砂場 徹著/四六上製226頁/定価2000円/発行 技術と人間
1945年、日本が敗戦を迎えてから60年が経った。あの15年戦争の末期に日本軍兵士60万人がシベリアに送られ、捕虜として第2シベリア鉄道の建設に従事させられたという歴史の事実を、いま、どれだけの人が憶えているだろうか、あるいは聞いたことがあるだろうか。
15年戦争の末期に徴兵され、中国東北地方に派遣されて4ヶ月、「無敵」の関東軍に属したはずの初年兵の砂場さんはあっけなく敗戦を迎え、「故郷に帰れる」と思ったのもつかの間、極寒のシベリア送りとなる。その挙げ句、他人より長く、4年2ヶ月もシベリアで働くことになる。砂場さんが捕虜生活を送ったのは「ロシア革命後28年のソ連」「社会主義ソビエトの東北の果ての大地シベリア」「スターリンが指導するナチスの侵略を撃退したソ連邦の一角」だったが、捕虜の身には、そんな自分の居る歴史的な位置を考える余裕もない。全世界の注目を集めたこの国は、その40年後には滅び去った。
この長い月日は劇的で、小説家が書いたら長編ドラマになるのかも知れない。砂場さんはさまざまな理由からではあるが、これまであまりこの体験を語らなかった。しかし、砂場さんはいま自らの「戦争体験」と「シベリア体験」を語ろうと決意した。戦争を体験した世代が戦争を語らないままに亡くなっていく中で、戦争体験が風化し、再び好戦的な傾向が社会に漂い始めたことを砂場さんは見据えている。砂場さんにペンをとらせたのはこの「反戦の気持ち」を知ってもらいたいという願いと同時に、もうひとつ、「最近、なぜかシベリアが懐かしいのだ」という。砂場さんが「懐かしい」と表現する中に込めている思い、ここに本書の特徴がある。
「ソ連社会主義の礼賛」、あるいは「右と左からスターリンを断罪する材料としてのシベリア物語」、砂場さんの『シベリア物語』はそのいずれでもない。
砂場さんの人柄をあらわすような淡々とした、飾り気を取り去った、それでいて当時のシベリアの大地を彷彿とさせるような筆致の中で書かれた『シベリア物語』から、読者はそれぞれが戦争と平和についての思考を深めるために役立つ原石を少なからず見つけ出すことができるのではないだろうか。(高田 健)
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申込み書 私の「シベリア物語」 抑留生活4年をふりかえる
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高田健【著】
発行・技術と人間
定価2200円+税
四六判上製・250頁
主要目次
第1部 「護憲」は勝利できる
政財界の改憲の企てにいかに立ち向かうか
現代史の曲がり角ー改憲と派兵の時代を許すのか
第2部 九条を生かす反戦運動
「新しい戦争の時代」の「新しい反戦運動」の台頭
憲法の平和主義を体現した若者たち
反戦のたたかいに内在するか、外部から嘲笑するか
第3部 憲法調査会の検証
今週の憲法調査会(続)(週刊金曜日)
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