憲法審で「緊急事態条項」に反対 被災者支援の弁護士

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憲法審で「緊急事態条項」に反対 被災者支援の弁護士

2017年3月23日 夕刊


 衆院憲法審査会は二十三日午前、大災害や武力攻撃時の特例的な対応を定める「緊急事態条項」を憲法に盛り込む改憲論などを巡り、参考人三人が出席して質疑を行った。被災者支援に長年携わってきた弁護士の永井幸寿氏は、現行法で対応可能として、同条項を設ける改憲に反対した。

 緊急事態条項は、国会議員任期を延長できる規定の新設や、首相への権限集中、一定の人権制限を可能にする規定が検討されている。自民党の改憲草案にも盛り込まれている。

 永井氏は、阪神大震災を機に二十二年間、被災者支援を続けてきた経験を踏まえ「災害時に重要なのは憲法よりも法律や条例。災害関連の法規はたいへんよく整備されている」と指摘。「国に権力を集中しても対処できない。災害をだしにして憲法を変えることには反対だ」と訴えた。

 議員任期延長についても「参院の緊急集会、公職選挙法の繰り延べ投票の制度で対処できる」と述べた。

 これに対して防衛大教授の松浦一夫氏は「最悪の場合を想定し、通常ルールで対応できない場合の枠組みは必要。憲法の例外は憲法で定めるしかない」と、改憲は必要と指摘した。

 首都大学東京教授の木村草太氏は、首相の解散権について「党利党略を抑制するため、何らかの制限をかけていくことが合理的」と指摘した。 (清水俊介)

http://www.excite.co.jp/News/politics_g/20170323/Mainichi_20170324k0000m010099000c.html
<衆院憲法審>「緊急事態条項」で賛否 参考人から意見聴取
毎日新聞社 2017年3月23日 21時19分 (2017年3月24日 00時36分 更新)
 衆院憲法審査会は23日、大規模災害などが発生した際に国会議員の任期を延長する「緊急事態条項」の創設について3人の参考人から意見を聞いた。阪神大震災を経験した永井幸寿弁護士は「災害が発生した後で政府に権力を集中しても、対処できない」と述べ、同条項は不要との見解を示した。これに対し、松浦一夫防衛大教授は想定外の事態に憲法を改正して備えるべきだと主張した。

 永井氏は、東日本大震災で被災した市町村を対象に日弁連が2015年に実施したアンケートで、回答のあった24市町村のうち「災害対策に憲法が障害になった」と答えたのは1自治体だったと説明。「憲法改正の立法事実は認められない」と述べた。議員の任期延長にも反対した。

 木村草太首都大学東京教授は、任期延長の判断を内閣や国会に任せると乱用の危険があるため「裁判所の関与が不可欠だ」と慎重な議論を求めた。

 松浦氏は、憲法が規定した参院の緊急集会について「大災害で選挙が半年以上延期され、衆院が機能しない事態には十分に対応できない」と述べ、任期延長を支持した。

 解散権の制約を巡っても意見が分かれた。木村氏は「党利党略による解散を抑制するため、何らかの制限をかけるのが合理的だ」と表明。手法として、解散の宣言から解散までに一定の時間を確保し、衆院で解散理由を審議する手続き法の制定と、改憲による解散権の行使条件の明文化を挙げた。

 松浦氏は、災害対応を巡って政府と国会が対立した場合、内閣が衆院を解散し、参院の緊急集会に立法措置を代行させることはあり得ると指摘。緊急事態条項に解散の禁止を盛り込むよう訴えた。【飼手勇介】