2004年5月3日憲法集会

リレートーク
自信をもって平和を創ろう 

韓国「平和を創る女性の会」 チョン・ギュンラン

みなさん、こんにちは。本日、平和憲法擁護というテーマのこのような集いで連帯あいさつの機会を与えてくださったことを、実行委員会をはじめ、お集りのみなさんに感謝します。

私が3か月前の2月に来日した際、たいへん驚いたことがあります。イラクに派遣された自衛官派遣部隊長が、笑顔でイラクに入国した様子がニュースで繰り返し放映されるのを目にしたためです。軍を持たず、戦争には参加しないとしている日本の平和憲法のもとでの自衛隊のイラク駐屯は、日本政府が憲法を無視しているという事実を明らかにしているといえましょう。

日本の平和憲法は、平和主義、国民主権、人権を非常に重要な柱とてしています。この基本的原則は決して変えてはいけない、維持されなくてはならないと思います。とくに、憲法9条で示されている平和主義は必ず守らなければなりません。

戦争放棄、戦力をもたないと規定している憲法9条の改悪は、アジアで生きる者に太平洋戦争の苦しみを再び思い出させるものです。みなさんはすでにアジア・太平洋戦争の惨状を通して、天皇軍がみなさんの命と財産を守ってはくれないということを経験されました。

事実である歴史の検討と反省なくして日本が軍事大国化することは、韓国をはじめとする周辺国住民に「日の丸・君が代」を表に掲げた日本の侵略と帝国主義を思い出させるものです。もしかしたら、日本人にとって、アジア・太平洋戦争は忘れ去りたい戦争なのかもしれません。加害者として過ちを犯してしまった大きな犯罪を忘れたいのかもしれません。

しかし日本の帝国主義の被害者として韓国人は、この戦争を忘れることはできません。とくにアジア・太平洋戦争は、女性である私にとって、まず従軍慰安婦を思い出させます。いまだに従軍慰安婦だった方々は、毎週水曜日、ソウルの日本大使館前で日本政府の公式謝罪と補償を要求するデモをしています。20万という女性が日本軍の性の奴隷として連れていかれた問題が、いまだに解決していない状況のもとで、「日の丸・君が代」が掲げられ、歌われる様子は、私たちにとって解決していない過去が、現在から未来まで続いていくことがあり得るという恐ろしさと、とてつもなく大きな苦しみを思い出させるのです。

私たちは決して過去に戻ることはできません。戦争と憎悪、犠牲と人間の死が繰り返された過去に時計の針を戻すことはできないのです。

みなさん。平和憲法に違反し、自衛隊派兵を通して平和をつくろうという考えは幻想です。戦争と軍隊を通して平和をつくろうという妄想から抜け出さなければなりません。米軍がイラクを侵略した戦争は終わったと終結宣言をしてからのイラクの状況は、みなさんどうでしょうか。イラク戦争は終わっておらず、イラクの民間人の犠牲がさらに増加しており、深刻化しています。民衆の抵抗は日がたてばたつほど大きくなっています。米軍のこの占領統治が終息しなければ、イラクの子どもたちと女性の犠牲は大きくなるばかりです。イラクからスペイン、ホンジェラス、ドミニカが撤兵を決定しました。そして多くの国々が派兵撤退を検討しています。米軍による不法な侵略戦争をこれ以上支援する理由がなくなったために、これらの国家は軍隊の撤収を決定したのです。また米軍のイラク人への拷問事件も発生しています。

このようななか、韓国と日本の青年が何で平和のために奉仕をせずに、またなぜ米軍の不法な侵略戦争のために血を流さなければならないのですか。

みなさん、戦争と軍事力を通して安全を確立しようという考えは破滅的な幻想であることは明らかです。一つの戦争と軍事力増強が他の国家の危機感情を引き起こし、より大きな抵抗をつくっているのです。

日本は世界の国民総生産で高い割合を占めています。日本国憲法の改悪問題は日本国内だけの問題ではなく、国際的な問題です。日本国憲法は日本国民が決定するものですが、同時に国際的な秩序をどのようにつくっていくのか、じっくりと考えなければいけません。日本の憲法改悪は東北アジア国家の平和に直接影響を与えます。イラク派兵、ミサイル防衛体制の構築、巨大な防衛費支出と憲法改悪は日本を過去へと逆戻りさせるものです。これは東北アジア国家を刺激し、軍事競争という悪循環に陥らせてしまうのです。

みなさん、私たちが持たなければならない政治的活動の主要な観点は何でしょうか。平和的共存と国家間の誠実な協力関係を得るために私たちに何ができるのかという点です。お互いの恐怖と不信をなくさなければなりません。このために東北アジア国家は対立と軍事競争ではなく、相互信頼と交流をはからなければなりません。

私たちは日本が非常に力のある経済力に見合った平和と安全保障、人権と環境の問題に積極的にかかわっていく国家となっていくことを期待しています。そして何よりも平和憲法は日本が世界平和のために貢献することができる貴重な財産だと思います。すなわち、平和憲法9条を広めていくことが世界平和に貢献すると確信します。平和主義のために連帯していくこと、これが各地の人びとがしなければならないことです。私はとくに母親として、息子たちが平和主義を軸とした社会で生きていけることを切に願います。

まさにみなさんは私たちの希望です。自衛隊のイラクからの撤兵を、平和憲法を守るために努力していらっしゃるみなさんが、まさに私たちの希望です。東アジア市民の信頼と交流のために努力されているみなさんが、平和に共存していく世の中をつくっていくために、ご尽力されているみなさんが、私たちの希望です。

みなさん、自信をもって平和をつくってまいりましょう。私たちの韓国の女性も、平和のための行進に積極的に参加をしております。みなさんとともにあることを約束します。ともにご唱和ください。唱和をもって発言を終わります。

平和憲法改悪に反対!(会場から唱和)
日本の軍事化に反対!(会場から唱和)
自衛隊はイラクから撤退せよ!(会場から唱和)

ありがとうございました。

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