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多数派だけで改憲「危険」 審査会で伊元首相の指摘報告 藤原慎一
2017年11月30日11時58分
衆院憲法審査会が30日午前、約半年ぶりに再開された。7月に欧州3カ国を視察した委員らが、欧州連合(EU)離脱の是非や憲法改正を問う国民投票が行われた英国やイタリアの事例を踏まえ、政治的多数派だけで改憲に踏み切る危険性などを指摘した。
審査会の実質的な議論は6月8日以来。審査会では7月に自民、公明、民進、共産、維新の7議員が、スウェーデンを含めた3カ国を訪問。当時の民進、共産委員は衆院選で落選し、今回は参考人として報告した。
調査団長を務めた森英介会長(自民)は、レンツィ首相(当時)が進退をかけて臨んだ憲法改正案が否決されたイタリアで「政府を支持する多数派と憲法改正を支持する多数派は別の存在。その時々の政治的多数派だけに頼って憲法改正をすることは極めて危険」との指摘があったと紹介した。
中谷元氏(自民)は、安倍晋三首相が掲げる憲法への自衛隊明記案を例に、英国のキャメロン前首相が問いかけ方が賛否のカギになると分析したことを明かした。北側一雄氏(公明)は賛成派・反対派の激しい対立を踏まえ、「多数政党は、できるだけ幅広い政党間の合意形成を図るとともに、政党間の合意を維持するための深い思慮が必要だ」と語った。
民進委員だった武正公一氏は英国の関係者から口をそろえて「国民投票は慎重に」と指摘された、と言及した。(藤原慎一)