、日米安保、原発問題の動向

高田 健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)

(編集部註)9月15日の講座で高田健さんが講演した内容を編集部の責任で集約したものです。要約の文責はすべて本誌編集部にあります。

この間の憲法と安保、原発問題の経過

今日は新しい政権の性格も含めてやっぱり市民運動側からの話ですので、わたしたちがこれからどのように歩んでいけばいいのかということについてお話しできればいいかなと思っています。

レジメのグラフは読売新聞の憲法世論調査で、今年の世論調査がつい最近出ました。いつもは5月3日の憲法記念日を前に各新聞社が世論調査をします。読売新聞は今年の調査がつい先日出ました。9月3日から4日、対面調査です。読売はこの問題に関してはこの間丁寧にやっています。この10年くらいの読売新聞の世論調査の変化のグラフです。

まず2011年を見てください。憲法「改正に賛成」は43%、「改正しない」は39%で、「改正しない」は3ポイントほど減った。憲法9条については58%が9条を守る、あるいは現状維持という側です。9条を変えるというのが32%、これも昨年と同じです。調査報告は新聞のひとつの面全部を使って、加藤秀治郎という東洋大学の先生が解説を書いています。改憲派の先生ですが、昨年のあの尖閣列島の事件があったのでもう少し改憲というのが多くなるかと思ったけれども意外に多くない、ちょっと残念であるという趣旨の論評をしているのがおもしろいと思いました。

読売新聞はこうですが、朝日新聞が今年4月に発表したものはちょっと違います。朝日新聞では「憲法を改正する」が54%、「改正しない」が29%です。ずいぶん違いますね、読売と。「9条を守る」は59%、「9条を変える」は30%です。9条に関しては朝日も読売もほとんど一緒でした。これは4月の調査をどう見るかということもあって、時期によって世論の反映の仕方も違うと思いますし、厳密に言うと質問の仕方もいろいろですよね。世論調査を額面通り受け入れるのもどうかと思いますし、あくまでわたしたちの判断の材料としてみればいいと思います。いずれにしても憲法のいま日本社会全体での世論調査というのはこういう傾向だということを冒頭にちょっと申し上げておきます。

明後日、明治公園で「さようなら原発」と銘打って5万人を集めようと準備しています。脱原発運動では3.11以降最大の集会です。大江健三郎さんとか澤地久枝さんとか九条の会の呼びかけ人も含めて鎌田慧さんなど9人の文化人が呼びかけ、いろいろな市民団体が合流しています。いわゆる社民党系、一部民主党系といわれる人びとや共産党系といわれるような人びとが、全体として大きくこの集会に合流しようとしています。これも3.11以降初めての試みです。

市民運動では、憲法の分野でわたしたちが11年前から5月3日の日比谷公会堂で社民党の党首と共産党の委員長が必ず出てくる超党派の集会をやってきました。それ以外の分野ではなかなか実現してこなかったような運動が、この脱原発の分野で9月19日にやられようとしています。運動の側からすると大変画期的な集会が開かれようとしています。天気を心配しながらあれこれ準備している最中です。

失われた20年と「90年代改憲運動」

少し憲法の動向について振り返っておきたいと思います。2006年から2007年にかけて安倍内閣でした。安倍晋三さんのときが憲法を変えようという側がいちばん盛り上がったときですね。彼は自分が首相でいるあいだに明文改憲をする、いちばん変えたいところは憲法9条だといって首相になった人です。彼は5年くらい首相をやろうとしていたから、いまごろ(2011年)は憲法9条改正が仕上がっているというのが安倍さんの計算でした。こういう安倍さんを頂点とした明文改憲運動は1990年代から始まった新しい明文改憲運動で、「90年代改憲運動」とわたしはしばらく呼んでいました。

もう20年前の(バブルが崩壊したときです)90年代の初めにはイラク戦争が起きました。2000年代にあったイラク戦争の前のイラク戦争で、アメリカは多国籍軍を出した。このとき日本はどう協力するか国内で大論争になった。最近のサダム・フセインを最終的に死刑にしたイラク戦争では、日本の自衛隊は現地に行きましたが、90年代初めのイラク戦争では、自衛隊は海外にはいってはならないということになっていました。ですから自衛隊をこのイラク戦争に協力させるのかどうかが憲法問題で非常に大きかった。

当時は自民党政権でしたが、PKO法というのをつくりまして国連協力というかたちで自衛隊を出そうとしました。このPKO法も反対が強くなかなかできませんでした。20年前というのはそういう時期です。いまは自衛隊がPKOで海外に行くのは当たり前になってしまっています。この20年間でそういう情勢が作り出された。経済的には「失われた20年」といわれている時期です。

90年代の初めには細川護煕さんが、自民党政権を倒して連立政権をつくりました。1993年、1994年です。社会党の村山さんが首相になったこともあり、今から考えると「そんなことあったの」という時代です。その辺から憲法9条を変えようという動きが政財界で非常に強まりました。バブルの崩壊も反映しているでしょうしPKOのことも影響している、あるいはソ連が崩壊した、東ヨーロッパ圏が崩壊した中で、世界が混沌としてく。これからどうするんだというときに、憲法を変えて自衛隊を合法化して海外に派遣しようという明文改憲運動がこの時期に始まります。

読売新聞が1994年に、社として初めて読売新聞憲法私案を出します。新聞社が日本国憲法への対案を新聞ぶち抜きで出した。驚きました。新聞社がこんなことしてもいいんかい、とあのとき本当に思いました。明文改憲の世論を本格的につくっていこうとした年です。こういうことを弾みにして、90年代に改憲の運動が非常に強まりました。

2000年になると、1月から国会に憲法調査会ができました。改憲を議論しようと当時の自民党や公明党が考えたんです。憲法調査会の出発で、さらに改憲の動きにドライブがかかります。とくに9.11を経るとアメリカ側から日本に対して、圧力が非常に強まります。リチャード・アーミテージが対日外交レポートを書き、この中で日本が一日も早く集団的自衛権を行使できるようにしてほしい、アメリカだけでは間に合わない、アメリカの仕事を日本ももっと手伝うべきだという圧力が非常に強くなってきました。

そういう中で、小泉政権が9.11直前にできます。小泉さんは首相になったときに首相公選制をやりたいといった。彼は首相公選制で事実上の大統領的な首相をつくって、もっと強固な権限を持ちたかった。公選制をやるには憲法を変えるしかありませんから、小泉さんはそういう角度から改憲を主張しました。しかし国会で、首相なのに憲法を変えてもいいのかと追及されました。小泉さんまでは、あの中曽根さんでもそうですが、歴代の首相は自分の代では憲法を守ると答えます。首相が憲法を変えるということ自体が実は重大な憲法違反で、大変な憲法問題なんですね。小泉さんですら、自分の考えは改憲だけれども自分の代でははやらないといった。

安倍さんだけ違って、露骨に自分の代に改憲をやるといった。野田さんは最近国会で聞かれました。あなたは改憲論者だそうですが憲法について変えるつもりがあるのか、これは中曽根元首相の息子で参議院の中曽根弘文さんが質問しました。野田さんが改憲を進めるなら自分は積極的に協力するとエールを送りました。それに対して野田さんは、わたしは確かに改憲を主張してきましたけれども改憲が最優先の課題だとは思っておりません、と答えて明文改憲はやらないといいました。小泉さんのところまで戻った。2000年代の初め、小泉さんが勢いよく首相公選などをいいながら宣伝をするので、世間の改憲世論はどんどん強まったんですね。

改憲を押し返した憲法9条を守る声

読売のグラフに戻ると、2002年は「憲法改正をする」が57%で、「改憲しない」は29%です。9条に関していうと48%が守る、「変える」が42%でかなり接近していましたね、小泉さんの時代には。安倍さんが首相になった2006年は、「憲法改正をする」は56%、「改正しない」が32%で、02年に比べると安倍さんにとっては都合が悪いんですが、でも1ポイント程度です。「9条を守る」が54%、「変える」が39%。安倍さんが辞めた07年は、「改正する」が46%で1年に10ポイントも減った。

すごいショックだったと思うんですね。自分の代に改憲をする、改憲の世論をいっぱい高めたいと思ったのに、逆に10ポイントも減ってしまった。9条を変えたいと思っているのに9条を守るというのが56%もあって、変えるというのは36%しかない。安倍さんが政権を投げ出した理由はいくつかあります。特にアメリカに嫌われたという問題が大きいと思いますが、憲法問題も大きな要因だと思います。彼は最終的にはほとんど錯乱状態になって政権を投げ出しましたが、これは日米関係もうまくいかない、自分が大見得を切った改憲もできそうもない、そういう中で彼は政権を投げ出してしまった。

どうして世論がこんなに大きく変わったかという中で、わたしがいつも言うことがあります。04年のことです。「改正する」が65%もあった、この10年では一番高いですね。憲法改正するという人が3人に2人いたんです。改正しないという人は23%しかいなかった。9条を守るという人は47%で、変えるという人は44%。直接的にはこうした動きが引き金になったと思います。これは3月か4月の世論調査ですから。この2004年6月10日に、亡くなった加藤周一先生を中心にして、大江健三郎さんや亡くなった井上ひさしさんや小田実さんが九条の会を呼びかけました。この情勢を見ていて、これはもう黙っていられない、このままでいくと本当に改憲されてしまう、そう思ったんですね。その危機感から04年6月に九条の会を立ち上げ、全国にアピールを発します。

全国の市民たちが、本当に驚くほどの勢いで九条の会を作り始めます。いろいろな草の根で九条の会を作りました。そして作った人たちはみんな街頭に出たり職場で宣伝したりして、いろいろなところで憲法9条が大事だという運動を始めます。家族で九条の会を作ったところもありました。家族で憲法9条の話を一生懸命しようとか、職場で作ったりする中で、世論が大きく変わり始めます。この04年の状況は、安倍さんの退任するときの状況に向かって、全体として憲法を改正する側が少なくなっていったときです。こういうことを含めて、世論の高まりの中で憲法9条を変えようとした90年代改憲運動の人たちの企ては敗れます。

九条の会は年配の人がかなり多いです。しかしこの人たちの運動は世論をつくっていきました。激しい運動はなく、新聞種になるような街頭での衝突などはまったくありませんでしたけれども、この九条の会の年配者たちの運動は世論に大きな影響を与えました。これがこの読売新聞の世論調査ひとつ見ても非常にわかりやすいと思います。九条の会がどんどん増える様子が毎月のようにわかっていって、非常に力強い思いをしたことがあります。いま全国に7500カ所以上の九条の会がつくられた。事実上開店休業のようになっているところもなくはないですが、それだけつくられた。市民の運動体が6~7年のあいだに7000ヵ所もつくられたことは、日本の運動の中で珍しいと思います。

そういうことで90年代改憲運動は実際上は敗北をして、安倍さんに変わった福田さんからは改憲については口をつぐむようになります。決定的になったのは2009年の政権交代ですね。最初の政権は民主党、社民党、国民新党の連立政権で、いわゆる護憲派の社民党が政権の一角に加わったことから、政権の側は積極的に明文改憲を進めることは一切言わなくなった。それどころか憲法を遵守することが、3党の政策合意の第10番目にはっきり書いてあるような政権でした。これで最終的に90年代改憲運動は息の根を止められたとわたしは思っています。この失われた20年の中で、自衛隊を海外に出そう、集団的自衛権を行使できる日本になろうという明文改憲運動は、こういう歴史的経過をたどりました。そういう中で野田さんの政権が誕生しました。

野田新政権の政治路線――大連立と増税

野田さんはどういう政治主張をしていたか。いま野田さんの文章は4つほどあります。代表選に出る直前の文藝春秋9月号に論文。これは代表選を前にして政策表明のような文章です。もうひとつは首相になった直後に「Voice」10月号に書いた論文があります。この雑誌は松下幸之助の流れをくむPHPから出ている雑誌です。それから先日の所信表明演説ですね。それから新潮新書から出ている「民主の敵」~政権交代に大義あり~というサブタイトルがついている2009年に書いた本です。これはいまの情勢とはつじつまが合わないところがありますが、彼の思想は非常によくわかります。これらを見れば、野田さんが何を考えて、これからどうやろうとしているのかがよくわかると思います。

野田さんは大連立論者で、自民党、公明党との連立をずっと主張していました。結果としていま大連立はできていません。しかし菅さんの末期に自民党、公明党と民主党の3党合意をやって、補正予算などを3党で相談して国会に出しました。自民党は野田さんに、この3党合意の路線を守るのかどうかと何度も踏み絵を踏ませました。野田さんはこれを堅持する立場です。ですから菅さんがやった民自公3党合意路線を守る、できれば大連立をやりたいという政治主張でやっています。これはいろいろと大きな問題があります。

ほかの野党がみんな批判しています。国会で議論する前にこの3党で相談をしちゃう。ですから国会で議論する前に事実上決まっているんですね。これは国会運営上ちょっと異常な状態になりますね。3党で相談するということは、密室合意の政治だという批判を浴びて、これは当然だと思います。野田さんはその路線を受け継ぐと言っています。これは非常に危険なことだと思います。

野田さんの文章で非常に特徴的なのは、彼がそれまで財務大臣をやっていたこともあり、増税論者です。この日本はいま大変な財政危機の状態にある。この財政危機を孫子の代に譲り渡すわけにはいかない。自分たちの代で解決するためには増税以外にはない、というのが野田さんの主張です。特に消費税増税に執心している人です。

昨日国会で出された復興増税の問題があります。これは、法人税とか所得税で復興増税をとりあえずやっていく。これを自民党とか産経新聞とか読売新聞は非常に批判しています。復興増税も消費税でやるべきだというのがこの人たちの主張です。しかし野田さんは、財政再建のための大増税をやろうと思っているわけです。このときに消費税でやらなきゃならない。とりあえず国民を増税にならしておいて、増税が必要だという一般的な世論をつくって消費税に行くというのが野田さんの戦略だと思います。それが非常によく表れているのが昨日の復興増税の議論です。ですから野田さんは、自分の政権が続けば必ず消費税増税をやる。一連の論文の中で繰り返しその主張はしています。

日米同盟は「国際公共財」と野田首相

もうひとつのポイントは日米同盟の問題です。これは鳩山さん、菅さん、野田さんと、民主党の中でもこの「日米同盟」への態度は大問題でした。鳩山さんはこれで躓いたわけです。「東アジア共同体」などと言ってアメリカの機嫌を損ねるとか。菅さんはそれを撤回して、普天間基地の名護移設を積極的に推進することで日米同盟強化に舵を切り替えた。野田さんはそれをいっそう強化する立場に立っています。

所信表明で気がついた方もいると思いますが、「日米同盟は国際公共財」というのが野田さんの主張です。日米同盟は単なる日本とアメリカだけの問題だけではなくてアジアの問題、いや世界の問題だ。日米同盟は国際公共財だと言いました。これは文藝春秋の論文でも言っています。いつから日米同盟=国際公共財論というのが出てきたのでしょうか。まだ厳密に調べてはいませんが、一昨年くらいからいろいろなところに出てきています。

日米同盟=国際公共財論という訳のわからない話は、中曽根元首相が、彼の平和戦略研究所のレポートの中で2009年には言っています。日米同盟とは国際公共財だ、非常に大事なもので単なる日本とアメリカの関係だけではない、アジアの平和、世界の平和にとって非常に大事だ、という言い方です。野田さんは今度の所信表明で、日米関係の問題では中曽根さんのこういう考え方のところに戻った、逆走したことがわかります。

特に文春の論文が代表選に出る直前ですので、自分の立場をかなり鮮明にしています。野田さんが財務大臣のときに、菅内閣は防衛大綱をつくりました。野田さんはあの防衛大綱を非常に気に入って、自分もこの防衛大綱作りに貢献したことを誇りに思っています。あの防衛大綱の非常に大きな特徴は中国敵視、自衛隊を北方重視から南西戦略、沖縄それから沖縄島だけではなくて石垣島とか南西諸島全体の防衛体制を強化する。例の尖閣列島の問題もそうですけれども、防衛大綱はそういう戦略を打ち出して、これを「動的防衛力」とした。自衛隊の配置を固定的に考えるのではなく、中国とか北朝鮮がいろいろとちょっかいを出してきたら、臨機応変に対応できる自衛隊にしていくことがこの防衛大綱の基本ですが、野田さんはこれをやろうと主張しています。この防衛大綱の考え方で日米同盟を進めようという非常にはっきりとした立場をとっています。

新憲法制定論者の野田首相

憲法については、所信表明ではひとこと言っているだけだそうです。所信表明で憲法にそれほど無関心というのも大変な首相です。憲法に基づいて政治をやらなければいけないわけですから。憲法については「民主の敵~政権交代に大義あり」ではっきり書いています。護憲だ改憲だというこの間の論争は問題だ。護憲でも改憲でもなくて、自分は新憲法制定論者だといっています。中曽根さんが質問したのも、あなたは新憲法制定論者ですかという確認をしています。日本国憲法のもとでは新憲法制定はできない、というのがだいたいの憲法学者の共通見解になっています。憲法の改正は96条でできることになっていますが、全取っ替えはできないんです。しかし自民党も全取っ替え案を出したり、この間平気でいわれるようになっています。野田さんも全取っ替え論者、新憲法制定をするという立場です。

9条に関していうと、自衛隊をはっきりと認知すべきだ、自衛隊を明記すべきだと言っています。彼のお父さんは習志野の空挺団だという、どうもこれはうそじゃないかという話があるんですが、空挺団の事務をやっていたんじゃないかということで。彼はそういうことをいうことで自衛隊には非常にシンパシーを持っていることを宣伝します。そして問題の集団的自衛権に対しては、いまの憲法のもとで集団的自衛権を行使できないことは非常にまずい、集団的自衛権を行使できるようにしたいと主張しています。ほんの3~4ページくらいしか書いていないんですが、しかし明確な立場を主張しています。

歴史認識に反する靖国参拝問題

一時新聞を賑わせた靖国参拝で、野田さんの考え方が非常に問題にされたことがあります。民主党が野党だった時代、野田さんは靖国参拝の問題で質問趣意書を出しています。彼の意見は、いわゆる戦犯は犯罪人ではない、だから首相が靖国に参拝しないというのは間違っている、そういう質問をその時点でしています。そして代表選に出る直前だったか最中に、記者に以前の質問趣意書の考え方はどうかと質問されています。「変わっていません」といとも簡単に答えています。

これは首相になったら大変なことなんですね。東条以下あの連中は戦争犯罪人ではないという立場に立って靖国参拝をすべきだということでもし内閣をつくったら、いままでの鳩山さんとも菅さんの内閣とも靖国に関してはまるっきり違う立場になる。歴史認識が全然違う。だから中国と韓国が即座にこれに抗議しました。そういうことがあって、首相になったあとは、わたしはそういうことは言ったけれども、いままでの内閣の考え方を引き継ぎます。野田内閣において靖国参拝はいたしません、ということです。先ほどの憲法の対応と似ていますが、自分の思想は変わらないけれども、一国の首相になったのでそういうことはしないといっています。

こういう思想を持つ人が首相になったことはやっぱり大変な問題だと、わたしたちは考えておく必要があると思います。いまは不利だから、情勢がそういう考えを実践するには適当ではないのでやらないけれども、という考え方です。状況が変わったら、あるいは風向きが変わったなと思ったら、彼はやるという考え方です。野田さんは歴代の自民党政府と同じように、首相の立場と、当時の自民党でいえば党の立場――自民党は改憲をうたった改憲政党――を使い分けるやり方で、当面切り抜けようとしています。

野田さんの任期は、来年9月までです。また代表選挙をやらなければなりません。そこでもし野田さんが勝つようなことがあれば、党内基盤もだんだん強くなっていくでしょうから、自分の政治主張を実践したいという欲望が出てくる可能性は非常にあると思います。ですから、野田さんがこういう考えの持ち主だということをはっきりと見ておく必要があろうかと思います。ヨーロッパ流の表現をすると、いま野田さんがあれこれ修正しているのを見ると中道右派的な政権のように思うんですね。しかし思想的には保守右派です。野田さん自身も自分は保守の政治家だといっているんですが、当面の政策は中道右派的なところで行こうと判断をしていると思います。野田さんのいろいろな評価が必要ですが、先ほどの4つの文章を見て、以上のような特徴を見ておけばいいかと思います。

未曾有の大震災をよそに改憲を策動する人びと

3.11の大震災があり、福島第一原発は収まりもついていない。この問題の解決が政治にとって最優先の課題ですが、こういう中でも様々に改憲の動きがやられています。順番に見ていくと、5月18日の参議院本会議では与党と自民、公明などが参院憲法審査会規程の制定を強行しました。いままで民主党は積極的ではなかった。ついこの前は、衆議院議院運営委員会理事会で山井和則筆頭理事が、次期国会(いまの国会です)に衆参両院の委員の名簿を提出するといいました。憲法審査会の会長は大畠前国交大臣を会長に予定しているとまで言いました。ですから私たちは国会開会日にこれに反対する院内集会をやったんですが、この日の国会で憲法審査会が発足するかと思って非常に心配していました。

結局、参議院の民主党が名簿をつくらなかった。いろいろな理由があったと思います。5月18日の憲法審査会規定の採決のときにも、参議院の民主党から5人の欠席が出ました。参議院民主党はまとまっておりません。そういうこともあって今度の臨時国会の冒頭には憲法審査会の委員は選ばれませんでした。幸いでしたけれども10月下旬くらいから次の国会は始まると思います。このまま放って置いたら出る可能性があり、あと1ヶ月あまりのあいだに、何としてもこれを阻止するための運動をわたしたちはやらなければいけないところにあります。

それから4月末から憲法記念日にかけて、中曽根康弘元首相たちの「新憲法制定議員同盟」や桜井よしこさんらの「民間憲法臨調」という動きがあります。これらが、菅さんの内閣が3.11の大震災に十分対応できなかった理由は、憲法に「非常事態条項」が書いていないからだという批判を始めたんですね。確かに菅さんの内閣の大震災への対応はもたもたしたと思います。東電がいちばん対応が悪いですが、これに対する指導とか監督とかいう面でもしっかりとしなかった。それは、この人たちにいわせると憲法に非常事態条項が書いていないからだということです。

非常事態条項というのは一種の戒厳令条項です。基本的人権を制限してでも首相が強権を持って様々な非常事態に対応できるという条項を、日本国憲法に書いておくべきだというんですが、世界でも有数の人権を保障した日本国憲法に非常事態条項がないのは当然です。あったら憲法自身が矛盾してしまう。憲法第3章に、30条以上にわたる人権条項が書いてある。そのことと非常事態条項は、まったく矛盾するわけですから書いていないのは当たり前ですが、この人びとはそれを書き込めという主張をいまだにしています。読売新聞や産経新聞もそういうキャンペーンをしました。

96条改憲議連や民主党憲法調査会の復活も

6月7日、民主党、自民党など超党派の約100人の国会議員が「憲法96条改正を目指す議員連盟」(96条改憲議連)を設立しました。憲法96条は憲法改正条項ですね。両院の総議員の3分の2以上の賛成をもって改憲を発議することはできる。そして国民投票で過半数の支持を得たときに改憲が成立するという趣旨のことが憲法96条に書いてあります。この96条を変えて、3分の2ではなくて過半数に引き下げようということです。

50年代からずっと日本国憲法の明文改憲に失敗した大きな理由に、この96条があります。当時は護憲派の社会党が必ず3分の1以上の議席を持っていました。社会党と共産党の議席をあわせると改憲派はぜったい3分の2にならない。だから改憲派は国会に改憲案を出しても採択されないので、もともと国会に改憲案を出すことはあきらめてきた。恨み重なる96条なんですね。何としても96条の3分の2条項を過半数に変えて、改憲をしやすくしようという議連ができたわけです。

もうひとつ、民主党の中にも憲法調査会というのがあります。自民党にも、国会の中にもずっとありました。民主党の憲法調査会は、民主党の中でも改憲の動きに反対がありましたから、お休みをしていました。これを最近になって復活させ、会長に前原さんを当てました。前原さんはいま憲法調査会の会長もやりながら民主党の政調会長もやっている。いま絶大な権限を持っているんですね、前原さんは(注:現在、民主党憲法調査会会長は中野寛成氏)。

前原さんは、この国会が始まる前にアメリカに行って講演をやって、わたしは政調会長だと威張りましたね。武器輸出3原則も、PKO5原則も変えると演説して問題になっています。日本の国会で議論する前に、あるいは国会で意見表明する前に、アメリカに行ってシンポジウムを開いてそこで表明する、前原さんの感覚は本当におかしなものですね。彼はヒラリーさんと何回あったとかそういうのが自慢だとか、親米派で非常に特徴がある人です。

今度の野田内閣のキーマンはこの前原さんと、幹事長の輿石さんですよね。この2人が野田内閣の性格をよく表わしている。前原さんは親米派という、そういう意味で野田内閣の日米同盟推進。そして輿石さんは党内の各派閥を超党派的に集めてふんわり運営したい、いつもけんかしている民主党ではなくて協力し合う民主党を演出したいということです。

それから鳩山さんが久々に出てきました。彼の選挙区は北海道ですけれども登別の自衛隊駐屯地であいさつした中で、自衛隊の皆さんを憲法の中にきちんと書くようにわたしはこれから努力いたしますという演説をしています。自衛隊にごまをすったと思うんですが、こういうことを言うようになっています。

主権回復記念日や自民党戦略本部の報告書への対応

もうひとつ大きな問題ですが、自民党の中で4月28日を主権回復記念日にしようという運動があり、来年までに実現したいと言っています。実は来年の4月28日までに、自民党は憲法改正案を作り直すと言っています。だから4月28日にいま自民党は非常にこだわっています。4月28日というのはどういう日でしょうか。これはいろいろな意味で問題がたくさんある日ですよね。「主権回復記念日だ、万歳」と自民党は言います。沖縄の人にとっては本土からこの日をもって分断された屈辱的な日なんですね。記念日にしてお休みにされたら、沖縄100万県民はどう思うでしょうか。本当に笑い事ではないんですが、こういう感覚なんですね、自民党の中では。

実はそれに先だって、マッカーサーが沖縄を軍事的な要塞にしておけばこの東アジアの防衛は可能だから、憲法9条は定めてもいいと主張したことがある。そうしたらそれを聞きつけた昭和天皇裕仁が、すぐにマッカーサーに対して伝言をしてもらった。沖縄をアメリカが支配してくださって結構です。潜在的な領土の権利は日本にあるという状態にして、ずっとアメリカが25年から50年も支配してくれるので結構だという有名な「天皇メッセージ」があります。

そういういろいろな動きがあって、この4月28日のサンフランシスコ講和と日米安保につながっていくわけです。それをいま自民党の人たちは記念日にする。この記念日に憲法改正案を出して、積極的に改憲の動きを広めていこうとしています。民自公3党協力という中で、もし自民党がこういう主張をしたら民主党はどうするんでしょうね。これも政治的な取引の材料になると思います。それには賛成するから、ほかの問題ではうまくやってくれ、なんていう話がいくらでも出かねないいまの体制だと思います。

民自公3党合意、大連立と言いますが、自民党戦略本部の報告書というのがあります。民主党がいま協調してやろうとしている自民党の、戦略本部がいま進めようとしている政策です。ひとつは日本版国家安全保障会議をつくる。これは首相のもとで非常に強力な権限を持った体制をつくろうというものです。それから集団的自衛権行使の合憲化。PKO5原則の緩和と海外派兵恒久法を制定する。それから非常事態法ですね。

5番目は非核3原則を事実上2.5原則にする。「持ち込ませず」という原則を、核を積んだ船が日本に立ち寄ることに関しては容認しようというものです。6番目は兵器の共同開発促進など日米同盟の「深化」と、武器輸出3原則の緩和。この間10年にわたって進めてきた自衛隊予算の縮減をやめて、再度自衛隊を強化しようということです。いま自民党はこういう政策を出して民主党との協議などを進めようとしています。3党合意を大事にするといいますが、その相手がこういう政策を持っている中でどういう合意ができるのか。非常に大きな問題が、これからの野田内閣に出てくると思います。

震災に名を借りた日米同盟の深化

東日本大震災と日米安保については、この間わたしもいろいろなところで発言してきました。トモダチ作戦という中で、本当に「トモダチ」という動機で米軍の支援がやられたのかどうかという問題です。野田さんは、はっきりと文春の文章で言っています。引用します。「大震災における『トモダチ作戦』は、50年の長きにわたり継続し、深まってきた両国の同盟関係の成果です。米軍と自衛隊の共同オペレーションが成功したことで、日米同盟は一段と深化しました」。3つの共同作戦本部をつくってこの震災に対応し、米軍と自衛隊の共同作戦体制が本格的に実践されたんですね。単なる図上演習ではなくて、震災救援という現場で具体的に兵員を動かすこという戦略的な実践をやったという意味で、このトモダチ作戦は決して手放しで喜べない、ほめることのできない非常に危険な要素を持っていた。あそこでスコップを持った米軍兵士、自衛隊兵士の手がいつでも銃を持てる、そういうことを想定した大規模な軍事訓練がやられたんです。

このことを私たちは今度の大震災の中で見逃すことはできません。野田さんがここで「共同オペレーション」と評価しているのは、わたしは恐ろしいことだと思います。そういうことではなかったはずでしょう、「お友達」だから支援したと言ったじゃないですか。一大軍事作戦だった、共同作戦だったと彼は言っているわけです。

好戦勢力の水脈

次も本当に嫌になるような話ですが、8月にあった参議院の北方特別委員会で今度経産大臣になった枝野さん、当時は官房長官ですけれど、彼はもし尖閣列島で非常事態が起きたらあらゆる犠牲を払って防衛すると答えています。名指しはしませんが、尖閣列島に上陸してくる中国軍を想定しています。中国軍が上陸してきたらあらゆる犠牲を払って自衛隊は戦って防衛するということを言った。当然中国はこれに反発しました。憲法9条のもとで政府の要職にあるものが、こういうことを言うのは許されないことです。

一見威勢のいいことを言う前に、そういう事態が起きないようにあらゆる努力を払って防止すると言わなければいけない。そういうことをまったく抜きにして「あらゆる犠牲」と言うわけです。たくさん死んでもかまわないという話です。これは国際紛争を武力によっては解決しないという憲法9条から見て、まったく違うことを平気で言った。多少問題になりましたが、この国のマスコミではあまり問題にならないんですね。

それから石原都知事ですが、アメリカがシミュレーションによる核実験をやったことに対しての談話です。日本も核保有のためのシミュレーションなんかどんどんやらないといけない、ということを平気で言った。あの人は本当に乱暴ですね。核のシミュレーションをやれということを広島、長崎そしてビキニがあって、今度の3.11を経た日本の首都の知事がこういうことを言っていることは本当に批判をされなければいけないことですけれど、メディアはあまり言わない。多少批判すると仕返しをされる。すごい意地悪をやりますから、いつの間にか記者さんたちも怖くなってあまり石原を批判しなくなってきた。

核実験の問題で、どうしても言っておかなければいけない問題が、なぜ日本の財界や政界の一部は原発にここまでこだわるのかという問題です。その理由のひとつに日本が核開発の能力、技術を確保しておきたいからだという指摘が根強くあります。それを露骨に言う人はいませんけれど、これは当たっているとわたしは思います。日本がここで原発をやめてしまったら世界の5大国あるいは核保有大国に肩を並べることは、ずっとできなくなるではないかという彼らなりの恐れがあります。ですからなんとしても原発は続けたい、それが非常に根強くあるわけです。

こういうことも含めて石原さんの発言などを合わせると、この国ではまともに戦争をやりたい、核開発をやりたいという人たちがいることに驚きます。わたしたちが9条の運動などをやっているときによく言われます。右でも左でも本当に戦争をやりたいなんて人がいるわけないじゃないか。それはあなた方心配のしすぎだよ。でもそうじゃないんですね。戦争が好きかどうかはわかりませんが、やりたい、やると決意をしている人は明らかにいます。この社会の重要な部分にいて、その人たちが結構実権を持っていることに慄然とするときがあります。やっぱりこれは見ておかないといけない。そんなことはないんじゃないの、という一般的な話で済まされることではないと思います。

原発国民投票について考えること

最後に運動に関連することに触れます。本当に原発を止めたいと思います。
菅さんは脱原発依存と言いました。いいことかもしれませんが、わたしはあの言葉にはごまかしがあると思います。脱原発と言い切れなかったところに彼の限界があるように思えますが、野田さんは原発継続です。すぐになくしたりするのはどうかと思うと言う。2030年までは最低やらなくてはいけないんですかね、野田さんの話では。そこでやめるという話でもないんですよね。

そういう中で原発国民投票という話があって、もしかしたらこの中にも原発国民投票をやりたいと思っている方もいるかもしれません。わたしは、それはちょっと待ってくれとこの間言ってきています。ドイツが原発をしないと政府が決めました。続いてイタリアが国民投票で原発をつくらないとしました。実はイタリアの国民投票には経過があります。イタリアはチェルノブイリのあと、4基くらいあった原発をやめると国民投票で決めたんです、1980年代に。それを最近ベルルスコーニ首相が原発復活の法律をつくった。

この法律はさすがにベルルスコーニは政府だけでやるわけにはいかないので、彼は国民投票で承認させようとしました。そうしていたら3.11が起きた。イタリアの世論は一気に変わって、80~90%の人がこの法律の復活は反対だということになった。イタリアの場合は昔やめた原発をもう一回復活させる法律に、賛否の投票をしたんです。

日本の国民投票ですけれども、こういう直接民主主義の問題では日本の憲法では3つあります。ひとつは憲法改正国民投票、先ほどの憲法96条です。もうひとつは最高裁判所裁判官の気にいらない人に×をつけるもの、何も書かなければ支持したと見なされます。これはかつてワイマール憲法下でナチス、ヒトラーがやった方法ですよね。棄権はすべて支持と見なす。ヒトラーのファッショ政権は国民投票を利用してあそこまでのし上がった。今度オーストリアを併合しようと思うがどうかという国民投票をやると、なにもつけない場合は賛成とされる。これが有名なナチスの国民投票、「ワイマールの悲劇」です。フランスではプレビシットと言われます。

国民投票でも、一般的に国民投票でその態度を決めるのは、何はともあれいいことだという人がいます。それらの人に対して「何はともあれ」ではないよ、かつてワイマール憲法下でヒトラーが権力を握る過程で利用された国民投票もある。だから「国民」という言葉がついたら何でもいいと思ってしまうのはだめだ、よく吟味しないと大変なことになるといいたいんです。最高裁判官の国民投票など、わたしたちが気にくわないと思っても圧倒的に当選する仕組みです。支持する人に○をつける投票なら、圧倒的に否決されるんじゃないかと思いますが、そうしないんですよ。

それから住民投票の問題が憲法にあります。ある特定の地域にかかる問題について住民の意見を聞くことができるという趣旨のものが、憲法95条に書いてあります。ですから96条、95条それからいまの最高裁裁判官の審査が79条、この3つが憲法に書いてある国民投票、住民投票の条文です。でも憲法に書いていないからできないということを言おうとしているんじゃないんです。まず最低知っておきたいのは憲法では国民、住民の直接投票に関わるのはこの3つの条項だということです。

脱原発国民投票法づくりについての検証

いま脱原発国民投票といわれているものは、この3つのいずれでもありません。日本国憲法は、国会が国の唯一の立法機関で最高機関だと書いてあります。だから脱原発法をつくろうとしたら、国会で決める以外にないんです。ここはヨーロッパのいくつかの国と違うところです。では方法がないわけではなくて、いま脱原発国民投票を主張している人たちも考えて工夫をしています。あらかじめ国会の各党に、国民が投票した結果を尊重して法律をつくります、と約束をさせておいて国民投票をやろうという案です。ヨーロッパのように、国民がすぐに脱原発かどうかを決める投票ではなく、いわゆる諮問型の国民投票といいます。

実は原発の住民投票の多くもそうですね。地方自治体で原発を受け入れるかどうかというときに、住民投票条例を作り、あらかじめ町長さんとか議会に約束させておいて住民投票をやるんです。そして圧倒的な住民が原発を受けいれないと投票したときに、議会も町長さんも民意を反映して受け入れないと決めるんです。これをやることはできます。ですから原発国民投票をやるには脱原発国民投票法をつくり、あらかじめそういう国会の同意を得ておかないと、効力を発揮しなくて何の意味もなくなってしまいます。国会が「あ、そう」と無視すればそれで終わりになってしまっては意味がないですから、あらかじめ約束させておく必要がある。日本で国民投票が可能なのは、こういう方向です。

わたしはずっと96条に関わる憲法改正国民投票について運動して、仲間たちと一緒に勉強した中で、国民投票はいろいろな問題があることを学びました。まず「国会がそういう約束をするでしょうか」という問題です。わたしたちが原発国民投票をやって国民の意思がそうなったときに、国会が「わかった」と言うかどうか。まずこの作業が大きくあります。

そして国民投票法を作るのも実は国会です。いまの国会でどういう国民投票法がつくられるだろうかを、具体的に考えてもらいたい。わたしたちが望むような法律をあの人たちがつくるだろうか。つくるんだったら、わたしはもうその前に、国会が脱原発を決議すればいいと思いますよ。そうじゃないから苦労しているわけです。脱原発依存なんていう、比較的原発問題でまともな発言をした人でもああだこうだと言う。はっきり脱原発か、原発維持か、なんていう国民投票法を作って投票をやりましょうなんていう法律を、あの人たちが果たしてつくるものだろうか。そのためにどういう努力が必要なのか、こういう大きな問題があります。

投票権者は? 選択肢は?……

憲法改正国民投票の運動をしたときにわかったのは、国民投票と一般的に言いますが、この日本社会の中で原発について発言権があるのは誰ですか。国民だけですか。在日の人たちはどうですか。同じように生活をして、同じように原発の被害を浴びている人たちがたくさんいます。この人たちには投票権はないんですか。あるいは何歳から意見表明できるんですか。20歳なんてとんでもない。民主党が憲法改正国民投票の中で言った18歳、これでいいでしょうか。次の世代の子どもたちが放射能の被害を浴びるんですよ。

わたしたちは憲法の問題でも18歳を批判して、中学卒業程度と同じ年代に憲法改正国民投票の投票権を与えるべきだと主張してきました。脱原発の国民投票なら、中学入学程度の年齢の全部の人に発言させるべきだと思います。言いたいのは若い人たち、次の世代の人たちの年齢に投票権を下げるべきだ。日本人に限るべきじゃない、国籍だけに限るべきじゃない。しかし、みなさんこういう法律をいまの国会でつくるでしょうか。絶対つくりません。つくらないでわたしたちはその国民投票を喜々としてやっていいでしょうか。そういう差別や次の世代に対する配慮がない国民投票をやっていいのか。国民投票をやりたいという人に考えてもらいたいこととして、こういう問題もあります。

さらに国民投票ではどういう投票をさせるのか。選挙だったら「誰さん」とか「何党」と書けばいい。ところが国民投票法が、たとえば「脱原発依存」「脱原発」「原発維持」など何択かあったらどうなりますか。いろいろな新聞の世論調査で、2択だったら大抵はっきりします。ところが3つの選択肢になると、曖昧な選択肢を選ぶのが一番多くなる。国会の何党かがこういう法律をつくって、今度の国民投票はこの選択肢で選択させるなんてことをもし決めたらどうですか。わたしたちは原発やめるか継続かのふたつで決めてもらいたいと言っても、おいそれと永田町の人たちは乗らないんです。そういう人たちに圧力をかけて、彼らに法律をつくらせなきゃいけないというとんでもない作業がいるんです。ほかに、宣伝の問題なども含めていっぱい、いっぱい問題があります。

相手もさるも者ですよ。そう簡単に市民の意見を「はい、そうですか」などと受け入れない抜け道がいっぱいある。それを万全の態勢をとって彼らはやるはずです。これほど大変な仕事に全力を挙げるだけの価値が本当にあるのかどうかということを、いま考えたいんです。できるかできないか、ほぼできないであろう、下手をすると変な法律をつくられて負けてしまうような、そういう可能性が十分ある国民投票に名前だけとられて、うかつに「いいね」と言ったらとんでもないと、わたしは一生懸命思っています。雰囲気でそういうことをやってわたしたちが差別者になったり、次世代の人たちにきちんと意見表明をしなかったりして、とんでもない結果を招くことになる。

脱原発へ、実現可能な道は

ここは市民運動が知恵を絞らなければいけないと思います。じゃあどうやってなくすかということですが、わたしはいちばん確実なのはいま原発立地の地元の住民を中心に本当に住民運動を起こすこと、あるいはそれを支援することだと思うんです。いま日本に54基の原発があります。動いているのはたった11か12です。これだけしか動いていない。福島はもちろん止まっている。浜岡は止めた。新しくつくろうとした山口の上関の動きもいま止めた。復活させようとした北海道の泊も、佐賀の玄海原発もそうです。玄海原発はやらせ問題も出てきましたが、あれは住民運動ががんばったんですね。住民が騒がなかったら適当にごめんなさい程度で終わっていたかもしれない。

こういう運動をひとつひとつ地元で本当に住民に依拠しながら原発の再稼働を阻止していく。このまま再稼働させなかったら来年の春くらいには全部止まるんですよ。だから必死で再稼働しようとしているんですね。海江田さんもそれをやろうとした。この再稼働させない運動をこれから強める必要がある。9.19集会などもそういう大きな力になっていくと思うんです。

できるかできないか、それどころかとんでもない結果になりそうな原発国民投票に一生懸命力を注ぐより、もっと緊急にやらなければいけないのは福島現地の人びとを支援することと原発を一個一個止める運動――地元の運動を支援することです。

茨城県の東海原発では、関東唯一の原発を止める署名運動をやっている人たちがいます。こういうことをみんながやればいいんです。東海村の村長さんは原発を動かさないという宣言をしています。村長さんがんばれと、地元の人たちも一生懸命やっています。こうやって運動の力に依拠して、原発を阻止して行く道を選ばなければいけないと思うんですね。永田町の人びとにいい法律をつくってもらってうまいこといったらうまいこといくかも、などという、何年かかるかわからないことに力を入れるわけにはいきません。

来年3月くらいまでの原発再稼働を止めることに力を入れるべきです。もしかしたら何個か再稼働されるかもしれない。それでもあきらめないで、止める運動をつくっていく必要があるんです。これがいま非常に大事だと思っています。野田内閣が原発を継続すると言っている。これを厳しく批判する運動をつくっていかなければいけませんし、政権交代でできた民主党政権が、かつての自公政権あるいはそれ以上のところに逆送していることを批判していく運動をつくっていくことが必要です。

9.19集会は文化人の9人が呼びかけた集会です。しかしもともとはこの集会の事務局を原水禁という団体がやっていました。日本の原水爆禁止運動は不幸な歴史がありまして、原水禁と原水協がずっと対立してきて、いまも対立をしています。8月の国際会議というと必ず広島、長崎でそれぞれふたつ開かれる。9.19集会は原水禁の人たちが準備をしたんです。わたしたちは積極的に参加しました。あの9人の人たちが呼びかけたんです。その人たちは原水禁でも原水協でもないんです。すごくいいことだと思いました。

びっくりしたのは原水協の人たちが自分たちも参加させてもらいたいと突然言い出したんですね。この集会に自分たちも加えてくれと言ってきた。あれだけ対立していた両派ですが、今回はそういうことが起きています。だからいわゆる共産党系といわれる人たちもこの集会にいっぱい来ます。よかったなあと思います。とりあえず第一歩です。これからこういう協働が続いていくかはまだわからないんですね。続いたらいいなあと思いますし、続くようにわたしたちはこれからも脇から支えて行かなければいけないと思います。

ですから今度の集会は原水爆禁止、反核という運動の中でも非常に珍しい運動です。その意味でも来る価値がありますよといいたいわけですが、ぜひ来てみてください。皆さんとまたその日に一緒に会えればいいなと思っています。

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板橋における脱原発運動の取組み

新井茂子(東京都板橋区在住) 

3月11日の東日本大震災による福島第一原発の事故は未だ収束の目途は立たず、放射性物質による被害はこれから何十年続くのか分かりません。

全国で、すべての原発を廃止し、自然エネルギーへの転換を求める運動が広がっていますが、ここ板橋区でも、いくつかの取組みを行いました。(それぞれの実行委員会のメンバーは重なる人もいれば、ひとつだけ参加という人もいます。)

<樋口健二写真展>

主催:樋口健二写真展実行委員会
7月23日~24日 成増アートギャラリー  

原発はひとたび事故を起こせば、私たちが今直面しているような甚大な被害をもたらしますが、たとえ事故がなくても、日常的に原発で働く労働者が被曝しているという現実があります。そして、その原発の下請け労働者はほとんどが非正規雇用であり、使い捨てられているという問題もあります。原子力発電が弱者の犠牲の上に成り立ってきたことを多くの人に知ってもらいたいと、この被曝問題を追及してきた樋口健二氏の写真展を開催しました。

成増アートギャラリーは同じフロアに図書館があり、図書館帰りに立寄る人も多く、2日間で延べ200名の来場者がありました。

子供を連れて来て、食入るように写真を見ていたお母さんは、「今度の事故で原発の怖さを知ったけど、今までもこんなに被曝している労働者がいたのですね。」と驚いていました。

<さようなら原発署名>

主催:板橋わいわい祭り実行委員会

9月10日 東武東上線大山駅前 都営三田線高島平駅前(それぞれ1時間)
「さようなら原発1000万人署名」に「駅前アクション」で協力しようというWORLD PEACE NOWの呼びかけに呼応して、区内2か所の駅で署名を集めました。

大山駅で2時半から1時間行った後、高島平駅まで移動して4時から1時間、合計で101筆でした。
自分には関係ないとばかりに顔をそむけて通り過ぎる人にがっかりしたり、進んで近づいてきて署名してくれる人に励まされたり、あっという間の2時間でした。

また、「署名したいけど今は急いでるから」と駅に向かう人もいたので、これで終わりにせず定期的に署名行動をしようという意見がありました。署名をたくさん集めることも大事ですが、その時には署名しなかった人でも、少しでも脱原発について考えるきっかけになればと願い、署名行動を続けたいと思います。

<さようなら原発ウォーク@板橋>

主催:さようなら原発ウォーク@板橋実行委員会

9月23日 高島平2丁目団地お山の広場
さようなら原発1000万人アクションの一環として板橋でも何かしようと声をかけ始めたのが8月末。「脱原発」の思いで、党派や立場の違いをこえた実行委員会となりました。

当日、会場の準備をしながらも、一体何人くらい集まるだろうと心配でしたが、約370人もの人が集まりました。
ミニ集会では、板橋区議会から、日本共産党、社会民主党、民主党、生活者ネットの4人の区議が挨拶。続いてリレートークとして、子育て中の母親、反核運動に取組んできた市民運動家、宗教者など5人が発言しました。

集会の後、1時間かけて行進。子供の手を引きベビーカーを押す若いお父さん、お母さん。杖を手にした年配者。電動カートに乗っている人。「地元だからこそ参加できた」という声も聞かれました。

集会やデモに初めて参加した人を含め、これだけ多くの人が脱原発の思いを行動で示したということは大きな意味があったと自画自賛しています。

今まで地域における活動の中でなかなか出来なかった、いろいろな立場の人と手を携えるということが、今回は、お互いの立場を尊重しながら議論を重ねることで成しえたと思います。そして、この人のつながりを大きな運動の流れにしていきたいと思います。

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声明:憲法審査会の始動を許すな!

2007年の第166通常国会で安倍内閣によって改憲手続法が強行されたが、その中には,次の国会から憲法調査会を設置することも盛り込まれた。その後、麻生内閣下の2009年に衆院憲法審査会規程が強行され、本年5月には参院憲法審査会規程も自公民3党の主導で制定されるなど、紆余曲折はあったものの,憲法審査会そのものは始動できないまま5年が経過した。

ところが、今年、野田内閣が発足した頃から、会長予定者の具体的な固有名詞まで挙げての動きが表面化してきたことは、憂慮すべき緊急事態である。とりあえず、9月の第178臨時国会では、時間的な制約等もあって始動は見送られたが、10月下旬に召集予定と報じられている第179臨時国会で、この問題が再燃することは必至であろう。

しかし、これまで年数にして5年、会期数にして12会期連続して憲法審査会が始動できなかったのは、決して、推進論者が言うような「立法府の怠慢による不作為」などではない。まず,それまでの自公民3党協調態勢を崩してまでも安倍総理主導で早期成立に拘ったという改憲手続法の成立過程自体の問題がある。さらに、リーマンショックに代表される世界的な景気の低迷や、派遣村に象徴される雇用・生活の破壊など、「美しい国」よりも「今日のメシ」という差し迫った現実の課題があった。だからこそ、「生活優先」を掲げた当時の民主党に支持が集まり、「政権交代」に至ったのである。つまり、現憲法に対してどのような立場をとるにせよ、少なくとも、今すぐ改憲をという切羽詰まった客観的な事情は存在しなかったし、各種世論調査を見ても、そうした民意はどこにも存在しなかったのである。

では、最近になって、そうした事情に変化があったのであろうか。とんでもない。むしろ、観測史上最大の東日本大震災と原発事故による被災者の救援・補償・生活再建をはじめ、エネルギー政策の転換など、ますます喫緊の課題が山積しているのである。

但し、このように改憲のための制度上の仕掛けが手詰まり状態に置かれた中にあっても、既成事実としての憲法の破壊は着々と進んでいることも事実である。すなわち、教育基本法の全面改悪や、海外派兵恒久法の事実上の先取りである「海賊対処」法等である。民主党政権に替わった後も、防衛計画の大綱の見直しでは、武器輸出の解禁に道を拓くとともに、専守防衛から積極的抑止戦略への大転換が図られている。

こうした背景にあるのが財界の意向であり、防衛計画の大綱の見直しの下敷きとなった安保防衛懇報告に先行して、経団連は「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」の中で、「防衛産業の衰退が防げるような予算の確保」や「技術的鎖国状態の打破」等を主張している。そして、「御手洗ビジョン」をはじめとする財界側から出された国家構想や改憲案は、いずれも事実上、集団的自衛権の解禁を主張している。つまり、大衆課税(消費増税と各種控除の縮小)やTPP参加も含めて、財界の意向に沿った国づくりという動機が働いていると見なければならない。そして、各種の施策について自公民3党間で事前にすり合わせを図るなど、部分的とはいえ事実上の「大連立」が進んでいることにも注意が必要だ。

彼らは、震災すらも「奇貨」として、「復興」を口実に増税を迫るとともに、「トモダチ作戦」に対して「ありがとう米軍」キャンペーンを展開することで、集団的自衛権への拒否反応を薄めようとしている。最近では「世界から救援でお世話になったお返しに国際貢献を」とばかりに、南スーダンへの派兵まで進められようとしている。しかも、武器使用要件の緩和という交戦権の解禁まで狙われている。

こうした状況の下で,国会内に設けられた「憲法に関する常設の機関」が動き出すとすれば,その意味は極めて重大である。

憲法調査会における議論を通じて、自民・民主両党の委員から、行政の一機構に過ぎない内閣法制局が憲法の有権解釈を独占するのは政治主導に反するから、国会自らが憲法判断をできるようにすべきだとの主張が展開されてきた。しかし、憲法審査会は,かつての英国の上院の法律貴族のような法律の専門家集団ではない。他の委員会と同様、その委員は各党の議席割合に応じて配分されることになる。このことは、院内多数派が内閣を組織するとともに憲法審査会の主導権を握ることを意味する。これでは、時の政権による恣意的な憲法解釈に道を拓くことになりかねない。しかし、ひとたび政権幹部がこうと決めたら集団的自衛権も交戦権の行使も武器輸出も何でもありというのでは、とても法治国家とは言えない。しかも、「大連立」ということになれば、一気に改憲発議にまで突っ走ってしまう危険も大きい。

しかし、この憲法審査会の根拠規定である改憲手続法は、制定にあたって18本もの付帯決議が付けられた欠陥立法であることを忘れてはならない。附則や付帯決議に盛り込まれた見直し対象には、一般的国民投票や最低投票率、発議方法、運動規制、成人 (次頁へ)(前頁より)年齢など制度設計の根幹部分に関するものが多く含まれている。つまり、本来ならば一旦白紙に戻して仕切り直しすべき性質のものであって、今これを拙速に動かす条件はどこにも存在しない。

今、為政者に緊急に求められているのは、憲法審査会の始動などではなく、生活再建も含めた被災者の救済と復旧・復興であり、雇用の確保や生活不安の解消である。そして、その基礎に据えるべきは、誰にも等しく幸福追求権や生存権を保障した憲法であることは言うまでもない。

2011.10.3
許すな!憲法改悪・市民連絡会

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274団体・個人の共同声明:私たちは、南スーダンPKOへの自衛隊派遣とPKO5原則の緩和に反対する

政府は国連の要請を理由にして、今年7月、独立したアフリカ・南スーダンへ、道路などインフラ整備を行うため、300名規模の陸上自衛隊施設部隊を派遣する方向で準備を始めた。

しかし、南スーダンとその周辺地域は独立後も情勢が不安定で、武力紛争が絶え間なくつづいている。私たちは、この地域に武装した自衛隊を派遣することは極めて重大な問題があり、憲法9条を持つ日本政府がとるべき道ではないと考える。

すでに政府は、調査団を南スーダンの首都ジュバに派遣し、さらに第2次調査団を派遣しようとしている。この間の野田政権と外務省の対応は「自衛隊派兵ありき」の姿勢そのものである。また、民主党の前原政調会長などは、PKO現地で他国軍隊を守るための自衛隊による武力行使を認めるというPKO5原則の緩和などを主張している。

このPKO派兵の狙いは、南スーダンに豊富な石油資源をめぐる大国間の争奪戦の手段であり、政治的・経済的なアフリカ進出の橋頭堡である可能性は否定できない。すでに自衛隊はソマリア海賊対策を口実に部隊を派遣し、東アフリカの一角、ジプチには自前の基地まで保有している。南スーダン派兵はこれらと連動する意図も疑われる。

南スーダンでは、長期の苛酷な内戦により、医療、教育、福祉、雇用から法制整備、行政機能の育成まで、膨大な民生支援が必要とされている。自衛隊はこれらにほとんど対応できず、文民、NGOの活動こそ重要な役割を果たすことができるし、日本のNGOにはそうした実績もある。

私たちは自衛隊の南スーダンPKO派兵に反対する。政府は「派兵ありき」の路線を捨て、憲法第9条の精神を生かした非軍事の民生支援の道を探るべきである。そして私たちは派兵を合理化するためのPKO5原則の緩和にも反対する。
2011年9月30日

■【呼びかけ団体】「憲法」を愛する女性ネット/憲法を生かす会/平和を実現するキリスト者ネット/平和をつくり出す宗教者ネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会

■相川早苗(東京・主婦)/アイヌとシサムのウコチャランケを実現させる会/青木裕美(神奈川県在住)/赤石千衣子(ふぇみん婦人民主新聞)/赤とんぼの会/朝倉真知子(千葉県市川市)/浅田明(宝塚市)/アジア女性資料センター/アジア連帯講座/麻生修子(船橋市)/ATTAC Japan(首都圏)/足立満智子(千葉県成田市)/安達由紀(日本消費者連盟)/厚木市民九条の会/阿部純子(松山市)/阿部太郎(米国マサチューセッツ州)/天木直人(元レバノン大使)/新井茂子(東京都板橋区)/有村文江(日本山妙法寺)/あるこう会/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/飯田奈賀子(横浜市)/五十嵐佐代子(横浜市)/池田年宏(大分県)/池田寛信(日本山妙法寺)/井桁 碧(VAWW RAC)/石川大我(豊島区議会議員)/石川哲朗(東京都民)/石川治子(カトリック修道女)/石川久枝(新宿区婦人問題を考える会/石毛美智子(VAWW RAC)/石嶺和宏(東京都)/いせ9条の会/磯貝治良(愛知県在住)/磯谷佳代子(豊島区)/市原憲法を活かす会/伊藤勝久(年金生活者)/伊藤かつみ(横浜市)/伊藤としこ(佐倉市)/入江晶子(千葉県佐倉市)/岩村義雄(神戸国際キリスト教会)/上田佐紀子(VAWW RAC)/上田貴裕(東京都)/上田伸子(東京都)/内田雅敏(弁護士)/うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会/江上彰(日本山妙法寺)/NPO法人日本消費者連盟/遠藤恵子(Keiko Ye Myint)/大石敦子(VAWW RAC)/大滝敏一(教師)/大束愛子(ふぇみん婦人民主クラブ)/大野博美(佐倉市)/大原洋子(大分県杵築市)/大村忠嗣(長野県上田市)/大谷順子(四街道市)/大柳武彦(ねりま九条の会事務局長)/大和 清(長野県安曇野市)/岡嵜啓子(長野市)/岡田 快(杉並区)/岡田 純(杉並区)/岡田良子(東京都杉並区)/岡本珠代(広島市)/岡本三夫(広島市)/岡山県宗教者九条の会/小川里津子(中野区)/沖 道子(新座市)/長田満江(つくば市)/長南博邦(野田市議会議員・新社会党)/小多基実夫(反戦自衛官)/小田睦(八王子市)/鬼松成剛(みどりの未来所属、岐阜大学生)/小野政美(小学校教員:憲法と教育を守る愛知の会)/小野沢あかね(VAWW RAC)/小浜健児(鹿児島県)/香川キリスト者九条の会/加藤宣子/加藤誠(東京都板橋区)/カトリック正義と平和協議会/刈谷隆子(ふぇみん婦人民主クラブ)/河内謙策(弁護士)/菊池裕子(許すな!憲法改悪・北部市民連絡会)/北村敏子(ふぇみん婦人民主クラブ会員)/岸本和世(札幌市)/木津博充(日本山妙法寺)/京極紀子(相模原市)/金優綺(東京都)/国富建治(新時代社)/鞍田東(いわき市)/栗原君子(広島県)/原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会/憲法・教育基本法改悪に反対する市民連絡会おおいた/憲法を生かす会/憲法を生かす会・茨城/河野 清/国連・憲法問題研究会/高本吉久(日本山妙法寺)/子どもたちの未来をそこねる教科書に反対!北九州ネットワーク/小西誠(米兵・自衛官人権ホットライン)/小林 緑(女性と音楽研究家)/今野 覚/阪口浩一/(財)日本キリスト教婦人矯風会/斎藤春枝(神奈川県大和市)/斎藤竜太(十条通り医院、神奈川県大和市)/酒井 信(愛知県日進市)/阪野智夫(ピースサイクル愛知)/さくら・市民ネットワーク/佐々木孝(広島市)/佐々木美香(介護ヘルパー)/佐藤袿子(甲斐市)/佐藤真喜子(大分市)/設楽ヨシ子(ふぇみん婦人民主クラブ)/品川・憲法を生かす会/品川・平和市民/渋谷晃次(九条の会・久喜)/しまざき英治(三鷹市議会議員)/島村眞知子(広島県)/清水さつき(ふぇみん婦人民主新聞)/市民自治を創る会/自由大すき!市民の会/市民ネットワークちば/市民ネットワーク・ふなばし/白岩佳子(大分県中津市、介護福祉士)/信教の自由と平和を求める香川キリスト者の会/鈴木幹雄(船橋市)/鈴木實(スクールカウンセラー)/鈴木保江(東京都)/STOP!改憲・市民ネットワーク/「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)/戦争に協力しない!させない!練馬アクション/戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会/第九条の会ヒロシマ/平良悦美(辺野古テント村)/高木澄子(東京都杉並区)/高須 健(富士宮市)/高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)/高橋 徹(長野市)/高橋祐二(彫刻家)/高安淑子(許すな!憲法改悪・市民連絡会)/田口由美子(調布市)/竹内松直(東京都練馬区)/竹腰 英樹(平和の物販担当・東京都中野区在住)/武田隆雄(日本山妙法寺)/竹林 隆/田代雅美(長崎市)/田中泉(東京都)/龍野瑶子(VAWW RAC)/田中一恵(千葉市)/田中和恵(千葉市)/田中慶子(千葉市)/田中雅子/田中光子(東京都)/田辺久子/田場祥子(VAWW RAC)/田場洋和(練馬区)/田平正子(京都市在住、エスぺランチスト)/男女平等をすすめる教育全国ネットワーク/千葉俊一/筒井修(福岡地区合同労働組合代表執行委員)/津田公男(豊島区)/角田京子(日立市)/寺尾光身(埼玉県)/寺島芳江(東京都渋谷区)/土井登美江(STOP!改憲・市民ネットワーク)/東京空襲犠牲者遺族会/東京大空襲訴訟原告団/盗聴法に反対する市民連絡会/東本久子(憲法ひろば・杉並)/時を見つめる会(神奈川・横浜市)/外山たかね(カトリック豊島教会)/豊島幸一郎/冨田成美(京都市)/富山洋子(船橋市)/とめよう改憲!おおさかネットワーク/永井好子(川崎市)/中尾こずえ(許すな!憲法改悪・北部市民連絡会)/永野 勇(市原市)/長野ピースサイクル実行委員会/中原道子(VAWW RAC)/中村春子(千葉県佐倉市)/中森圭子(戦争反対・平和の白いリボン神奈川)/中山一郎(平和憲法を生かす新宿の会)/奈良本英佑(法政大学経済学部)/西沢雅子/西浦紘子(広島県)/西野瑠美子(VAWW RAC)/日本キリスト教協議会平和・核問題委員会/日本山妙法寺/丹羽雅代(アジア女性資料センター)/野村修身/<ノーモア南京>名古屋の会/NO!AWACSの会浜松/NO!レイプNO!ベース女たちの会/野田優子(鎌倉市)/朴裕子(会社員)/橋野高明(同志社大学人文科学研究所研究員・日本キリスト教団牧師)/バスストップから基地ストップの会/畠山照子(世田谷区)/パトリオットミサイルはいらない!習志野基地実行委員会/林田力(『東急不動産だまし売り裁判』著者)/原順子(バスストップから基地ストップの会)/反安保実行委員会/半田隆/ピースサイクルおおいた/ピースサイクル埼玉ネットワーク/ピースサイクル三多摩ネットワーク/ピースサイクル全国ネットワーク/ピース・ニュース/ピースリンク広島・呉・岩国/東本高志(大分県)/平山良平(<ノーモア南京>名古屋の会 事務局)/ふぇみん婦人民主クラブ/深川博子(WORLD PEACE NOW)/仏教徒非戦の会・福岡/福士敬子(東京都議会議員)/福島慶一(川越市)/藤井純子(広島市)/藤生敏晴(豊島区)/藤田文雄(日本山妙法寺)/古荘暉(日野市)/古荘斗糸子(日野市)/平和憲法21世紀の会/平和憲法を守る豊島の会/平和を実現するキリスト者ネット/平和をつくり出す宗教者ネット/星野正樹(中野区)/堀内 哲(長野県坂城町)/前田哲男(ジャーナリスト)/増田都志美(藤枝市)/増田博光(松戸市)/松浦敦子(東京都)/松浦順子(世田谷区)/松岡幹雄(大阪府)/松村紀之/丸浜江里子(杉並区)/三上一雄(カトリック労働者運動会員・平和憲法と共に生きる中野の会運営委員)/水越元子(東京都)/道端園枝(千葉県佐倉市)/宮地靖子(広島県)/宮原達(広島市)/向井真澄(千葉県在住)/村上雅子/村瀬敬子(西東京市)/村瀬俊夫(西東京市)/毛利亮子(多摩市)/谷島光治(三鷹市)/保田千世(多摩市)/山口明子(VAWW RAC)/山口千春(パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会・事務局長)/山口泰子(横浜市)/山下治子(横浜市)/山田恵子(VAWW RAC)/山本進(市川市)/山本俊輔/山本大輔/山本友子(市民ネットワーク千葉県・県議会議員)/山本紀子(東京都)/山本英夫(フォトグラファー)/山本良子(佐倉市)/柚木康子(東京都)/ユーゴネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会/許すな!憲法改悪・北部市民連絡会/郵政労働者ユニオン中央本部/横原由紀夫(広島市)/吉沢弘志(船橋市)/吉沢洋子(神奈川県)/吉田雅明(豊島区)/よつかいどう市民ネットワーク/萬屋真澄(ふぇみん婦人民主クラブ)/労学舎/若狭康男(豊島区)/和田成枝(新宿区)/渡辺多嘉子(カトリック麹町教会)/渡辺順(東京都江東区)/渡辺孝光(東京都江東区)/渡辺真知子(コスタリカに学ぶ会)/
(274団体・個人)71団体、203個人(2011年10月21日現在)

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「第15回許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会in広島」への参加と賛同カンパのお願い

平和を願い、憲法の改悪に反対して、さまざまな活動をしている全国のみなさん。
2011年3月11日、東日本―帯を襲った大地震、大津波、そして最大規模の原発事故という大震災によって、2万人近い人びとがいのちを失い、あるいは行方がわからず、膨大な数の人びとが避難生活を強いられました。以来、7ヶ月あまりを経た今日でも、原発事故は収束せず、被災地の復旧も遅々としており、多くの人びとが安心して住む家もなく、仕事もなく、そして放射能の危険に脅かされつづけています。政府はいまこそ総力を挙げて、この震災の被災者に憲法25条の生存権を保障しなくてはなりません。

しかし、この震災の中で永田町から聞こえてくるのは「憲法審査会の始動」への動きや、南スーダンへのPKO派兵、あるいは「日米同盟」強化と、沖縄・辺野古の新基地建設や南西諸島への自衛隊配備・強化などなど、きなくさい動きです。

このような時にあたって、従来から憲法9条の価値を大切に思い、それを生かすために努力してきた全国各地の市民運動が2012年2月18日~19日に広島に集います。被爆地ヒロシマは一方で上関原発建設や岩国米軍基地強化の動きの直近の地でもあります。広島ではこの間、「第九条の会ヒロシマ」の皆さんが憲法運動、平和運動、各種の市民運動で重要な役割を果たしてきました。その第九条の会ヒロシマの結成20周年にあたり、あらためて広島に於いて、「いのちが大事――いらない!原発と基地」をテーマに「第15回許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会」を開催することは、今後の全国の市民運動、脱原発運動、平和運動、憲法運動にとって極めて重要な試みになると思います。

この「市民運動全国交流集会」は最近では、10年に沖縄集会を実現し、安保と基地、憲法9条を問い、運動の飛躍をかちとりました。ことし11年は大分・日出生台で集会を持ち、米軍演習と人権などについて考えました。第15回のヒロシマ集会は、沖縄集会、日出生台集会につづいて、大変大きな意味を持つに違いありません。

10月上旬に首都圏、関西、広島から有志が広島に集まって相談会を開催し、その申し合わせに沿って、この呼びかけを全国の皆さんに発します。

各地の市民運動関係の皆様にぜひこの全国交流集会にご出席いただき、意義ある充実した集会にしたいと思います。つきましては、お忙しい折ではありますが、是非とも早めに交流集会について討議して頂き、この集会に仲間を派遣して下さいますようお願い致します。

なお、第1日目(18日)午後の公開講演会(一橋大学名誉教授の渡辺治さんの講演と、ハイロアクション福島の武藤類子さんのスピーチなど)以外のプログラムは、従来通り非公開プログラム(セミクローズド)として、招請団体・個人のみの参加となります(ご参加にあたっては集会事務局の確認が必要です)。2日目午後には中国電力によって原発建設が計画されている上関と、米軍岩国基地へのフィールドワークも予定しております。なるべく早めに参加希望のご連絡を事務局まで下さいますようお願い致します。

全国から参加するため、参加費用も多額になります。つきましては、勝手なお願いながら郵便振替用紙を同封しましたので、集会の成功のために賛同カンパにご協力頂ければ幸いです。

2011年10月25日
「第15回許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会in広島」実行委員会
連絡先:第九条の会ヒロシマ TEL070-5052-6580(藤井) 
許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局(高田) TEL03-3221-4668 FAX03-3221-2558)
郵便振替口座00110-7-571976(口座名:市民ネット)

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