許すな!憲法改悪・市民連絡会

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「経済制裁法案(外国為替法改定案、特定外国船舶入港禁止法案、再入国禁止法案)」に反対する

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を当面の主要な対象として、日本単独で経済制裁を行えることを目的に“送金の停止”を主内容として国会に提出された外為法改定案は、ほとんどまともな論議もなく衆院の委員会で可決され、29日には衆院本会議を通過した。

これに続いて、万景峰号などを念頭にその入港禁止を目的とした特定外国船舶入港禁止法案(仮称)の国会提出の準備も進められ、さらには永住外国人の再入国を禁止する再入国禁止法案(同)も検討されているという。戦後日本の規範をかなぐり捨て、イラクへの自衛隊派兵を強行しているドサクサに紛れて法案が提出されたことは、この法案の本質を象徴するものである。

私たちは、これらの「経済制裁」法案に強く反対する。その理由は以下の通りである。

(1)すでに湾岸戦争以来、イラクのフセイン政権に対して行われた経済制裁の結果、医薬品の不足などにより何の罪もない多くの子どもや病弱者が真っ先に犠牲となったことが明らかになっている。もし、北朝鮮に経済制裁が行われれば、現在の食糧不足とあわせイラクと同様、あるいはそれ以上の事態が生み出される可能性が強い。この間も、さまざまなNGOが人道的食糧支援を行っているが、私たちは「経済制裁より人道的食糧支援を」行うべきだと強く主張する。

(2)加えて送金の停止にせよ、船舶の入港禁止にせよ、朝鮮植民地支配と強制連行などの結果、日本に定住せざるを得なくなった在日朝鮮人にとっても、親類をはじめ祖国の人々との人的物的な往来そのものに著しい制約をきたすものとなる。これは在日朝鮮人の基本的人権に対する重大な侵害行為である。再入国禁止法案などはその最たるものである。

(3)このような法案は、拉致事件の解決を含む日朝間の関係正常化にとって新たな障害を作るもの以外の何物でもない。経済制裁とは、戦争行為の「一歩手前」というべきものである。北朝鮮側は、これを「宣戦布告とみなす」と繰り返し述べている。

一部に、北朝鮮に圧力をさらに強めることが拉致問題、核問題等の解決につながるという議論があるが、これは誤りであり、抜き差しならない事態を引き起こしかねない。核問題も6カ国協議を含めその平和解決のための努力に水をさす以外のなにものでもない。

法案が成立しても「直ちに発動するかどうかは別」といわれるが、このような法律自体が周辺事態法や有事法制などに連なるものであり、準戦争法ともいうべき危険なものである。

そもそも拉致問題について、北朝鮮側が公式に認め、謝罪を行ったのは日朝国交正常化をめざして持たれた日朝首脳会談であった。互いに敵対関係に終止符を打ち、和解と平和、国交正常化と友好関係を築くための交渉の中でこそ、この問題の全面的な解決も求めるべきである。この間の日本政府の無策こそ問われる必要がある。

(4)しかも、他方で、これらの法案(または素案)は北朝鮮を特定しているわけではなく、どの国に対しても適用が可能となっている。また、これらの経済制裁の諸措置の発動を閣議決定で講ずることができるとしており、民主党の主張で国会承認が盛り込まれたとはいえ、事後承認に過ぎない。つまり、この法案は北朝鮮のみならず諸外国に対して、気に入らない国に対しては経済制裁発動もあり得るという外交上の脅しの武器を、日本政府に委ねることにほかならない。

私たちは、このような外為法改定案、特定船舶入港禁止法案、再入国禁止法案等、いわゆる「経済制裁」法案に強く反対する。

私たちはまた、日本政府が、ピョンヤン宣言で過去の朝鮮植民地支配に対して朝鮮の人々に「痛切なる反省と心からのお詫び」を表明した以上、強制連行被害者や「慰安婦」とされた被害者への誠意ある謝罪と補償を行うことを強く求める。それは、日本人拉致事件に対して北朝鮮政府に誠意ある対応を求めるのとなんら変わりはない。

日朝両国政府が、互いに過去に犯した犯罪行為を清算し、和解の道に入ることを強く求めるものである。この道に逆行する経済制裁法案反対!

2004年1月29日
イラクにも朝鮮半島にも平和を!3・1行動実行委員会

【呼びかけ団体】アジア太平洋平和フォーラム、「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン、基地はいらない!女たちの全国ネット、憲法を生かす会、現代研究所、在日韓国民主統一連合、自衛隊の海外派兵と戦争協力に反対する実行委員会(新しい反安保実行委[)、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)、日韓民衆連帯全国ネットワーク、日本国際法律家協会、命どぅ宝ネットワーク、反天皇制運動連絡会、許すな!憲法改悪・市民連絡会ほか

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