自民、改憲草案を封印 憲法審で合意可能項目を模索へ

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衆院憲法審、27日にも再開...1年5か月ぶり
2016年10月18日 20時53分

 自民、民進両党は18日、衆院憲法審査会を27日にも開催することで合意した。立憲主義や違憲立法審査のあり方などに関する参考人質疑と、各党の自由討議を行う方向だ。同審査会での実質的な議論は昨年6月以来、約1年5か月ぶりとなる。

 自民党は自由討議を進めながら、憲法改正項目の絞り込みにつなげたい考えだ。

 同審査会与党筆頭幹事の中谷元・前防衛相(自民党)と、野党筆頭幹事の武正公一衆院議員(民進党)が18日会談し、一致した。社民、共産両党幹部も同日、武正氏らとの会談で、審査会開催に応じる考えを伝えた。

 審査会は原則として木曜日に開催し、議題ごとに参考人から意見を聞いた後、次回に各党が自由討議する形式となる見通しだ。憲法制定の経緯や参政権のあり方、緊急事態時の国会議員の任期延長なども順次、議題となる見通しだ。
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2016年10月18日 20時53分

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016101902000119.html

自民、改憲草案を封印 憲法審で合意可能項目を模索へ

2016年10月19日 朝刊

 自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長は十八日に開かれた参院選後初の全体会合で、二〇一二年に策定した党改憲草案について衆参の憲法審査会に「そのまま提案することは考えていない」とする「本部長方針」を示した。民進党などの野党から「国民の権利を軽んじている内容だ」などと指摘されている草案を事実上封印し、憲法審査会での議論再開を促す狙いがある。自民党は今後、反発の少ない改憲項目を審査会で絞り込みたい考え。しかし、合意を得やすい課題を先行させる「お試し改憲」は九条改憲などにつながるとの批判がある。(金杉貴雄、清水俊介)

 安倍晋三首相(自民党総裁)は党改憲草案の扱いに関し、六月の参院選テレビ討論で「われわれは既に案を示している。これを憲法審査会で議論していただきたい」と強調。参院選の結果、改憲勢力が衆参で改憲発議に必要な三分の二を占め、首相は自民党改憲草案をベースにした改憲議論の加速に期待を示していた。

 しかし、自民党が野党時代にまとめた改憲草案は現憲法の九条二項を削除し、「国防軍」の創設を明記。基本的人権を位置付けた九七条を削除するなど「平和主義や人権を損なう」との批判が強い。

 民進党の野田佳彦幹事長は憲法審査会での議論にあたり、自民党改憲草案の撤回を要求。審査会での議論開始の障害となっていた。保岡氏としては、憲法審査会での議論を進めるには、首相の一連の発言を修正するのもやむを得ないと判断したとみられる。

 実際、衆院憲法審査会の与党筆頭幹事の中谷元・前防衛相(自民)と野党筆頭幹事の武正公一元財務副大臣(民進)は十八日に国会内で会談。幹事懇談会を二十日に開き、早ければ二十七日にも審査会を開催して実質審議を再開することで合意した。

 自民党は今後、九条や人権関連の条項など、野党の反発が予想される課題は避け、野党も議論しやすい課題を憲法審査会の議題として提案するとみられる。たとえば、大震災などの非常時に国会議員などの任期を例外的に延長する緊急事態条項や、参院選の「合区」解消のため参院議員を都道府県から少なくとも一人以上選出することを憲法上規定することなどが自民党内では検討されている。しかし、「合意を得やすい」発想で項目を探す「お試し改憲」には、改憲自体が目的となったとの批判がある。

 党憲法改正推進本部は総裁の直属機関。保岡氏は本部長方針として、〇五年にまとめた「新憲法草案」などと同様に改憲草案を「党の公式文書の一つ」と位置付けて、「現在の議員で党の考え方を整理する必要がある」と強調した。