イタリア「平和のテーブル」 マウリツィオ・グッビョッティ
みなさん、今日ここによんでいただいてとても喜んでいます。今日の集まりはとても大事なものです。日本の平和運動だけではなくて、世界の平和運動、しかもイタリアの平和運動のために、とても大事な集まりだと思います。
こういう場所で、戦争について話すことは、とても悲しいことです。しかし、今の世界では、イラク戦争だけではなくて、たくさんの国の人が滅ぼされて、地球も破壊されていることは忘れてはならないことです。戦争は以前と何となく変わったものになりました。今日の戦争は、外交とか他の形でも何も手段がないときだけ行われるものではないのです。いろいろな世界のあり方を維持するために使われる手段です。
今日の世界では人口の20%の人が、世界の資源の80%を支配しています。今日の世界では13億人が、1日1ドル、105円で生活しています。24億人が何の医療、薬も手に入らない。15億の人びとがきれいな水が手に入りません。毎日毎日3万人が病気で死にます。きれいな水さえあればその病気にならないのです。世界の子どもについていえば、2億4600万人の子どもは働くしかありません。なかでも7,300万人の子どもが、10歳以下で働いています。
しかし、いまの世界で何か新しい動きが見えています。それは、もうこういう戦争はイヤだ、武器のためにお金を使ってイヤだ。環境を破壊してイヤだとみんな反対しています。人間を滅ぼすような経済の動かし方に私たちは反対します。それによって世界中で普通の市民、国民が、団体や組織をつくり、人権のため、基礎的な必要なもののため、平和のため、戦争がない民主主義的な政治のために、みんなお互いに尊敬しつつ運動しています。政府が動かなければ、私たちが動きます。私たちは責任をもって動きます、この世界を変えるために。一般の市民の力によって、いま世界の各国では人びとが手をつないでいっしょに運動をし、このイヤな事実を変えていきつつあります。
こういうことを行うために皆が集ってアイディアを交換し、力を合わせて一緒に動くような場面が必要です。それで1995年から民族の国連というものが生まれました。政府の国連ではなくて。国民、市民、いろいろな民族の国連です。それによって、毎年イタリアのベネツィアからローマまで、平和の行進が行われます。そこには毎回何十万人が参加しています。そのためにソーシャル・フォーラムという集まりがあって、そこで企画、政策、経験をお互いに語り合っています。このようなものはこの世界でますますつくる必要があります。今日も、そういうような集まりです。
この市民の平和運動としては、去年の2月15日、世界中で平和のための行進に何億人もの人たちが参加しました。イタリアでは300万人がローマに集って行進しました。こうした行動によって私たちが実現したいのは、国連を民主主義的なものにして、国連は一般の国民、市民の声を聞くようなものにすることです。そうしないと世界は進歩しません。
私たちが欲しいのは、武器をもっている政府の国連ではなくて、市民の国連です。そのために世界中にある団体・運動はNGOのやり方をまねて、境を越えて知識を皆で分かちあって運動しないと、この地球の将来はあまりにも暗いものです。
いまの世界を変えたいなら、世界中でいま起きていることを意識する必要があります。その中の一つは環境の破壊です。もう一つはいろいろな民族の地球的な運動です。もう一つは武器の生産。このいろいろな問題を意識しないと、この世界で本当の平和をつくることはできません。
イタリアの憲法にも日本の憲法と似たような条文があります。私たちは戦争を断ります。こういう条文をこれから作られるヨーロッパ憲法にも是非入れるように、いま私たちイタリアの平和のテーブルという組織はがんばっています。