2004年5月3日憲法集会

2004年5・3憲法集会へのメッセージ((オスカー・アリアス・サンチェスさん))

戦争の鼓動が、至る所で鳴り響いている現在、平和を主張する人びとは理想主義者や夢想家として、ないがしろにされています。しかし、未来が絶望と暴力にますます陥ろうとも、我われは平和について語り合わなければなりません。今こそ、夢想家や理想主義者とも呼ばれる我われが、平和という文字を国家、国際アジェンダに載せるべく、より一層の努力をすべき時です。

平和に終着点はありません。平和は、決して終わることのないプロセスであり、あらゆる国の人々による無数の選択の結果なのです。非武装も同様に、一時的な決断ではありません。一般市民が、軍備廃絶を常に求め、警戒していく必要があります。我が国、コスタリカは1949年に軍を廃絶しましたが、再軍備を招きそうな危機に直面したこともありました。決然としたリーダーシップと一般市民の強い主張があったからこそ、1980年代の中央アメリカ内戦時の暴力にコスタリカが陥ることはありませんでした。皆さんも日本を軍国主義に引き戻そうとする好戦的動向に対し、今ここで、「ノー」と言うべきです。平和は単なる夢ではないからこそ、皆さんはここにいるのです。平和への道は険しく、華やかなものでも、純真で理想にみちたものでもありません。我われは日常生活の中で、その道を選び、屈せずにやり通さなければなりません。

第2次世界大戦後、日本は平和国家となり、平和的手段によって、今のような豊かな国となりました。世界中が尊敬している日本の資質は教育重視、強力な労働倫理、技術革新、活気あふれる創造的文化などであり、軍国主義的要素はありません。日本は、軍備によってではなく、国民の才能によって世界のリーダー的存在となったのです。日本と世界のために、日本の人びとが日本国憲法第9条に記されている平和主義と発展の伝統を守り続けるよう、私は祈り、願っています。

Oscar Arias Sanchez
オスカー・アリアス・サンチェス
コスタリカの大統領(1986~90)
中央アメリカの和平プロセスに貢献
1987年ノーベル平和賞受賞

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