16日の衆院憲法審査会、10章、11章、前文で激論。首相の改憲発言などをめぐり

本日、憲法審査会、市民連絡会は21名で傍聴しました。

超多忙で、備忘録、書ききれないです。週刊金曜日の24日号に【今週の憲法審査会】を書いて先ほど送信しました。掲載されてから、これに採録します。ご容赦。
昨日の市民連の「安倍首相への要請文」(http://www.annie.ne.jp/~kenpou/seimei/seimei174.html)を共産党の笠井委員は発言で紹介しました。民主の辻元委員と、生活の鈴木委員も「ああ、読んでくれているな」と思える発言をしました。この問題での笠井委員の発言を概略紹介します(文責・高田)。

99条の話で、やはり憲法というのは主権在民、国民が主人公で、国民が権力を縛るという本質があるということで、そこのところはまず原則、基本があって、そしてやはり、発議権というのは内閣じゃなくて国会にあるわけなので、個々の国会議員が改憲に必要な限りで憲法に関する意見を述べるのは当然でありますけれども、しかし、時の内閣自身が首相を先頭にしてやるということについては、これは問題だということは、国民の中でも相当今あります。例えば、今回の、安倍首相自身が96条改正を目指す議員連盟の顧問に名を連ねていることに対しても、国民の中から、これについては重大な憲法違反の疑いがあるということで、昨日も、そうした顧問の辞職を要請するというような運動もあるというのを私、承知しております。かつて、改憲議連に総理大臣が入って、批判を受けて顧問の職を辞任されるという話もあったと思うんです。総理大臣とすれば、みずからの主張、主義とは峻別して日本国憲法を尊重して、そしてそういう立場に立って公職を遂行するというのが大事だというふうな声が上がっていますけれども、私はある意味それは当然だと思います。


http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013051600444
前文見直し論相次ぐ=民主、共産除く各党?衆院憲法審

 衆院憲法審査会は16日午前、憲法前文について討議した。民主、共産を除く各党が見直しに前向きな考えを示した。
 自民党の保岡興治氏は、前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとの規定を取り上げ、「特に問題だ。ユートピア的発想による自衛権の放棄にほかならない」と指摘。全面的な見直しを唱えた。
 日本維新の会の伊東信久氏も「他国に自国の生存を委ねる趣旨は改め、国家の自立を目指す趣旨に基本骨格を改めるべきだ」と強調。みんなの党の小池政就氏も「わが国が置かれた状況に対し、理想主義的観点が強すぎる印象が残る」と述べた。
 公明党の大口善徳氏は「加憲」の立場から「基本的人権の尊重を(前文に)加えることは考えられる」と指摘し、生活の党の鈴木克昌氏は「国際貢献」を挙げ、「具体的に記すことを検討してもいい」と述べた。
 これに対し、共産党の笠井亮氏は「前文から不戦の誓いを削除することは、戦後の出発点を自ら否定するものだ」と見直し反対を表明。民主党の三日月大造氏は「大局に立って検討すべきではないか」と述べ、態度を明確にしなかった。 (2013/05/16-12:29)

http://mainichi.jp/select/news/20130516k0000e010206000c.html

衆院憲法審:自民・保岡氏、前文の全面改定を主張

毎日新聞 2013年05月16日 12時50分

 衆院憲法審査会は16日午前、憲法の「前文」、第10章「最高法規」、第11章「補則」について討議し、各党代表が意見を表明した。

 前文の改定をめぐっては、憲法改正草案を公表している自民党の保岡興治氏が「我が国の歴史、伝統、文化に根差した固有の価値を踏まえるべきだ」と述べ、全面改定の必要性を強調。今の前文が、憲法の3原則の一つである「基本的人権の尊重」に直接触れていないことに疑問を呈した。

 民主党の三日月大造氏は「歴史、伝統、文化とは何か。(これを前文に入れると)特定の人の価値を押しつけることにならないか」と、自民党の主張に批判的な姿勢を示した。

 日本維新の会の伊東信久氏は「占領軍によって起草され、翻訳調で美しい日本語とは言えない」と指摘した。

 公明党の大口善徳氏は「平和的生存権の思想は唯一の被爆国としての使命を表している」と評価し、「加える項目があるとすれば『基本的人権の尊重』だ」との考えを示した。

 みんなの党の小池政就氏は「表現や内容が不自然。理想主義的観点が強すぎる」と主張。共産党の笠井亮氏は前文の大幅改定に慎重な姿勢を示した。生活の党の鈴木克昌氏は「国際貢献」を盛り込むべきだと提言した。【念佛明奈】

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130516/plc13051611080014-n1.htm

【衆院憲法審査会】「前文」テーマに意見、憲法観の違い浮き彫り
2013.5.16 11:07
前文改正の是非をめぐり、各党の主張が分かれた衆院憲法審査会=16日午前、国会

前文改正の是非をめぐり、各党の主張が分かれた衆院憲法審査会=16日午前、国会

 衆院憲法審査会(保利耕輔会長)が16日午前開かれ、各党が前文について見解を表明、憲法観の違いが浮き彫りとなった。

 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した...」との記述について、自民党の保岡興治氏は「ユートピア的発想で自衛権の放棄だ」と批判した。

 民主党の三日月大造氏は前文に日本の歴史や伝統などを盛り込むべきとの考えに関連し「特定の価値観を押しつけることにならないか、慎重な議論が必要だ」と主張した。

 日本維新の会の伊東信久氏は「翻訳調で美しい日本語とはいえない。長くない、シンプルな前文に改めるべきだ」と発言。公明党の大口善徳氏は前文の理念を評価した上で、「党内では基本的人権の尊重を加えるべきとの意見がある」と指摘した。

 みんなの党の小池政就氏は「日本に誇りや愛着が持てるよう改めるべきだ」と述べ、共産党の笠井亮氏は護憲の立場から「前文は日本が再び侵略国家にならないことを世界に公約している」と強調した。生活の党の鈴木克昌氏は「国際協調など根本的理念を盛り込むのが望ましい」と話した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013051600948
「自維み」改憲に積極姿勢=民主は発言慎重?衆院憲法審、討議が一巡

 衆院憲法審査会は16日、今国会で各章ごとに進めきた憲法論議を一巡させた。議論を通じ、改憲勢力としての自民党、日本維新の会、みんなの党の立場が明確になった一方、民主党は過去の党提言などに沿った慎重な発言に終始し、護憲、改憲両派を抱える難しい党内事情を露呈した。 
 「共通点もだいぶ見いだした。改正に向けた歩みを着実に進める一つのステップを踏めた」。16日の審査会後、自民党の船田元氏は記者団に、改憲への意欲を示した。
 戦力不保持などを規定した憲法9条を討議した3月14日の審査会で、自民党は9条に「国防軍」を明記するよう主張。維新、みんなも自衛権の明記など改正を唱えた。自民、維新、みんなの3党は、前文改正や改憲発議要件を定めた96条の先行改正などでも足並みをそろえた。
 3党の間に違いも見えた。有権者が首相を直接選ぶ首相公選制と、都道府県を再編する道州制について、維新とみんなが憲法明記を訴えたのに対し、自民党は慎重な考えを示した。
 審査会での民主党の発言は、2005年の党憲法調査会提言や過去の選挙公約の紹介にとどまるケースが目立った。参院選を控え、党内に混乱を招くような主張は控えたとみられる。第5章「内閣」を扱った4月4日の討議で、民主党は、憲法提言にない首相公選制には触れず、道州制が主要テーマとなった4月25日の討議でも「中長期的な視点で検討する」とした12年の衆院選公約を説明するにとどめた。
 一方、プライバシー権や環境権などの新しい人権を盛り込むことには、多くの党が賛成した。
 衆院憲法審は来週、緊急事態対処を憲法でどう扱うかなどを議論する。今国会で自民党は、国民投票法の付則に「宿題」として盛られた投票年齢の「18歳以上」への引き下げなども議論したい考えだ。(2013/05/16-19:38)

http://www.asahi.com/politics/update/0517/TKY201305160741.html

「憲法尊重、国民の義務に」自民、99条改正を主張


 衆院憲法審査会は16日、天皇、国務大臣、国会議員と公務員に憲法尊重擁護義務を課した99条について議論した。自民党は尊重義務の対象を「国民」すべてに広げるよう主張した。ほかの6党は現行条文を維持すべきだとの考えを示した。

 自民党は憲法改正草案で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と明記した。国会議員や国務大臣、公務員は「擁護義務を負う」とした。審査会で同党の保岡興治氏は「憲法制定権者である国民も憲法を尊重するのは当然だ」と主張。船田元氏は「国民の行為規範を一定限度、明記することも憲法の一つの役割だ」と語った。

 だが、みんなの党の小池政就氏は「国民の尊重擁護義務は倫理的責務にとどまる。法的義務として規定することはない」と現行条文の維持を主張した。生活の党の鈴木克昌氏も「国家権力をしばり、国民の権利を保障する立憲主義の観点から、国民が対象とされないのは当然」と指摘した。

 改憲に慎重な議員からは、安倍晋三首相が憲法改正を訴えること自体が99条の憲法尊重擁護義務に反するとの声が上がった。

 共産党の笠井亮氏は「憲法尊重擁護義務を負う首相が『改憲するんだ』と宣言して、(6年前の)参院選で厳しい審判を受けたことを肝に銘じる必要がある」と牽制(けんせい)した。民主党の辻元清美氏も「憲法を最も守らなければいけない首相が特定の条項について改正を推進することを平気で言う。為政者が(憲法尊重擁護義務を)理解していない結果、憲法改正を提案していくことは立憲主義の危機」と批判した。

 これに対し、自民党の土屋正忠氏は「職務権限を行使する際に憲法違反をしてはならないという規定であって、政治家として意見を開陳するのは当然」と反論した。