中小路 貴
私は日赤の看護婦です。
日赤は第二次世界大戦で、たくさんの従軍看護婦を戦地におくりました。そこでは、看護婦は、一方では戦争で傷ついて人たちを看護することで、再び戦地へおくりだすという戦争協力者の役割を果たし、一方では看護婦自身も戦争によって多数の人たちが命を落とすという被害者でした。また、戦争中はどの日赤病院も陸軍病院や海軍病院の看板をかかげ、一般市民は入院できませんでした。日本は、いままた同じ過ちを繰り返そうというのでしょうか。
私自身は平和が当たり前のなかで育ってきたので、国民が戦争に協力させられる有事法制は絶対に反対です。私たち看護婦は、病気で困っている人たちの力になりたい、そう思って日々がんばっています。その思いを戦争に利用してほしくはありません。命を守るというほんらいの看護婦の役割は、平和な世の中でないと果たせません。
もし、戦争になれば、その費用の調達のためにさらに医療の改悪もすすみます。私たち医療労働者は現在、医療改悪と有事法制、この国民の命を奪おうとする二つの法案阻止に向けてたたかっています。
日本医労連も参加している女性の憲法年連絡会は、百十一人のよびかけ賛同人と三十五団体が手をつないで、「二一世紀に輝け、憲法九条」という運動を繰り広げています。連絡会では、今日の朝日新聞全国版に、「戦争のための有事法制 私たちは許しません」という意見広告をだしました。同じ広告を韓国の新聞に四月二十五日掲載したところ、さっそく激励の国際電話もかかってきています。
日本中の女性が手を携えれば、有事法制はきっと阻止できると思います。これからも、多くの人たちに知らせていく行動を広げて、何が何でも有事法制を廃案に追い込みます。ともにがんばりましょう。