私は長いこと小学校で教員をしていましたが、あまりの忙しさに体力の限界を感じ、四年前に退職した者です。退職してゆっくり暮らそうと思っていたのですが、ちょうどその頃、日米新ガイドラインの問題が新聞をにぎわせるようになりまして、毎日憤慨しておりました。でも、憤慨しているだけで何もしないのでは仕方がないと思って、何かしなければとの思いから、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」に入りました。そして憲法調査会を傍聴するようになりました。
傍聴してびっくりしました。会の始から終わりまで座っている議員は野党議員の一部だけで、出たり入ったりを繰り返して、五〇名の過半数を超えていることはほとんどありません。野党議員の質問のときになると与党議員はほとんどいないという状態で、とても憲法について真剣に議論している会とは思えない状況でした。
ある野党議員の方は、「憲法調査会では、マクベスならぬ憲法九条殺しの劇が演じられている」とお話しておられましたが、ほんとうにその通りです。野党議員の方が憲法九条の理念を守っていきたいと発言したことについては、あざ笑うような雰囲気があります。私は、まるで大日本帝国議会を傍聴しているような錯覚さえおぼえました。国会のこういう状態を一人でも多くの方に知っていただきたい、それをしなければ憲法九条が改悪され、大切な若者たちがまた戦場におくられるときがくるのではないか。そんな危機感から、私の住んでいる狛江でも憲法改悪を許さない、そして憲法の理念を広げていく会をつくることを決意しました。昨年八月、十名の知人に手紙を出し、五名の方から賛同のご返事をいただき、暮には七名の世話人体制ができました。今年二月、朝日新聞の伊藤千尋さんという記者の方をまねいて「平和憲法を活用するコスタリカに学ぶ」という演題で講演をしていただき、百名以上の参加者を得て、現在は七四名の会員の方が登録してくださっています。
狛江では、きょうの会のようにいろいろな党派の方、いろいろな地域で活動している方が、仲良く手をたずさえて、憲法改悪は許さないという思いで活動しています。きょういらっしゃった方のなかには、自分の地域にはそういう組織はないとおっしゃる方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひそういう方はご自身で会をつくってください。三名の賛同者がいれば会はできると思います。まず第一歩を踏み出してみてください。そしてエネルギーがなくなったときは、国会の憲法調査会を傍聴してください。怒りをエネルギーに換えてください。全国津々浦々に憲法九条の改悪を許さないという会ができてくれば、憲法九条殺しをねらい、集団的自衛権行使を声高に叫ぶ勢力にたいして、大きな歯止めになると思います。会のつくり方がわからない方はどうぞ連絡してください。
ともにがんばりましょう。