2004年5月3日憲法集会

リレートーク
私たちは世界で孤立していない

社会民主党党首 福島みずほ

集会に集られたお一人おひとりのみなさん。そして国民のみなさんに、社民党を代表して心からのメッセージを送ります。

今日は日本国憲法の57回目の誕生日です。2004年、今年はイラクへ自衛隊が派兵され、そして憲法改悪が具体的な政治的な俎上に上りつつある緊迫したなかで迎えられています。みなさん、今日5月3日を、日本国憲法を世界に大きく広げ、明文改憲を阻止するうねりをつくっていく大きな一歩にしようではありませんか。

先日、イラクから人質の人たちが解放されました。あの今井さん、私は劣化ウラン弾の問題でいっしょに取り組んできた仲間です。昨日、たまたま郡山さんにお会いしました。私は思います。なぜ、日本人が人質になったのか。それはイラクへ自衛隊が派兵されたからです。それでは、なぜあの人質の人たちが解放されたのでしょうか。それは彼らがイラクの人たちの友人であることが明らかになったからです。

私たち社民党は2度、カタール衛星放送アルジャジーラに対して、メッセージを送りました。彼らは、イラク及びイラクの人たちのために、とくに子どもたちのために働いてきた。彼らは、イラク及びイラクの人たちを大変愛している。彼らは釈放されるべきであり、殺されるべきではない。どうか日本に、イラクへの自衛隊の派兵、米英軍の占領に反対し、イラクから自衛隊が撤退されるようにがんばっている人間がいることを、ぜひ知ってほしい。そんな中身のメッセージを送りました。

また、個人としても多くのNGOの人たちといっしょに、ビデオを撮ってアルジャジーラに送りました。きょうこられた多くの皆さん、そしてNGOのものすごい努力によって、あの人質の人たちは解放されました。私が知るかぎり、日本政府が具体的な人脈をイラクに対して持っていたとは思えません。国と国とは対立をするかもしれません。しかし、人と人とは信頼と平和のメッセージを送ることができました。

私は日本国憲法があってよかったと本当に思います。私たちは平和を愛する国民として、世界の人びとに信頼と平和のメッセージを送ることができます。これが日本の本当に重要な財産であり、戦後ただ一人の人も戦争で殺さなかった、ただ一人の人も戦争によって殺されなかった、これが日本の戦後のもっとも重要な財産です。その貴重な日本の財産を今後も守りぬき、大事に世界に広げようではありませんか。

日本国憲法は多くの人の命を救ってきました。もし日本国憲法がなければ、日本は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガンの攻撃、イラクへの武力攻撃に日本の若者を送っていたでしょう。もし憲法9条がなければ、あのファルージャでの虐殺で日本の自衛隊がアメリカ軍とともに、イラクの人びとを狙撃していたのではないでしょうか。

いま国会では、すさまじい勢いで憲法を壊していく、踏みにじっていく、そんな動きが強まっています。1999年周辺事態法、その後テロ特措法、イラク特措法、テロ特措改悪法、去年有事3法案が衆議院で9割の賛成で成立しました。国会で有事立法反対の立場で質問をすると、自民党の席から「日本人か、それで」といった野次が飛びます。国会のなかでのそのような野次が飛ぶような今の日本の政治をみなさんとともに力強く変えていきたい、そう思います。

今年7月11日、参議院選挙が終われば、憲法改憲一色になるでしょう。教育基本法の改悪も、さきほど教育委員会による大量の処分についての発言がありました。教え子を再び戦場に送る教育が、また始まろうとしています。そして衆議院と参議院の憲法調査会は来年には最終報告書を出す予定です。自民党は2005年、民主党は2006年に改憲案を出すと言っています。ターゲットは明らかに憲法9条2項と前文です。憲法9条2項を変え、平和憲法を返上するとしています。そして自民党が自衛隊派遣恒久法をつくりたいと言っています。憲法9条2項の改憲と自衛隊海外派遣恒久法の2つがミックスされれば、ドラエモンのいつでもどこでもドアではありませんが、いつでもどこでも、どんな戦争にも、自衛隊は参加していくでしょう。

そして私は言いたい。自民党は防衛庁を防衛省に、そして国防基本法をつくる、そして武器輸出3原則の見直しを提案しています。戦後、日本製の武器は、どこの地域でも、どんな戦争にも使われませんでした。でも、武器輸出3原則の見直しが実現すれば、今後、世界の紛争地域で、戦闘の場所で日本製の優秀な武器が人びとを殺していくでしょう。日本の経済体制が軍需産業に依存する社会をいったんつくってしまったら大変です。アメリカは10年にいっぺん戦争をしなければもたなくなった社会である、そう言われることがあります。日本を同じような社会にしてはいけません。軍需産業が跳梁跋扈し、防衛庁が防衛省になり軍事に依存する。そして、今年も有事立法7法案・3条約が上程されています。毎年、毎年、有事立法をつくり、法体系のすみずみまで戦争ができる、こんな国に作り変えることを私たちは許しません。

いま脅かされているのは、憲法9条だけではありません。思想・良心の自由、表現の自由、生存権、働く権利、こんな権利もみんな今すさまじい勢いで制限され始めています。さまざまな憲法試案を見ると、個人の上に国家がある。国家が個人をいかようにも締め付けることができる。こんな法案ばかりが改憲試案という名で出ています。みなさん、個人の上に国家を置き、そして自己責任、自己責任と言いながら国家が人の命を選別していくようなこんな社会を許してはいけません。

私たちは、世界の中で孤立をしているわけではありません。さきほど、イタリア、韓国の方からすばらしいスピーチがありました。スペインはテロにも戦争にも反対すると、イラクから撤退を表明しました。スペインにできて日本にできないことはありません。

今日、会場にこられたみなさん。韓国の方も言いましたが、私も言います。今日来られたみなさん、そして平和を望む日本国民のみなさんのすべてが、私たちみんなの希望です。私たちは憲法改憲、明文改憲を許さない、平和憲法を世界に広げていく、どんなことがあっても元気に子どもたちに平和憲法をプレゼントしていく、その貴重な貴重な一歩を、今日憲法57回目の誕生日に踏み出していきましょう。憲法9条を生かすのか殺すのか、私たちがどんな政治を、社会を選択するのか、私たち主権者一人ひとりの手の中に握られています。私たちは、もう一つの日本をつくることが可能です。もう一つの世界をつくることも可能です。そのために力を合わせてがんばり抜いていこうではありませんか。

きょう憲法の誕生日、いろんなものをぶっ飛ばし、一人でも多くの国民が明文改憲に反対、憲法9条を生かしていく、そんな闘いを今日から始めていきましょう。私たちは負けるわけにはいきません。がんばりましょう。

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