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陸自は撤退する。次は空自の撤退を−イラク占領に加わり続ける小泉内閣の「偽装撤退」に惑わされない−

6月20日、小泉首相はイラク・サマワに駐屯する陸上自衛隊の撤退を決め、額賀防衛庁長官が撤退命令を出した。陸自部隊は7月中にクウェートに出て、8月中に帰国する予定で、小泉首相は「陸自の人道復興支援活動は一定の役割を果たした」と自画自賛した。

しかし陸自の活動は、給水や道路・学校の補修、医療支援などと、それに伴う雇用ぐらいに限られ、その「恩恵」は一部の層しか潤さなかった。このため陸自への評価は高くはなく、住民の間にはむしろ不満が高まっていた。陸自は何度も迫撃砲の標的とされ、抗議デモも起こったが、それは自衛隊の「人道復興支援」が看板にすぎず、実は米英のイラク占領政策を支え、正当化するために存在していることを、イラクの人びとが正しく見抜いていたからだ。

英・豪軍はサマワからの撤退の理由を、「イラク治安部隊の能力が向上したので治安維持の任務を引き継ぐことができる」としている。しかし、自衛隊の役割が「人道復興支援」なら、「英・豪軍とともに」撤退する必要はないはずだ。実際は、陸自の撤退の時期や条件はすべて米国の了解を得ることで決められた。ここにも自衛隊のプレゼンスがイラク政府の意思や決定権とは無関係であることを示している。

米・英・韓・豪・日など多国籍占領軍の国内では、そもそもウソの口実で始められた戦争に反対し、占領に加担すべきではないという世論が強く、戦争と占領に反対する市民運動が粘り強く続いてきた。イラクでは占領に対する抵抗が終わらず、米軍の掃討・治安作戦では虐殺・虐待があいつぎ、ブッシュ大統領の支持率は30%を下回るほど低下し、ブレア政権も苦境に立ち、イタリアでは派兵政権が敗北した。このため占領参加国は次々に脱落してきたが、今回はその崩壊過程が米国の最も緊密な英・日両政権にまで及んだものだ。私たちはなお一層、ただちに占領と虐殺をやめることを強く求める。

しかし、問題は陸自の撤退だけでは解消されない。陸自撤退と引き換えに、これまでクウェートを拠点にイラク南部で活動してきた航空自衛隊のC-130輸送部隊の活動範囲を、北のトルコ国境までのイラク全土に拡大することが米軍に約束させられたからだ。これは自衛隊がさらに深く、さらに露骨に米軍のイラク占領と掃討作戦に加担していくことを意味している。空自のC-130は武装米兵や米軍の占領・掃討作戦に使われる軍事物資を運んできたからだ。国連の物資輸送を任務の一部に付け加えたのは、米軍の戦闘物資輸送への批判を緩和するための欺瞞工作に過ぎない。

このように米国は、陸自撤退を「許可」する代わりに、占領・掃討作戦への実質的な支援の強化を手に入れた。空自には、「南部の治安改善」を理由に撤退することもできなくなり、米軍の占領が続く限り、ほぼ恒久的な支援をし続ける任務が与えられたことになる。だから陸自撤退を宣伝し、その代償に外部からは見えにくい空自の活動を拡大するのは、「偽装撤退」にほかならない。しかしイラクの人びとはもちろん、イスラーム世界をはじめ世界の人びとも、日本が米国の占領をますます直接に支えようとしている姿を見抜いている。日本と自衛隊は今後ますます、米軍とともに占領と虐殺の責任を問われることになろう。

私たち「WORLD PEACE NOW」は、自衛隊がこれ以上、占領と虐殺に手を貸すことがないよう、航空自衛隊の即時撤退を要求し、占領を終わらせるため世界の市民運動とともに派兵国の各政府を追いつめていく。

2006年6月25日
WORLD PEACE NOW 実行委員会


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