2月26日、参院憲法審査会での自民党を代表した赤池幹事の冒頭発言(速記録未定稿)

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○赤池誠章君 私は、自由民主党の赤池誠章です。自民党は、昭和三十年、一九五五年、立党以来、自主憲法制定が党是であります。当時の立党文書の一つである「党の使命」には次のように書かれております。国内の現状を見るに、祖国愛と自主独立の精神は失われ、独立体制はいまだ十分整わず、ここに至った一端の原因は、敗戦の初期の占領政策の過誤にあると。初期の占領政策の方向が主として我が国の弱体化に置かれていたため、現行憲法の自主的改正を始めとする独立体制の整備を強力に実行し、もって国民の負託に応えんものである。

自民党が立党して今年で五十九年となります。
来年は戦後七十年、自民党立党六十年を迎えるわけであります。改めて自主憲法制定実現に向けて、私はその意義、理由を以下三点あると考えております。
第一は、現行憲法には制定過程に問題があり、法律としての大前提である正統性がないと感じております。
御承知のとおり、マッカーサーが率いる占領軍、GHQから、占領中に言論統制された中で押し付けられたものです。現行憲法は、日本国民の自由意思で、公正で民主的な手続で起草されたものではありません。これは、占領軍が占領地の法律を尊重しなければいけない国際法の違反ともあり、何よりも、現行憲法が自らの前文にある「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」に反しています。憲法自体が憲法違反の存在というものであります。
正当に選挙もされない占領軍の最高司令官マッカーサーの指示によって短期間で英語で草案が作られ、日本国民に知らされないまま日本国政府に渡され、政府はそれを翻訳して憲法草案が作られ、衆議院、貴族院と議論されて成立したものであります。その制定過程を知る以上、国民代表である私たち国会議員がそれを是とすることはあり得ないと私は考えております。これを現行のまま放置することは恥であり、後世から叱責を受けかねないと感じております。
第二は、制定過程、その後、主権が回復して国民が十分承認をされているという反論のある中で、私は憲法の内容自体にも問題があると感じております。
現行憲法の基礎となっておりますのは、考え方は三つあると言われております。
第一は、制定過程で分かるように、日本人には自分の国を守る力を持たさず、二度と立ち上がらせないようにするという、弱体化という占領政策、米国の属国化、保護国化という考え方があります。
これが戦争放棄の憲法九条となっております。その条項が、激動する国際情勢の現在、国家安全保障の足かせとなっております。
第二は、人工国家、米国流の社会契約説であります。
敗戦後の日本国民が契約によって新しい国家をつくったフィクションに基づいています。だから、日本の歴史や伝統、文化は全く反映されておりません。
第三は、旧ソ連の、一九三六年、スターリン憲法に影響されており、共産主義が紛れ込んでおります。第二十四条の家族生活における個人の尊重と両性の平等、二十七条の勤労の権利及び義務などはその条項に当たると言われております。社会主義者や共産主義者が護憲になる理由がここにあるわけであります。
第三の自主憲法制定理由は、国民の意識、民意であります。
自民党は、一昨年、第二次憲法草案全文を発表して、十二月に総選挙を戦い、勝利して政権を奪還しました。さらに、昨年夏の参議院通常選挙において第一党となりました。
自主憲法制定は国民の民意となりつつあります。これは、国内外の激動する情勢が国民意識を変化させてきたからだと思っております。国際社会における米国の相対的地位の低下、北朝鮮の日本人拉致事件、チャイナの尖閣諸島への侵略行為、ロシアの北方領土や韓国の竹島への不法占拠の強化、国内においては東日本大震災もありました。日本国民は、現行憲法では自分自身や自分の家族、地域や国家を守ることができないのではないかと気付いています。
以上、現行憲法の正統性のない制定過程、日本の歴史から断絶した憲法内容、民意の三点から、自主憲法制定は今まさに国政の重要課題となっております。
今後は、憲法改正国民投票のいわゆる十八歳投票年齢などの三つの宿題を解決させ、全国各地で国民の声を聴く国民運動を展開しつつ、立憲主義
に基づき、改正原案を更に詰め、来るべく国政選挙において三分の二以上の国会議員を結集させるべく、私自身もその一助になればと考えておりま
す。
世界有数の歴史と伝統を誇る我が国を守り、発展させ、子孫につないでいくために、立憲主義に基づいた自主憲法を制定する決意の表明とさせていただきました。
御清聴ありがとうございました。