本日の憲法審査会、各紙報道を下段に貼り付けます。各紙報道はいつになく素早く、詳細です。96条だからでしょう。
市民連絡会は36人で傍聴。傍聴者は全部で50人近くになり、入れ替え方式になりそうだったが、結局、立ち席で、入れ替えはなかった。
会議室に入って驚いたことに、いつも空席ばかりの自民党委員席が27人(欠席は4人くらい)ほどでかなり埋まっている。この間、メディアなどでたたかれて、執行部がネジを巻いたに違いない。「やればできるじゃん!」と言ってやりたいほどでした。(^_^;)。 まっ、相変わらず、アホ口を開けてお眠りになっていた上杉センセイのような人もいましたが。
さて、本日の議論は問題の第96条。衆議院法制局からの説明の後の各党代表の発言では、自民、維新が先行改憲を主張、みんなの党は「安倍首相にみんなの党は賛成していると言われたが、誤解だ。96条改憲の前に政府機構改革をやるべきで、そうでないなら賛成できない」と表明。民主、公明は慎重論、共産と生活(改憲には反対しないが96条先行改憲には反対)は反対論だった。
自民党の船田一幹事は「改正手続きで国会の3分のとしている国の多くは国民投票がない。最低投票率を設けるとボイコット運動の危険がある。東京の過半数にすると、無効投票が反対に数えられて不当」などなどが目立った意見だが、以下のような発言も重要だ。「現行憲法を全面破棄して新憲法を制定することができないなど、改正の限界というのは明らかに存在している」「今後の憲法改正の道筋を考えますと、変えるべき条項を1回で全て改正するということは不可能であり、改正手続を何度か繰り返す必要があると考えています。そのためには、あらかじめハードルを下げておく必要があり、先行改正の合理性はあると考えております。しかし、国民の多くは改正のための改正と受けとめる嫌いがあり、改正の方向性に対する懸念から、投票率が低くなったり、過半数をとれなくなったりする可能性も否定できないと思っております。理想を言えば、96条の改正要件の緩和と同時に、各党間で合意の得られやすい項目、例えば環境権を加えるなど、幾つかの改正項目をセットにして発議するということが望ましいと私個人は思っておりますが、それが無理であるならば、せめて、各政党が考える憲法改正の方向性を示す、あるいは改正しない方向を示して、国民の不安を払拭しておく、こういう努力をすることは私は必要であると思っております。」ここには、憲法改正発議を何回かに分けてやる構想、96条と環境権などをセットで発議する構想などが語られている。
民主党の武正幹事は「憲法は権力制限規範だというのが民主党の基本的立場だ。最近の安倍首相の改憲発言は、第一次安倍内閣当時の国民投票法の強行採決を彷彿とさせる。」と述べた点に注目した。
維新の会の坂本委員は「3分の2規定があるため、国民投票にならない」などというもの。
公明党の斎藤幹事は「96条先行論は賛成できない、内容と主に議論すべきだ」などといいつつ、加憲論と、3分の2は条項によって緩和もあり得るという同党の意見の表明。
みんなの党の畠中委員は「96条要件緩和は閉塞感の克服につながる。96条改憲の前にやるべき琴がある。安倍発言は誤認だ。統治機構の改革の約束なしに96条改憲に同調しない。国防軍などの立場は違う」
共産党の笠井委員は「権力制限規範だ。石破氏は9条改憲を念頭に置けと言っている、国民を愚弄するものだ。日本の憲法だけが特別に難しいわけではない。最近、米国の法学者たちの研究が日本の憲法の先進性を高く評価したことは注目に値する。日弁連の声明や小林節氏らが96条改憲に反対している」、この一部を少し詳しく紹介すると、「今、憲法改定の第一歩として、この96条を改定し、改憲の発議要件を各議院の総議員の過半数に引き下げようとする動きがありますが、これは単なる手続論や形式論ではありません。時の権力者が自由勝手にやれるように一般法律並みにハードルを下げるというのは、憲法の根本精神を否定するものです。憲法が憲法でなくなるという禁じ手であり、断じて許されません。まして安倍首相のように、時の政権がこれを求めるなど本末転倒だと言わなければなりません。なぜ今96条改定か。自民党の石破幹事長も、96条改正の是非を問う国民投票が行われる場合、国民は9条改正を念頭に置いて投票していただきたいと明言しているように、その狙いが9条改憲にあることは明白であります。それに向けてハードルを低くする、あるいは国民に改憲の体験を積ませることで改憲になれさせる、このようなこそくなやり方は国民を欺くものと言わなければなりません」
生活の鈴木委員は「96条先行改憲論に反対。国民の合意があれば改憲は当然だが」等などの議論があった。総じて、自民党の委員が3分の2条項があるために、国民投票で国民の意見が聞けないのは問題だなどという委員が多かったのは滑稽だった。
終わりに、次回は16日と会長が宣告した。次は、第10章、11章と前文を一括して1回でやるという。前文はそんなに簡単にできるものではないでしょうに。
http://mainichi.jp/select/news/20130509k0000e010189000c.html
96条:3党が改正賛成 衆院憲法審、初討議
毎日新聞 2013年05月09日 11時47分
衆院憲法審査会は9日午前、憲法改正の発議要件を定めた96条について討議した。発議要件を緩和する改正について自民党、日本維新の会、みんなの党の3党が賛成を表明。民主党は「両論がある」とし、公明党は「先行改正には慎重であるべきだ」と主張した。共産と生活の両党は改正に反対した。今国会で主要政党が正式の場でそろって96条についての意見表明をするのは初めて。
憲法96条は改正手続きについて、衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議され、国民投票で過半数の賛成が必要と定めている。
安倍晋三首相や日本維新の会の橋下徹共同代表らが、発議要件を3分の2以上から「過半数」に引き下げるよう主張し、夏の参院選の争点として浮上しつつある。
自民党の船田元氏は「憲法をすべて改正することは不可能であり、あらかじめハードルを下げておく必要がある」と主張。民主党の武正公一氏は「改正規定には両論がある。96条のみの改正には慎重な立場だ」と96条についての同党の立場を初めて国会で表明した。
維新の坂本祐之輔氏は「96条を改正し、統治機構を規定している憲法のゆがみを正していく」と述べ、みんなの畠中光成氏は「(改憲)要件の緩和を主張している」と語った。
一方、公明党の斉藤鉄夫氏は「先行改正には慎重であるべきだ。(改正要件が厳しい)硬性は維持すべきだが、一定程度緩和するのは議論の余地がある」と説明し、時間をかけ議論すべきだとの姿勢を示した。
共産党の笠井亮氏は「要件緩和は憲法の根本精神に反し禁じ手だ」と主張し、生活の鈴木克昌氏も「最高法規の性質が失われるため、要件緩和には反対だ」と述べた。【仙石恭、木下訓明】
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050900050
時事通信、民主、96条先行改正に反対=衆院憲法審が初討議
憲法改正の発議要件を定めた96条について初めて討議した衆院憲法審査会=9日午前、国会内
衆院憲法審査会は9日午前、憲法改正の発議要件を定めた96条について初めて討議した。自民、日本維新の会、みんなの3党は要件の緩和に賛成する考えを表明。一方、民主党は改憲の中身の議論も併せて行うべきだとの立場から、96条の先行改正には反対する考えを示した。公明党も「(憲法の)全体観に立った論議が必要」として、慎重な見解を打ち出した。
自民党の船田元氏は、96条を改正し、改憲発議要件を衆参両院の「3分の2以上」から「過半数」の賛成に改めることを主張。「わが国の発議要件はハードルが高すぎる」と訴えた。
維新とみんなも改正に賛成する考えを示したが、みんなの畠中光成氏は「統治機構改革を同時に進める約束がなければ、おいそれと(先行改正に)賛同することはできかねる」と条件を付けた。具体的には、道州制や首相公選制の導入などを挙げた。
党内に護憲、改憲の両論を抱える民主党の武正公一氏は、「96条のみの憲法改正には慎重な立場だ」と表明。「憲法の中身の議論が欠かせない」とも指摘し、96条の先行改正に意欲を示す安倍晋三首相の姿勢に疑問を呈した。
公明党の斉藤鉄夫氏は「先行改正論には慎重であるべきだ」と述べた。ただ、基本的人権の尊重など憲法三原則に関わる条項を除いては、発議要件緩和を容認する意見が党内にあることも紹介した。
共産、生活の両党は「96条改正は憲法の根本精神を否定するもの」(共産・笠井亮氏)などとして、反対した。 (2013/05/09-12:27)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130509-OYT1T00722.htm
読売新聞、衆院憲法審査会で96条見直し議論、7党が見解
衆院憲法審査会は9日午前、憲法の改正要件を定めた96条(第9章)の見直しについて議論し、7党が見解を表明した。
衆参の憲法審査会で96条がテーマとなるのは初めて。
民主党と公明党は、96条をほかの条項に先行して改正することに慎重な立場を示した。自民党、日本維新の会、みんなの党は改正に前向きな立場を表明した。ただ、みんなの党は改正の前に選挙制度などを見直すことを条件にあげた。共産党と生活の党は反対した。
96条は憲法改正の手続きについて、〈1〉衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議(国民に提案)〈2〉国民投票で過半数の賛成が必要――と定めている。
審査会で民主党の武正公一氏は「(党内には)両論がある。議論を深め、党としての考え方を明確にしたい」と述べた。その上で、「96条のみの改正には慎重な立場だ。どこを変え、どこを変えないのか、中身の議論が欠かせない」と語った。
(2013年5月9日12時57分? 読売新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013050901001020.html
共同通信、96条改正で対立鮮明 自維み、緩和を主張
2013年5月9日 12時33分
改憲の発議要件を規定する96条について、各党が意見を表明した衆院憲法審査会=9日午前、国会
衆院憲法審査会は9日午前、改憲の発議要件を規定する96条について議論した。自民党、日本維新の会、みんなの党が要件緩和を主張したのに対し、民主党、公明党、生活の党は96条先行改正に慎重な立場を表明した。共産党は改正自体に反対した。与野党の枠組みを超えて意見対立が鮮明になった。安倍晋三首相は先行改正に強い意欲を見せており、夏の参院選で争点となる見通しだ。今国会で主要政党がそろって96条に対する見解を示すのは初めて。
96条は、国会が改正案を国民に発議するためには衆参両院それぞれ総員の「3分の2以上」の賛成が必要だと規定。発議を受けた国民投票で過半数の賛成を得れば改正が成立。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130509/plc13050911390008-n1.htm
産経新聞、【96条改正】初の論戦「推進」自・維・み、「慎重」公・民、「反対」生・共 衆院憲法審査会
2013.5.9 11:35
衆院憲法審査会で各党が意見を述べた=9日午前、国会・衆院第18委員室(酒巻俊介撮影)
衆院憲法審査会で各党が意見を述べた=9日午前、国会・衆院第18委員室(酒巻俊介撮影)
衆院憲法審査会(保利耕輔会長)は9日午前の会議で、憲法改正案の発議要件を定める96条について論戦を行った。審査会で主要政党がそろって96条改正をめぐる意見を表明したのは初めてで、各党の見解の違いが浮き彫りになった。
自民党の船田元氏は「発議要件を過半数にすることが妥当だ」と主張。日本維新の会の坂本祐之輔氏も「過半数に引き下げ、国民にジャッジしていただきたい」と同調した。みんなの党の畠中光成氏は「改正して軟性憲法にすることを主張している」と述べ、改正要件の緩和に賛意を示したが「改憲の前に政治改革をやるべきだ」とも語った。
民主党の武正公一氏は「96条改正には党内で両論あるが(民主党は)96条のみの改正には慎重な立場だ」と言明、96条改正先行に反対した。公明党の斉藤鉄夫氏は「96条を緩和する先行改正論には慎重な立場」に言及する一方、「一定程度の緩和は議論の余地がある」と含みも持たせた。
共産党の笠井亮氏は「(96条改正は)禁じ手で、断じて許されない」と強調。生活の党の鈴木克昌氏も「96条は維持すべきだ。先行改正論には明確に反対だ」と表明した。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130509/k10014451761000.html
NHK、衆院憲法審 96条改正巡り議論
5月9日 12時28分
衆議院の憲法審査会で、国会が憲法改正を発議する要件などを定めた96条の改正を巡って7党が意見を表明し、自民党と日本維新の会が、ほかの条文より先行して改正することに積極的な姿勢を示した一方、民主党と公明党などは、憲法のほかのどの部分を改正するのかと併せて議論すべきだと主張しました。
衆議院の憲法審査会は9日、国会が憲法改正を発議するためには、衆参両院それぞれで、すべての議員の「3分の2以上の賛成」が必要だなどと定めている憲法96条を巡って、憲法審査会に委員がいる7党が意見を表明しました。
自民党
このうち、自民党は「衆参両院のどちらかの3分の1以上の議員が反対することで発議が行われず、国民の意思が最高法規に反映されないので、要件を過半数とすることが妥当だ。政権を取った勢力によって憲法が簡単に変えられるという懸念も出されているが、国民投票のチェックもあり、心配には及ばない。今後、改正手続きを繰り返すためには、あらかじめハードルを下げておく必要がある」と述べました。
民主党
民主党は「『憲法とは、公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である』という近代立憲主義に立つことが基本的な考え方だ。決して、1つの内閣が目指すべき社会像をうたったり、国民に道徳や義務を課す規範ではない。憲法の中身の議論が欠かせず、わが党は96条のみの改正には慎重な立場だ」と述べました。
日本維新の会
日本維新の会は「96条をまず改正し、統治機構を規定している憲法のゆがみを正す方針だ。発議要件が3分の2以上とされている現状では、発議することはほとんどなく、憲法について国民に判断を仰ぐことは困難だ。発議要件を過半数に引き下げ、国民が憲法をジャッジする機会を作りたい」と述べました。
公明党
公明党は「96条を先行して改正することには慎重であるべきだ。憲法の内容をどう改正するのかという中身の議論が行われる前に、手続きだけ改正するのは、国民から見て不透明になる。硬性憲法の性格は維持すべきだが、わが国を取り巻く状況も大きく変わってきたので、憲法に新たな理念を加える『加憲』が最も現実的だ」と述べました。
みんなの党
みんなの党は「96条の改正を主張しているが、統治機構の改革を同時に進める明確な意志がないと、安倍総理大臣が目指す改正に、おいそれと賛同することはできかねる。憲法改正の前に選挙制度改革や官僚制度改革をすべきで、われわれは『美しい国』や『強い日本』という衣の陰に、戦時下の国家体制を賛美するような勢力とは根本的に異なる」と述べました。
共産党
共産党は「国民を縛るのが憲法ではなく、国民が権力を縛るのが憲法だ。発議要件を過半数に引き下げ、一般の法律並みにハードルを下げるのは、憲法の根本精神を否定し、憲法が憲法でなくなる禁じ手であり、断じて許されない。ましてや安倍総理大臣のように、時の政権がこれを求めるのは本末転倒だ」と述べました。
生活の党
生活の党は「まず96条を改正すべきという意見には、明確に反対だ。憲法を改正しようとする場合は、中身の改正についての検討を先行すべきで、国会の発議要件を引き下げれば、政権や内閣が変わるたびに、時々の多数派の意思で憲法改正が行われることにつながり、あまりに乱暴な議論だ。憲法の最高法規たる性質が失われてしまうことにもなる」と述べました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013050902000219.html
東京:96条見解 自民内にも先行懸念 民公共生は反対・慎重
2013年5月9日 夕刊
?
衆院憲法審査会は九日午前、改憲手続きを定めた九六条をテーマに議論した。自民党、日本維新の会、みんなの党が改憲の発議要件緩和に賛成する方針を示した。ただ、自民党の船田元氏は安倍晋三首相が意欲を示す九六条の先行改正に懸念を示し、党内でも異論が強いことが浮き彫りになった。民主、公明、共産、生活の四党は慎重、反対論を展開した。衆参両院の総議員の三分の二以上の賛成が必要な発議要件を過半数に緩和する改憲が夏の参院選の争点となる見通しの中、主な七つの政党が九六条に関し、国会で初めて意見を表明した。
船田氏は「議会の三分の二の賛成と国民投票の両方を求めるのはハードルとして高すぎる」と要件緩和の必要性を強調。しかし、九六条の先行改正については「国民の多くは改正のための改正と受けとめるきらいがある。各党間で合意を得られやすい環境権などとセットで発議することが望ましい」と指摘した。
民主党の武正公一氏は「九六条のみの改正には慎重な立場だ。改正のハードルを下げるのみでなく、憲法のどこを変え、どこを変えないのかの中身の議論が欠かせない」と述べた。
維新の坂本祐之輔氏は「九六条をまず改正し、統治機構を規定する憲法のゆがみを正す」と、先行実施に賛同した。
公明党の斉藤鉄夫氏は「中身の議論が行われる前に、憲法改正手続きだけを改正しようとするのは、国民からはどこを、なぜ、どう変えるか不透明で、改正の内容とともに議論すべきだ」と先行改正に反対する姿勢を明らかにした。
みんなの畠中光成氏は九六条改正に賛成する考えを示す一方、「改正後の真の目的が九条改正であるなら明確に国民に示すべきだ。後出しじゃんけんで国民を欺くことは許されない」と自民党をけん制した。
共産党の笠井亮氏は「改憲しないのはハードルが高いからではなく、国民が変えたいと思ってこなかったからだ。断固反対だ」と九六条の改正自体に反対を表明した。
生活の鈴木克昌氏も「発議要件が引き下げられれば、政権交代がおこるたびに、その時々の多数派の意思で憲法改正が行われることにつながる」と改憲に反対した。
<憲法96条> 憲法第9章の改憲手続きに関する規定。衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成により国会が改憲を発議し、承認には国民投票で過半数の賛成が必要としている。両院それぞれの過半数を要件とする通常の法改正より高いハードルを設けており、日本国憲法は「硬性憲法」とされる。自民党など改憲派は発議要件が厳しすぎると主張。両院それぞれの「過半数」に緩和する96条改正を先行実施した後、より抜本的な改憲を目指している。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5327680.html
TBSTV: 憲法96条改正、米国から懸念の声も
国会では、衆議院の憲法審査会で96条の改正について各党の議論が行われました。安倍総理が強い意欲を示す96条の改正ですが、具体的には、憲法改正を発議する要件を衆参両院の「3分の2以上の賛成」から「2分の1以上の賛成」に緩めて改正しやすくするというものです。
かつてないほど憲法議論が盛んとなる中、憲法改正のルールを定めたこの96条の改正に、思わぬところからも懸念の声が上がっています。
衆議院の憲法審査会で初めて行われた96条についての議論。自民党は、憲法改正が頻繁に行われる諸外国と比べ、衆参3分の2の賛成と国民投票を要件とする日本はハードルが高すぎると主張しました。
「あらかじめハードルを下げておく必要があり、(96条の)先行改正の合理性はあると考えております」(自民党 船田元衆院議員)
日本維新の会やみんなの党も改正に賛成の立場を表明しましたが、連立を組む公明党は「なぜ変えるのか不透明だ」として慎重な立場を示しました。一方、憲法改正をめぐり、党内にさまざまな意見がある民主党は・・・。
「96条だけを先行して改正すべきではない」(民主党 三日月大造衆院議員)
民主党は、改正に積極的な長島前防衛副大臣を党の憲法調査会に迎え入れて議論。96条を先行して改正することには反対する考えで一致したといいます。ただ、憲法改正自体への意見が今後、党内でまとまるのか、見通しは立っていません。
一方、アメリカの議会関係者らが安倍政権側に対し、96条改正に対する懸念を間接的に伝えていたことが明らかになりました。複数の日米関係筋によりますと、連休中に訪米した自民党議員などを通じて、「アメリカは憲法改正について9条よりも96条の改正を一番問題視している」と伝えてきたということです。
背景には、安倍総理の歴史認識をめぐって中国や韓国が反発する中、憲法改正の要件を安易に引き下げることへの警戒感があるものと見られます。こうした懸念を受け、政府内でも空気が変わりつつあります。
「憲法は急がなくていい。政権の最後の切り札として温めておいて最後にやる感じでいい」(日本政府関係者)
「国民的理解をですね、96条についてまだ得られている段階ではない」(菅義偉官房長官)
安倍総理にとって悲願ともいえる憲法改正に向け、どのような手順を踏んでいくのか、難しい舵取りが迫られそうです。(09日16:56)