行き詰まった政治・経済の「改革」を標榜して人びとの期待を煽り、支持を集めてきた小泉政権は、この一連のドタバタ劇を通じて、自らもまた政官財の癒着構造の中にあることを露呈しました。小泉首相が言う政治経済の改革に期待し「痛みに耐えてきた」人びとはいま大きく失望し、支持率は暴落し、政権は窮地に立たされています。
それだからこそ小泉政権は名誉挽回とばかりに、この国会で「包括的な有事法制」づくりを強行しようとしています。3月末か4月冒頭にも国会に提出されようとしている有事法制という名の戦時非常法制は、すでに各方面の人びとから指摘されているように、朝鮮や中国をはじめアジアの人びとを仮想敵視するものです。
先のテロ特措法で自衛隊も参戦したアメリカのアフガニスタン戦争はいまなお続き、自衛隊もアラビア海でひきつづき参戦中です。内戦と飢餓と貧困というアフガニスタンの困難は欧米諸国が後押しする「暫定政権」ができたあとも、全く解決していません。しかしブッシュ大統領はこの戦争をやめるどころか、今年の年頭には「悪の枢軸」などという発言をしてさらに他国へと戦火の拡大を狙っています。そして先日はブッシュ政権が中国、ロシアなど7ヵ国の名をあげて「核使用攻撃のシナリオ」策定にまで着手したと報道されました。小泉政権はこうしたブッシュの戦争政策をたしなめるどころか、さらに日米同盟強化の方向で追随しようとしています。「有事法制」はまさにそのような意図で出されてきます。
「有事法制」は米軍が引き起こす戦争に自衛隊が直接加担し、戦うため、日本のすべての行政機関、企業とそこではたらく人びとに罰則付の徴用などによる戦争協力を強制します。それはアジアの人びととの友好と共生を傷つけ、私たちの平和的生存権と基本的人権をふみにじる憲法違反の法制です。
小泉政権は歴代政権の中で、もっとも憲法を軽視し、無視する危険な政権です。「備えあれば憂いなし」「常識で判断しよう」「本音で議論しよう」「国民的な常識から見れば自衛隊が戦力であるのは明らかだ」「最高裁だって自衛隊は違憲ではないといっている」「前文と9条の間に隙間がある」「憲法だって国際常識にあわないところもある」などとあいついでいる小泉発言は、憲法99条の「憲法尊重・擁護義務」との関係でも憲法違反そのものです。
このような憲法違反の「有事法制」と「憲法改正国民投票法案」をこの国会に出そうとする政府・与党のねらいは明らかです。それは現行憲法体制を完全に転覆させ、欧米並みに「戦争ができる」普通の国に作り替えようというものです。
いまこそ、有効なすべての力を結集し、広範な「有事(戦時非常)法制」阻止の共同行動を作り出して、闘う必要があります。
「許すな!憲法改悪・市民連絡会」は2月の広島での全国交流集会の決議の精神にそって、全国の仲間や、諸団体の皆さんとともに、この運動を全力で推進します。とりわけ、東京では昨年秋以来の「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」の仲間たちや、キリスト者、日本山妙法寺、全労協などの皆さんとの信頼関係を基礎に、共同で運動を展開して行きたいと思っています。
以下、当面、予定されているスケジュールです。連日で大変ですが、一人でも多くの友人を誘って駆けつけましょう。
(1)閣議決定抗議の議面集会。「有事法制」の閣議決定がされた日の12時15分から。衆議院議員面会所で。キリスト者平和ネット、日本山妙法寺、テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動の共催
(2)4月3日、有事法制阻止国会緊急行動。12時15分から。衆院議面から国会包囲。市民緊急行動など市民団体、宗教者、陸海空20労組などの共催。
(3)4月12日、連続行動開始の市民・労働者集会。18時30分~、社会文化会館3階。以降、26日まで、社文18時30分集合、国会デモ。土・日は変更の可能性あり。
(4)4月16日、日比谷野音集会(予定)。18:30~、平和フォーラムや市民緊急行動の共催。
(5)4月20日、国際連帯全国市民集会。14時~芝公園23号地。アメリカの市民やアジアの市民との連帯を。
(6)このほかに現在、陸海空20労組や宗教者、市民団体が共同する数万人規模の大集会開催の動きがあり、ぜひとも実現したいと思っています。
(7)生かそう憲法、高くかかげよう第九条、許すな有事法制、2002年5.3憲法集会。5月3日午後1時、日比谷公会堂。
(8)「『有事法制』に反対し、平和憲法を生かそう!」意見広告運動に協力します。5月3日に一般紙首都圏版に掲載を目標(詳細は別掲)。