以下の産経新聞の記事は、憲法審査会が政局の余波で停滞していることに、改憲派がいらだっていることをよく示しています。(高田)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120716-00000060-san-pol
ドタバタ民主、改憲論議停滞 審査会再開めど立たず
産経新聞 7月16日(月)7時55分配信
■「会期中に論点整理」目標危うく
新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表らによる民主党分裂騒ぎのあおりを受け、衆院憲法審査会(会長・大畠章宏元経済産業相)の論議は1カ月以上も足踏み状態にある。現行憲法を各章ごとに検討する論点整理作業は第3章を審査した6月7日を最後にストップし、再開は早くても今月末の見通しだ。衆院解散をめぐる与野党の駆け引きもあいまって「今国会中に作業終了」という目標に赤信号が点滅している。(内藤慎二)
「折り合える所を探しながら政治を前進させることが大事だ。憲法も含めてそういう姿勢で臨んでいくべきだ」
野田佳彦首相は9日の衆院予算委員会で政党間で憲法論議を深める重要性をこう強調した。
とはいえ、論議の舞台となる肝心の衆院憲法審査会は機能不全に陥っている。小沢氏らの新党結成により、国会の各委員会や審査会は各会派に割り当てられた委員数の見直しを迫られ、審議環境が整わなくなったからだ。
「首相はPKO(国連平和維持活動)協力法改正案や集団的自衛権の政府解釈見直しなど憲法に関わるテーマで次々と花火を上げているが、民主党内のゴタゴタが憲法論議を阻んでいる自覚はない…」
自民党中堅は、現場の混乱に目を背け、政権浮揚のために憲法を利用する首相の姿勢をこう批判した。
憲法審査会の論点整理作業は5月24日にスタート。原則毎週木曜日ごとに第1章?第11章と「前文」を各章ごとに論点整理し、今国会中に計12回の作業を終えるはずだった。
ところが、6月4日の内閣改造後に民主党内の内紛が激化。憲法審査会は6月7日に3回目の会合で第3章を論点整理したのを最後に次回の会合のめどさえ立たなくなった。
憲法審査会は今月19日に幹事懇談会を開き、運営方針を決めることになったが、審査会の再開は23日以降に持ち越されることは確実だ。
その後も窮屈な政治日程が続く。8月上旬は社会保障・税一体改革関連法案の参院採決で国会は大荒れになる公算が大きい。8月11?19日は「お盆休戦」。お盆明けから9月8日の会期末までは、衆院解散・総選挙に向け、衆院に内閣不信任案、参院に首相問責決議案の提出含みの与野党のにらみ合いが続くことになりそうだ。
与野党の駆け引きに巻き込まれれば、憲法審査会の「会期内に作業を終了する」という目標は一気に遠のく。規定上、閉会中審査も可能ではあるが、閉会中にメンバーを定期的に集めるのは困難なだけに実現性は乏しい。
「明治維新時に上野で交戦していた幕府残党の彰義隊と官軍の砲声がとどろく中、福沢諭吉は慶応義塾で普段通り講義を続けた」
憲法審査会幹事の公明党の赤松正雄氏は、政争と一線を画した憲法論議を進める必要性をこう訴えるが、与野党執行部で真摯(しんし)に受け止める者はほとんどいない。国権の最高機関で憲法問題がいかに軽んじられているかの証左だといえる。